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by chekosan

タグ:本、読書、図書館 ( 306 ) タグの人気記事

同志社の「政治学」の授業で、要件かなり緩めなブックレポートを出したところ、ある学生が選んだ一冊。

著者は78年に欧州に渡って以来、長期に渡ってアンネの足跡を辿る取材を重ねてきた。

そのため本書には、現在とは違う収容所跡の雰囲気や受け入れ体制の様子や、当時を知る関係者の生の声など貴重な体験や証言が散りばめられている。そうした証言者自身の体験や言葉の方が興味深かった。

特に「アンネのストーリーはごく一部」だという証言者の言葉は重い。もちろん一人の人物の人生を追うことにも意義があり、矛盾・対立することではないが。

それにしても写真が少なくて残念。記者時代に撮った写真は個人では使えないのかな。アンネが隠れ家に移る前に住んでいた家周辺や、アウシュヴィッツに送られる前にいた収容所なども訪ねているのに、一切写真がない…


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ところで、アンネの父オットー氏も、なぜ日本でここまで『アンネの日記』が人気なのだろうと言っていたそうだが、いまどきの学生もホロコーストといえばアンネが真っ先に浮かぶようだ。

複数の歴史の教科書に載っているのも影響しているのだろう。私の娘時代には既に数種類の関連本が出ていたので、親の影響もあるのかも。

と思っていたら、アンネ・フランク財団のスタッフは、本書の著者に、日本人は戦争の被害者であるという意識があるから被害者の象徴であるアンネに共感するのではないかと問いかけたとあって、なるほどそれもあるかもと。☞文末にそうした趣旨の記事のリンク。

とはいえ、ホロコースト云々関係なく、感受性豊かな少女の日記として共感する読者も多そう。☞こちらもそのような趣旨の記事のリンクを文末に。

実際、別の授業の学生も『アンネの日記』を取り上げて熱く語ってくれたのだが、その学生も、思春期の心理や思索の面、文芸的な面で面白かった、生きていればきっといい作家になったと思うと感想を言っていた。ふむふむ

で、アムステルダムのアンネの隠れ家はなかなかひょいとは行けないし、入場するのに長蛇の列だそうだから、広島県福山市のホロコースト記念館に行けば、実寸大のアンネの部屋と、隠れ家の模型があるよと紹介しておいた。


アンネ・フランクと直接関係はないが、ユダヤ人映画制作者リディア・シャゴールさんの話がたいへん気になった。シャゴールさん一家はオランダ領東インドに逃げるのだが、同地がドイツの同盟国である日本に占領されたため、日本軍収容所に囚われてしまったというのである。彼女の『頭を垂れて』『総統の名の下に』という本を見ることはできないだろうか。


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「戦争被害者として共感?『アンネの日記』日本で人気の理由 イスラエル紙が分析」




後者の論調の記事。

「なぜ、日本人はこれほどまでにアンネ・フランクが好きなのか?
この人気は、ユダヤ教やホロコースト(ユダヤ人の大虐殺)への関心とは無関係だ。
読者の大半を占める若い女性を惹きつけているのは、アンネというひとりの少女の個人的な物語である。日記に豊かに表現された 十代の少女の感性に、アンネとはまったく異なる環境に生きる日本の13~15歳の若者たちから強く共感しているのだ。」







by chekosan | 2019-02-12 00:38 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)

関西ウーマンの書評連載、2月分が公開されました。

2011年3月11日に発生した東日本大震災で甚大な被害を出した石巻市にある製紙工場の復興の物語です。


工場の再稼働のドラマが一番の読みどころではありますが、全員避難を誘導し従業員の生命を守った担当者、流出物を回収し現場をきれいにして回った作業班など、各々の持ち場や職務に責任と使命を持って当たることの尊さをあらためて感じました。


そして、関西ウーマンFacebookページでも引用していただいていますが、美談だけではなく、危機的な状況で人びとがどのような行動を取りうるのかを知っておくこと、そしてそうした事態に備えることも防災のひとつではないかとあらためて思いました。


本文はこちらから。
https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201495

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by chekosan | 2019-02-09 10:37 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
年が明け、年度が終わっていく1月。舞台鑑賞、読書、映画鑑賞といったインプットが順調だった1月でした。勢いがついて、娯楽としての読書もできたくらいでした。

1月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:4559
ナイス数:504

コルチャック先生 (岩波ジュニア新書 (256))コルチャック先生 (岩波ジュニア新書 (256))感想
輪読ゼミで取り上げるので再読。あらためて濃い内容をわかりやすくまとめているなあと。平凡社ライブラリーの近藤二郎『コルチャック先生』の子ども向けという感じだが、お二人はご夫婦だった。康子氏はフランス語版からコルチャックの作品を翻訳している。
読了日:01月03日 著者:近藤 康子



決定版 コルチャック先生 (平凡社ライブラリー)決定版 コルチャック先生 (平凡社ライブラリー)感想
輪読ゼミで近藤康子(二郎氏とはご夫婦)『コルチャック先生』を取り上げるにあたって、コルチャック先生関連本をいくつか続けて読んでいる。本書では、歴史的背景や、コルチャックが影響を受けた教育者や文学者に関しても詳しく紹介されている。トルストイ、チェーホフ、プラトン『国家』を愛読していたらしい。それにしてもコルチャック先生の教育実践、教育思想は興味深い。強く惹かれる。2019年は「子どもの権利条約」ができて30年。重点的に若者たちに紹介したい。ワルシャワやトレブリンカにコルチャック先生詣でもしたいなあ。
読了日:01月03日 著者:近藤 二郎



荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)感想
ジョジョはほぼ読んでいないのだが、「ルーブルNo.9展」で多少興味を持つようになり、先日は子らと原画展にも行った。創作理論コーナーが面白かったので、早速、古書を取り寄せた。そうしたら帯が無くて残念(笑) 内容は意外な驚きの連続。デビューするため、他の漫画家のヒット作を丹念に研究したこと、ジョジョは異彩を放っているようでいて、実は少年漫画の王道・鉄則に沿って作っていること、映画や西洋美術、彫刻から学び反映させていること、事前に綿密にリサーチしていることなど、創作をしない者にも学ぶ点がたくさんあった。 
読了日:01月04日 著者:荒木 飛呂彦

荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟 (集英社新書)荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟 (集英社新書)感想
ジョジョ展で、荒木氏の創作は西洋美術や映画に影響を受けているということだったので、同氏の新書をまとめて購入。本書はさらっとだけ目を通した。中古を買ったのは失敗。やはり帯も欲しかった(笑) 私の関心のある領域では、『存在の耐えられない軽さ』が「アイテムに関して絶品」とのこと。インテリアやファッションなどに注目だそう。買ってあるDVD、いいかげんに観るとしよう。『嵐の中で輝いて』がWW2前夜のドイツが舞台とのことで、余力があったらこちらも観てみよう。
読了日:01月06日 著者:荒木 飛呂彦

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)感想
ジョジョ展で、荒木氏が映画から創作のヒントを得ているということを知って。ホラー映画への愛がムンムン感じられて面白かった。ホラー映画を観ている意識はなかったが、意外と知っている作品があった。昔はテレビでしょっちゅう洋画を放送してくれていたからなあ。『エクソシスト』『オーメン』『キャリー』『エイリアン』『13日の金曜日』『ジョーズ』『羊たちの沈黙』etc. 『es』『ウェイヴ』といった心理実験ものも紹介している。岸辺露伴のモデルとなった古書探偵が出てくる『ナインスゲート』は観てみたいかも。
読了日:01月08日 著者:荒木 飛呂彦


教育問題はなぜまちがって語られるのか?―「わかったつもり」からの脱却 (どう考える?ニッポンの教育問題)教育問題はなぜまちがって語られるのか?―「わかったつもり」からの脱却 (どう考える?ニッポンの教育問題)感想
おもしろかった。おすすめ。 2010年の本だが古びていない。教育問題が核だが、社会問題一般に関する情報リテラシー、クリティカルシンキングの入門書として有効。サブタイトル〈「わかったつもり」からの脱却〉に言い尽くされている。教育者を目指す若者に向けて書かれたそうだが、大人にも読んでほしい一冊。
読了日:01月11日 著者:広田 照幸,伊藤 茂樹


ハンナのかばん―アウシュビッツからのメッセージハンナのかばん―アウシュビッツからのメッセージ感想
ホロコーストの犠牲になった13歳の少女の遺品のスーツケースをアウシュヴィッツ博物館から教育用展示品として貸借した日本人女性が、持ち主を特定し、カナダにいた兄を見つけ出したという実話。兄妹の体験と、兄ジョージさんと子どもたちとの交流は児童書となり、映画化されて世界中に知られることとなった。かばんは各地を巡回している。ジョージさんは、2019年1月12日、トロントで90歳で亡くなられた。詳しい記録はブログに。https://chekosan.exblog.jp/29184719/
読了日:01月12日 著者:カレン レビン

亡命者の古書店: 続・私のイギリス物語 (新潮文庫)亡命者の古書店: 続・私のイギリス物語 (新潮文庫)感想
輪読ゼミの持ち寄り企画で学生が紹介してくれた。チェコ好きでなくても面白く読めるのではないかと思うが、ちょっとでもチェコ好きなら、とても面白く読める。それにしても記述が細かい。詳細な日記をつけているのかなあ。紹介してくれた学生君が、これを読んで「スリボビツェ」というチェコのお酒を飲みたくなって飲もうと試みた話もしてくれた。ロシアや東欧のお酒を出すお店が京都にあるそう。みんなで行きたいねえと言っている。内容についてはブログに。https://chekosan.exblog.jp/29191199/
読了日:01月16日 著者:佐藤 優

無知無知感想
『存在の〜〜』ほどの読み応えはないが、クンデラらしい生々しい人間洞察がいい。亡命者の祖国への帰還をテーマにしているが、先日読んだ佐藤優『亡命者の古書店』に出てくる亡命者が悲哀や使命感に満ちているのとは対照的なのが面白い。クンデラの描き出す普通の男女は実にリアル。ちょっと滑稽で、ちょっとずるくて、ちょっと痛々しい。
読了日:01月18日 著者:ミラン・クンデラ


富豪刑事 (新潮文庫)富豪刑事 (新潮文庫)感想
気分転換に。深田恭子主演のドラマ「富豪刑事」は、バカバカしくも面白かった。原作では男性が主人公というのが今一つ想像しがたかったが、小説ならではのさまざまな技法を駆使して書かれていて原作は原作でやはり面白かった。作者が出てきて解説し始めたり、登場人物が読者に向かって話しかける場面があったり。映画の演出手法を取り入れているのかな。映画作品のキャラや映画俳優似の登場人物がたくさん出てきているし。いつでもどこでもタバコやら葉巻を吸っているのは時代を感じさせるけど、30年以上経っていても案外違和感なく読めた。
読了日:01月19日 著者:筒井 康隆

祈りの幕が下りる時祈りの幕が下りる時感想
気分転換に。家族が図書館で借りてきた本をパラパラ見たら、我が滋賀県が出てきたので、そのまま先に読んだ😜 東野氏の本は学生にも人気なので数冊は読んでいるが、私自身は特にファンというわけではない。が、サラサラ読める文体には毎度感心する。しかしまぁ、あまり衝撃とか感動はなかった。気分の切り替えにはなったので良しとする。
読了日:01月25日 著者:東野 圭吾




世界の文学〈42〉ゼーガース.ノサック―新集 (1971年)トランジット 死者への手向け 配電盤 標柱世界の文学〈42〉ゼーガース.ノサック―新集 (1971年)トランジット 死者への手向け 配電盤 標柱感想
面白い! 映画「未来を乗り換えた男」を観る前に原作「トランジット」をと図書館経由で取り寄せて読んだら、映画がイマイチでがっかり… 断然、原作!復刊を強く希望! 戦争中に外国へ逃げるということはそう簡単なことではないということがよくわかる。滑稽なほどの官僚主義が生むカオス。悲喜劇というかなんというか。ある男の独白という形をとっているが、独白にしては長い(笑) でも読ませるのです! 詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/29218587/ かなりおすすめ。
読了日:01月26日 著者:ゼーガーズ,ノサック


紙つなげ!  彼らが本の紙を造っている紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている感想
ずいぶん前に買っていた本。機が熟したような感じがあって開いた。東日本大震災における石巻の日本有数の製紙工場とその周辺の被災状況および復興の過程を当事者から聞き取って記録したもの。避難の誘導、工場再開のための復旧作業、流れ出た製品の回収など、社員がそれぞれの持ち場や職務に責任を使命を持って当たった様子に感銘を受けた。一方で、悲惨な被害の実態(亡くなられ方や遺体の散乱状況など)や火事場泥棒の様子といったことは、直後の報道では詳細には伝わってこなかったので、あらためてショックを受けた。
読了日:01月27日 著者:佐々 涼子


スターリンの葬送狂騒曲 (ShoPro Books)スターリンの葬送狂騒曲 (ShoPro Books)感想
映画がとても面白かったので原作も取り寄せ。原作はシリアス。ていねいに作られているけど、映画の方がエピソードが多くて、キャラが立っていて濃い。どちらも史実通りではないとのことなのでそこは気をつけたい。映画の感想中心にブログに記録。https://chekosan.exblog.jp/29224874/
読了日:01月27日 著者:ファビアン・ニュリ



気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社感想
積読本だったが機が熟して一気読み。立ち上げの頃から報道で見聞きしていたが、初商品カーディガン一着15万円に予約が殺到したとは! 糸井重里の「ほぼ日」のプロジェクトのPR力はすごい…そんな高価な商品を注文するのは都市の富裕層かといえばそういうわけではなく、むしろ県庁所在地以外からが比較的多いらしい。そうした地域にも高くても良いものを求める人はいるが機会を提供できていないのではないかという分析は面白い。同社が編み手を大勢確保できるのは柔軟な働き方を許容し、決算等の経営状況も共有しているからという点も興味深い。
読了日:01月27日 著者:御手洗 瑞子

チェコ語の隙間―東欧のいろんなことばの話チェコ語の隙間―東欧のいろんなことばの話感想
スラブ系の言葉同士は似ているけど、それだけにこんがらがったりするというのは、そのとおりだなあ。全然レベルは違うが、ワタクシもかつてロシア語、チェコ語、ポーランド語、スロヴァキア語の文章を読んでいたが、しばらくそのあたりの研究から離れたら、すっかりサビサビに。先日映画を観ていたときも、あるセリフを聞き取れたのに、ロシア語なのかポーランド語なのかがわからないという瞬間が。どこまで錆びついているんだか…(~_~;) なのに、こういう楽しい本を読むと、うっかり新しいことばを学びたくなるので困るのです(笑)
読了日:01月31日 著者:黒田 龍之助

読書メーター

by chekosan | 2019-02-03 15:52 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
たくさんの言語を研究されている黒田龍之助さんの『チェコ語の隙間』を読みました。言葉や文化にまつわる楽しいエッセー集です。

「東欧のいろんなことばの話」というサブタイトルどおり、ポーランド語、チェコ語、スロヴァキア語、スロヴェニア語、クロアチア語、セルビア語、ブルガリア語、マケドニア語、ソルブ語などの習得にまつわる話や、それらを使う国を訪問したときのエピソードなどが短く紹介されます。

スラブ系の言葉同士は似ているけど、それだけにこんがらがったりすることもあるので要注意というのは、そのとおりだなあと思います。

いえ全然レベルは違うのですが、ワタクシもかつて、ロシア語、チェコ語、ポーランド語の順に習ったことがあり、スロヴァキア語の文章も辞書を引き引き、強引に読んだりしたこともありました。が、諸事情からそのあたりの研究から離れていた時期があって、すっかりサビサビになってしまいました。

先日映画を観ていたときも、あるセリフを聞き取れたのに、ロシア語なのかポーランド語なのかがわからないという瞬間がありました。どこまで錆びついているんだか…(~_~;)

と、そんな酷いことになっているのに、こういう楽しい本を読むと、うっかり新しいことばを学びたくなってきて困るんですよね(笑)

ブルガリア語はロシア語をやったことがある人には親しみやすい、しかもブルガリアはなんでもおいしいなんてことを読んだりしたら、じゃあブルガリア語を!とか思ってしまいました。


でも、この本でも書かれているのですが、現地のことばを発すると、やはり現地の方が喜ばれるんですよね。バルト諸国に行ったときは一語も使わずに済ませてしまいましたが、そういう態度はやはりよろしくないですよね。

そこで、リトアニア語はちょびっとくらいわかるようになりたいな、とテキストを買ってあるのですが、全然勉強していません… リトアニア語はスラブ系の言語でもないし、一から独学で勉強するのはやはりきつい。いっそ、日本におられるリトアニアの方に習おうかなあ。 




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by chekosan | 2019-01-31 21:28 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
映画「スターリンの葬送狂騒曲」を観ました。

これは面白かった!見逃さないで良かった!と心のなかで思わず自分の判断を讃えてしまいました。

ソ連の独裁者スターリンが亡くなり、側近たちが後継争い・権力争いを繰り広げる話です。拷問や処刑、殺害シーン満載なので、笑うのは不謹慎な気もするのですが、テンポのよいブラックコメディとして作られているので、ついつい笑ってしまいます。

時系列的には必ずしも史実に忠実ではないそうですが、実際に起ったことや情景をふんだんに盛り込んであるそうです。

ブラックコメディなので、話の展開が極端にスピーディではありますが、しかし、スターリン時代に粛清された人々の数(数百万ともいわれる)から考えると、実際にもあれくらいのスピードで、あれくらい軽々しく殺していかないと、そんな数にはならなかったかも…と思えてきます。



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今年度の輪読ゼミで読んだ米原万里の小説『オリガ・モリソヴナの反語法』はスターリン時代の粛清がテーマになっていて、この映画にも出てくるベリヤ(秘密警察の親玉)も出てきます。そこでは、ベリヤも、スターリン死後の権力争いで失脚したために、悪の張本人、卑劣漢として実際以上に誇張して伝えられたという見方も紹介されていました。

この映画でも、ベリヤは残忍で変態で狡猾で強引なやり手として描かれていますが、同時にフルシチョフたちライバルたちも、そんなベリヤを追い落として処刑してしまうくらいに残酷で狡猾な人物として描き出しています。誰もヒーローではなく、どいつもこいつも揃いも揃って…と思わせる映画になっています。

ロシアでは封切り直前に上映中止になったそうですが、まあさもありなん。

しかし、もしロシアや旧ソ連の構成国で上映されたら、普通の市民からは、どういう反応が出るのでしょう。笑えるのでしょうか。ブラックコメディとして受け止められるほどに「昔のこと」になっているのでしょうか。あるいは、コメディなんかにするな、まだ生々しい過去なのだと反発が出るのでしょうか。

ホロコーストやヒトラーはかなりセンシティブなテーマとして慎重に扱われていると思うのですが、スターリンやスターリン時代はどうなのでしょう。

思わず笑ったり、ああ面白かった!と思ったりしておきながらなんですが、スターリンなら、ソ連なら、コメディにして笑って楽しんでもよいのだろうか、違いはどこにあるのだろうとも思えてきました。あるいは、笑いながらも「…笑いごとじゃないよね」と思えてくるのであればよいのか…

◇◇◇

映画が面白かったので、すぐに原作のコミックと、劇場では手に入らなかった映画パンフレットも取り寄せました。

原作はファビアン・ニュリ作 ティエリ・ロバン画で、小学館集英社プロダクションから発行されています。こちらはシリアスです。う~ん、いかにもバンド・デシネ♪(フランスやベルギーの漫画)という感じで、画面は暗く、字が小さくてたくさん、劇画タッチです。

原作もていねいにつくられた作品ですが、映画の方がいろいろなエピソードを足してあって、登場人物のキャラも立っていて、見応えがあるかなと思いました。

なお、原作もやはり時系列などは多少いじってあるとのことです。





ヒトラーを題材にしたコメディタッチの映画はありますね。原作、まだ読めていません。読もうっと。





by chekosan | 2019-01-28 21:25 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
アンナ・ゼーガースの小説「トランジット」を基に、舞台を現代に移した映画「未来を乗り換えた男」が公開されています。

「トランジット」は、第二次大戦でドイツに侵攻された国々の人々が、フランスのマルセイユから第三国に船で脱出しようとする話です。

作者のゼーガース自身が、マルセイユで煩雑な手続きを重ねて書類を集め、メキシコに渡った体験が反映されているとのこと。

映画を観る前に原作を読んでおきたいなと探したら、これがなかなかありません😓 図書館で他館から取り寄せてもらって読みました。


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左:原作 中央公論社『新集世界の文学42』(1971年)
右:映画パンフレット

古い本なので、翻訳も読みにくいのかなと思ったら、そんなことはない、とても読みやすかったです。特に、ヒロインの言葉遣いが上品なのが雰囲気を高めています。

小説は全篇、主人公が、ピッツェリアで知りあった人に自分の体験を語るという独白の形を取っているのですが、こんな長時間かかる独白、丸一日かかるんじゃないの? 聞いてられんだろうと思う長さなんです。

でも面白い! 読むのを止められないのです。

もう滑稽なほどの手続き地獄。滞在するため、出国するため、乗船するため、通過するため、入国するために、何枚も何枚も証明書が必要で、ある書類を発行するためには、別のところで別の書類をもらわないといけない。

ところが、難民が殺到しているので、一枚の書類を得るためには延々待たないといけない。

主人公は、行きがかり上、他人の出国の一件書類を預かります。領事の勘違いによって、その書類の持ち主と間違われた主人公は、なんとなくそのまま手続きの列に加わることになります。

領事館や役所や旅行社で顔を合わせるうちに難民同士、知り合いになっていきます。そしていろんな悲喜劇を見聞きすることになります。

ある書類の発行を待っている間に先に取った書類の期限が切れる、乗るはずの船🚢の乗船券が無駄になる、あるいは書類は親族全員分、全部揃っているのに、体の弱った老親を置いていけない、などという事態が発生します。

ここ数年、この時代を勉強するようになって、戦禍や迫害を逃れて欧州を脱出するということは、ある時期まで、そして限られた人たちにのみ可能だったということはわかってきたのですが、それにしてもここまで煩雑だとは、、、

こういうカオスを伝えられるのは、小説ならではだと思いました。

◇◇◇

映画は、これを現代の物語にしています。ドイツがフランスを占領して、やはり人々がマルセイユからアメリカや南米に脱出しようとするという設定です。

時代を変えるのは一つの試みとしてアリなのかもしれませんが、それよりなにより、原作の核であり魅力である、混乱の中の杓子定規な官僚主義が生むカオスと、その中から主人公が見出す人生の進路が全然描かれていませんでした。

原作を読まずに映画を見たら、話がさっぱりわからないのではないかとも思いました。映画だけ観た人はどう感じたのだろう。

ということで、入手しにくい作品ではありますが、ゼーガースの原作の「トランジット」を、おおいにおすすめします^_^




by chekosan | 2019-01-25 10:48 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
ロシア(ソ連)や東欧の文献を読む授業で、各自が読んだり観たりした作品を持ち寄る企画をしたときに、受講生が紹介してくれた本です。

佐藤優氏の著作は何冊か読んでいますし、この本も買っていて、積読本の山の中にありました。人に紹介してもらうと俄然、読みたくなりますね。で、読み始めると止まらず。ほかのことを置いて、一気に読んでしまいました。

佐藤氏が外務省の研修生として、イギリスの陸軍語学学校でロシア語研修を受けている一年余りの間の話です。

ロンドンで古書店を営む亡命チェコ人や、語学学校のクラスメイトとその恋人とのやりとりから、小国の人々や先住民族のアイデンティティ、思想、行動を浮かび上がらせる構成になっていて面白いです。

佐藤氏のライフワークであるチェコの現代神学者フロマートカの思想も引用、紹介されていて、こちらも長すぎず難しすぎずで興味深く読みました。

サブタイトルに「イギリス物語」とありますが、舞台はイギリスですが、内容的にはチェコの話が中心です。ドイツやロシア(ソ連)といった大国に挟まれた小国チェコのとった(とらざるを得なかった)道や、それを背負ってイギリスに亡命した(せざるを得なかった)知識人の悲哀と葛藤が迫ってきます。

佐藤氏が師と仰いだ亡命チェコ人古書店主は、イギリスにおいて、共産圏では残すことができないような書籍を西側に救出するという使命(キリスト教の言葉では召命)=ミッションを見出します。さらには佐藤氏という「弟子」に自分の知識や思考を伝えることで生きた証を残せたと佐藤氏に伝えています。

その影響を受けて、佐藤氏も、若者たちを育てることに尽力されているとのこと。他の著作で、ちょっと驚くくらい丁寧というか突っ込んで受験指導や学術面での指導をされているのは読んでいましたが、なるほどと思いました。

クラスメイトの恋人の話(アメリカの先住民族ナバホ族の苦難の歴史)は初めて知りましたが、その部分も面白かったので、チェコの歴史を知らない、興味がない人にもきっと面白く読めるのではないかと思います。






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by chekosan | 2019-01-16 18:37 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
ホロコーストの犠牲になった13歳の少女の遺品のスーツケースを、2000年、アウシュヴィッツ博物館から教育用展示品として貸借した日本人女性が、持ち主を特定し、カナダにいた兄を見つけ出したという実話です。

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ホロコースト教育資料センターの代表である石岡史子さん(本書では「ふみ子」)は、遺品を貸し出してくれたアウシュヴィッツ博物館はもとより、イスラエルやアメリカの博物館にも問い合わせて、遺品のかばんの持ち主を探します。

当時は連絡は手紙なので、返事も数週間単位でかかります。やっと届いた手紙には、手がかりなしとの返事が続きました。

ようやくチェコのテレジン収容所からアウシュヴィッツに移送された女の子であることがわかり、石岡さんは出張の寸暇を縫って、テレジン収容所を訪問します。

そうして調査を重ねて、かばんの持ち主ハンナの兄のジョージさんが、やはりテレジン収容所からアウシュヴィッツ収容所へと移送され、生き抜いてカナダに暮らしていることを突き止めます。

ジョージさんは、50年を経て妹の遺品と対面するため日本を訪問し、同センターのボランティアグループの子どもたちと交流します。

のちに、このかばんは、1984年にイギリスでの展示に貸し出した際に火事で焼失し、作り直された複製だったということが判明しますが、ハンナとジョージのきょうだいの体験と、ジョージさんと子どもたちとの交流は児童書となり、映画化されて世界中に知られることとなりました。


かばんが実物であればより良かったのでしょうが、しかし、複製がつくられたことでジョージさんと子どもたちの交流が生まれたともいえるでしょう。

かばんは、2015年にアウシュヴィッツ博物館からホロコースト教育資料センターに寄贈され、各地を巡回しています。

ジョージさんは、2019年1月12日、トロントで90歳で亡くなられました。








by chekosan | 2019-01-13 16:08 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
今月の書評は「ジョジョの奇妙な冒険」の作者、荒木飛呂彦さんの本にしました。

私は2年前まで、「ジョジョ」については書名を知っている程度でした。学生や子どもたちが絶賛しているのを聞いても、「ふ~ん」でした。

ところが2017年に大阪で開催された美術展「ルーブルNo.9」展に出品されていた荒木さんの絵を見てから、にわかに興味をもつようになりました。先日、代表作「ジョジョ」連載30周年(2017年)を記念した原画展にも行ってきました。




原画展も面白かったので、荒木さんが書かれている新書を数冊買ってさっそく読んでみたところ、本書には、ご本人が書かれているとおり、「漫画に限らず、もっと普遍的なハウツー」がちりばめられていて、ガシッとハートを掴まれてしまいました。

ジョジョをほとんど読んでいない私でも、仕事に取り組む姿勢など、たいへん参考になりました。荒木さんのファンでなくとも得るものが多い一冊です。

「関西ウーマン」Facebookページで引用していただいている文章の「ドオオオオン」は、もちろんジョジョ風です(笑) 
https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201492



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by chekosan | 2019-01-12 17:17 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
2018年、攻めの姿勢で猛進しました。ちょっとお出かけ系インプットを詰め込み過ぎて、アウトプットが追い付かなかったことが反省点です。

大きなものでは、2月に大学からの親友とポーランドへ。アウシュヴィッツ博物館を見てきました。アウシュヴィッツ関連は膨大な先行研究があるので、オリジナルな何かを書く予定はしていなかったのですが、同志社、関大、滋賀大、流科大の授業でたくさんの学生たちに話して考えてもらっています。

8月には上の息子とバルト3国へ。たくさん歩いて、たくさん見て、たくさん学んできたのですが、こちらはいまだブログへの記録すらまとめられていません…。しかしバルト3国は今後も勉強したいと思っています。

杉原千畝にゆかりのある土地を訪ねる旅も断続的に続けています。岐阜や横浜(氷川丸)、訪問先では貴重な出会いが得られました。細くても長いおつきあいをさせていただければと思います。

今年は、春休みに名古屋に行く予定です。天候不良や体調不良で何度も行き損ねている敦賀も絶対に行きます。

大学関係でも、手を緩めず、学生たちを外へ連れ出すプロジェクトを進めました。近隣の展覧会、広島、横浜。学生たちの真剣な目、見たもの聞いたことを素直に吸収してくれている様子に非常に心打たれました。やはり若いうちにたくさん経験を積んでほしいと強く思いました。






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2018年の読書メーター
読んだ本の数:124
読んだページ数:30063
ナイス数:3671

2018年の読書記録から、特に印象に残ったものをピックアップします。


みんなの道徳解体新書 (ちくまプリマー新書)みんなの道徳解体新書 (ちくまプリマー新書)感想
中高生向け新書のせいか、マッツァリーノ節はやや抑え気味な気もするが、なかなか刺激的で面白い。モラルが崩壊しているとか日本人に道徳心がなくなったとか若者が凶悪化したとか、巷に溢れる言説がいかに根拠なく発せられているかを資料や論理にもとづき、痛快に、辛辣に批判する。道徳の副読本の「名作」解説の章は吹き出す箇所多数。最終章、道徳教育はどうあるべきかという結論は簡潔で明快。おすすめ。ブログにもう少し詳しく記録。http://chekosan.exblog.jp/27965509/
読了日:01月03日 著者:パオロ マッツァリーノ


否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS)否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS)感想
映画を観てからの原作。本文543ページとたっぷりだが非常に面白い。イギリスの裁判の進め方、被告側の徹底したリサーチなど勉強になった。ホロコーストをめぐる実際にあった裁判の回想録だが、まるで小説のよう。原作の方が裁判での争点をよく理解できるが、映画は映画でイギリスの法廷の様子が絵でわかるので、併せて見ると良いかも。別の人によるあとがきに要確認事項あり。詳しくはブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28024809/
読了日:01月21日 著者:デボラ・E リップシュタット


ええ、政治ですが、それが何か?――自分のアタマで考える政治学入門ええ、政治ですが、それが何か?――自分のアタマで考える政治学入門感想
とても面白かった。政治学の授業では、言葉を尽くして他者と対話せよと学生に言っているので、おおいに賛同。詳細はブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28046989/ ところで「政治学やってますというと、政治家になるんですかと訊かれる」というのは聞く話だけど、私は言われたためしがない。ジェンダーよね。あ、親戚から一回だけ言われたか。あと初対面の人に日本の政治についてどう思いますか!?と聞かれて困惑したことがある。そんな大問題を大雑把に繰り出して返答を迫るのも乱暴な気がする。
読了日:01月27日 著者:岡田憲治


シンドラーズ・リスト―1200人のユダヤ人を救ったドイツ人 (新潮文庫)シンドラーズ・リスト―1200人のユダヤ人を救ったドイツ人 (新潮文庫)感想
アウシュヴィッツ&シンドラーの足跡を訪ねる旅の途中から読んで、ポーランド風邪に伏せっている間にちょっとずつ読んだ。原作には映画には盛り込めなかったエピソードがたっぷり書かれていて、とても面白い。例の「赤い服の少女」、実在の人物だったんだ! 映画の方がわかりやすいところもあり、原作を読んでああそういうことかとわかるところもあり。ということで、映画も原作もおすすめ。詳しくはブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28148158/
読了日:02月13日 著者:トマス・キニーリー


HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)感想
クンデラのように、というかクンデラ以上に、作者が作品中に顔を出し口を出す小説。むしろほぼドキュメンタリー。プラハを治めるSS幹部の暗殺事件について、作者が知ったきっかけから、調べを進めていく過程が盛り込まれている。そこがとても面白い。我々の業界では研究対象への愛をあからさまに文字で示すことは通常できない。小説ならでは。羨ましく思いながら読んだ。映画との比較など詳しくはブログに記録。https://chekosan.exblog.jp/28205007/ 今年の夏はハイドリヒ暗殺関連現場めぐりをしよう。
読了日:03月21日 著者:ローラン・ビネ


ホロコースト 女性6人の語り部ホロコースト 女性6人の語り部感想
ホロコーストの生存者、博物館の責任者、歴史家など、さまざまな形でホロコーストの伝承や研究に関わっている人など、女性6人を取材した本。A5判よりも縦が短く、字も大きくて読みやすい小さな本だけど、ここにも行きたい、こんな本もあるのか読みたい、とたくさんの刺激をもらった。特にドイツのオスナブリュックという街にある、ユダヤ人画家フェリックス・ヌスバウムの絵を集めた美術館に行きたい! 詳しい記録はブログに。https://chekosan.exblog.jp/28277479/

読了日:04月30日 著者:大内田わこ


ガス室に消えた画家 ヌスバウムへの旅 母と子でみる A 40ガス室に消えた画家 ヌスバウムへの旅 母と子でみる A 40感想
同じ著者の『ホロコースト 女性6人の語り部』で、本書の表紙にもなっている自画像を見て強烈に惹かれた。ナチスのユダヤ人迫害で外国を転々とし、密告によって捕らえられて収容所で殺された画家。友人たちに預けた作品が戦後ずいぶん経って親戚の手に移り、故郷オスナブリュックで展覧会が開かれた。それをきっかけに残りの作品の所在も判明し、オスナブリュックに集結。市民が寄付を集めて常設の美術館もできた。ぜひ行って、作品を生で見たい。詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/28304919/
読了日:05月10日 著者:大内田 わこ


石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)感想
うぉ~~っと一気に。何年も前にある先生に教えていただいて購入したものの、戦争戦争した話なので読み進められなかった作品。機が熟したのだろう、今回は一気に読めました。第二次世界大戦中のユーゴの話。ていねいに描かれていて面白かった。こういう緻密につくられた漫画を子らも読めるようになってほしいなぁ。まぁこの作品自体は関心を抱く人は少ないテーマと思うが。感想はまとめてブログに。https://chekosan.exblog.jp/28323051/

読了日:05月19日 著者:坂口 尚

サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)感想
映画を観て原作を読んだ。キツいシーンが続く。小さな子どもが苦しむのを観るのは辛い。この作品がクローズアップするヴェル・ディヴ事件に象徴されるフランスの対独協力、ホロコーストへの積極的関与の事実、それが長くタブーになっていたことにショックを受ける。ドランシー収容所に至っては、いまも集合住宅として使われている。フィクションだが歴史的事実と現在を繋げてくれる作品。詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/28393898/
読了日:06月18日 著者:タチアナ・ド ロネ


綾瀬はるか 「戦争」を聞く (岩波ジュニア新書)綾瀬はるか 「戦争」を聞く (岩波ジュニア新書)感想
毎月「関西ウーマン」に連載させていただいている書評コーナーで2巻同時に取り上げました。夏だけ思い出せばよいということではありませんが、やはり夏は振り返り語り継ぎたい。綾瀬はるかさんの傾聴と寄り添いが貴重な証言を引き出しています。今年は学生たちと広島を訪ねたいと思っています。https://www.kansai-woman.net/Review_s.php?id=201374
読了日:07月08日 著者:
綾瀬はるか 「戦争」を聞く II (岩波ジュニア新書)綾瀬はるか 「戦争」を聞く II (岩波ジュニア新書)感想
戦争終結から70余年が経ち、戦争を経験した人びとが高齢化するなかで、いま伝えておかなくては、あの惨禍が忘れられてしまうという切迫感から、つらい記憶を出して語られました。証言者の方々の「これが最後」「いま残しておかねば」という覚悟と思いが胸に迫る証言集です。「関西ウーマン」信子先生のおすすめの一冊コーナーで1巻と共に取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review_s.php?id=201374
読了日:07月09日 著者:


広島の木に会いにいく広島の木に会いにいく感想
原爆の爆心地から半径2キロ圏内で生き残った被爆樹木と、樹木を調査し、守り、伝える人々をドキュメンタリー映画監督が訪ねる。その場を動けないにもかかわらず熱線や爆風に耐えて生きのびた植物の強さに感銘を受ける。生きているだけに、挿し木をして子孫を残すにも非常に繊細に扱わなくてはいけない。また、木の内部を研究するのは現在の科学ではなかなか難しいとのこと。学生と広島スタディツアーに行くので、ぜひとも一緒に何本か見てきたい。小学高学年から読めるようルビつき。イラストもいい。年齢を問わずおすすめ。
読了日:08月10日 著者:石田 優子


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)感想
文学やノンフィクション作品を通してロシアソ連東欧を知る輪読の授業で読むので再読。もしかして読んでなかったか? NHKのドキュメンタリーで見ただけだったか? 1本目読みだして、あれ? おませな少女の下ネタ満載で、授業で使って大丈夫だったかと苦笑。でももちろんそれで終わりではなくて、社会主義期のプラハの学校に集った4人の少女たちの学校生活を通して、社会情勢、国際情勢を鮮やかに描き出す。授業終えたら学生の反応や感想交えて、詳しく記録しようと思う。とりあえず選んで間違いではなかった。
読了日:09月13日 著者:米原 万里

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)感想
『嘘つきアーニャ』に続いて輪読ゼミで読む本。事実と体験を巧みに盛り込んだフィクション。1960年代にプラハのソビエト学校で出会った女性教師オリガ・モリソヴナたちの謎を、主人公が旧友と共に90年代初頭に解いていくなかで明らかになるスターリン時代の人権抑圧の実態。限られた日数で資料を探し関係者を訪ね歩く過程も非常にリアル。いくつかのどんでん返しもうまい。謎解き小説として読むだけでもスリリングで面白いが、革命からのソ連東欧の激動と悲劇と人々の生き様を感じとれる作品としておすすめ。
読了日:09月28日 著者:米原 万里


暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン感想
中・東欧史、ホロコースト史家で、『ブラック・アース』『ブラッド・ランド』の著者、ティモシー・スナイダー氏が緊急出版した小さな本。強権的、独裁的な政治を支え、助長するのは普通の人々の日常のふるまいや言動であることを歴史の事例からわかりやすい言葉で解説。第一条が「忖度による服従はするな」。いろんなところで紹介していこう。力強くおすすめ。まずは書評連載で取りあげました。https://www.kansai-woman.net/Review_s.php?id=201450
読了日:12月01日 著者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder


なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか ピース・コミュニケーションという試み (光文社新書)なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか ピース・コミュニケーションという試み (光文社新書)感想
大変興味深かった。著者はメディアやコミュニケーションのプロ。戦争や平和に関する情報の伝わりかた、受け止めかた、伝え方について知り、考えるのに良い一冊。事例と理論の割合もよく、読みやすい。平和教育のあり方を考えるのにも参考になる。先日読んだティモシー・スナイダー『暴政』と併せておすすめしたい。
読了日:12月12日 著者:伊藤 剛


【改訂完全版】アウシュヴィッツは終わらない これが人間か (朝日選書)【改訂完全版】アウシュヴィッツは終わらない これが人間か (朝日選書)感想
輪読ゼミで改訂版を再読。二回目なので衝撃は減ったが、別のところで発見などあり。読んできた学生たちもそれぞれ深く受け止めて、言葉を絞り出して、過去を知ることを今に結びつけて考えようとしてくれていた。アウシュヴィッツの体験ものは他にもあるが、そのなかでも良いと思う。特に若い人たちに向けた質疑応答の部分は強くおすすめ。
読了日:12月20日 著者:プリーモ・レーヴィ



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by chekosan | 2019-01-02 13:52 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)