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by chekosan

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8月下旬は、上の息子を連れてバルト3国に行っていました。旅行記録はおいおいアップするとして。

今回、旅の友で持っていった本の一つがこちら。


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最近、我が家で東浩紀氏がちょっとしたブームになっています。

少し前に同氏の『弱いつながり』を読んで、かなりしっくりじんわり浸透しまして、書評連載で取り上げたり、ちょいちょい言及したりしていたら、感化された夫氏もネットで対談を次々視聴し始めました。

ショッピングモールに関する本も何冊か出されていることを知り、あああしまった!と買ったのが旅行前。なぜ今まで気づかなかったのか。というのは、記事の最後で。



著者たちが強調するように、本書は、学術的に証拠立てて論じた本ではなく、ショッピングモール「から」いろんなことを読み取ってあれこれ対談した記録です。

ほほうと思うところ多々あり。それでもやっぱりあの空間には愛着は持てないと思ったり、だけどどこに行っても本能的に?「わかってしまう」空間構成になっている点に普遍性を感じたり。

古い街並みの残るバルト3国への旅行中に読んでいたので、旅先でもあえてモールにも入って観察しました。そして日本も欧州も香港もほぼ同じだなあと確認しました。本書のとおり、吹き抜けには個性、内装の妙ありか。それでも同じような雰囲気ですけど…



ラトヴィアのリガの Galerija Centrs は、旧市街の真ん中に1919年創業の商業施設で、その後、名前も建物も変わってきて、いまは近代的なピカピカのショッピングセンターなのですが、階段の部分には昔の雰囲気が残されていました。

対談のなかでも触れられていますが、その場所の歴史を感じさせる空間づくり、ということに私はこだわりたい派。



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商業施設内は撮影禁止のところが多いので、基本、私も撮らないようにしていますし、はっきり禁止と明示されたところでは今後も撮らないでおこうと思っています。

が、写真家の大山さんの言葉を励みに、撮影が可能なところに関してはバシバシ写真に残していこうと思いました。

「写真は10年寝かすと変わる」
「写真というのは本質的に記録のためのものなので、すぐに発表しなくてもいい」
「ばんばん撮ってハードディスクのなかに寝かせておけばいい。10年も経ったら、むしろ「よくぞ撮ってくれた」と褒められるに決まっています」
「法律や価値観はすぐに変わりますからね。価値観の耐用年数より写真の耐用年数のほうが長い」
「撮るのならば真剣に撮るべきです。そこは妥協しちゃダメです。」



旅行中の就寝前に切れ切れに読んだので、付箋をつけたりメモをとったりできていなかったのですが、ものすごくヒントやアイディア(思想、思考)に満ちていて面白かったです。

こういう、わ~~っとしゃべりあう場、それを残すという実践は大切だと思います。

大山氏の写真の話のつづきで、東氏も、こういう対談をデータとしてどんどん残していくこと、リアルタイムで見て(読んで)もらえなくてもそれが大事と言っていますが、たしかにそう思うのでした。



ところで、ショッピングモールといえば。

現本務校では前期に一年生を商業施設に連れて行ってフィールドワークさせてきました。共通の方針やワークシートがあるとはいえ、マーケティングや社会学的調査の専門家でない私にはなかなか悩ましい仕事でした。私なりに勉強や工夫はしてきたのですが、なにしろ写真撮影禁止、インタビュー禁止、バックヤード観察なし、立ち止まっての観察禁止、他所との比較なしという制約があり、、

しかし、本書を読んで、ああ、こういう視点や思考の広がりには共感できる、こういう観察や発想の展開ならできているし、好きだ、と思いました。「いま儲けるためにどんな工夫が必要か」という発想だけでない観察というか。文化史的、社会史的な目というか。

もちろん、東さんや大山さんのような蓄積、学識、発想を大学一年生が持てているわけはないので、このレベルの発見ができるよう指導することは無理ですし、そもそもそういうことを目的とした課題ではなかったので、そう指導するわけにもいかなかったのですが。

しかし、いずれにしても、何かを観察して気づく、発見する、新しいアイディアを生み出そうと思えば、たくさんの比較や知識、教養が不可欠であること、あるいは「いま儲けるために何が必要か」を気づくためには、そのための観察の手法をきちんと学んだうえで行うことが不可欠だということを再確認した次第です。



とはいえ、やはりショッピングモールやショッピングセンターには愛着や愛情はわかないですね。日本でも外国でも。いや、かろうじて、普段よく行くところには、応援したい、潰れないでね、という気持ちは持ててるかな。(^-^;

「郷愁」がわかないんですよね。外国に行って「郷愁」っていうのもおかしいのですが、広い意味での「ノスタルジー」とか、その土地の「匂い」がないわけですから。

これがまた30年くらい経つと、この形態の施設にも、うわぁ~~、懐かしい~~とか感じるのでしょう。いま、社会主義期の団地とか商店の様子を展示してあるところや、当時の雰囲気を再現した店などもちょっとしたブームになっていますしね。日本の雑貨市場などでも人気なくらいですから。

でも30年経ったら、商業の形態自体、ガラッと変わっているかもですね。そのとき、巨大ショッピング施設はどうなっているのでしょうね。





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by chekosan | 2018-09-02 16:32 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)