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by chekosan

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映画「少女ファニーと運命の旅」の原作です。第二次世界大戦中の実話にもとづくお話です。

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ユダヤ人であるファニーの一家は、迫害を逃れようとドイツからフランスへと逃げてきますが、父が逮捕されます。共産党員であるという疑いでした。

フランスも安全ではないと悟った母は、ファニーと妹たちを児童救済機関に託します。

姉妹は3年間、ほかの子どもたちと安全に暮らすのですが、迫害は強まる一方で、子どもたちはフランスを転々とすることになります。

中立国スイスに脱出する途中、引率者が子どもたちを置き去りにして逃げてしまい、ファニーは残された子どもを率いて逃避行を続けます。

さまざまな困難をなんとか乗り越えて、最後には子どもだけでスイスへとたどり着きます。

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原作は、ファニーたちが親と離れる前の状況や、スイスに着いてからのこと、戦後のことも述べられているので、逃避行そのものはわりとあっさり書かれています。

映画は、すでにファニーたちが親と離れて救済施設で暮らしているところから話がスタートし、逃避行に絞った話になっています。逃亡の臨場感は映画の方があると感じました。

映画のパンフレットに掲載されているファニーさん本人のインタビューによると、映画は実際とは違うエピソードが盛り込まれていたり、逆に実際に起こったことで省かれていることがあったりするそうですので、映画がすべて事実というわけではありませんが、原作と映画を合わせると、当時の状況がよりわかりやすくなります。ぜひあわせてどうぞ。

映画の感想はこちら。




by chekosan | 2019-03-15 00:39 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
お出かけをやめた分、お出かけした以上の実を得ようと、「手紙は憶えている」に続いて、映画「検事フリッツ・バウアー」を観ました。

「手紙は憶えている」はフィクションで、復讐、私刑、個人の記憶を扱った後味の悪いお話だったので、2本目は法による裁きを扱った、実話に基づくお話にしました。

フリッツ・バウアー氏は実在した人物で、フランクフルトの検事総長でした。元ナチの高官などを訴追し、アイヒマン逮捕に関わったり、アウシュヴィッツ裁判を率いた人です。

今回もAmazonプライムで無料配信されていました。ありがたや。プライムビデオで見られる映画は、突然見れなくなることがあると聞いたので、どんどん見なくては。


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バウアー氏が登場する、またはアイヒマン裁判を扱った映画は何本か観ました。

顔のないヒトラーたち」(2014年)、「アイヒマンを追え!」(2015年)、「アイヒマン・ショー」(2015年)、「ハンナ・アーレント」(2012年)。

こう見ると制作年がいずれも近いですね。なぜこう似たようなテーマが同じころに集中してつくられたのかしら。なにか分析したものはあるかしらと調べて、ただいま取り寄せ中です。

本作も含め上記の映画では、アイヒマンの居場所を突き止めてイスラエルの諜報機関に情報を流して逮捕を導いたところが印象に残りますが、以下の論文を読んで、彼が主導したアウシュヴィッツ裁判の方が気になってきました。

☞ イルムトゥルード・ヴォヤーク「フリッツ・バウアーと1945年以降のナチ犯罪の克服」 

アウシュヴィッツはポーランドにあり、戦後は東側陣営だったので、そこでの行為をドイツの司法当局が裁くにはさまざまな困難があったのですが、バウアーはポーランドの司法省やアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館との協力関係を構築し、捜査を進めることに成功するのです。

こちらの方ももっと知りたいので、バウアーの評伝を読もうと思います。

この論文ですが、バウアーの経歴や業績、法思想を端的にまとめていて、興味深く読みました。

ドイツの「過去の克服」の論文や書籍はいろいろとありますが、司法の面から論じたものには、ベルンハルト・シュリンクのものがあります。そのシュリンクは小説『朗読者』『逃げてゆく愛』の作者でもあります。

ということで、次は、『朗読者』を原作とする映画「愛を読む人」を観ようかな。この映画には、今回観た「検事フリッツ・バウアー」で若手検事を演じた俳優が、主人公の若い頃を演じていることでもありますし。


ところで、こういう実在の人物を扱う場合、本人に似せるんですね。インテリアも実際のものを再現するようです。バウアーの執務室や自宅、カッコイイんですよね~。

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by chekosan | 2019-02-22 11:50 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
どうもだるさが抜けません。疲れなのか、軽い風邪なのか。外出を控えて、映画「手紙は憶えている」を観ました。劇場公開では見逃した一本ですが、Amazonプライムの無料配信で視聴できました。

90歳、物忘れが激しくなってきた男性が、友人との約束で、かつて自分たちの家族を殺したアウシュヴィッツ強制収容所の元ブロック長を探して復讐するというお話です。

テーマに合わせてマグカップはイディッシュ語のアルファベット柄。これは17年にリトアニアのユダヤ博物館で買ったものです。

以下、ネタバレありです。

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この映画、ポスターや予告映像で「衝撃の結末」と銘打っているので、観る前から半分わかってしまっていた感じでした。初めから見破ってやろうみたいな目で見てしまうので、こういう宣伝文句も考えものですね。

ということで、印象に残った細部について。

写真は主人公のお部屋なのですが、これが実は老人ホームの個室です。一歩出ると、いかにもホームな空間なのですが、各自の個室はこのように自宅のような雰囲気で、とても素敵なんです。面積的にもけっこう広いです。電話も個室にそれぞれ引かれています。

そういうインテリアとか、固定電話や手書きの手紙を使うところは90歳のご老人たちの少しノスタルジックな生活感が演出されていて、ちょっといいなと思いました。

主人公はピアノを弾くので、小さめですがアップライトピアノも置いてあります。ピアノはこの映画では何度か出てきます。だんだん真相がわかってくる小道具として効いています。

妻の死後、主人公はピアノを弾かなくなります。

ところが、復讐の旅の途中、あるところでピアノの音を聞いて、自分も弾かせてもらいます。

そのときに、自分のピアノ教師は3人のMから始まる作曲家がもっとも偉大だと言っていたと言うのですが、その3人は全員ユダヤ系です。

この場面では、ああ懐かしい曲を聴いてピアノを弾くことを取り戻したのだなと思わせるのです。

演奏もこなれたものです。短期的な記憶はかなり怪しくなっても、体が覚えていることは忘れないのだなと思わせるシーンです。

ところが、もう少し話が進んだときに主人公が弾くのはワーグナーなのです。ユダヤ人でアウシュヴィッツで辛くも生き残り、当時のSSに復讐しようとしている人が、ヒトラーが好んだワーグナーを弾く? これはもしや…となっていくのですね~。 


で、それよりも前、中盤の盛り上げるところで、グラスを持つにも手が震えているよぼよぼの主人公が驚きの行動を起こします。それ体が覚えているんじゃないの?と思わせるシーンです。

この話の真相は早くも中盤には提示されているんですね。

わりと伏線がわかりやすく示されているので、終盤にはほぼ真相や結末が見えてしまうのですが、それでもラストは、うーーん、、、後味が悪い。

で、邦題にも使われている「手紙」が、最後にもう一度出てきます。ペンや写真に隠されて全文は読めないのですが、ある人物の告白状となっています。







by chekosan | 2019-02-21 16:17 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
大阪は中之島の国立国際美術館で開催中のクリスチャン・ボルタンスキー展に行ってきました。

ここはいつもチケット売り場の横に企画展の大きな看板が立ちます。絶好の撮影ポイントです。しかしほとんど誰も撮ろうとしない。なぜだろう。


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今回は高2息子と行きました。現代美術で、しかも暗い重い感じの作風なのでどうかなと思いましたが、じっくりたっぷり鑑賞していました。平面のものを見るだけでなく、音、動き、空間全体のつくりを体感する展覧会で、テーマ性があるので、面白かったようです。

客層も、普段の美術展とは若干違っていたような。若い人の割合が他よりも高かったような気がしました。


この展覧会、ほとんどが撮影可でした。作家以外の人の顔写真を使った作品はだめだったのかな?

この作家の作品は、会場に合わせて組み立てるものが多いようで、同じ作品でも会場が違うと違う演出になるようです。ですので、パンフレットや図録の写真とちょっと違っていたりするのも面白いところです。


スタート地点の部屋は撮影不可です。若い頃の作品である「咳をする男」の映像が流れていて、これがまあ不快な映像です(^-^; 音はヘッドフォンで聞けるのですが、3秒くらいでこれはええわと断念しました(笑)


そこから、ボルタンスキー自身の顔写真を投影しているのれん状のカーテンを通って次の空間に進みます。じっと見ていると、幼少のときの顔から60代の顔へと変わっていきます。

坊やの頃のボルタンスキー。
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おじさんになっていくボルタンスキー。

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作家の顔が一巡したところで、次の間へ。

この展覧会、作品の表示がないので、入り口で配られたパンフレットが頼りなのですが、会場が暗くて文字が読めません。電球の下に行って読もうとしたら、実はその電球は作品の一部だったりしました(笑)

なんかこう、そういう、“いまどこにいるのか、何を見ているのか、何を表しているのかがすぐにわからない状態で、暗い迷路を手探りのように進んでいく感“がまた面白いのです。


「保存室(カナダ)」という作品。古着が大量に吊るされています。


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「保存室」で「カナダ」といえば、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で、収容者から取り上げた持ち物を集めて保管していた建物の通称です。

ボルタンスキーはフランス出身です。父はユダヤ人だったため、ドイツの占領中、彼の両親は見せかけの「夫婦喧嘩」をして「離婚」し、父は床下に隠れていたそうです。ボルタンスキー自身はその間に生まれたので、親子は収容所に連れて行かれることはなかったのですが、このような家族の体験や、知人などから聞いたホロコーストの様子が、のちのちまでトラウマになったとのこと。

であるからでしょう、彼の作品には人が存在していたこと、存在しなくなったことを示すものが多いようです。


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奥に矢印のようなものが? と思ったら、コートの周りに電球を配した作品でした。


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コートと電球でしかないのですが、人が「かつていた」ように思わせます。


「アニミタス(白)」と「アニミタス(チリ)」という作品の奥に、「ぼた山」という作品が見える空間。二つの作品の間を通ってもよいし、アニミタスの横を回ることもできます。アニミタスはどちらも映像です。風鈴の音がずっと流れています。


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アニミタス(白)の手前にあるのは、これです。紙を丸めたもの。ここから先通るな、というような線があるわけではないので、近くまで寄っていけます。わざとじゃなくても蹴ったりして動いてしまいそう。絶対的な状態ではない作品。


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アニミタス(チリ)の手前にあるのは、枯れ草に花。

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そして、奥には「ぼた山」と「発言する」から成る空間が。

ぼた山は大量の黒いコートから出来ています。これもまた大量死を想起させます。

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「発言する」のヒトガタとシンクロする息子。


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あとで、このヒトガタは前に立つと、ささやき声で言葉を発するらしいと知り、ガーン! 正面に立ったとき、あら?何か機械がくっついているなあ、細工がありそうだけどなにもないなあ、と思って見ていたのに。声なんて聞こえてこなかったように思う~(´;ω;`)


展示も終盤。死神かと思ったら、死の天使だそう。


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「来世」の部屋はなんだか文化祭のお化け屋敷みたいで(←失礼?)、すごく気に入りました。展示の順番は天使が先なのですが、天使に導かれて来世に行った、みたいなストーリーを脳内に作ってしまいました。

来世の文字はもっとくっきり繁華街のネオンみたいに光っているのですが、私が写るよう息子に撮ってもらったらこんなこと↓になってしまいました。私の来世どないやねんと思わせる怖さですが、かなり気に入ってます。


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到着しちゃいました。

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作品それぞれも思わず見入ってしまうのですが、今回は「会場全体のつくりかた」も一つの作品でした。足を運んで、その空間に身を置いて体感することに大きな価値がある展覧会です。しかも高校生は無料でした。ありがたい!


さて、恒例、展覧会のお楽しみ、ミュージアムグッズですが、そんなにたくさん種類はありませんでした。非クリアファイル2種類と図録を購入。このクリアファイルはかなりかっこいい。ほかにはマグネットやTシャツ、マグカップ、ハガキなど。

関連書籍にかなり惹かれましたが、重くて高額なものが多かったので、あらためて、にしました。


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関連企画である同館のコレクション展も鑑賞しました。こちらは企画展のチケットで入場できます。

近くでランチをしたあと、さらにもう一つ展覧会へ!(つづく)




by chekosan | 2019-02-17 21:35 | 美術 | Trackback | Comments(0)
同志社の「政治学」の授業で、要件かなり緩めなブックレポートを出したところ、ある学生が選んだ一冊。

著者は78年に欧州に渡って以来、長期に渡ってアンネの足跡を辿る取材を重ねてきた。

そのため本書には、現在とは違う収容所跡の雰囲気や受け入れ体制の様子や、当時を知る関係者の生の声など貴重な体験や証言が散りばめられている。そうした証言者自身の体験や言葉の方が興味深かった。

特に「アンネのストーリーはごく一部」だという証言者の言葉は重い。もちろん一人の人物の人生を追うことにも意義があり、矛盾・対立することではないが。

それにしても写真が少なくて残念。記者時代に撮った写真は個人では使えないのかな。アンネが隠れ家に移る前に住んでいた家周辺や、アウシュヴィッツに送られる前にいた収容所なども訪ねているのに、一切写真がない…


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ところで、アンネの父オットー氏も、なぜ日本でここまで『アンネの日記』が人気なのだろうと言っていたそうだが、いまどきの学生もホロコーストといえばアンネが真っ先に浮かぶようだ。

複数の歴史の教科書に載っているのも影響しているのだろう。私の娘時代には既に数種類の関連本が出ていたので、親の影響もあるのかも。

と思っていたら、アンネ・フランク財団のスタッフは、本書の著者に、日本人は戦争の被害者であるという意識があるから被害者の象徴であるアンネに共感するのではないかと問いかけたとあって、なるほどそれもあるかもと。☞文末にそうした趣旨の記事のリンク。

とはいえ、ホロコースト云々関係なく、感受性豊かな少女の日記として共感する読者も多そう。☞こちらもそのような趣旨の記事のリンクを文末に。

実際、別の授業の学生も『アンネの日記』を取り上げて熱く語ってくれたのだが、その学生も、思春期の心理や思索の面、文芸的な面で面白かった、生きていればきっといい作家になったと思うと感想を言っていた。ふむふむ

で、アムステルダムのアンネの隠れ家はなかなかひょいとは行けないし、入場するのに長蛇の列だそうだから、広島県福山市のホロコースト記念館に行けば、実寸大のアンネの部屋と、隠れ家の模型があるよと紹介しておいた。


アンネ・フランクと直接関係はないが、ユダヤ人映画制作者リディア・シャゴールさんの話がたいへん気になった。シャゴールさん一家はオランダ領東インドに逃げるのだが、同地がドイツの同盟国である日本に占領されたため、日本軍収容所に囚われてしまったというのである。彼女の『頭を垂れて』『総統の名の下に』という本を見ることはできないだろうか。


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「戦争被害者として共感?『アンネの日記』日本で人気の理由 イスラエル紙が分析」




後者の論調の記事。

「なぜ、日本人はこれほどまでにアンネ・フランクが好きなのか?
この人気は、ユダヤ教やホロコースト(ユダヤ人の大虐殺)への関心とは無関係だ。
読者の大半を占める若い女性を惹きつけているのは、アンネというひとりの少女の個人的な物語である。日記に豊かに表現された 十代の少女の感性に、アンネとはまったく異なる環境に生きる日本の13~15歳の若者たちから強く共感しているのだ。」







by chekosan | 2019-02-12 00:38 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
そういえば、ちょうど一年前はポーランドに行ってたわ、アウシュヴィッツを見に。なんだかだいぶ前のことのように思えるけど…

ということで、1964年の映画「質屋」を観ました。

一体なにが、「ということで」なのかというと、この映画の主人公は、アウシュヴィッツで生き延びてニューヨークで質屋をしている男性なのです。

この映画のことは、映画評論家、町山智浩さんの著書『トラウマ映画館』で紹介されていて知りました。町山さんが執筆されたときは視聴が困難だったようですが、その後ブルーレイディスクが販売され、私は容易くゲットすることができました。

でも手に入ってしまうと、なかなか観ないんですよね。今日は映画館にある映画を観に行く予定を断念したので、代わりに家で本作を観ることにしました。

以下、ネタバレありです


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ジャケットを見るだけで全体の雰囲気はわかるというものですが、暗いです。というか、救いがないです…

主人公はまったく愛想のない初老のオッチャン。せっかく先生、先生と慕ってくれている店員や、気にかけてくれる人たちもいるのに、とにかくそっけない。というか冷たい。元大学教授なのですが、教養や知性が発現することすら抑え込んでいる様子です。

舞台も貧しくて治安の悪い地区。そこに持ってこられるような質草はなんの値打ちもないものばかりです。オッチャンはいかにも訳ありっぽい人たちにも情けをかけることなく、1ドルとか2ドルとかしか出してあげません。

店は防犯のため、金網だらけで、刑務所のようです。殺伐としています。

といっても、映画だし、そのうちさすがのオッチャンもほだされていくのかなと思ったら、そんな単純じゃないのです。

冷静沈着な主人公は、妻子が強制収容所で殺された日が近づいて、過去の記憶がフラッシュバックして、だんだんと様子がおかしくなります。

そこで、ようやく人間らしい、感情の乱れが現れるのですが、ここでこういう表情や感情を出させるのかと意外に思うシーンもあります。ちょっとずつ予想を裏切ってくれるといいますか。それが、観た人に、ささくれのように引っかかって残っていく感じがするのです。人間をリアルに描いていると思いました。

プエルトリコ系の不良青年たちとの絡みや話の展開は、「ウェストサイドストーリー」を彷彿とさせます。と思ったら、同時代の作品なのですね。音楽もカッコイイです。

◇◇◇

ホロコーストで生き残った人は過去の体験に苦しみ、さらには生き残ったという事実に罪悪感をもちながら生きていかなくてはなりません。その残酷さを描写するだけでなく、繁栄するアメリカの矛盾のふきだまりのような貧民街での閉塞感も絡めて話を展開しているので、二重三重にしんどくて、二重三重の意味で痛みを覚える作品です。

最後は、それだけはや~~め~~てぇぇぇぇ~~~と心の中で叫んで、目を手で覆って、指の隙間からコッソリ観ました。痛いよう… ><

◇◇◇

そういえば、ルメット監督といえば、「十二人の怒れる男たち」も買って持っていました。こちらも近々観るとしましょう。






by chekosan | 2019-02-08 16:16 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
先日のロシア映画「ヒトラーと戦った22日間」に続き、ソビボル絶滅収容所に関する映画を観ました。

今度は、ホロコーストを取り上げた長編映画「ショアー」のランズマン監督による「ソビブル、1943年10月14日午後4時」です。

ランズマン監督は、2018年7月に92歳で亡くなりました。追悼上映会が数か所で開催されましたが、日程が合わず行けませんでした。こうなると、この先、「ショアー」やその他の作品が上映される機会は、そうはなさそうです。

「ショアー」は大昔にビデオテープに録画したものを持っていて全編視聴したのですが、テープでは保存や映写が難しくなりそうです。そのほかの作品は、ばら売りされていません。ということで、資料として確認したり学生に紹介したりすることも考えて、思い切って決定版BOXを購入しました。

日本での初上映時のパンフレットに新しい原稿を足した小冊子付き。

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ランズマン監督の映画は、関係者へのインタビュー記録と、関係する場所の現在(撮影時)の様子から構成されます。「ソビブル」は、「ショアー」の撮影の一環で撮られたものですが、独立した映画としてまとめられました。

「ショアー」同様、「ソビブル」も、通訳を介してのインタビューがそのまま使われているので、やや冗長な感じもします。しかも、「ソビブル」の登場人物は、同収容所からの脱出計画で重要な任務を遂行した男性一人のみで、風景などの映像も少なく、彼のアップが映画の大半を占めます。

当時はまだ未成年だったこの男性、イェフダ・レルネル氏は、収容所を監視するドイツ兵の殺害を実行した一人です。殺害の場面では、やるべきことをやり遂げた喜びを感じたと証言していました。

貴重な当事者の証言ですが、登場するのが一人だけなので、全体像がわかりづらい感じもしました。

逆に、先日観た「ヒトラーと戦った22日間」では、脱出計画のリーダーとなるロシア兵士サーシャ・ペチェルスキー氏に焦点を当てているので、そちらはそちらで実行グループの人数が少なく感じられました。

どちらも、「ショアー」やその他の情報も入れながら観る方が理解しやすいように思います。

映画でも小説でも研究書でも、制作する人のねらいや注目するところが違えば、描き方が変わります。やはり一つの情報源だけではなく、いろいろなもので補っていく必要がありますね。














by chekosan | 2019-02-04 18:52 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
1943年に実際に起った、ソビボル絶滅収容所での反乱を描いたロシア映画「ヒトラーと戦った22日間」を観ました。

ヒトラーそのものはカケラも出てきません。原題「ソビボル」のままの方が内容に合っているのですが、それでは日本でお客が呼べないとの判断でしょうか。まあ「ヒトラー」とつければ、時代やテーマがすぐわかって、多少なりともお客さんが増えるというのはわかるのは確かですが… この邦題では、ちょっとB級っぽく思わせてしまうような…


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ソビボルはナチスドイツによって造られた「絶滅収容所」のひとつで、ポーランド東部にありました。列車で連れてこられた人々(多くはユダヤ人)は、ほぼ全員が到着後、すぐさま収容所奥のガス室で殺されました。

ごく一部の人たちだけが残され、技工(死体の金歯を溶かして加工するとか…)、没収品の仕分け(めぼしいものは将校たちが着服するシーンあり)、肉体労働(収容所の拡張のためか。湿地帯を開墾しているシーンあり)などに従事します。

ところが、戦況が思わしくなくなってきたため、ドイツは各収容所を順に解体していき、収容者たちの「処分」を急ぎ始めます。それを悟った収容者たちの一部が脱走を計画し、全員脱出を実行します。

600人ほどが収容所を脱出しようとするのですが、最終的に戦後まで生き残ったのは47人とか50人といった数でした(47人というのは、映画パンフレット中の芝健介氏の解説文による)。

◇◇◇

本作では、脱出を計画したグループのリーダーとなったサーシャにスポットを当てています。サーシャはロシア系のユダヤ人で軍人です。サーシャ役の俳優が、監督・脚本も手がけた作品です。

ちょっと音楽や映像が美しすぎるような気もしました。ドラマティックすぎるというか。グロテスクなシーンも、汚いシーンも、長すぎるんじゃないかと思う虐待シーンもあるのですが、それでも全体として妙に美的な感じがしました。

出てくる俳優さんたちも、美男美女揃いだし。←これは好みの問題もあるのかもしれませんが。私としては、収容者を演じる俳優は男女とも好みなお顔揃いだったので、少々リアルさが欠ける感じがしました。(^-^;

良かったのは、その人物が使っている言語そのままでしゃべらせているところです。こういうテーマの映画で、全部英語だったりするとすごくがっかりするのですが、この映画はいろんな言葉が飛び交っています。

言葉が違うために同じ収容者という立場であってもお互いに意思疎通ができないとか、いくつかの言葉、特に支配者の言語であるドイツ語をしゃべれる人は重宝されたり窮地をしのげたりする場面があります。出身も言葉も習慣も職業もふるまいもまったく違う人々がユダヤ人とひとくくりにされていたことをうまく表していました。

細部は演出や創作も入っているようですが、収容所の建物などはかなり実際に忠実に造ってあるそうです。反乱後、この収容所は解体、消滅され、いま現地を訪ねても当時の様子はわかりませんから、こういう映像は想像の助けになるかと思います。

◇◇◇

脱出計画・実行グループで最年少(?)のトマス・ブラット氏(愛称トイヴィ、映画では靴磨き少年)による脱出計画のリーダー、サーシャ・ペチェルスキー氏のインタビュー記事があります。1980年のものだそう。ペチェルスキー氏の回想録の記述とトマス少年の記憶とが食い違っている点や、脱出後のペチェルスキー氏の行動に対する説明を求める場面などもあります。

そうした緊迫した場面もさることながら、ペチェルスキー氏がもともとは音楽や舞台を学び、教えていたという経歴に驚きました。映画では、軍人としての経験から脱出作戦のリーダーになったタフガイという描き方なので、その前歴には触れられてないのです(見落とし、聞き落としていなければ)。

戦後、ペチェルスキー氏はソ連に帰還するのですが、捕虜になったことからスパイと疑われて投獄されます。西側に渡った彼を知る人々からの抗議で釈放されるのですが、その後も暮らし向きはよくなかったようです。このインタビューの時点でも、狭い共同住宅で質素に暮らしている様子が記されています。



同サイトには、このほかにもソビボルや他の収容所についての証言や情報が掲載されています。

ソビボルといえば、「SHOAH」のランズマン監督が、生存者にインタビューした記録映画があります。こちらも観ようと思います。







by chekosan | 2019-01-30 13:11 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
ホロコーストの犠牲になった13歳の少女の遺品のスーツケースを、2000年、アウシュヴィッツ博物館から教育用展示品として貸借した日本人女性が、持ち主を特定し、カナダにいた兄を見つけ出したという実話です。

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ホロコースト教育資料センターの代表である石岡史子さん(本書では「ふみ子」)は、遺品を貸し出してくれたアウシュヴィッツ博物館はもとより、イスラエルやアメリカの博物館にも問い合わせて、遺品のかばんの持ち主を探します。

当時は連絡は手紙なので、返事も数週間単位でかかります。やっと届いた手紙には、手がかりなしとの返事が続きました。

ようやくチェコのテレジン収容所からアウシュヴィッツに移送された女の子であることがわかり、石岡さんは出張の寸暇を縫って、テレジン収容所を訪問します。

そうして調査を重ねて、かばんの持ち主ハンナの兄のジョージさんが、やはりテレジン収容所からアウシュヴィッツ収容所へと移送され、生き抜いてカナダに暮らしていることを突き止めます。

ジョージさんは、50年を経て妹の遺品と対面するため日本を訪問し、同センターのボランティアグループの子どもたちと交流します。

のちに、このかばんは、1984年にイギリスでの展示に貸し出した際に火事で焼失し、作り直された複製だったということが判明しますが、ハンナとジョージのきょうだいの体験と、ジョージさんと子どもたちとの交流は児童書となり、映画化されて世界中に知られることとなりました。


かばんが実物であればより良かったのでしょうが、しかし、複製がつくられたことでジョージさんと子どもたちの交流が生まれたともいえるでしょう。

かばんは、2015年にアウシュヴィッツ博物館からホロコースト教育資料センターに寄贈され、各地を巡回しています。

ジョージさんは、2019年1月12日、トロントで90歳で亡くなられました。








by chekosan | 2019-01-13 16:08 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
2018年、攻めの姿勢で猛進しました。ちょっとお出かけ系インプットを詰め込み過ぎて、アウトプットが追い付かなかったことが反省点です。

大きなものでは、2月に大学からの親友とポーランドへ。アウシュヴィッツ博物館を見てきました。アウシュヴィッツ関連は膨大な先行研究があるので、オリジナルな何かを書く予定はしていなかったのですが、同志社、関大、滋賀大、流科大の授業でたくさんの学生たちに話して考えてもらっています。

8月には上の息子とバルト3国へ。たくさん歩いて、たくさん見て、たくさん学んできたのですが、こちらはいまだブログへの記録すらまとめられていません…。しかしバルト3国は今後も勉強したいと思っています。

杉原千畝にゆかりのある土地を訪ねる旅も断続的に続けています。岐阜や横浜(氷川丸)、訪問先では貴重な出会いが得られました。細くても長いおつきあいをさせていただければと思います。

今年は、春休みに名古屋に行く予定です。天候不良や体調不良で何度も行き損ねている敦賀も絶対に行きます。

大学関係でも、手を緩めず、学生たちを外へ連れ出すプロジェクトを進めました。近隣の展覧会、広島、横浜。学生たちの真剣な目、見たもの聞いたことを素直に吸収してくれている様子に非常に心打たれました。やはり若いうちにたくさん経験を積んでほしいと強く思いました。






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2018年の読書メーター
読んだ本の数:124
読んだページ数:30063
ナイス数:3671

2018年の読書記録から、特に印象に残ったものをピックアップします。


みんなの道徳解体新書 (ちくまプリマー新書)みんなの道徳解体新書 (ちくまプリマー新書)感想
中高生向け新書のせいか、マッツァリーノ節はやや抑え気味な気もするが、なかなか刺激的で面白い。モラルが崩壊しているとか日本人に道徳心がなくなったとか若者が凶悪化したとか、巷に溢れる言説がいかに根拠なく発せられているかを資料や論理にもとづき、痛快に、辛辣に批判する。道徳の副読本の「名作」解説の章は吹き出す箇所多数。最終章、道徳教育はどうあるべきかという結論は簡潔で明快。おすすめ。ブログにもう少し詳しく記録。http://chekosan.exblog.jp/27965509/
読了日:01月03日 著者:パオロ マッツァリーノ


否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS)否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS)感想
映画を観てからの原作。本文543ページとたっぷりだが非常に面白い。イギリスの裁判の進め方、被告側の徹底したリサーチなど勉強になった。ホロコーストをめぐる実際にあった裁判の回想録だが、まるで小説のよう。原作の方が裁判での争点をよく理解できるが、映画は映画でイギリスの法廷の様子が絵でわかるので、併せて見ると良いかも。別の人によるあとがきに要確認事項あり。詳しくはブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28024809/
読了日:01月21日 著者:デボラ・E リップシュタット


ええ、政治ですが、それが何か?――自分のアタマで考える政治学入門ええ、政治ですが、それが何か?――自分のアタマで考える政治学入門感想
とても面白かった。政治学の授業では、言葉を尽くして他者と対話せよと学生に言っているので、おおいに賛同。詳細はブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28046989/ ところで「政治学やってますというと、政治家になるんですかと訊かれる」というのは聞く話だけど、私は言われたためしがない。ジェンダーよね。あ、親戚から一回だけ言われたか。あと初対面の人に日本の政治についてどう思いますか!?と聞かれて困惑したことがある。そんな大問題を大雑把に繰り出して返答を迫るのも乱暴な気がする。
読了日:01月27日 著者:岡田憲治


シンドラーズ・リスト―1200人のユダヤ人を救ったドイツ人 (新潮文庫)シンドラーズ・リスト―1200人のユダヤ人を救ったドイツ人 (新潮文庫)感想
アウシュヴィッツ&シンドラーの足跡を訪ねる旅の途中から読んで、ポーランド風邪に伏せっている間にちょっとずつ読んだ。原作には映画には盛り込めなかったエピソードがたっぷり書かれていて、とても面白い。例の「赤い服の少女」、実在の人物だったんだ! 映画の方がわかりやすいところもあり、原作を読んでああそういうことかとわかるところもあり。ということで、映画も原作もおすすめ。詳しくはブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28148158/
読了日:02月13日 著者:トマス・キニーリー


HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)感想
クンデラのように、というかクンデラ以上に、作者が作品中に顔を出し口を出す小説。むしろほぼドキュメンタリー。プラハを治めるSS幹部の暗殺事件について、作者が知ったきっかけから、調べを進めていく過程が盛り込まれている。そこがとても面白い。我々の業界では研究対象への愛をあからさまに文字で示すことは通常できない。小説ならでは。羨ましく思いながら読んだ。映画との比較など詳しくはブログに記録。https://chekosan.exblog.jp/28205007/ 今年の夏はハイドリヒ暗殺関連現場めぐりをしよう。
読了日:03月21日 著者:ローラン・ビネ


ホロコースト 女性6人の語り部ホロコースト 女性6人の語り部感想
ホロコーストの生存者、博物館の責任者、歴史家など、さまざまな形でホロコーストの伝承や研究に関わっている人など、女性6人を取材した本。A5判よりも縦が短く、字も大きくて読みやすい小さな本だけど、ここにも行きたい、こんな本もあるのか読みたい、とたくさんの刺激をもらった。特にドイツのオスナブリュックという街にある、ユダヤ人画家フェリックス・ヌスバウムの絵を集めた美術館に行きたい! 詳しい記録はブログに。https://chekosan.exblog.jp/28277479/

読了日:04月30日 著者:大内田わこ


ガス室に消えた画家 ヌスバウムへの旅 母と子でみる A 40ガス室に消えた画家 ヌスバウムへの旅 母と子でみる A 40感想
同じ著者の『ホロコースト 女性6人の語り部』で、本書の表紙にもなっている自画像を見て強烈に惹かれた。ナチスのユダヤ人迫害で外国を転々とし、密告によって捕らえられて収容所で殺された画家。友人たちに預けた作品が戦後ずいぶん経って親戚の手に移り、故郷オスナブリュックで展覧会が開かれた。それをきっかけに残りの作品の所在も判明し、オスナブリュックに集結。市民が寄付を集めて常設の美術館もできた。ぜひ行って、作品を生で見たい。詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/28304919/
読了日:05月10日 著者:大内田 わこ


石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)感想
うぉ~~っと一気に。何年も前にある先生に教えていただいて購入したものの、戦争戦争した話なので読み進められなかった作品。機が熟したのだろう、今回は一気に読めました。第二次世界大戦中のユーゴの話。ていねいに描かれていて面白かった。こういう緻密につくられた漫画を子らも読めるようになってほしいなぁ。まぁこの作品自体は関心を抱く人は少ないテーマと思うが。感想はまとめてブログに。https://chekosan.exblog.jp/28323051/

読了日:05月19日 著者:坂口 尚

サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)感想
映画を観て原作を読んだ。キツいシーンが続く。小さな子どもが苦しむのを観るのは辛い。この作品がクローズアップするヴェル・ディヴ事件に象徴されるフランスの対独協力、ホロコーストへの積極的関与の事実、それが長くタブーになっていたことにショックを受ける。ドランシー収容所に至っては、いまも集合住宅として使われている。フィクションだが歴史的事実と現在を繋げてくれる作品。詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/28393898/
読了日:06月18日 著者:タチアナ・ド ロネ


綾瀬はるか 「戦争」を聞く (岩波ジュニア新書)綾瀬はるか 「戦争」を聞く (岩波ジュニア新書)感想
毎月「関西ウーマン」に連載させていただいている書評コーナーで2巻同時に取り上げました。夏だけ思い出せばよいということではありませんが、やはり夏は振り返り語り継ぎたい。綾瀬はるかさんの傾聴と寄り添いが貴重な証言を引き出しています。今年は学生たちと広島を訪ねたいと思っています。https://www.kansai-woman.net/Review_s.php?id=201374
読了日:07月08日 著者:
綾瀬はるか 「戦争」を聞く II (岩波ジュニア新書)綾瀬はるか 「戦争」を聞く II (岩波ジュニア新書)感想
戦争終結から70余年が経ち、戦争を経験した人びとが高齢化するなかで、いま伝えておかなくては、あの惨禍が忘れられてしまうという切迫感から、つらい記憶を出して語られました。証言者の方々の「これが最後」「いま残しておかねば」という覚悟と思いが胸に迫る証言集です。「関西ウーマン」信子先生のおすすめの一冊コーナーで1巻と共に取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review_s.php?id=201374
読了日:07月09日 著者:


広島の木に会いにいく広島の木に会いにいく感想
原爆の爆心地から半径2キロ圏内で生き残った被爆樹木と、樹木を調査し、守り、伝える人々をドキュメンタリー映画監督が訪ねる。その場を動けないにもかかわらず熱線や爆風に耐えて生きのびた植物の強さに感銘を受ける。生きているだけに、挿し木をして子孫を残すにも非常に繊細に扱わなくてはいけない。また、木の内部を研究するのは現在の科学ではなかなか難しいとのこと。学生と広島スタディツアーに行くので、ぜひとも一緒に何本か見てきたい。小学高学年から読めるようルビつき。イラストもいい。年齢を問わずおすすめ。
読了日:08月10日 著者:石田 優子


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)感想
文学やノンフィクション作品を通してロシアソ連東欧を知る輪読の授業で読むので再読。もしかして読んでなかったか? NHKのドキュメンタリーで見ただけだったか? 1本目読みだして、あれ? おませな少女の下ネタ満載で、授業で使って大丈夫だったかと苦笑。でももちろんそれで終わりではなくて、社会主義期のプラハの学校に集った4人の少女たちの学校生活を通して、社会情勢、国際情勢を鮮やかに描き出す。授業終えたら学生の反応や感想交えて、詳しく記録しようと思う。とりあえず選んで間違いではなかった。
読了日:09月13日 著者:米原 万里

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)感想
『嘘つきアーニャ』に続いて輪読ゼミで読む本。事実と体験を巧みに盛り込んだフィクション。1960年代にプラハのソビエト学校で出会った女性教師オリガ・モリソヴナたちの謎を、主人公が旧友と共に90年代初頭に解いていくなかで明らかになるスターリン時代の人権抑圧の実態。限られた日数で資料を探し関係者を訪ね歩く過程も非常にリアル。いくつかのどんでん返しもうまい。謎解き小説として読むだけでもスリリングで面白いが、革命からのソ連東欧の激動と悲劇と人々の生き様を感じとれる作品としておすすめ。
読了日:09月28日 著者:米原 万里


暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン感想
中・東欧史、ホロコースト史家で、『ブラック・アース』『ブラッド・ランド』の著者、ティモシー・スナイダー氏が緊急出版した小さな本。強権的、独裁的な政治を支え、助長するのは普通の人々の日常のふるまいや言動であることを歴史の事例からわかりやすい言葉で解説。第一条が「忖度による服従はするな」。いろんなところで紹介していこう。力強くおすすめ。まずは書評連載で取りあげました。https://www.kansai-woman.net/Review_s.php?id=201450
読了日:12月01日 著者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder


なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか ピース・コミュニケーションという試み (光文社新書)なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか ピース・コミュニケーションという試み (光文社新書)感想
大変興味深かった。著者はメディアやコミュニケーションのプロ。戦争や平和に関する情報の伝わりかた、受け止めかた、伝え方について知り、考えるのに良い一冊。事例と理論の割合もよく、読みやすい。平和教育のあり方を考えるのにも参考になる。先日読んだティモシー・スナイダー『暴政』と併せておすすめしたい。
読了日:12月12日 著者:伊藤 剛


【改訂完全版】アウシュヴィッツは終わらない これが人間か (朝日選書)【改訂完全版】アウシュヴィッツは終わらない これが人間か (朝日選書)感想
輪読ゼミで改訂版を再読。二回目なので衝撃は減ったが、別のところで発見などあり。読んできた学生たちもそれぞれ深く受け止めて、言葉を絞り出して、過去を知ることを今に結びつけて考えようとしてくれていた。アウシュヴィッツの体験ものは他にもあるが、そのなかでも良いと思う。特に若い人たちに向けた質疑応答の部分は強くおすすめ。
読了日:12月20日 著者:プリーモ・レーヴィ



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by chekosan | 2019-01-02 13:52 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)