中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan
なかなか強烈な本が多かった12月。いつものことか(^^;  
前半読めていないのはなぜだろうと思ったが、論文を書いていたのだった。仕方ないか。
その反動で後半はまあまあなペースだった。

12月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3182
ナイス数:404

アフガン帰還兵の証言―封印された真実アフガン帰還兵の証言―封印された真実感想
戦争や紛争や侵略は、人をここまで野蛮で残虐で下品な行為に走らせるような状況をつくるのかと衝撃を受け続ける一冊。こうした生の証言集を1冊でも読んだら、若者を戦地に送るなどあり得ないことだとわかると思うのだが。詳細はブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/27823664/  アレクシェーヴィッチがノーベル文学賞を取って、ほかの作品は岩波が次々刊行してくれたが、この本は絶版のまま。復刊求ム。
詳しい記録はこちら。http://chekosan.exblog.jp/27823664/
読了日:12月01日 著者:スヴェトラーナ アレクシエーヴィッチ


哲学する子どもたち: バカロレアの国フランスの教育事情哲学する子どもたち: バカロレアの国フランスの教育事情感想
授業でブックレポートを課したところ、ある学生が取り上げ、その発表を聞いた学生たちが強い関心を示した本。私もそれを機に積読から一気読みした。フランスで子育てをしている日本人女性が実体験にもとづいてフランスの教育事情を紹介。なんでもかんでもほめそやしているわけではないが、論理的思考を養うことに関してはフランスをおおいに見習いたい。試験問題の例も載っているが、この問題で自分の学生たちに高評価を取らせるだけの指導はできていない… それどころか私も取れるか心もとない。感嘆すること大。
読了日:12月02日 著者:中島 さおり


仲間と読み深める読書会のすすめ仲間と読み深める読書会のすすめ感想
再読。前回読んで感銘を受けたあと、自分でも輪読の授業を担当するようになったり、同僚の先生が学生との任意の読書会を立ち上げられたりして、最近また人と本を読むことについて考えている。月イチ書評連載で取り上げた。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201252
読了日:12月03日 著者:深川 賢郎



ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力 (文春新書)ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力 (文春新書)感想
たいへん不快で醜悪な実態に、読んでいて単なる慣用表現ではなく本当に胸がおかしくなった。著者が何度も繰り返すように、このような暴言を「安全圏」にいるマジョリティがマイノリティにぶつけるのは暴力そのもの。根拠、筋、品性、想像力の欠如に愕然とする。法規制や啓発の効果が現れることを願うが、「とにかく、“異なる他者”を差別することでしか、自我を保つことができない」人々の問題はどうすれば克服できるだろうか。
読了日:12月12日 著者:安田 浩一


世間を渡る読書術 (ちくま文庫)世間を渡る読書術 (ちくま文庫)感想
相変わらず面白い。クリティカルシンキングをさらっと扱った授業で著者の代表作『反社会学講座』も紹介したのだが、この本も案内しよう。紹介している本の分野も多彩だし、コントみたいな書評部分にクリシンのエッセンスが入ってるし。私もいろいろ読みたくなった。文庫はオマケも入っててお得。ところで登場する主婦やフリーライターがえらくステレオタイプだけど、女性雑誌VERYに連載してたからか。あえて戯画化して弄ってる…のよね?
読了日:12月16日 著者:パオロ マッツァリーノ


好奇心を“天職"に変える空想教室好奇心を“天職"に変える空想教室感想
青少年とその周囲の大人に向けて、夢や好きなことを「どうせ無理」とあきらめずにやってみようという主旨の本。夢の実現のために、著者は、本を読んで調べて知っている人に尋ねて追究する。夢想だけじゃあないんだよね。その部分が重要なのだが、かみ砕いて書かれ過ぎていて都合よくすっ飛ばされそう? 教育は「死に至らないよう、失敗を安全に経験させるためのもの」という言葉も肝に銘じたい。目先の「成功」や短期的な「成長」を数値で求められると浅薄な教育や指導に陥る恐れがある。と、良い言葉が満載だがちょっと物足りない感もあり。
読了日:12月17日 著者:植松 努


アンネ・フランクアンネ・フランク感想
子の誕生日に祖母(私の母)が贈った本を先に読んだ。早乙女さんが今またアンネ・フランクを?と思ったら、絶版となった80年代に発行された2冊『母と子でみる アンネ・フランク 隠れ家を守った人たち』『アウシュビッツと私』を収録したものだった。著者があとがきで書いているが、刊行時よりも掲載写真がかなり減ったそうで残念。母と子でみるシリーズは写真の豊富さが魅力なので。それでもアンネの方はわかりやすい。2本目の収録作品は、時期的な点で限界を感じる箇所もあるし、歴史を追った部分は児童生徒にはやや難しいかもしれない。
読了日:12月18日 著者:早乙女 勝元


悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)感想
【再読】輪読ゼミでクリストフの自伝『文盲』を読んだところ、作品も読みたいという声が上がり、取り上げることに。そして、先が気になる、もう買ったという声が上がり、年明けに第2作も読むことに。中毒性がありますな、クリストフには。しかし、2回目は1回目ほどの衝撃はなかったが、忘れてた強烈エピソードもあって、これ授業でみんなで読んでよかったのか?!と思ったりも😅 ま、大学生だからいいか! いやはや何にしてもやはり面白い作品。
読了日:12月21日 著者:アゴタ クリストフ


異才、発見!――枠を飛び出す子どもたち (岩波新書)異才、発見!――枠を飛び出す子どもたち (岩波新書)感想
特異な才能を生かしてやりたいことを追究するという志のある不登校の子どもたちに東大と日本財団がチャレンジの場を提供するプロジェクトのルポ。特異な才能、子どもたちがやりたいこと、書類選考のポイント、プロジェクトの開催頻度などの前提や定義が明確でない。子どもたちが企画して実現させた活動もあまり出てこない。主催側が提供したプログラムを楽しむだけのプロジェクトではないはず。著者の子育て体験も、このプロジェクトも、もっと濃く丁寧に記述すれば素材的、内容的には面白いはず。本としての構成や記述の緻密さに難ありなのが残念。
読了日:12月23日 著者:伊藤 史織


増補 書店不屈宣言: わたしたちはへこたれない (ちくま文庫 た 53-2)増補 書店不屈宣言: わたしたちはへこたれない (ちくま文庫 た 53-2)感想
前半のセゾン文化最盛期をつくった伝説的な人々の話や、現在の大型書店の現場責任者の生の声が興味深かった。担当部門の書籍や学界、一般読者の動向にこれだけ詳しい店員さんがいて、専門書がたっぷり揃っている書店、いいなあ。後半はアマゾンや電子書籍への警戒と反発が続く。そこに「学問・マニアの人」もアマゾンに奪われているとあるが、大学関係者は大学生協か大学に出入りする業者さんを使っているんじゃないかな。確かに私も急ぐときや中古はアマゾンを使うが。とはいえリアル書店も残ってほしい。矛盾してて申し訳ないが。。。
読了日:12月24日 著者:田口 久美子


イレーナ・センドラー―ホロコーストの子ども達の母イレーナ・センドラー―ホロコーストの子ども達の母感想
センドラーは第2次世界大戦中にワルシャワでユダヤ人の子どもたち2500人を密かに救出した人物。本書は小学校中学年くらいから読めるよう文字が大きく分量は少ないが、記述のバランスが良く説明も簡潔かつ丁寧。ドイツ侵攻以前にもユダヤ人差別があったことにも触れている。センドラーが広く知られるようになったきっかけがアメリカの高校生たちの歴史研究発表だったことも興味深い。日本でセンドラーを単独で取り上げた本はほぼない?ので貴重。汐文社は平和に関する本に力を入れているらしくラインナップが面白い。いろいろ読んでみよう。
読了日:12月26日 著者:平井 美帆


ペインティッド・バード (東欧の想像力)ペインティッド・バード (東欧の想像力)感想
輪読ゼミ受講生のおすすめ。クリストフ『悪童日記』もたいがいだと思っていたが、8倍くらい酷いシーンが続く。第二次世界大戦中、親と離れて農村に疎開した少年が保護者を失い、その見た目ゆえ差別と虐待を受けながら居場所を転々とするなかで体験する過酷極まりない日々。ポーランドあたりが舞台。痛すぎる、怖すぎる、気持ち悪すぎる。胸が悪くなる。これこそ映像化できないよなあ。他の文学作品や手記などにもこういう残忍な行為はよく出てくる。人間はどこまで残酷になれるのか。赤軍が部隊の図書館を持っていたのが興味深かった。
読了日:12月27日 著者:イェジー コシンスキ


冒険登山のすすめ: 最低限の装備で自然を楽しむ (ちくまプリマー新書 264)冒険登山のすすめ: 最低限の装備で自然を楽しむ (ちくまプリマー新書 264)感想
整備され「公園」と化した登山ルートを便利なグッズ満載で歩くのではなく、地図を読み、山への、自然への畏怖を忘れず、五感を研ぎ澄ませて、自力で、自由な登山を試みようという本。最近、1~2世代前の時代の本を読むことが多いのだが、その頃は当たり前だった、天候や地形、植物を知り、火を使いこなす生活から、私たちの世代は急激に遠ざかっていることに危惧を覚えるようになったからか、私は超インドア派だが一気に読んだ。親しみやすい文章とイラストだが、後半はかなり高度な技も紹介。読めばイグルー(雪で作る住居)に泊まりたくなる!
読了日:12月31日 著者:米山 悟

読書メーター

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# by chekosan | 2018-01-01 00:26 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
2017年はなんだかちっともコンサートに行けませんでした…orz
息子たちの舞台も減って寂しい限り。
2018年はせめて平均月一回くらいは行きたいなあ…


1/8 びわ湖ホール四大テノール 新春コンサート@びわ湖ホール
4/29 びわ湖ホール3/4大テノール ラ・フォル・ジュルネびわ湖2017@びわ湖ホール
4/30 ウラル・フィルハーモニー ラ・フォル・ジュルネびわ湖2017@びわ湖ホール
5/20 「フォーレとケクラン」@京都文化博物館別館ホール
7/22 「フィガロの結婚」佐渡裕プロデュースオペラ2017@兵庫県立芸術文化センター
9/28 レ・フレール キャトル座@新歌舞伎座
11/4 イツァーク・パールマン ヴァイオリン・リサイタル@ザ・シンフォニーホール
11/24 Borders 酒井健治個展 アンサンブル九条山コンサート@京都府民ホールアルティ

足を運んだコンサート、映画、展覧会は、
チラシを入手してチケットともにファイリングしています。

ときどきチラシが手に入らないことがありますが、
そういうときはチケットだけでもファイルするようにしています。

小学3年生くらいから残しているので、もう何冊にもなっています。
たまにめくって確認することもあります。とてもいい記録になっています。



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# by chekosan | 2017-12-31 20:17 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
メリル・ストリープ主演の「ソフィーの選択」を観ました。
1982年ということは、35年前の映画なんですね! 

名前は知っていても中身を知らない名画のひとつでしたが、
町山智浩さんの『映画と本の意外な関係!』で、
ホロコーストを題材にしたものと知り、ディスクを入手していました。

町山さんの同書で思いっきり設定やストーリーがネタバレってたので、
ソフィーが何を選択したのかという核心部分や結末に対する衝撃はなかったのですが(笑)、
それでも151分、作品の世界に入り込みながら観ました。

なにしろ主演メリル・ストリープの演技が素晴らしいし、
端々に出てくる、重要なメタファーとなっている詩の一節や音楽が効いていて、
とてもていねいに、密度濃くつくられた映画だと思いました。




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ソフィーが初めて登場するのは、恋人と「別れる」「行かないで」なケンカを繰り広げるシーンで、
言葉もたどたどしく、DVな恋人に依存する、あまり賢くない女性なのかと思わせます。

ところが、実際は、ポーランドの名門大学教授の娘で、
5か国語を話す教養のあるインテリ女性だということがわかっていきます。

ソフィーの恋人のユダヤ人男性ネイサンも教養がありピアノを弾く才人に見えます。
ただし、かなりいっちゃってるところのある、危ない人物でもあります。

この2人は、南部の農場出身で作家を志して都会に出てきた青年スティンゴを魅了します。

ネイサンは陽気で才気あふれるところを見せるかと思えば、
異常な嫉妬でソフィーやスティンゴを責めたて、差別的な発言をぶつけます。

ソフィーに対しては、なぜお前だけ助かったのか、淫売め的な言葉を吐きますし、
スティンゴには、黒人をリンチする南部野郎といった暴言を吐きます。

参考資料を探して読んでいたところ、
2人への暴言には原作者の問題意識がからんでいることがわかりました。

原作者スタイロンは、『ソフィーの選択』以前に奴隷制を扱った作品も書いていて、
そうした「閉ざされた社会」の問題をえぐり出すことを大きなテーマにしていたのですね。

(参考:河合寿雄「アウシュヴィッツ理解の試み-ウィリアム・スタイロンの『ソフィの選択』論
 『アメリカ研究』 1982(16)) 

◇◇◇

とはいえ、ご機嫌なときのネイサンは、スティンゴの可能性を買い、
大きな期待を寄せる、庇護者のような役割を果たします。

ところが、インターネット上の感想をいくつか見ていると、
ある印象的なシーンを取り上げて、まったく違う解釈をされているサイトがありました。

それはちょっと穿ち過ぎ、思い込みなのではと思う文章なのですが、
学生が見つけたら、うっかり「深い見方をしている!」と参考にしてしまいそう。

◇◇◇

さて、ソフィーの過去が少しずつわかっていくところで、
ソフィーの出身地クラクフの大学では、ナチス侵攻以前にユダヤ人差別があり、
ユダヤ人とポーランド人の座席を分けたという話が出てきます。

このことは、つい先日に読んだ
『イレーナ・センドラー』(平井美帆 汐文社 2008年)にも出てきました。

ただし、イレーナ・センドラーは、そうした差別に反発して、
ポーランド人にもかかわらず、わざとユダヤ人席に座って、停学処分を受けるのですが。
(なおセンドラーはその後も抵抗地下組織の一員として多くのユダヤの子どもたちを救出します。)

「ソフィーの選択」はフィクションではありますが、
こうしたエピソードが盛り込まれていることで現実味を感じられました。

◇◇◇

それにしても、メリル・ストリープの言葉の操り方はすごいですね。
まだ流暢でない移民ポーランド人としての英語、
ポーランド語、ドイツ語を話すシーンが出てくるのですが、とても自然に聞こえました。

◇◇◇

いろいろと気になる(興味を惹かれる)ところの多い映画でしたので、
ちょっと他にも参考資料を読んでみようと思います!

続く(かも)。







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# by chekosan | 2017-12-28 18:53 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
同志社大学法学部の「特殊講義 文学作品で知るロシア・東欧」は、
一回の授業で一作品を読むというスタイルを採っています。

毎週一作品を15週、読み続けるのはかなり大変なので、
先日は、各自が好きな作品を紹介する回を設けました。

トルストイ『イワン・イリイチの死』、ゴーゴリの『』、
アルセーニイ・タルコフスキーの詩集『白い、白い日』(映画監督のタルコフスキーの父)

など、科目名には載せながら読めていなかったロシアものや、

キェシェロフスキ監督の「デカローグ」のノベライズ版、
そして、コシンスキ『ペインティッド・バード

といったポーランド出身者による作品が紹介されました。

『ペインティッド・バード』は紹介してくれた学生によると、
『走れ、走って逃げろ』(映画「ふたつの名前を持つ少年」)と主人公の境遇が似ているが、
もっと酷い話で、でもとても好きな作品だというので、さっそく入手して読んでみました。



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なるほど、これは酷い。

思わず息をのむ、あるいはひいいいぃと声を上げたくなるようなシーンのオンパレードです。

第二次世界大戦中、田舎に疎開した主人公は、混乱のなかで親と連絡が取れなくなります。
浅黒い肌、黒髪、黒い目のため、災いをもたらすユダヤ人か「ジプシー」のみなしごと思われ、
行く先々で虐待を受け、農村を転々とします。

彼自身が被ったり目撃したりする農民や兵士たちの残忍な行為は、
殴る蹴る撃つ焼く系の暴力も、性的な暴力も、あまりに過激すぎて嘘っぽく思えてきますが、
他の作品、例えばアレクシェーヴィッチの一連の作品や、クリストフの『悪童日記』、
あるいは戦争体験者の手記や自伝などにも、似たような場面がたくさん出てきます。

あとがきで作者自身が書いているように、この作品自体はフィクションですが、
決して創造の産物ではなく、当時こうした行為が頻繁に起こっていたのは事実のようです。

この作品は、賞賛とともに激しい批判も巻き起こし、
作者は故郷をことさらに悪く描いたと脅迫も受けたそうですが、

それでもかつての友人は、
「自分たちや家族の多くが戦争中にくぐりぬけた経験に比べれば、牧歌的な小説である」
という手紙を送ってきたとか。

厳しい自然環境、蔓延する伝染病、戦争による人心の荒廃という背景が
残虐性や性的な倒錯を強め、頻発させたのは違いないでしょう。

しかし、時代は変わった、今はもうこんな野蛮なことは起こっていない、
と言えないのが恐ろしいところです。

いやそれにしてもこわい。強烈でした。
悪夢を見るかもしれないので、繊細な人にはおすすめしません。

そうそう、一つ興味をひかれた箇所がありました。
赤軍の部隊に図書館があって、主人公がそこで読み書きを教えてもらうところです。
本を運んで勉強したり読書したりできるようにしていたのですね。

同じ頃、アメリカ軍も本国から大量の本を受け取っていたとか。
戦地でも、いや戦地だからこそ本が求められたのですね。
他の国はどうなんでしょう。気になるところです。



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# by chekosan | 2017-12-27 23:18 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
先週、年内最後の同志社の輪読ゼミで、
アゴタ・クリストフの『悪童日記』を読みました。

かなり強烈な場面満載なので、授業ではどうかなと思ったのですが、
すでに読んだことのある学生もいたこと、
受講生のこれまでの読書や映画鑑賞の経験が非常に豊富なことから、
まあトラウマになることもなかろうと判断しました。😅

DVDも買ってあったのですが、機器や時間の問題で見れず。
冬休みに入ったことだし、居ずまいを正して、いざ視聴。

以下、原作と映画のネタバレあります。


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まず、映像ならではの利点としては、
自然環境、農家の敷地の広がり、当時のお風呂など、
現代日本の我々には想像し難いところが補えたこと。
原作と若干設定が違うように思いますが、雰囲気はよくわかりました。

残念なのは、、、
なによりも、原作を世界的に有名にならしめたと思われる、
えげつないシーンが根こそぎなかったこと。

あの作品のエログロさは時代と戦争が生んだ産物なので、
さらっとスルーしてしまうわけにはいかないと思うのです。

また、双子とおばあちゃんが、
虐げられた人々に共感を抱いたエピソードは
もっとも大事な場面の一つなので、
そこは抜かずに入れて欲しかった!

そのあたりを省いてダイジェストにしてあるため、
第2作を読まずにいられなくなる謎の要素や、
双子が日々を書き留めたノートの重要性も
感じ取れなくなってしまっていました。

と、原作におおいなる衝撃を受けた者としては、
ちょっと不満が残りましたが、
暗くて(暗すぎて何やってるか全然わからないシーンも多いけど)
重くて、陰鬱で、風景や情景が魅力的で、
好きなタイプの映画ではありました。











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# by chekosan | 2017-12-26 18:59 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
ユーゴスラヴィアはサラエヴォ出身のエミール・クストリツァ監督が、
脚本と主演も務めた映画を観てきました。

内戦が続くセルビアらしき国の山奥の村が舞台です。
豚やガチョウ、ヤギを飼い、羊を追って生活しているような村が
戦争の最前線なのです。

主人公はその前線から少し離れた家に
ミルクを調達しに通う仕事をしています。

ロバにまたがり、肩にハヤブサを乗せ、
銃弾が飛び交う中を飄々と進む主人公は、
事情を知らない人からは「頭がイカレている」と思われていますが、
実は意外な経歴の持ち主で、過酷な経験をしています。

パッと見、風采の上がらない中年男性なのですが、
なぜか絶世の美女たちにモテます。

で、主人公とその内の一人の美女が恋に落ちるわけです。
ある事情で命を狙われている美女と主人公は
追っ手から逃げる、、という筋書き。

「3つの実話とたくさんの寓話にもとづくお話」とあるように、
えええ〜⁉︎ なぶっ飛びシーンや、
コミカルだけどとんでもなくブラックなシーン、
かわいくて賢い動物たちの活躍もあれば、
音楽で戦争を風刺するシーンもあり、
シリアスに直截的に戦争の惨さを表すシーンもあります。
いろんな要素が詰まりに詰まっている映画です。

イチオシは動物たち。すべて本物を使っているとか。
すごいです。役者です。

そして、美女2人。2人とも黒い髪で肉感的な美女。
ヒロインはそこそこ年齢いってるかなと思って見てましたが、
1964年生まれとわかり、びっくり‼️
いつもながら外国の俳優の年齢はまったく読めない(笑)

そのヒロインが、イタリアの女性で、
セルビア語は一年習っただけという設定なので、
セリフが短くてシンプル。
おかげで他のスラブ語から類推できて嬉しかったです。

楽しくて、ちょっと泣けて、印象に残る映画でした。
パンフレットが品切れで入手できなかったのが残念です!


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# by chekosan | 2017-12-22 23:02 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
久しぶりに映画を観に行くことができました。
歴史、政治、司法について考える素材になる映画です。

ホロコースト否定論をめぐる裁判を題材にした実話に基づく映画「否定と肯定」です。

アメリカのホロコースト研究者リップシュタットに著書で名誉を毀損されたと、
イギリスの歴史学者アーヴィングがイギリスで裁判を起こします。

アーヴィングはヒトラー崇拝者の男性(初老に見えるが愛娘はまだ少女)で、
かつ女性差別発言を頻発する人物です。
リップシュタットはまだ若いユダヤ人の女性。彼の格好の標的なのです。

イギリスでは、名誉棄損で訴えられた被告の側に立証責任が生じます。
そのため、リップシュタット側は裁判のなかで、
彼女の著述は名誉毀損ではなく、
アーヴィングの著書の記述や発言こそが虚偽であり、
歴史の改竄であると証明していきます。

◇◇◇

ホロコースト否定論者の論法は、映画では、次の言葉に象徴されます。
'No holes, No Holocaust'
アウシュヴィッツ強制収容所で多くの人々を殺害したガス室の屋根の残骸に、
毒ガスの元となる殺虫剤を入れるための投入口(holes)が見つからない、
よって、毒ガスで殺害したという事実はない、というものです。

つまり、ごく一部の点に関しての物証が見当たらなければ、
問題となっている事案のすべてを否定する、という論法です。

※この件は裁判で反証されます。リップシュタットのHPに簡潔な論証があります。





事実と意見を分けて読みとりなさい(書き分けなさい)、
ただし、事実は正しく収集されたものか、
意見は正当な事実を根拠にしているか、
意見は真っ当かをよく見極めなくてはいけない、
そのうえで意見を構築しなさい、

と、ここ何回かの授業で話したところです。
この映画は、それを考えるうえで絶好の素材だと思いました。
授業でも紹介したいと思います。

◇◇◇

ところで、パンフレットのなかで、憲法学者の木村草太さんは、
荒唐無稽な議論を吹っ掛けたり吹聴したりする人たちによる
「非生産的な活動」への情熱の背景には差別感情があると分析されています。

では、そのような差別への熱意はどこから湧いてくるのでしょうか。
何に起因するのでしょう。
そうした主張には妬みや脅威が絡んでいることからすると、
満たされないものを満たそうとしているのでしょうか。
歪んだ承認欲求なのでしょうか。

他者を排除したり攻撃したりする暇とエネルギーを、
もっと生産的、建設的、創造的なことに向けようと思える状況をつくり、
そのような発想ができるような人を育てなくてはと思います。


映画は、細部の論証部分には深く立ち入らないので、
ぜひとも原作をていねいに読もうと思います。



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# by chekosan | 2017-12-19 23:34 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
神戸新聞ブッククラブとのコラボフェア図書館総合展での成果発表
学園祭展示ビブリオバトル開催学生チャレンジプロジェクト最優秀賞
学生書評コンテストでの入賞続出、、、

と今年度も目に見える成果をたくさん出した「文章表現Ⅱ」の受講生、元受講生。

前々から、こういう本に関わる活動をもっと続けたい、仲間を増やしたい、
定例で集まって活動したい、、、などなどの希望はありました。

それなら自分たちでサークルでもなんでも作りなさい、と焚き付けていたのですが、
なかなか踏み出せなかった学生たち。

学生チャレンジプロジェクトの発表が予想以上に高い評価を得て、
ぜひサークル化して活動を継続、拡大しなさいとの
大学からの強い期待と「押し」をいただき、とうとう組織化へと動き出しました。

並行して、図書館との協働も進めています。

12月16日には、大学の地域向けクリスマス行事で、
図書館としては初の企画である「絵本朗読会」を開催。

多くのご家族連れに来ていただき、たいへん喜んでいただけました。

学生たちの思い入れのある絵本を中心に読み聞かせをしたのですが、

一人のお母さんから、
「気になっていたシリーズで、読んでもらって面白かったので買おうと思います」
との感想をいただいたそう。

お子さんたちからお礼を言ってもらい、ときにはツッコミ?ももらい、
とてもやりがいのある、楽しく勉強になったとのことです。




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そして、学生たちから出ていた「棚づくりに関わりたい」という希望も実現しました。
テレビ番組の「読書芸人」というコーナーで紹介された本を特集するコーナーです。

図書館に入ると目に飛び込んでくるブックツリーの真正面。
案内ポスターや入り口のパネルにも、
「文章表現Ⅱ」受講生との企画であると記していただいています。

今のところ、ほとんどが「文章表現Ⅱ」OBOGですが、
もちろん、科目の枠を超えて仲間を募っていきます。

学生主体の活動に移行するためのバックアップをしていきたいと思います。



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# by chekosan | 2017-12-17 15:35 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)

「信子先生のおすすめの一冊」@関西ウーマン、12月分が公開されました。


今月のおすすめの一冊は、広島で20年!続いている読書会の記録です(刊行は10年経過時点)。
縛りのない、地域での読書会が、そんなにも続いているなんてすごいことですよね。
会の進め方、本の読み方、とても勉強になる本です。

私の場合は、以前から、学生におすすめの本を紹介したり、
逆に学生からおすすめの本を教えてもらったりしてきました。

それによって思いがけないジャンルの本との出会いを得たり、
気になりながら放置していた本を、学生が取り上げたからには、
と一気読みすることもよくあります。



ここ数年は、読書記録をSNSやブログで残すようになりました。
それをきっかけにお友達になった方が何人もいます。

そうした方とは、ほかの点でも共通の趣味や好みがある場合も多く、
本以外のお話しも弾みます。


でも、やはり直に会ってあれこれ話すのは、より楽しいですよね。


そこで、昨年から同じ本をみんなで読む授業を開講しました。

これは本当に楽しい。


私が「教える」というのではなく、ほんとにみんなであれこれしゃべるだけ。

そういう授業が成り立つには、
それだけの素地と意欲のある学生が登録してくる必要があるのですが、
昨年も今年も、そのような学生たちと出会えています。
そうした場をもてることに感謝しています。





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# by chekosan | 2017-12-09 15:39 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)

今年も図書館主催の書評コンテストに、担当科目「文章表現Ⅱ」
(桑原桃音先生と2人で担当、1年生前期の授業)の受講生たちが続々入賞しました☆ 

入賞者11人中7人です。おめでとう~!


入賞されたみなさん☆

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ちなみにこのコンテストは、名前や所属を伏せて審査されます。
私たちも提出したあとは完全にノータッチ。
毎年、何人選ばれるか、誰が入賞するのかまったく読めません。

一昨年は10人中6人、昨年は10人中8人を「文章表現Ⅱ」の受講生が占めました。

今年、私が直接指導した学生からは、優秀賞に2人、佳作に2人、選ばれました。

彼らに共通しているのは、やはり読書あるいは文化的なことに関心があるということ。
そして、なにより素直に助言を聴く姿勢であることです。



優秀賞に選ばれた学生の一人は私の1年ゼミクラス所属でもあります。
文化的なことに関心が高い真面目な学生君です。

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横浜にも一緒に行った「文章表現Ⅱ」の課外活動有志チームからも
2人、入賞しました。


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上回生の入賞者のなかにはかつての受講生が。それも嬉しいです。
今年の1年生も、ぜひ学年が上がっても応募してほしいです。


ところで、このコンテストの表彰式、指導した教員も呼んでもらえるんですが、
私も桑原先生も、3年とも出校日の関係で出席できていません。
晴れ姿、直接見たいよう。。。(T . T)



詳しくは大学HPをどうぞ。





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# by chekosan | 2017-12-08 22:51 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)