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by chekosan

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新聞を活用した授業実践(NIE=Newspaper in Education)の
セミナーに行ってきました。(2016年2月24日)

主催は滋賀県NIE推進協議会。会場は琵琶湖畔のピアザ淡海です。
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主な参加者は、教師を目指している学生さん、現職の小中高の先生方。
新聞記者さんも何人か来られていて、たくさん撮影されていました。
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講演は長岡京市の中学校教諭、宮沢之祐氏。元神戸新聞の記者さんです。

阪神淡路大震災や神戸児童連続殺傷事件、明石の花火大会の歩道橋事故など、
社会に大きな衝撃を与えた事件、事故、災害等の報道を通して、
新聞に何ができるか、どう活用すればいいかといったお話をされました。

たくさんお話になったなかで、特に印象に残ったことで、
紹介しても大丈夫であろうことを少しだけ記録します。

阪神淡路大震災のとき、神戸新聞の社屋は倒壊する危険性があり、
京都新聞などほかの新聞社の協力でなんとか新聞を発行できたこと。

しかし、地元の新聞社であるにも関わらず、取材をしているにもかかわらず、
物理的に豊富な紙面を提供することができず、悔しい思いをされたこと。

安否情報や生活情報などは紙の媒体が役立ったこと。
普段は同じ情報はニ度は載せないが、
こういう状況では、「変わっていない」ことも貴重な情報だと判断し、
同じ情報でも繰り返し載せたこと。

ボランティア募集の記事を見て被災地に関わるようになり、
人生が変わったと話された方がいらしたこと。

そのことをきっかけに、
ほんの数行のお知らせでも、それが人と人をつなぎ、
人生を変えることもあるのだと気が付いたこと。

いいお話だなあとしみじみ思いました。

ほかにもいろいろ興味深いお話を聞くことができました。


もうお一方、栗東の中学校の久保浩司先生がNIEの実践報告をされました。
こちらも生徒たちのレポートなどをふんだんに見せていただきました。
字のきれいさ、分量、日本語の確かさ、
中学生でこれだけ書けるのかと感心しました。

せっかくの報告なので、もう少し質問の時間があればと思いました。

中学校の先生方の興味深いお話を拝聴し、
大学は数種類の新聞が常備されている贅沢な環境にあるのだから、
もっと活用しないとなあ…と思いました。


水辺は寒い。でも冬の琵琶湖も乙なものでした。
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by chekosan | 2016-02-25 17:16 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
フィールドワークの進め方を紹介した本、しかも題材が京都、
これはいろいろ参考になりそうと図書館で借りました。

そうしたら!
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その中の一編にすっかり魅了されてしまい、結局購入しました。

中村勝「『土曜日』と喫茶店ネットワーク」です。

中村さんは京都新聞元記者。

『土曜日』は昭和11年から1年4か月発刊された隔週の文化新聞です。

発行人は松竹の撮影所の大部屋俳優だった斎藤雷太郎氏。

撮影所の人たちが原稿を持ち寄って文集を発行し、回し読みしていたのを
発展させて新聞にしたのが『土曜日』です。

『土曜日』には、中井正一など名だたる文化人も執筆していますが、
斎藤氏はインテリだけでなく庶民が読んでもわかるものをと
執筆者にはわかりにくい文章を直すよう促したりもしていたそうです。

まずは当時普及しはじめていた京都の喫茶店に置いてもらい読者を獲得しました。
折を見て買い取り制にしたところ、ますます好評を博し、
学生が帰省時に地方へ持って帰ったことで
各地から投書が寄せられるようになったそうです。

そして読み手が増えるにしたがって読者からの投書も増え、
弾圧による廃刊の直前には投書で70%を埋めるまでになったのです。

小中学校卒の人も読めて、でも内容も充実している新聞をつくる、
そして読者がつくる新聞にしていくという狙いを達成したのですね。

しかも『土曜日』は、反ファシズムの新聞にもかかわらず、
廃刊のときに次の新聞を発行しても余るくらい資金を残していたとか。
商業的にも成功していたということにも驚きです。

そうした文化を育んだ喫茶店は、当時の都市風俗の先端をいっていて、
「小市民共通の応接間」と表現されていたということです。
ああこの表現! いいですね~!

喫茶店で新聞が読まれ、言論が広がる、といえば、
フランス革命時のカフェが連想されます。

が、『土曜日』を置いていた京都の喫茶店の一つ、
フランソア喫茶室の創業者・立野正一さんは、
フランソワは「カフェ」ではなく「サロン・ド・テ」だと言っておられたとか。
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         写真は現在のフランソア喫茶室
           創業当時は奥の半分が洋書店さんだったとのこと
           店名はフランソア・ミレーからとったそうです


サロン・ド・テとはフランス革命時に王朝を倒すために
ブルジョワやインテリが集まったところで、
カフェは勤労大衆のもの、と立野正一さんは位置付けていたそうです。
(木村衣有子『京都の喫茶店 昨日・今日・明日』平凡社 2013)

『土曜日』の狙いと、それを置いていた喫茶店で、
若干の見解や方針の相違があるのもまた面白いところです。



そんなわけで、先日、フランソアに行ってきました。
京都に何十年も通いながら初めてです。

観光で来られていると思しき方、よく来られている感じの方、
さまざま見受けられましたが、どなたも浮き足立った感じがなく、
でも緊張しているわけではない、和やかな雰囲気でした。
まさに「共通の応接間」という空気が流れていました。

そして、ちょっとこぶりなカップのコーヒー(フレッシュクリーム入り)、
ブランデーケーキとレモンタルト、とっても!!美味しかったです。


残念ながら『土曜日』を置いていた喫茶店もだいぶなくなったようです。
歴史と味と雰囲気を持つ空間が残ってくれることを願います。

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中村氏のほかにもいろいろ興味深い論稿がありました。
イラストや写真も豊富で親しみやすい本です。

鵜飼正樹、高石浩一、西川祐子
『京都フィールドワークのススメ あるく みる きく よむ』(昭和堂 2003)
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こちらもすてきな本です
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by chekosan | 2016-02-22 15:41 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)

滋賀大学教育学部で美術を専攻した学生、院生さんの制作展に行きました。
チビッコ、ワークショップに参加!

まずはチビッコの型を取ります! 
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のこぎりで切り抜いていきます。ボードはプラスチック養生パネルです。
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昔、こういう型を抜くガムがありましたね。^^
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人型に抜けました!
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模様を描いていきます。
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どんどん絵の具の色が増えていきます。
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その間に、美術専攻の学生さんたちが抜型?に絵を施してくれました。
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できたー! 僕と僕のツーショット☆
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美術講座の先生が写真を撮れるように立ててくださいました。
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どんな風に展示されたかな。乾いたころを見計らって再度見に行きました。

わ~~、主役みたいに展示してもらってました!

でもこれはまだ途中。
この時点では、ほかの子どもたちが作った作品は乾燥中でした。
最終的にはどんな作品になるかな~。
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さて、チビッコが制作している間に、
私は学生・院生さんの作品をじっくり拝見しました。

滋賀の色にこだわった作品(左)、
思わず買いたい!と思ったラッピングデザイン(奥)。
お2人ともデザイン関係のお仕事に就かれるとか。ご活躍を期待します。^^
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遊び心あふれる陶器、ダイナミックな絵画などなど。すべては掲載できませんが。
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ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」を分析した院生さんの修士論文は、
ざっとですが全編読ませていただき、ご本人ともお話してきました。

その院生さんの分析に基づいて京都精華大学のお友達が制作したという、
「快楽の園」の3CGも面白い試みで、じっくり拝見しました。
こちらは後日、You Tube で公開されるそうです。
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卒論や修論は論文そのものも展示してあるのですが、
さすが美術専攻、フォントやレイアウト、
ファイルの色合いなどまでセンスが良い!
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学生さんたちの力作、とても楽しく拝見しました。


卒業制作展は2月27日(土)まで草津市立草津クレアホールで開催されています。
by chekosan | 2016-02-21 21:43 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
2016年1月末に発行された紀要論文がインターネット上で公開されました。
早い! ものすごく早くてビックリです。(@_@)

今回は大阪商業大学と流通科学大学での図書館との協働についてまとめました。

「授業と図書館の協働 ―初年次教育科目における連携を中心に―」
  『流通科学大学論集』第28巻2号(2016年1月発行)

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自分が何に興味があるのか、大学で何を学んでいけばいいのかが
漠然としている学生は多いです。

興味関心は明確にあるものの、
それが学問になるとは思っていない学生も多いです。

学術的に追求したいことは明確でも、
初年次生は当然ながら、そのツールや方法を知りません。

その大きな助けとなるのが図書館です。

インターネットで大量の情報を得られるようになっても、
図書館がもつ力、役割は大きいです。

ということで、図書館の皆さんといろいろ開発した成果です!
ぜひご覧ください。(^▽^)

本稿を書くにあたっては、
両校の図書館のみなさまと、授業で連携していただいた先生方、
また、学習経験の実態調査をしていただいた
流通科学大学「文章表現」担当の先生方に大変お世話になりました。
ありがとうございました。
by chekosan | 2016-02-20 21:18 | 書いたもの | Trackback | Comments(2)

2015年3月に第21回大学教育研究フォーラムで発表したときの発表要旨が
京都大学高等教育研究開発推進センターHPに公開されていました。

大学教育におけるコラボレーションの創出-正課授業× 学習支援センター× 図書館-


そして!  
今年も同僚の桑原桃音先生と共同で発表させていただきます。

第22回大学教育研究フォーラム(於 京都大学吉田キャンパス)
プログラムはこちら(PDF)

「授業観察と合同授業による授業リフレクションの実践-日常的、継続的、効果的なFDの取り組み-」(3月18日9:00~<部会18>)

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by chekosan | 2016-02-18 15:39 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)

同志社大学法学部の専門科目「ロシア・東欧地域研究」の成績評価を終えました。

登録者は112名でした。
登録者のうち約80%の学生はきちんと出席し、課題をクリアして合格しました。
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112人のうち14%くらいの学生は登録しただけで全然来なかったので、
その学生を除くと、出席率は8割くらいでした。

合格者には高得点を連発しました。
成績分布だけを見ると、楽勝科目に見えるかもしれません。
そうしないわけにいかない頑張りようを見せてくれたからです。

成績評価基準は、小レポート4回、期末レポート1回、
そして発表などクラスへの貢献。

もちろんレポートは出しただけではダメで、出来で点数が変わります。

小レポートは8回出題し、意欲があれば4回以上出しても可、
ただし、出来の良いものから4本分をカウントすることにしたところ、
6本提出した受講生も数名いました。

それらをすべて添削して翌週には返却しました。

毎回の授業でも学習記録カード(下の写真)をやりとりしましたので、
出欠や課題への取り組み具合もごまかしようがありませんでした。
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ですので、受講生も教員(私)も、相当にキツイ授業となりましたが、
期末レポートの出来を見て、やはり訓練は実を結ぶと感じました。
たいへん読み応えのある力作ばかりでした。

少し足せば十分活字にできるものが何本もありました。
我こそはと思う人は学生論集への投稿に挑戦してはいかがでしょう。
ご希望があれば見ますよ。

期末レポートでどのようなテーマが取り上げられたかは、
また一覧を作って分析したいと思いますが、
授業での受講生の発表が大変良い影響を与えたことは強調しておきます。

勇気を奮って大教室で発表してくれたみなさん、
聞いていたみなさんは、たいへん刺激を受けていましたよ。

発表内容や発表態度に感銘を受け、
自分の期末レポートで発展させて論じてくれた人が何人もいました。

大教室での大講義科目で、そのような相互作用、
相乗効果を生み出せたのはたいへん喜ばしいことでした。
ありがとう。

残念ながら発表できなかったみなさん、
全員に機会を設けるのは時間的にも授業の流れ的にも無理でしたので、
そこは全員に損にならないよう考慮しました。ご安心を。

2016年度は春学期に同じ講義科目を、
秋学期には特殊講義でゼミ形式の授業を開講します。

特殊講義では、さらに読んで語って書いていただこうと思っています。
アレ以上でもがんばれるという意欲のある方、歓迎します。^0^

受講生のみなさん、たいへんおつかれさまでした。
卒業するみなさん、ご活躍をお祈りしています。
どこかでお会いしたら気軽に声をかけてください。
by chekosan | 2016-02-18 00:07 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
私は社会科学系の大学で、大学入門的な科目を担当している。

現職場は、まず体験して気づくということを重視したプログラムを全学導入していて、
4月早々にフィールドワークも行う。

とはいっても入学してすぐなので、
当然ながらほとんどの学生たちはフィールドワークの手法を知らないし、
人や場所やものを見る目も養われていない。

しかも担当者である私自身もフィールドワークをきちんと学んだわけではない。
昨年度は統一プログラムとして提示された共通教材と
代表教員の全体指導におんぶにだっこで頼り切ってしまったため、
学生には申し訳ないが、我がクラスに関しては、
費やした時間に見合った成果を出せたとは言えなかった。

その反省から、次年度に向けて、
フィールドワークの方法について学ぶべく手に取った次第。

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本書のサブタイトルは「どこにでもある日常空間をフィールドワークする」。

没個性的、どこにでもあると言われるような現代的な場所をフィールドとして
大学生がレポートや卒論を書くための実践的なテキストとして書かれた本である。

とりあげているのは、コンビニ、家電量販店、ショッピングモール、
パーキングエリア、マンガ喫茶、ラーメン屋、郊外型書店、フィットネスクラブなど。

恒常的な商業施設以外にも、フリーマーケット、音楽フェス、
寺社巡礼、パワースポットなども対象としている。


全編を読んでみて。

まず読み物としては面白かった。
平易な文章で短い事例がたくさん編まれていて短時間で読み通すことが可能である。

行き慣れたところでもぼーっといるだけでなく、
ちょっと意識して目を向けてみたらいろいろ気づくよ、
どんなところ、どんな場でも学問の対象になるよ、

と気づかせることには成功していると思う。

が、学生のレポートや卒論の「模範演技」(本文中の表現)という点ではどうだろう。

著者たちは、必ずしも自分の研究対象を取り上げたのではなく、
編者がピックアップしたフィールドを依頼されて担当したのだという。

そこを専門で研究しているわけではなくても、
こんな風に社会学的に観察、考察できるのだよと見せるのが狙いだろう。

そういう狙いに沿って、本書の各章は、

 ・まずフィールド先に関する個人的な体験や印象から始まり、
 ・次にとりあえずフィールドを観察して、
 ・それを検証するために文献などを確認し、
 ・社会学の理論や先行研究を援用して考察する、

という形をとっている。

…のだが、全編あまりにさらさらっと書いたエッセー風なのである。
それが読みやすさ、面白さになってはいるのだが。

社会学の知識も手法も身につけた研究者は、
普段関心をもっていないフィールドでも見る目が養われているし、
理論や手法や知識が身についている。
それらを援用すれば、この本の一章分くらいの文章はささっと書けるだろう。

果たして、学生はそこをちゃんと見抜けるだろうか。

学生がこの本を読んだからといって、すぐに観察眼は養われないだろうし、
学術的に考察するための資料や理論は引っ張ってこれないだろう。

そこはやはり基本的な学術的なものの見方や考え方が必要だし、
知識や情報を得る方法なども知っていなくてはいけない。

…などと、ごくごくまっとうな原点を確認できたのは収穫であった。

そして、具体的な実践例が豊富なので、
本書と同様、現代的な商業施設でフィールドワークをするうえで、
どういった準備や誘導が必要か、
あるいはどういったことは事前にしない方がいいのか、
といったことも考えることができた。

フィールドワークを指導するうえで、いろいろな示唆を与えてくれる本であった。

もちろん、これ一冊でフィールドワークを指導できるようになったとは思っていない。

引き続き勉強するといたします!
by chekosan | 2016-02-16 00:00 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
「関西ウーマン」に月一回(第2土曜)に連載させていただいている書評、
2016年2月分がアップされました

今回はオルデンバーグの『サードプレイス』です。

サードプレイスという言葉は、
スターバックスが自社のコンセプトとして打ち出したことで、
くつろげるお気に入りの場所のような使われ方をされていますが、
オルデンバーグはこの概念で、何を主張しようとしていたのかをまとめました。

同時にオルデンバーグの矛盾や限界にもつっこんでいます。

では、私たちが生きる現代の日本社会で、
オルデンバーグの言うサードプレイスにあたるところはどんなところかですが、
このブログの一つ前で書いた『まちの居場所』
紹介されている諸事例がぴったりだと思います。
そちらも併せておすすめします。

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by chekosan | 2016-02-13 11:26 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
日本建築学会編とありますが、かたくて難しい論文集ではありません。
むしろとても読みやすい本です。写真や図も豊富です。

第一章は全国の「まちの居場所」19か所の紹介で、これが本書のメインです。

本書でいう、まちの居場所とは何か。
レイ・オルデンバーグの提唱する「サードプレイス」とかなり重なっています。

自宅や職場・学校以外で、
行かなくてはいけない場所ではなく、
明確な目的をもっていくというよりもなんとなく足を運ぶところ、
行けばいろんな人と出会い、いろんな活動に触れられるところ、
くつろげて、刺激も得られるところ、
そこから新しい出会いや活動が生まれるところ、

といった感じでしょうか。

そんな居場所を、いずれも数ページずつで紹介しています。
海外の事例もコラムという扱いで出てきます。

後半三分の一ほどは、居場所のキーバーソンや専門家へのインタビューと、
まとめ的な論稿です。こちらも難しいものではありません。
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本書で取り上げられている居場所は多様です。

既存の建物を改修、転用するなどして地域に開いている事例が多いですが、
新築の建物や、公園、川べり、共同洗い場なども出てきます。

用途もさまざまです。
高齢者のグループホーム、子どものための公園や読書室やフリースクール、
コワーキングスペース、団地や周辺住民のためのフリースペースなどなど。

創設者や運営の主体もいろいろです。
自治体が関わっているものもありますが、多くは個人や地域の団体などです。

そのような多様な形態の場所の共通点がまとめの論稿に挙げられています。

・訪れやすいこと
・多様な過ごし方ができること
・多機能であること
・多様な人、多様な活動に触れられること 
・自分らしく居られること
・社会的関係が作り出されること  
・参加できる場であること
・キーパーソンがいること  
・柔軟であること
・地域との接点がもたらされること 
・物語が蓄積されていること


私が強く興味をひかれた居場所は、
千里ニュータウンの空き店舗を使った住民手作りのフリースペース、
親と子の談話室とぽす(東京江戸川区)=図書コーナー付きの喫茶店、
大阪東淀川の府営住宅のフリースペースです。

小さい頃に大阪の団地に住んでいて郷愁を誘われたこともありますが、
いま現在、ベッドタウンの住宅地に住み、
住民の高齢化に伴う問題を我々世代がどう克服するかが
身近なこととして迫っているからだと思います。

そうした住宅地には案外、集うところがありません。
特に子どもが屋内で集えるところがないので、
どうしてもわざわざ約束をして遊ぶということになります。

集会所や公民館は日本中にたくさんありますが、
申込制であったり団体でないと借りられないことが多く、
いまひとつ有効に活用されていないようです。

わが町も、小さなスーパーが撤退したあと人通りが激減しました。
近所の人に会うことがなくなり、活気がなくなりました。

そうなると行事やイベントに出ていくのも億劫になります。
普段の交流があってこそ特別な行事にも関わろうと思うものです。
たとえ行事に参加しても、その場限りになります。

家があって人が住んでいるだけでは交流は生まれないし、持続しない。
なんとなく行けるところが近くにない弊害をひしひしと感じています。


それは、まち自体が不自然につくられた場合、より深刻なようです。

新潟の中越地震の仮設住宅地では、
集落単位で入居した地区とそうでないところで人的交流に差があり、
仮設住宅の住みこなし(改造や寒さ対策の工夫)にも違いが現れたそうです。
人のつながりがあるかないかで個々の生活のハードの面も変わってくるのです。

そこで、複数の大学が仮設カフェを開いて、
仮設住宅地の住みこなしについて情報を共有できる場を開きました。

この事例の場合は、恒常的なものではなく単発のイベントですが、
他者が介在して情報交換の場を設けることで、
かえって閉塞していた状況を破る効果もあったとのことです。

住民が主体となって普段から交流できる場をつくるのが理想ですが、
まずはこのような機会をもって、
問題を顕在化させるところから始めるのもありかもしれないと思いました。


ほかにも参考になる事例がたくさんあります。
まちづくりや居場所づくり、市民活動などに関心のある方におすすめです。
by chekosan | 2016-02-11 16:33 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
関大の成績を報告し、2015年度の関大に関するお仕事を終了しました。^^

英語の文章を使って法学や政治学を学ぶ科目ですが、
一年を通して、グループワークや映画鑑賞などさまざまなスタイルの授業をしました。

図書館のラーニングコモンズを使って
それまでに学んだ事柄に関する雑誌記事を探して発表してもらった回もありました。
非常に高いレベルの発表を短時間で全員ができたことには嬉しい驚きでした。

2015年度に取り上げたテーマは以下の通りでした。

マララさん、サティヤルティさんのノーベル平和賞受賞、
世界一大きな授業」(国連開発計画)、
途上国における女性のエンパワーメント、
映画「Girl Rising」
縮小都市の問題、
欧州への難民問題、
デンマークの移民政策の評価、
1989年以降の東欧、
エストニアの市民社会。


2016年度はどんな学生とどんなテーマで学んでいこうか、楽しみです。

このブログを見つけて登録の参考にする学生がいるとは思いませんが、
秋学期のアンケート結果は集計中で、
現年度以外の結果は非公開となっているので、
直近数回分をこちらに貼りつけておきます。

画像のサイズがいろいろで見にくくなってしまいました。(^-^;
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by chekosan | 2016-02-10 18:06 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)