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中・東欧、ロシア、大学教育、美術展、映画鑑賞などなど


by chekosan

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ホロコーストものでよく名前の挙がる映画「ライフ・イズ・ビューティフル」が、AmazonプライムのGW特価100円だったので鑑賞しました。

「泣ける」「名作」という評価も見れば、否定的評価も目にしていたので、一度は見ておかねばと思っていたのです。

といっても、映画はあまり先に情報を入れずに観るようにしているので、強制収容所に連れていかれた父と子の話で、息子を不安がらせないために、父が作り話をするということしか知りませんでした。

再生し始めて、あれ? 再生する作品を間違えたのかと思いました。


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by chekosan | 2019-04-30 22:32 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
今年の4月26日でチェルノブイリ原発事故から33年が経ちました。

ここ数年、ダークツーリズムに関心を持つようになって、チェルノブイリも一般人が観光で行けるようになっていると知ってからは、近い将来、訪ねることも視野に入れるようになりました。

この本は28年目のウクライナの取り組みを取材してまとめたものです。薄いブックレットですが、参考になる情報がたくさん載っています。

これを読みながら、先日大阪で開催されたトークイベントでのお話を思い出していました。

何が原因なのかわからない体調不良、真っ暗なトンネルを手探りで歩いているような少女時代。19歳で病名がわかって「嬉しかった」と言うマリアさん。手術を受けて生まれ変わったと繰り返されていました。


1986年に起きたチェルノブイリ事故によって母胎内で被爆したマリア。今年で33歳を迎える彼女は19歳の時に慢性甲状腺炎(橋本病)と診断されるまで精神疾患と誤診され続け、24歳の時に甲状腺を全摘出する手術を行いました。指の震え、髪が抜け落ちる、爪が剥がれる。首の腫れ、眼球の突出。幼い頃から様々な症状を抱える中で、幼いマリアは親の期待に応えられなかったことが何よりも辛かったと語ります。さらに、手術後は自身の障害が見えないものであるが故に、他者からそれを理解してもらえないことに苦しみ続けました。首の手術跡は消え、表面的には何も障害を抱えないマリア。そんな彼女は、1日、10〜20錠の薬を飲み、体と心の調子を整えなければいけません。現在は、夫のサーシャとともに支え合い、また画家としての道を歩み始めました。




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by chekosan | 2019-04-30 15:42 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
旧東ドイツの巨大スーパーマーケットを舞台にした映画「希望の灯り」を観てきました。

主人公はほとんどセリフを口にしない無口な青年。なんだか顔色が悪くて表情も乏しくて、大丈夫かいな、そんなんでスーパーで働けるの?と思わせる始まりです。

夜間の在庫管理担当で、お客さんとそんなに頻繁にやりとりするわけではないようですが、それにしてもしゃべらないなあ~。

でも礼儀知らずというわけではなく、最低限の会釈や返事はするし、休憩ばかりしているベテランのおじさんたちよりも真面目そう?(^_^;)

周りの従業員も、仕事やサボり方を伝授しながら、やわらかく見守ってくれています。



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物語としては、この青年が、一目ぼれした人妻との関係が進むようで進まないようで悶々としながら日々を過ごし、それを諫めるでも焚きつけるでもなく優しく応援してくれている周囲の人たちとのかかわりで少しずつ自分の人生を意味のあるものにしていく、というようなくらいなものです。

仕事の合間や前後のちょっとした会話から、旧東ドイツの人たちの現状や心情がちらちらと見えますが、大きな動きはほぼありません。ほぼ、ですが。

映画にドラマティックな展開を期待する人、人生が今も先も光に満ち満ちているように感じている人には面白く感じられないかもしれないです。

でも、人生って、生活って、こういうものよね、というしみじみ感。

この映画は、ベルリンの壁崩壊、ドイツ再統一の躍動と高揚のあとの反動と陰の部分、ごく普通の日常を生きる人々のパッとしないけど小さな楽しみもある人生を淡々と映したものですが、80年代末からの日本も、享楽の時代から沈滞の時代へと移っていき、現在も浮かれた日常と陰の日常が同時に存在しているのを感じながら生活していくような時代が続いています。そういう大きな流れでは共通するものがあることを感じました。

ーーー

ということで、大きな感動とか衝撃というのはなかったのですが、原作があるとわかったので、映画鑑賞のあとすぐに図書館に行って借りてきました。

クレメンス・マイヤーの短編集『夜と灯りと』(新潮社 2010年)所収の「通路にて」です。「通路にて」は、ごくごく短いお話です。あっというまに読めてしまいます。

私が映画を先に観たからということを抜きにしても、原作よりも映画の方が断然いいと思います。

映画の脚本も原作者マイヤーが手掛けているということなので、原作者の意図を変えているわけでもないですし、短編から映画にするにあたって、より深み、厚みが増して、よい作品に発展したという感じがしました。

マイヤーさん、短編書くよりも、脚本の方がいいんじゃないかしら。

同じ本の他の作品もいくつか読みましたが、なんかわからん話やなあ~というものが多くて。新しいスタイルを作り出そうと実験的に書いているのでしょうけど、失敗?途中で終わってる?という感じが… 

登場人物も、映画の方が人間としての現実味、魅力が出ていたと思います。

ーーー

そういえば、映画の主演男優さん、先日観た映画「未来を乗り換えた男」の主演もしていたんですね。パンフレット見るまでまったく気が付きませんでした。こちらの方が、演技のうまさを感じました。(というか「未来を乗り換えた男」は、断然、原作「トランジット」の方が良いです。映画の脚本、ひどいと思う…)

うまいんだけど、、2本とも、なんというか死んだ人みたいな雰囲気で、あまり魅力的なキャラクターではなくて。

でも、そういうキャラクター(なり俳優)を主役に据えるヨーロッパの映画のチャラくなさ、華やぎのなさが好きです(笑)

周りの俳優さんたちも、そこらの普通のおっちゃん、おばちゃんぼさが良かったです。












by chekosan | 2019-04-30 11:55 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
4/13~5/12まで京都の12会場で「京都国際写真祭」が開かれています。

これまで知らなかったのですが、今回は、ポーランドの若手作家ヴェロニカ・ゲンシツカの展覧会があるということで行ってみました。

会場は嶋臺ギャラリー。京都のまんなか、御池通に間口の広い町屋があります。前から気になっていたのですが、貸しギャラリーだったのですね。実はこの建物にも入ってみたかったのです。

この一等地で、この間口。



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角を曲がると会場でした。雰囲気ある~。


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大人は入場料が必要なのですが、なんと写真撮影OK!

古い建物のなかに、作品に合わせたお部屋のような空間をつくってあります。展示してある作品数は少ないのですが、この空間を楽しめたのは面白い体験になりました。

靴を脱いで、白いドアからおじゃましま~す。

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かつらモップが!!

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右手の格子はもともとです。不思議にマッチング。


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1950~60年代のアメリカのいかにも幸せそうな写真をモンタージュして、ちょっとブラックというか、えっ、どうなってるの?という作品にしてあります。こういうの好きです。


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次のお部屋も、一見、幸せ家族のリビングなのですが、

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誰かと一緒に行っていたら、なんか面白いポーズして撮ったんだけどなぁ~(笑)

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土間の奥の蔵には、よく見ると怖い遊具が… 手前の井戸から作品みたいですね。


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 怖い怖い…
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鉄条網なわとび…


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ライトもよく見ると…


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点数的には、さらっと見れば、あっという間に見終わってしまうのですが、このセンス好きなので、行って良かったです。(⌒∇⌒) 大判の絵はがきも購入。保存版にします。



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でも、この光景が一番シュールな気がしなくもない。



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by chekosan | 2019-04-29 22:17 | 美術 | Trackback | Comments(0)
滋賀大学教育学部の「社会科授業研究」という科目で、今年も新聞を使ったゲスト講義をすることになりました。

今年は、学生同士の仲間づくりも兼ねて早い時期にやりたいとのリクエストをいただいたので、過去の授業よりもシンプルに、ベーシックな「まわしよみ新聞」を計画、いそいそと準備を進めていました。

ところが、直前に風邪をひいてしまい、当日朝には高熱が… 

変則的な演習科目のため、日を改めることができません。

ホスト教官のB先生とは、これまでの3度の新聞を使った授業も見ていただき、今回も綿密に相談をしてきたので、当日の進行をお願いすることにしました。

資料を作成し、進行の注意事項等を細かく伝え、物品一式を託して、よろしくお願いしまーす!

授業後、順調に進んだご報告をいただきましたので、ご紹介します。


以下、写真はB先生ご提供(加工あり)、文責はわたくしにあります。

ーーー

今回は、滋賀大図書館から、一年前(2018年3月)の新聞4紙を譲り受けました。

「まわしよみ新聞」を授業として行うにあたってネックになるのが新聞の確保です。必要な数が多いので、新聞社の後援や特別な予算があれば別ですが、部数を揃えるのにこれまでいろいろ苦労・工夫をしてきました。

いまどき新聞を定期購読している家庭は少ないですし、学生にお金を出させて買って来させるのもなかなか難しい面があります。買うのを忘れる学生がいたら数が揃わないというリスクも。

そこで、思いついたのが、廃棄予定の新聞を譲ってもらうという策です。現物保存期間が終わった新聞は廃棄するだけなので、あらかじめお願いしておけば快く譲ってくださると思います。私が試みたときはいつもそうでした。




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廃棄する新聞を譲り受けての「まわしよみ新聞」、お金がかからない以外にも、メリットがたくさんあります。

大学図書館であれば、たいてい複数の新聞を取っているので、それらをそれぞれひと月分くらいもらえれば、少々学生が多くても十分行き渡ります。いろいろな新聞の特徴を知ることもできますし、記事がかぶりません

速報性が新聞のウリではありますが、一年前のニュースを紙面で見ると、現在進行形のニュースを知るときとは違う感覚が味わえます。

そういえばそんなことがあった、その後どうなっただろう、これまだ続いてるなあ、あれから一年か~、などといった時間の経過に伴う視点が加わるのです。これはこれで、なかなか面白い体験です。


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紙面づくりにおいては、私が授業で行うときにはオリジナルの新聞紙名をつけることを推奨しています。自分たちの選んだ記事に共通点があったりなかったり、何を工夫したのか、何で盛り上がったのかといったことをお互いに振り返ったりすることができるからです。

そして、短くてよいので、クラス全体に披露する時間もとるようにしています。自分たちの活動をわかりやすく人に伝える訓練を学生のうちに何度も経験しておくことはとても大事。他グループの作品を見て、発表を聞くことで得るものも大きいからです。

教育学部の学生さんたちは先生になろうという人たちなので指導しなくても上手ですが、発表が苦手だという学生は実に多いのです。そうであればよけいに場数を踏む必要があります。そして、場数を踏めば苦手意識は薄れていきます。


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今回の遠隔指導(?)による「まわしよみ新聞」、授業の感想を読んでみると、他の人の関心を知ることができた」「自分がスルーした記事を他の人が選んでいて、その理由を聞いてなるほどと思った」というように、ねらいどおり、仲間のことを知る機会になったようです。

また、先生になって実際に使うことを意識してくれていたことがわかる感想も出ていました。科目の趣旨を理解してくれているということですね。なによりでした!

ーーー

陸奥賢さん著『まわしよみ新聞をつくろう!』の書評はこちら↓






by chekosan | 2019-04-27 18:00 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
4月26日はチェルノブイリ原発事故が発生した日です(1986年)。

当然、日本の新聞でもいろいろ報道されるだろうと思いきや、案外少ないです。

インターネットでも探しているのですが、日本のメディアの独自の記事はほとんど出てきません(BBCの報道を訳したものや過去の記事を紹介しているものは出てくる)。

こちらは独自の記事のようです。




2013年に刊行された『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』には、1986年から2012年までに日本で報道された記事件数のグラフが載っています(朝日、日経、読売、毎日の4紙)。


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それによると、事故発生時とソ連崩壊(1991年前後)は多い新聞(朝日)で400件くらい。

そのあとはがくんと減り、1996年の10周年、99年の東海村臨界事故、06年の20周年に少し増えたものの、ずっと下降しています。

2011年に福島第一原子力発電所事故が起こったときには、86年の事故発生時よりも多い記事が発信されました。

そのあとは未確認ですが、また減って、16年の30周年に少し盛り返したのでしょうか。あらためて調べてみようと思います。

ちなみに、同書は、東浩紀氏ほか数名のチームが実際に現地を訪れ、関係者にインタビューして編んだもので、キエフのチェルノブイリ博物館の紹介や、ゲームになったチェルノブイリなども取り上げています。写真、情報量が豊富で、示唆に富んだ一冊です。

ーーー

では、チェルノブイリ関連の最近の話題はどういったものかというと、観光客の急増と、それに伴う新たな問題です。

上の本も「ダークツーリズムガイド」と謳っているように、チェルノブイリ原発周辺は、いまは観光の対象になっています。

2011年にウクライナ政府が制限付きで観光を許可するようになって、年々訪れる人が増え、昨年(2018年)には6~7万人に達したようです。

いまも30キロ圏内は基本的に立ち入り禁止で、好き勝手に訪問することはできないのですが、短時間の観光であっても人が増えるとゴミが増えるようで、ボランティアがもともとあっものと新たに発生したゴミを区別しながら清掃作業をする様子を発信しているニュースもあります。(内容的にはほぼ同じです)













そして、これまで閉ざされていたベラルーシ側も観光を許可するようになったようです。

原発そのものはウクライナにあるのですが、チェルノブイリはウクライナとベラルーシの国境近くにあり、事故直後の風下にあったベラルーシも甚大な被害を受けました。

今回、公開されることになった地域には、強制退去となった95の村の跡が残っているとのことです。





by chekosan | 2019-04-26 19:59 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
鑑賞から少し日が経ってしまいました。感動が薄れないうちに記録をば。

カメラマンで映画監督の本橋成一さんが、チェルノブイリ原発事故の影響で住民がほとんど退去したベラルーシの村を訪ねたドキュメンタリー映画の2本組DVDの2本目、「アレクセイと泉」です。1本目「ナージャの村」の記録はこちらに。



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撮影は2001年冬から2002年にかけて行われました。

ジャケット写真の青年がアレクセイです。このとき30歳前半、ブジシチェ村でたった一人の若者です。1986年のチェルノブイリ原発事故のあと、ほとんどの村人は、アレクセイのきょうだいも含め、他の町に移りましたが、彼は年老いた両親を支えるべく、55人の老人とともに村に残りました。

原発から180キロ離れた村でも、建物や、広場、森などからは放射能が検出されています。ところが、村の泉からは一切検出されていません。村人は汚染されていない水を確保できているのです。

長い棒にバケツを引っかけて泉から水を汲み、それを両端にぶら下げて家に運ぶ人、泉から遠いのか、タンクにたくさん詰めて馬に引かせて運ぶ人。泉はこんこんと湧いているので、真冬でも凍りません。

隣には共同の洗濯用貯水場が作ってあり、豊富に湧き出る水を使って、女性たちが衣類などを手洗いしています。

この洗濯場の木枠(足場)が傷んできたので、男性たちが新調するよう女性たちにせっつかれます。男性たちは、久しぶりに司祭が泉を祝福しに来られるので、ということで、ようやく取り掛かります。森から丸太を切り出してきて、カットし、組み合わせて造り直します。



村人は、ほぼ自給自足の生活を送っています。ジャガイモや野菜、ガチョウ、豚を育て、保存食をつくり、糸をつむいで機を織ります。

アレクセイのお父さんはカゴ作りの名人で、植物の蔓を編んで作ったカゴを屋根裏に大量にストックしています。かつては村のなかで重宝され、よい稼ぎになっていましたが、今では村人が激減したので、荷馬車に山盛り積んで近くの村のマーケットに売りに行きます。

持って行ったカゴの半分くらいしか売れなかったとお父さんはぼやきますが、アレクセイは屋根裏に貯めておくよりはよい、と前向きです。

この近くの村は、ソ連解体によって国境を越えた隣国になりました。そのため通貨が違ってしまっています。売上金は村に持って帰っても使いようがないので、その場でパンなどを買って帰ります。

この映画で見る限り、前作の「ナージャの村」よりも行き来は自由にできるようで、特に監視や制限はなさそうです。

アレクセイの家は馬がいるので、比較的行動範囲が広いということもあります。

ほかの村人たちはどうしているかというと、作れるものは自家製で、そのほかは移動販売車から買っているようです。

販売車は週2回、トラックでやってきます。先に女性たちが塩、砂糖、石鹸、パンなど生活必需品を買い、そのあとこっそりと男性たちがお酒を買うとのこと。嬉しそうでほほえましい光景です。

現金は、役所の人が定期的に年金を届けに来ます。このときに、ラジオ代、新聞代を払い、差し引いた年金を受け取っていました。ベラルーシは国家による管理経済体制を維持しているので、このような手続なのですね。

バスも週2回、走っているようです。そのバスに乗って、町の息子の家を訪ねるというシーンもありました。


村人はみな正教の敬虔な信者で、信仰を大事にしています。泉も神の恵みに他ならないと、森から切り出した木で屋根付きの十字架を作って立てて感謝します。

「十字架祭」のときには、手作りの小さな十字架を近所で交換して、朝一番に汲んだ泉の水に浸して、その水を枝で家のなかに振りまきます。残った水は一年保存します。

水が保存されている場所は、繊細なレースを施した真っ白なクロスが飾られていて、明るい「ハレ」の間という感じ。調理をしたり、カゴを編んだりする生活の場とはガラッと趣きが違います。

放射能汚染や住民の高齢化を考えると厳しい未来が待つ土地ではあるのですが、村の自然と、そこからさまざまなものを自分たちの手で作り出す生活は尊く美しいです。

貧しいといえば貧しいということになるのでしょうが、そういう尺度とは違う価値観からなる世界があること、そこでそれぞれの生活と人生を営んでいる人たちがいる(いた)ことが沁みとおるように感じ取れました。

ーーー

そして!

この映画でも、私のプチテーマ(?)、「ペチカの上で寝る」シーンを見つけることができました!

ペチカは調理と暖房を兼ねた暖炉ですが、そこを寝る場所にしているという記述をアレクシェーヴィチの著作で頻繁に目にしてから、ペチカには敏感になっています。

これまでにも、ポーランド・クラクフの民俗博物館で現物を見たり映画「炎628」の中でそのようなシーンを発見したりして確認はできていたのですが、とうとう実際の生活で使っている様子を見ることができました。

早朝に家族のパンケーキと豚の餌をペチカで同時並行で作るお母さんと、起きだして、それを見るお父さんの図。矢印のところにお父さんがいます。



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文字による記録も大事ですが、写真や映像はこのような生活の様子を残すには抜群に優れていますね。ペチカの上で寝る体験はなかなかできなくても、このように映像に残しておいてもらうことで理解はできます。

もちろんペチカに限らず。失われていく生活の記録の資料としても貴重な映画であると思います。


そして、ドキュメンタリーであるということは、映画撮影のあとも、村人の人生は続いているということでもあります。2017年に村を再訪されたときの映像があるようですが、こちらは未見。いつかは見たいと思います。




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1本目「ナージャの村」の記録はこちらに。






by chekosan | 2019-04-23 15:30 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
シベリカ子さんの『おいしいロシア』(イースト・プレス 2016)を購入。速攻で読みました。

タイトルどおり、ロシアのおいしい料理や生活を紹介するマンガです。

このカバー、見てください。かわいらしい! 思わず、カワ(・∀・)イイ!! と顔文字を出したくなります。
絵を描けるっていいですね。

カバーに描きこまれているものはすべて本文中に紹介されています。レシピもあるので、再現も可!

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ロシア人の大好きな食材、料理、ダーチャ(夏の家)での保存食づくり、親せきや友達とのおつきあいなど、いまのロシアの普通の人々の暮らしが垣間見れます。

私がロシアに行ったのは、30年くらい前のギリギリソ連時代。まだ勝手に動くことは許されず、1か月半ほどの滞在は、すべて外国人専用ホテル。3食すべてホテル内のレストランという語学研修でした。

普通のお家は見れなかったですし、お店も外国人専用お土産屋さん以外はほぼ入れなかったので、こうした日常生活を絵で描いてある本を見ると、とても楽しい! わくわくします。

ロシアも玄関で靴を脱ぐのねとか(チェコも脱ぐ)、冷蔵庫にマグネット貼ってる!とか、料理の写真のカレンダーだ!とか(チェコにもよく売っている)、緑茶に砂糖を添えるとか(チェコのお茶専門喫茶もそうだった記憶がうっすら)。

夏の家ダーチャにあるペチカも一コマ出てきます。

ペチカ(調理と暖房を兼ねた暖炉)については、前々から注目していて、ポーランドの博物館で実物を見れた!と大はしゃぎしている記事や、映画「炎628」のなかに出てきた!と嬉しがっている記事 も書いていまして、最近も別の映画で決定的なシーンを見つけました。またアップする予定(笑)

カバーにもある黒字に植物の模様が入った木の食器「ホフロマ塗り」は当時から主力お土産品のひとつとしてたくさん売っていました。私もたしか、とりわけ用のスプーンを自宅へのお土産に買ったように思います。懐かしいな。あれ、どこにいったんだろう。発掘したいな。

ロシアと言えば黒パン。はじめは酸っぱくて無理と思いましたが、慣れるとクセになりました。キャビア(「黒いイクラ」)をたっぷりのせて食べたような。。。なにしろ名物なので、普通にテーブルにのってました。いいものだったのかどうかはわかりません(笑) 

日本でレストランで出てくるキャビアは数えられるくらいしか粒がなくて、それはそれで、おいしいも何もわからない気がしなくもないですが。

ブリヌイ(クレープのような薄いパンケーキ)は、私にとってはロシアではなくチェコの思い出と結びついています。

90年代半ば、チェコの語学学校で知り合ったロシア人の女の子のお家に遊びに行ったときに、はじめて食べたように思います。ロシア語研修の滞在ホテルでは出てこなかったと思うのです。

彼女は、真っ黒な髪に青い目、小柄で、とても美人でかわいらしい妊婦さんでした。そのとき語学学校のクラスは英米出身者ばかりで、優しくていい方ばかりだったのですが、私とその女の子だけはやはり少し異質な感覚がありました。

まだほとんどチェコ語もできず、かといってロシア語も薄れてしまっていて、彼女の方は英語はほとんどできなかったので、いったいどうやって意思疎通していたのか今となっては不思議ですが、私がロシアにも行ったことがあると知ると親しみを持ってくれて、ブリヌイをごちそうしたいとお家に招待してくれました。

小さなアパートにお邪魔すると、おなべいっぱいのブリヌイを作って待っていてくれました。それを取り出してお皿に盛ってくれたら、ほんとに、このカバー絵くらい山と積まれて、ずいぶん驚きました。

当時、日本でもすでにクレープは流行りが収まり、日常的に食べるお菓子の一つになっていってはいましたが、生クリームやら果物やらいろいろ包む食べもので、けっこう値段も張るものでした。そのため、一度に一枚食べるものと思っていました。

フライパンで薄く焼いて作るものなので、なぜおなべから出てきたのかわからないですが、焼いたものが冷めないよう、ひからびないように、深いお鍋に入れて保管してあったのでしょうか。

一枚一枚は薄いものなので、いったい何十枚焼いてくれたのだろうと感激しましたが、そうは食べられず、、、もういらないの?と、大きなきれいな目で、ちょっと悲しそうというか残念そうに見つめられて申し訳なく思いました。ごめんね。

当時はメールなどなく、お互い住所を聞いたのか聞かなかったのか、帰国した後は連絡が途絶えてしまいましたが、その後、無事かわいい女の子を出産されたと語学学校の先生から聞いたように思います。どうしているかなあ~。ブリヌイといえば彼女を思い出します。それにしても美人だった。


コーラみたいな黒い発酵飲料「クワス」は、ソ連時代に自動販売機で飲んだ思い出を以前も書きました。→クワスの思い出(2016/5/11の記事)

この記事を書くときに見つけたチェコ紙幣を使う旅はすぐあとの2016年8月に実現できましたが、クワスも2018年8月にラトヴィアで飲むことができました!

ラトヴィアの首都リーガの市場にクワス売りの車を発見。小さいカップを注文しました。


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30年越し(?)でクワスを飲めたの図。息子が動画を撮っていてくれたのですが、それによると、わたくし、「うん、おいしい。う~~ん、なんていうんやろなあ、、、、、黒蜜!」と言ってました(笑)

息子は一口で「ええわ」と放棄。残りはすべて私がおいしく飲み干しました。^^

リーガ、すごく良かった! 完全に忘れないうちに記録しないと!
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というわけで、一瞬で読めてしまう本ですが、思い出語りはえんえんと。

やはり食は人生の基本、深いところに記憶を残してくれるように思います。

最近の旅では、一般家庭に滞在する機会は長く作れていませんが、普通のスーパーや市場で現地の食材を調達して、ごはんを作って食べることで、ちょっとだけでも雰囲気を知りたいなと思って実践しています。といっても、スーパーの売り場における現地の食材の割合はだいぶ低下している感じではありますが。


ロシアもまた行きたいなあ。そのときは、この本を持っていかなくちゃ。







by chekosan | 2019-04-20 17:51 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
普段読むものも、月イチ書評連載「おすすめの一冊」@関西ウーマン も、基本的には自分の関心で選んでいますが、学生がレポートに使ったもの、関心が近い方が紹介されていた本などはできるだけ手に取るようにしています。

木下斉『凡人のための地域再生入門』も、教育・研究での良き相談相手から勧めていただいたものです。

地域再生、まちづくりといったテーマは、私自身、薄く長く関心をもっていますし、こちらは小説仕立てで読みやすいということなので、さっそく図書館で借りて読んでみました。

へええ~! え~!? ほおお~~! と口に出しながら、借りたその日に一気読み。面白かったです。

細部の感想は以下に。


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by chekosan | 2019-04-16 11:27 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
先日観た「鑑定士と顔のない依頼人」に続き、美術モノです。今度こそ歴史と関係ある実話にもとづくお話です。 

いえ、「鑑定士~~」はそうとは知らず見始めたら現代フィクションだったのですが、とても面白かったです。私のなかで、かなりハマリ度の高い部類となりました。

今回の「ナチスの愛したフェルメール」、これまた邦題が微妙な映画です。

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by chekosan | 2019-04-15 11:34 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)