中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

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ノーベル文学賞作家ギュンター・グラスが代表作『ブリキの太鼓』を書くまでの前半生をつづった自伝的作品です。

タイトルどおり、玉ねぎの皮を一枚一枚剥いていくように、少年時代から1959年ごろまでを想起していきます。

かつての自分を「彼」という三人称で語ったり、「私」という一人称で語ったり。
浮遊霊のように昔の自分のまわりをふわふわとまわりながら思い出そうとしているような部分もあれば、
若かりし自分と今の自分が一体化して生々しい感覚を思い出しているような部分もあり、
いやしかしそれは本当にそのときのことだったのか、あとからの記憶とが混じっているのかも、、、とまた錯綜し、曖昧になったり。

わかりづらいとか、ごまかしていると受け取られる可能性のあるスタイルになっているのですが、本人による本人の過去の「想起」とは、本来そういうものなのだろうと思います。

「のちに、この経験をこの作品のここに盛り込んだ」というような記述がかなりたくさんちりばめられているので、グラスの作品をより深く研究するには欠かせない本であろうと思います。

以下、現代史を知る資料として読んで、印象に残った部分をまとまりなくメモ。


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【母とブック・クラブ】
グラスは自分でも「マザコン」と書いているように、母の影響を受け、母を敬愛し、母のかわいい坊やであったことを意識してきた。

母の小さな商店を切り盛りする手腕に関するエピソードも面白いが、49頁「ブック・クラブの会員でもあった」とあるのに注目。
これはどうやら定期的に本が届けられるシステムのことで、「開戦後は新しい本は届かなくなり、本が増えなくなった」が、2部屋しかない小さなフラットの本棚には、ドストエフスキー『悪霊』はじめ、東西の文学作品が並んでいたよう。

幼いグラスは、母の蔵書を次々読みふけって、父からは「本を読んでも腹はふくれないぞ」と言われるのだが、母はグラスが読みふけっているのを見るのが好きだったという。

対して、父に関する評はちょっと冷ため。決して悪い父親ではないように思うのだが。グラスが料理好き、もてなし好きになったのも、本人は捕虜収容所での経験を大きく取り上げているが、お父さんが料理好きだったことが影響しているのではないかなあ。

【捕虜収容所における文化活動】
183頁あたり。グラスは少年兵として出陣し、負傷、米軍に捉えられて終戦を迎える。捕虜収容所では、「課題ごとに徹底的に研究するグループやサークル」が組織され、「時間割を決めて」知識を育んでいったという。コースには、古代ギリシャ語、ラテン語、エスペラント語、代数学、高等数学から、簿記のような実学、聖書学、仏教入門講座もあり、合奏団や合唱団も組織された。

グラスはここで現物を使わない料理コースに参加する。食べ物はなし、講義のみの初心者向けコースということだが、豚一頭まるまる利用する方法を教わるなど本格的であったらしい。グラスは熱心に話を聞いて、なけなしの紙にメモを取って、のちのちその教えを守って料理に励んだのだそう。


【米軍によるホロコーストに関する教育】
205頁あたり。捕虜収容所では、アメリカ人教育将校による矯正教育が行われた。しかし彼の「努力は無駄だった」「私たち、もちろん私自身もだが、彼が見せる白黒写真を信じようとはしなかったからである」。

「それはベルゲン・ベルゼンやラーヴェンスブリュックの強制収容所の写真だった… 私は死体の山や、焼却炉を見た。飢えている人々、餓死した人々、骸骨になるほどやせた別世界から来たような生存者を見たが、信じることはできなかった。私たちの言う言葉は同じだった、「それで、これをドイツ人がやったって言うのかい?」「絶対、それはドイツ人のしわざじゃない」「ドイツ人はそんなことはしないよ」」

「私が少しずつ理解し、自分が知らないあいだに、もっと厳密には、何も知ろうとせずに、犯罪へ加担したことをおずおずと認め始めるまでには、時間がかかった。その犯罪とは年とともに小さくなるものではなく、時効になろうともせず、相変わらず私を苦しめている」

【故郷の喪失】
グラスはダンツィヒの出身。自由都市ダンツィヒは戦後、ポーランド領グダニスクとなる。グラスは、ダンツィヒを追放された親類たちと戦後しばらくして連絡をとることができるようになり、両親や妹とも再会を果たす。

「あちこちに散在している親戚の葉書には、破壊された故郷ダンツィヒのことや」「彼らが耐え抜いてきた苦難の数々について書かれていた。」「また自分たちが知るはずもない「犯罪と称されること」についても書かれていたが、そこからは「だけどポーランド人たちが我々にしたあらゆる不正は、何ひとつとがめられていないのではないか……」という言葉が読み取れた。」

「我々追従された者はどこに行っても歓迎されずつらい目にあっています。私たちも同じドイツ人だというのに、ここにいる人々と同様に……」


【ペルジール証明書】
デュッセルドルフを本拠地にしたヘンケル社で製造されたペルジールという名の洗剤から、「ペルジール証明書」という言葉ができた。それを使えば褐色(=ナチス)の汚れが付いたたくさんのチョッキがまっ白に洗浄でき、その後は役職も地位もクリーンな男に納まることができるというのだ。」319頁。

【オットー・パンコークとロマ人たち】
327頁あたり。「彼は私にとって長いあいだ…模範となりつづけた」「余った賞金でロマとシンティの民族のための財団を設立したとき、隔年で与える財団の賞をオットー・パンコークにちなんで名づけることにしたのは、私にはごく自然なことだった」

「彼はナチスの時代、作品の制作と展示が禁じられていた。」

【ハンス・ヴェルナー・リヒターとの出会い】
432頁。グラスを文学者の集い「四七年グループ」に誘い、文壇デビューのきっかけをつくった。

【パウル・ツェラン】
450頁あたり。ツェランはユダヤ系。両親は収容所で亡くなる。グラスとパリで交流。「私は何度か、パウル・ツェランがそこからは逃れられないと思っていたあの回転から、彼を誘い出すことに成功した」。しかしのちにツェランは過去の記憶に苦しんで自殺。


解説より
【SS隊員であった告白を受けて】
455頁から
ヴァイツゼッカー(元ドイツ連邦共和国大統領)「…彼の文学の力と彼が野蛮な戦争の後にドイツ=ポーランド関係でもたらした際立った功績は、何も変わらない!」

クリスタ・ヴォルフ(旧東独作家)「今も昔もグラスは私の同僚、他の同僚たちのために戦ってきた」「あのドイツ再統一の騒動のとき、私をたったひとりで弁護してくれたことに感謝している」

【「ゆっくり」のススメ】
460頁。1999年に「学ぶ教師」という外国人問題をテーマとする講演をした。そこで彼は異文化を背景にした人々から学ぶことを説き、総合学科の教科として「ゆっくり」やることの学習を推奨している。慌ただしい時代、あえて自分の内面と向かい合うこと、読書によって孤独に浸ることの重要さを説いている。




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by chekosan | 2018-10-21 14:18 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
同志社で担当している「特殊講義」。今まで法学部の科目だとばかり思っていたら、どの学部でも履修できるのだと初めて知った3年目。そして実際、今年は文学部哲学科からも数名受講!学際科目だ!(?)

昨年度の講義科目受講生や春の講義科目受講生も数名受講しています。これって、とっても嬉しい☆(´∀`*) 

結果、初年度2人、2年目5人、そして今年は10人と、倍々ゲームで、とうとう二桁です(笑) 

今年は、科目のサブタイトルを「文学で学ぶ東欧・ドイツ・ロシア」と題しました。ずっとアシスタントをしてくれている院生君、科目名を見て、「どんどん範囲が広がっている! どこまでいくんだろう!」と思ったそうです。

形式上、科目の設置の条件としてサブタイトルを変える必要があったということもあるのですが、こうして範囲をゆるくしておくと読む本の選択肢が広がるからいいかなと思ったのです。( ̄▽ ̄) 

ということで、今年は過去2年、あまり読めていなかったロシアものからスタートしました。

しかし、あえて日本人作家の作品。米原万里さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』です。

いずれも米原さん自身の少女時代の経験をベースに書かれています。チェコやロシアを舞台としたノンフィクションとフィクションです。


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関連本なども読み直して予習するの図。右にあるお菓子は米原さんの『旅行者の朝食』に出てくるハルヴァ。昨年、リトアニアで見つけ、今年はエストニアで見つけました。エストニアで買ったノートにメモをとっていきました。このノート、ロシア語練習帳のようなページが入っていて、この本のノートにぴったりです。

※『旅行者の朝食』は関西ウーマンの書評コーナーで取り上げました。




『嘘つきアーニャ』は以前に読んでいたと思ったのですが、第1部を読み始めて、あれ??

もしかしたらNHKのドキュメンタリーで見ただけだったかも? 

おませな少女の下ネタ満載で、授業で使って大丈夫だったかと苦笑。でも、もちろんそれで終わりではなくて、社会主義期のプラハの学校に集った4人の少女たちの学校生活を通して、社会情勢、国際情勢を鮮やかに描き出しています。

米原さんと3人の友人たちは長く音信不通になっていたのですが、30数年ぶりにNHKの企画で再会を果たします。

番組の方では会えた良かったで終わるのですが、『嘘つきアーニャ』の方では、過去のエピソードに加え、再会に至るまでの調査の過程や、そこでわかってきた友人たちの人生、それに対する米原さんの思いが詳しく語られます。



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『オリガ・モリソヴナの反語法』はフィクションの小説です。少女時代にプラハのソビエト学校に通っていた日本人の主人公が、ソ連の崩壊、情報公開を機に、異彩を放っていた女性教師たちの謎を解いていくという話です。

フィクションですが、歴史的事実を巧みに織り込んだリアル感たっぷりの話になっています。

主人公が謎解きをする今の時点(1992年のモスクワ)、主人公たちがプラハのソビエト学校に通っていた1960年代、女性教師たちの過去(1930年代から50年代)と、3つの時代を行き来する構成で、主人公の回想もあれば証言者の話、手記による説明などを行ったり来たりするので、一読ではわかりづらいところもあります。

そこで、『オリガ・モリソヴナの反語法』年表を手分けして作りました! 

歴史的事実と、作品中の登場人物たちの動きとをピックアップしていくと、A3で2枚分になりました。
私も最後の3章をやってみましたが、これはなかなか面白い作業でした。

細部の修正や補足などをして、クラスのみんなの共有財産にしようと思います。

で、『オリガ』、文庫本で500ページほどあるのですが、みんな一気に読めたようです。

謎解きも面白いけど、歴史とからめたリアルな描写がとても面白かったという感想や、

日本人作家の目と体験を通して書かれた作品であることで、かえって理解や親しみを深められたように思うという感想、

ヨーロッパが舞台だけど宗教がからんでこないのは日本人でソビエト学校に通っていた米原さんだからこそではないかという感想(なるほど!)、

歴史を知るということは、政治家や戦争の名前を覚えるということではなく、個人の物語を見つめることが重要なのだということをあらためて感じたという感想、

何度も読むべき本だと思った、人間の一生ってすごい、人が生きるために必要なことってなんだろう、、、

などなど、それぞれいろいろと考えてくれたようです。

まだ緊張感がみなぎっていて、わーわーしゃべって盛り上がるというのではないのですが、全員が同じ作品をじっくり(しかし一気に)読んでくるというのがなにより貴重な経験だと思っています。

全員が同じ読み方、感じ方をする必要はないと思っています。誰かが取り上げた箇所に、そうそう、そこ面白いよねと思ったり、そんなとこあったっけと思ったり。

そういう時間をゆるゆる共有することで、じんわりとなにかが効いてくると思っています。


次の共通テキストは、『オリガ』における重要テーマからのつながりで、ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』です。

でもその前にインターバルで、次回は持ち寄り企画。旅行の報告や本や映画の紹介など、全員になにがしか発表してもらいます! とっても楽しみです!






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by chekosan | 2018-10-18 21:05 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
2か月近く経とうとしているのに、なんだかちっとも進まないバルト3国紀行シリーズです。

リトアニアは昨年夏に来たので、そのとき見逃したところを中心に回りました。

宿からすぐそこのヴィリニュス大学。旧市街の中心にあります。いくつもの建物が連なっていて、中庭で繋がっています。中に教会もあり、その塔の上からは絶景が楽しめます。

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街を一望できるということは、それだけ高いということで、、、登りはエレベーターを使って、一気にぐううーんと上がったのですが、それがけっこう怖かったので、下りは階段でゆっくり降りようと思ったら、甘かった。

木製で下が見える階段はもう恐ろしいわ、一段が高いので足にくるわ… その日はもう足がガックガクでした。(^-^;


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大学構内は夏休み中のため、見学客しかいませんでした。


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これが大学のキャンパス内… 夢のようですよねえ…

本屋さんに入って本をどどんと買って、振り返ったらこの内装!!


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大学構内に小さい画廊もありました。

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ヴィリニュスの風景画の版画を一枚買いました。額装しようと思います。


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大学のなかには古い図書館などもあるのですが、本も買ったので、構内はこれくらいにとどめて。


お昼ごはんを食べるところを探しがてら歩いていたら、大統領府に。

独立100年のオブジェがありました! 記念日はもうだいぶ前に終わっているので何もないかなと思っていたら♪


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つづく



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by chekosan | 2018-10-17 20:06 | リトアニア | Trackback | Comments(0)
「ブリキの太鼓」で世界に名をとどろかせ、ノーベル文学賞を受賞したドイツの作家、ギュンター・グラス。

以前から社会的活動や政治的発言等を報道で目にして、知った気になっていました。2006年に一時期SS隊員だったと告白したときはショックを受け、2015年に亡くなったときも。長く気になる存在でした。

今回、そのグラスの研究者、依岡隆児先生の講演会が大阪で開催されると知り、友人と行ってきました。

会場は大阪、谷町六丁目の駅を上がってすぐの隆祥館書店さん。面積は小さいながら、特色あるお店づくりをされていて、何度もメディアで取り上げられているところと知りました。作家のお話を直に聞くトークイベントも200回以上開催されているとのことです。

あらかじめ予約・振り込みをしておいて、当日、依岡先生の著作をお店で受け取るという流れ。お店の前には看板が。



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入り口を入ると(というか入る前からというか)、どんと正面に棚がそびえていて、そのラインナップを見ると、こちらのお店のこだわりや主張が一見してわかります。

右手には、これまでのトークイベントに登壇された方々の著書コーナーも。特色ある棚づくりをされているなあと拝見しました。

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イベント参加料はゲストの依岡先生の著書代も含んでいたので、図書館で借りた本で予習。当日、新品の本に速攻で付箋を貼り替えました。^^



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本書はグラスの経歴や生き方と作品解説をまとめた評伝。とても読みやすくて、ほぼ一気読み。また知った気になってしまいました(笑)

講演会では、この評伝をベースに、先生が撮影された写真やグラス秘話なども披露されました。


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この企画、第二部は「まちライブラリー」(まちかどやお店などに設けた図書コーナーや私設の図書室など本を介した交流スペース)を提唱されている礒井純充さんと依岡先生のトーク、第三部は会場の参加者も交えてお気に入りの本を紹介し合うというものだったのですが、第二部以降は時間が押せ押せで…

依岡先生は四国で「まちライブラリー」や読書会を開かれているとのことだったので、その話も聞ける!と、とても楽しみにして行ったので、その点はかなり残念でした。(-_-)

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第三部でのフェイバリットブックス紹介タイムに備えて、私が用意していたのはこちら。これらを全部抱えて持っていったわけではありませんが。

ドイツの作家グードルン・パウゼヴァングの作品。


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イベントでは、グラスは難しくて読みにくい、長い、面白くない(!)といった感想も出ていましたが(私の意見ではありません)、それでいくとパウゼヴァングはわかりやすくて読みやすく、短く、面白いです。彼女は小学校教諭を務めながら、児童文学の研究で博士号を取得した人。子どもにも読めて、しかし深い衝撃を受ける作品を生み出しています。

ナチスドイツ政権下のドイツの村や町の「普通の」人々の様子を淡々と描いたもの、ドイツで原発事故が起こったという設定のフィクション、核戦争後の世界を描いたものなど、グラスの代表作とテーマが重なります。

見てみると、グラスが1927年、パウゼヴァングが1928年生まれ。同世代です。戦争終結時、17歳くらい。ぎりぎり未成年なので、戦争に責任があるとはみなされないが、まったく何も知らなかった、完全に関係がなかったというわけではない世代です。

生まれ育った場所も、グラスはダンツィヒ(当時は自由都市、のちにポーランド領グダニスク)、パウゼヴァングはドイツ領ボヘミア東部の町(戦後はチェコスロヴァキア領)で、2人とも戦後、故郷を喪失しています。

グラスは政治活動にも積極的に関わり、パウゼヴァングは小説を通じて戦争や核の問題を訴えたという違いがありますし、作品のスタイルや文体もずいぶん違うのですが、昨日のイベントで紹介するにはぴったりだったかなと思います。パウゼヴァング、いいのにあまり知られていないから、積極的に紹介すべきだったかな。


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グラスの作品は、同志社の特殊講義で読みたい気もしたのですが、絶版だったり高価だったりで、ちょっと難しいかもしれません。ほかの同世代の作家を取り上げて、そのときに一緒に紹介するというのもいいかも。昨日のイベントでもちょっと名前が出ていた、ハンス・ペーター・リヒターあたりはどうかなと考え中です。

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ところで、グラスは「長くてわかりづらくて面白くない」という発言を聞いたときは思わずのけぞってしまったのですが… 

今回に限らず、読み方や読む目的が違うと楽しみ方や捉え方は違うのかなと思うことはあります。

私は、著名な作品でも、歴史の証言というか資史料的な感覚でとらえているところがあって、「あ、ここでもイラクサが出てきた」とか「ペチカの裏で寝るってなに!?」(東欧~ロシアあたりの作品によく出てくる)といった超細部が気になって調べたりするのが楽しいのです。そういう細部に関して輪読の授業で語ってしまって、「へ?」みたいな反応が出ることもありますが。

でも、そのような細部にこだわって調べてみて、その小ネタ披露をしてみようという回を設けたときに面白がってくれた学生たちは作品全体も楽しめていました。そして、小ネタ披露でない回でも、よく読みとり、よく語れていたなあということを思い出したりしたのでした。


まとまりなくつらつら書き連ねてしまいました。グラスの作品の感想はまた別途…(いつか多分)













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by chekosan | 2018-10-15 11:14 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)

芸術鑑賞の頻度が下がっていて淀んできた感…


美しいものを観たい!禁断症状が出てきたので、無理やり時間をねじ開けて会期終了間近のプラド美術館展に行ってきました。

会場は兵庫県立美術館です。

兵庫県立美術館は面白いテーマ、楽しい演出で人気なのですが、その分、たいへん混みます。今回は混むのを避けて行きましたが、それでもそこそこ人で埋まっていました。



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お楽しみの撮影スポットはあっさりした感じ。いつもくすっと笑える工夫があるのですが、今回はただの看板。ちょっとアレ?という始まり。



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会場へ至る大階段の演出も真面目。今までの企画展では、怪物が飛び回っていたりとわくわくさせてくれたのですが…




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会場内は、作品保護のためでしょうか、かなり照明が暗く、ライトが当たっているところとそうでないところの明暗の差が大きくて、ちょっと具合が悪くなりました… ;;

音声ガイド(有料)を使ったので、これはという作品はパネルの説明を必死で読まなくてもよかったのは救い。

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スペイン王家のコレクションなので大作(サイズの点でも)揃いだったのですが、メインのベラスケスはやはり一味違うなということがわかる解説でした。

これ↓なんかは、王様の肖像画ですが、意外と質素な服装。そのわけは…とか、


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宮廷で雇われていた人たち(小人症の人とか…)の肖像画の解説もなるほどと感心(会場内撮影禁止なので写真はなし)。ベラスケスの絵はその人物の自然な表情をとらえているとありました。たしかに、王家の人であっても、あまり美化しないですよね、ベラスケスって。そんなに顎突き出して描いていいの…?とか。


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宗教をモチーフとした絵画が、時代によって世俗的になるというか親しみやすくなったことを示したコーナーも興味深かったです。マリアの夫ヨセフが後の時代になると「善き父」の象徴と化していくとか。

ルーベンスの聖家族像など、ふつうの庶民の幸せな一家という感じ。好感が持てます。



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美術展のお楽しみミュージアムグッズは、バリエーションはたくさんあったのですが、ノート一冊でもびっくりするほど高くて… 今回は収穫なしでした。(-_-)


兵庫県立にしては、遊び・工夫・オリジナリティが少ないかなという感じでしたが、やはり現物を間近に見れて、解説によって時代背景を知ることができ、勉強になりました。







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by chekosan | 2018-10-15 09:16 | 美術 | Trackback | Comments(0)

今月の書評@関西ウーマン、公開されました。
https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201411

ブルーアイランドこと青島広志さんのイラストたっぷりピアノ名曲図鑑です!

ピアノやってる(やってた)人はもちろん、そうでない人にも!

青島さんの文章はユーモアがあるので肩肘張らずに名曲に親しめます。

でも、やはりなんといっても生のステージはもっとおすすめ♪
とにかく楽しいです♪


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by chekosan | 2018-10-13 13:56 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)

バルト3国の旅を終えてから既に一ヵ月以上が過ぎてしまいました…
しかし、このまま忘却するわけにはいきません。細々とでも記録をば…


今回は、リトアニア~ラトヴィア~エストニアの順で回りました。
リトアニアは昨年、10泊して多少は慣れているので一番先に。そのあとは北上していって、ヘルシンキに一番近いエストニアを最後にすれば、最終日の滞在がちょっとでも長くなると考えました。


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           ヴィリニュスの空港。鉄道駅みたい。いや鉄道駅の方が大きいような気も?


しかし、一回行ったくらいで「慣れている」などというのは大変厚かましい感覚だということがよくわかりました。緊張感なく旅を始められたのは確かですが、小さなところでいろいろしくじりました。


第一の失敗は、最初の宿のオーナーとすれ違ってしまったこと。ふた部屋を民泊に供している人なのですが、予約時に昨年と同じ部屋で取れたと思っていたら、もう一つの部屋だったのです。ところが、この2部屋、ごくごく近いけど、同じ建物ではない。で、空港で「これからタクシーで宿に向かうからよろしく~」とアバウトに連絡したものだから、しばらく落ち合えず、、、

正確に何時何分に●番地で会いましょう! と書けば問題なかったのです。思い込みは失敗のもと。

実は昨年もうまく落ち合えず、しばらくキョロキョロした挙句、スーツケースを引きずってインフォメーションセンターに行き、そこから連絡をとったのですが、今回はすでに閉館時間を過ぎていて… 学習していない。

Wi-fiルーターを借り惜しむんじゃなかったと軽く後悔。でもまあ日は長いし、人はいっぱいいるし、治安いいし、そこらへんにwifi飛んでるからそのうち繋がるだろうし、どうしても繋がらなかったらどこかのお店に頭下げにいったらいいし、そのうちオーナーが様子見に来てくれるだろうと、半分焦りながらも半分楽観的に、昨年の宿の前でスマホを掲げ、Wi-fiを拾う私と息子。

しばらくして連絡がついたら、数分も経たずにオーナーがニコニコ迎えに来てくれて、そのときようやく泊まるのがもう1軒の建物だと判明したのでした。(^-^;  旅力(造語)ないですよね。


と小失敗はしましたが、オーナーは相変わらず感じがいい人だし、宿は超一等地の2DKなのに格安だし。チェックインの手続きを済ませた後は、勝手知ったスーパーに買い出しに行って、でもそんなに食べたくもなかったので、持ってきたカップヌードルをすすって、翌日から精力的に動き始めたのでした。



以下、お宿紹介。

ふつうのアパートメントなので、生活できる広さ。トイレがバスルームと別なのがありがたい。去年の宿もそうでした。リトアニア、宿が安くてホント助かる。


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リビングルームには大型のソファベッドとソファが。ソファベッドは息子が使用。それでも広々。スーツケース2つを開けっぱなしにしてもまったく邪魔に感じない広さでした。


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こちらはソファとして、何度か使用。


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寝室は私が一人で使用。この部屋も広い。窓からはヴィリニュス大学が見える。


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と、広々2DKだったのですが、私はダイニングキッチンにいることが多かったかな。ソファよりもテーブルと椅子の方が調べ物したりするにはいいんですよね。



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着いたその夜に食料を買い出し。1000円だったか、、、2000円はいかなかったような、、、


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こうして速攻で生活感溢れる部屋に。

着いた夜はカップヌードルでささっと。翌朝は、朝っぱらからポークソテー、出来合いのサラダ、パウチのかぼちゃスープ、持ってきた白ごはん(レンジでチン)、なにかのジュース、お茶だかコーヒーだか牛乳だか、でした。



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リトアニアは何を食べてもおいしいのですが、一皿の量が多いので、外食が続くと胃をやられるのは必至。朝晩は自炊するつもりで、どの都市も、こういうアパートメントタイプの宿ばかりにしたのでした。

どこも観光地のどまんなかにしたので、ひょいひょい部屋に戻って荷物を置いたり休んだりできて、大正解でした。


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by chekosan | 2018-10-07 17:01 | リトアニア | Trackback | Comments(0)

図書館総合展ラスト出展&横浜スタディツアーまで1ヵ月を切りました。
 
私個人としては、総合展に行くのは5回目となるでしょうか。

前任校時代に、この巨大な催しの存在を知って偵察。いつか学生を連れて行って、あの場で発表させるぞと密かに決意しました。

しかし移った先には(も)、図書館サークルも学生スタッフ的組織もない。

ということは、図書館なり本なりに関わる活動を立ち上げねばと、着任前後から図書館に協力をあおぎ、同じ科目を担当される先生を巻き込んで、「基礎技能科目」でしかない「文章表現Ⅱ」の受講生から有志を募り、作品を展示するなどして学祭でアピール。


2年目、3年目からは学内助成を取って、神戸からはるばる横浜へ遠征。ポスターセッションやプレゼンテーションやらを詰め込んで、とにかく経験を積ませ、実績をつくりました。


そして今年の春、総合展に参加した学生たちが中心となって、晴れて図書館サークルをつくるに至りました。


我々の役目は果たしたね、と話していたのですが。


過去2年はとにかく実質的な活動と実績を積ませて自信をつけさせて…と指導に忙殺されて、会期中も会場に缶詰。


横浜のヨの字も見れてなかったよねと思い始め…


あれだけ新聞を使った授業をして、新聞に何人も掲載させ、私単独の科目でも、新聞を使った授業の様子を新聞に掲載してもらって…とやってきたにもかかわらず、新聞博物館も行けてない。。。


ということで、今度こそラスト!
 
出展だけではなく、学生と横浜のまちを回ろうよ、ということになりました。

日本新聞博物館、新聞発祥の碑、開港資料館や記念館、氷川丸などを予定。

日本近代史を象徴するまちですよね。港町・神戸との比較もできそうです。


氷川丸は杉原千畝が救ったユダヤ難民を最終目的地に運んだ船の一つ。
千畝紀行・横浜編も兼ねられます。


今年こそ、横浜のまちも満喫しようと思います!


※写真は2017年の図書館総合展での発表の様子


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by chekosan | 2018-10-02 21:15 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
1日にバルト3国の旅から帰着。その3日後、台風21号に襲われた関西空港の様子に心を痛めた9月初旬。
学生たちと快晴の空の下、広島の原爆遺構を訪ね、現地を歩く意義を体感した中旬。
興奮冷めやらぬまま新学期を迎えた下旬。
非常に濃い一ヵ月でありました。

9月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3107
ナイス数:401

なぜ日本の災害復興は進まないのか―ハンガリー赤泥流出事故の復興政策に学ぶなぜ日本の災害復興は進まないのか―ハンガリー赤泥流出事故の復興政策に学ぶ感想
記録を忘れていた本。ハンガリーで2010年に起った赤泥流出事故では10名の住民が亡くなり、付近一帯の環境に重大な影響を与えた。赤泥はアルミニウム製造の過程で出る強アルカリ性の残滓。事故の直接の責任はアルミ会社にあるが、被害の甚大さを鑑み、政府は迅速に処理に当たり、被害者救済に努めた。加害会社の責任は責任として、人命や財産が侵害されたという事実を重視し、「被災の緩和」を第一に対策に当たったこと、募金を基金にして、コミュニティ崩壊を食い止め再生を促進するような施策に融通した手法などを著者は評価する。
読了日:07月25日 著者:家田 修 ※記録を忘れていたので9月分としてまとめておく


ゲンロンエトセトラ #5ゲンロンエトセトラ #5感想
最近我が家はうっすら東浩紀ブーム。観光、ダークツーリズム、スタディツアー、ミュージアムに関心があるので、いろいろヒントを得ている。この雑誌はそれらを特集。特集記事のみさらっと読んだが、後に刊行された、東浩紀『弱いつながり』『ショッピングモールから考える』古市憲寿『誰も戦争を教えられない』に発展、結実しているので、これから読む人はそれらを読まれるといいだろう。後ろの方の連載「プラハのカフカ・ミュージアムと「世界文学」の時代の文学館」も、短いレポートだが、最近の私の関心に重なっていて興味深かった。
読了日:09月05日 著者:東 浩紀,高橋 源一郎,市川 真人,速水 健朗,古市 憲寿,海猫沢 めろん,いしたに まさき,ふるまい よしこ,河野 至恩,安 天,松本 直之,入江 哲朗,松山 直希


埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意 (講談社現代新書)埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意 (講談社現代新書)感想
県立高校名をタイトルにした新書、それも高校生とその保護者向けの講演録で一冊の本を出して採算が採れるという点で既に驚き。しかし佐藤氏がここまで高校生や保護者に個別に助言しているとは!あれだけの勢いで著作を出し、方々で教えたり講演したりしながら、受験や大学の動向も追い、メンタルな相談まで。もともと中学教師になりたいと言っていただけあって、教えみちびき寄り添うことが好きなのだなあ。いろいろ感嘆する。灘校生との対話の本の方が内容的には濃いので、一冊選ぶならそちらをおすすめ。
読了日:09月06日 著者:佐藤 優,杉山 剛士


新版 広島長崎修学旅行案内―原爆の跡をたずねる (岩波ジュニア新書)新版 広島長崎修学旅行案内―原爆の跡をたずねる (岩波ジュニア新書)感想
単なる史跡案内ではない。ヒロシマ・ナガサキという表記、被害と加害、被爆体験の絶対視と「継承」、「生き残りの後ろめたさ」といった問題について考えることを促す。語り口は穏やかでやさしいが、しっかり咀嚼しながら読みたい本。リフトン『死の内の生命』ではアウシュヴィッツからの生還者と共通する被爆者の心情を分析しているとのこと。重藤文夫・大江健三郎『対話/原爆後の人間』、永井隆『長崎の鐘』、林京子『祭りの場』なども読みたい。広島は近々初めて行く。長崎は二度修学旅行で行ったが再訪したい。より深く意義ある観察ができそう。
読了日:09月09日 著者:松元 寛


バルトの光と風バルトの光と風感想
再読。前回(一年前)は初のリトアニア旅行の情報収集としてざっと見ただけだったが、今回はバルト3国縦断後なので一気に読み通した。著者が3国を回った1999年夏と私が行った2018年夏とは、治安や経済状況(物価含む)、賑わいなどが相当違う。個人の旅行記は、月日が経つと情報収集としては適さなくなるが、逆に社会の変わりようを知ることができる。ということで、私も記録を残さねば。それにしても男性は気楽にお酒に誘ったり誘われたりするのだな。女子学生、あるいは母として旅行するとそういうのは皆無だわ~。
読了日:09月10日 著者:河村 務


4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した感想
資料調査や親族の証言で補って可能な限り当時の様子を再現した回想録。コミュニティがしっかりしていて、住民に有利になるよう働くユダヤ人評議会があったところでは、比較的長く共同体が存続し、多少ましな生活ができたようで興味深い。なお著者の親族のうちで唯一、戦争前に欧州を脱出した女性は、杉原千畝の発給したビザで日本を経由してアメリカに渡り、事業を成功させ、親族を呼び寄せたという。ここでも杉原ビザによるサバイバーが!詳しくはブログに記録。https://chekosan.exblog.jp/28650392/
読了日:09月11日 著者:マイケル・ボーンスタイン,デビー・ボーンスタイン・ホリンスタート


カウンターの向こうの8月6日 広島 バー スワロウテイル「語り部の会」の4000日カウンターの向こうの8月6日 広島 バー スワロウテイル「語り部の会」の4000日感想
この数年ヨーロッパの負の遺産を訪ねるようになって、広島に行ったことがないことが気になり出した。そこで同僚や学生とスタディツアーを計画、少しずつ関連本を読んでいる。戦後70年以上経ち、被爆体験者が高齢化し、亡くなられたり話せなくなったり記憶があいまいになったりされている。経営するバーで語り部の話を聞く会を10年以上続けた著者が、語りを直接聴くインパクトの強さを感じるとともに、記憶を記録に残しておくことも大事であると記しているところが印象に残った。著者自身も病気で若くして亡くなる直前まで本書を執筆された。
読了日:09月13日 著者:冨恵 洋次郎


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)感想
文学やノンフィクション作品を通してロシアソ連東欧を知る輪読の授業で読むので再読。もしかして読んでなかったか? NHKのドキュメンタリーで見ただけだったか? 1本目読みだして、あれ? おませな少女の下ネタ満載で、授業で使って大丈夫だったかと苦笑。でももちろんそれで終わりではなくて、社会主義期のプラハの学校に集った4人の少女たちの学校生活を通して、社会情勢、国際情勢を鮮やかに描き出す。授業終えたら学生の反応や感想交えて、詳しく記録しようと思う。とりあえず選んで間違いではなかった。
読了日:09月13日 著者:米原 万里


世界を平和にするためのささやかな提案 (14歳の世渡り術)世界を平和にするためのささやかな提案 (14歳の世渡り術)感想
中学生から大人までが対象だが、ルビがあるので小学校高学年でも可。各界の著名人の提言は見事にそれぞれ文体が違うのだが、いずれも流れるような文章。かなり練って作られた本だと感じた。一人数ページなので読むのが苦手な子でも。クラスで分担して読んで紹介し合うのもよいかも。若い書き手はやや抽象的、感覚的だが、柔らかく寄り添う文体なので若者に響きそう。専門家は短い中に情報や考え方を凝縮していてさすが。私はやはり国際協力の現場を踏んできた方の提言にひかれた。特に伊勢崎賢治氏の「就活と戦争」を学生に読ませたいと思った。
読了日:09月14日 著者:黒柳 徹子,徳永 進,中川 翔子,永江 朗,伊勢崎 賢治,木村 草太,香山 リカ,ヨシタケシンスケ,田中 優,島田 裕巳,小島 慶子,春香 クリスティーン,辛酸 なめ子,竹内 薫,最果 タヒ,山本 敏晴,山極 寿一,上坂 すみれ,文月 悠光,サヘル ローズ,池澤 春菜,加古 里子


「ダビデの星」を拒んだ画家フェリックス・ヌスバウム「ダビデの星」を拒んだ画家フェリックス・ヌスバウム感想
同じ著者のもう一冊のヌスバウムの本https://chekosan.exblog.jp/28304919/ を読んで。もう一冊との違いがあまりわからなかったが(私が忘れているだけと思うが)、いずれにしてもヌスバウムの絵を観にオスナブリュックに行きたい。
読了日:09月18日 著者:大内田 わこ




新版 1945年8月6日―ヒロシマは語りつづける (岩波ジュニア新書)新版 1945年8月6日―ヒロシマは語りつづける (岩波ジュニア新書)感想
著者は学徒動員中に被爆。原爆被害を広く知らしめる運動に携わってきた。タイトルは広島への原爆投下の日であるが、カバーしている範囲は広い。広島と長崎の投下直後の惨状から始まり、その後の影響と苦しみ、原爆開発の経緯、使用の背景、広島と長崎が選ばれた経緯、戦後の情報隠匿から、80年代の欧州の反核運動の広がり、チェルノブイリ原発事故、INF全廃条約の締結まで。新版は1989年に出されたもの。著者は2000年に亡くなられている。
読了日:09月25日 著者:伊東 壮



オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)感想
『嘘つきアーニャ』に続いて輪読ゼミで読む本。事実と体験を巧みに盛り込んだフィクション。1960年代にプラハのソビエト学校で出会った女性教師オリガ・モリソヴナたちの謎を、主人公が旧友と共に90年代初頭に解いていくなかで明らかになるスターリン時代の人権抑圧の実態。限られた日数で資料を探し関係者を訪ね歩く過程も非常にリアル。いくつかのどんでん返しもうまい。謎解き小説として読むだけでもスリリングで面白いが、革命からのソ連東欧の激動と悲劇と人々の生き様を感じとれる作品としておすすめ。
読了日:09月28日 著者:米原 万里

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by chekosan | 2018-10-01 20:52 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)