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中・東欧、ロシア、大学教育、美術展、映画鑑賞などなど


by chekosan

カテゴリ:ロシア・東欧に関する授業@同志社( 36 )

2018年度の同志社の輪読ゼミでは、各自のおすすめも紹介してもらいました。

そのなかの一つに、映画「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」(2006) がありました。

ゾフィーは兄とともにドイツ本国の学生たちによるナチへの抵抗運動「白バラ」の主要メンバーでした。ショル兄妹は活動発覚後、逮捕されて処刑されています。

映画もまた見るつもりですが、先日、図書館で見つけた児童書を読んでみました。

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薄くて平易な文章なので、読みやすくわかりやすい本です。

写真が多くて、しかも、よく撮れたものを使っているので、実際にあったことなのだなと一気に臨場感が湧いてきます。

ショル兄妹や仲間のものもあれば、彼らがビラを撒いて捕まった大学の建物、そしてヒトラーがパリを手中に収めてポーズを取っているものなどなど。

そこ?という感想ですが、同じ時期の東欧のものよりも、写真のレベルが格段に高いように思えます。(大学の写真は最近のものかもしれません)

ショル兄妹や仲間たちは見せしめとして処刑されてしまいますが、そのことはむしろ国民の反発を招き、以降も白バラを標榜するビラが撒かれ続けたそうです。

ショル兄妹が逮捕されたミュンヘンの大学の建物は今も残っていて、彼らを記念するモニュメントや銅像、広場、資料館もあるそうです。ぜひ現場に行ってみたいと思いました。


by chekosan | 2019-03-23 09:50 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社大学での輪読ゼミ第3期(3年目)が終わりました。

今期は哲学科の学生が数名参加してくれました。人数も二桁になりました。ほかの授業を受けて登録してくれた人、はじめましての人が半々くらい。過去2年とまた違う雰囲気でした。

2018年度はこんな感じで進みました。

米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』


みんなのおすすめ
いろいろな作品の紹介や現地に行った体験談を披露してもらいました。ホロコーストに関心をもつ人が多そうだったので、後半に取り上げることにしました。

このときに紹介してもらった映画のうち一本を、後半にみんなで鑑賞しました。

持ち寄り企画は大好評につき、期末には各自選んだ何かについて本格的な発表をしてもらうことにしました。


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ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』
『オリガ~~』に関連のあるもので何かないかとアシスタント院生君といろいろ検討して決めました。好き嫌いというか、面白いと感じる、感じないが分かれる作品だったようです(笑) 

私は、夏にラトヴィアの拘置所跡でソルジェニーツィンに関する展示を見たあとだったこともあって、ソルジェニーツィンに以前よりも関心がもてて面白く読めました。

フランツ・カフカ『変身』
大盛り上がりでした。ザムザはいったいどんな姿になったんだろうというところから始まり、「変身」とは何を示しているのか、こうも読めるのでは、などなど。映画にもなっているというので、いくつかさわりを見てみましたが、どれもなんというか笑いを誘う絵で、非常に印象的な回でした。

ハンス・ペーター・リヒター『あのころはフリードリヒがいた』
ホロコーストをテーマにした作品です。児童文学ですが、「いい意味で予想を裏切られた」という感想が出ました。これは本当に名作だと思います。期末の発表で続編を紹介してくれる学生も現れました。

プリーモ・レーヴィ『これが人間か アウシュヴィッツは終わらない』
ホロコーストをテーマにした作品の代表的なものを読んでおこうと思って取り上げました。自分がこんな状況に陥ったら…と真剣に考えてくれました。

やはりアウシュヴィッツに収容されていた精神科医ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』を一人の受講生が最後の発表で取り上げてくれました。


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近藤康子『コルチャック先生』
やはりホロコーストの犠牲になったポーランドの医師であり教育家であるヤヌシュ・コルチャックの評伝を読みました。著名な人物ですが、日本語で読めるものはあまりありません。こちら児童向けのジュニア新書ですが、コンパクトにまとまっていて入手可能で、良書だと思います。

みんなのおすすめ
文学やルポルタージュ、映画など、多様なおすすめが出そろいました。2週にわたってじっくり聞かせていただきました。が、時間が足りなくなって、せっかく準備してきてくれたのに発表してもらえなくて、書面だけの提出になってしまった人も… 申し訳なかったです。><

ーーー

今回、苦戦したのはテキスト選びでした。これは年々、難しくなっています。

ロシアや東欧の作品で、歴史や社会や政治を学ぶことができるものはたくさんありますが、手に入りやすいものとなるとぐっとハードルが高くなります。

新しいものは高い。ちょっと前のは売ってさえいない。(-_-;)

学期に一冊くらいなら、まあがんばって入手してくださいと言いますが、さすがに何冊も何冊も買えというのは酷かなと。

でも、私とお手伝いをしてくれているアシスタントの院生君は、どんどん違うものを読んで語りたい。

大学図書館には超有名なものでも数冊あるかどうかです。受講者が2人とか5人の時はともかく、10人になるとさすがにありません。単行本や絶版の本は取り上げにくくなり、どんどん追い込まれていってます(笑)

ということで、2019年度に向けてテキスト発掘にいそしみたいと思います。

ーーー

恒例の新年会を授業期間中に開くことはできませんでしたが、卒業見込み生たちの進路が決定したタイミングで、打ち上げ&卒業おめでとう会を開きました♪

一次会では、おいしいごはんをいただきながら和やかにおしゃべりしました。参加者の意外な過去が明らかになったり、イメージどおり!という過去が明らかになったり(笑)

二次会は先斗町のウォッカバーで、硬軟取り混ぜ、さらにつっこんだ話を。

話しているなかで、実はみんなもっと交流したかったのねということがわかりました。人数が多い年こそ、早い時期に授業以外で交わる場を設けたらよかったです。

展覧会などにみんなで行くのも良いかもと院生君が提案してくれました。なるほどいいかもしれません! それならOB・OGも参加可能かも! 

ブログ見てくれているOB・OGのみなさん、そのときはぜひ!
連絡先が変わったらお知らせください♪ 
(Facebook、Messengerで繋がれる人はそちらが便利でありがたいです)

2019年度秋学期にも同じようなコンセプトの授業(だけど同じではない)を担当するので、授業内容、交流の企画などグレードアップをはかりたいと思います。


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by chekosan | 2019-03-19 19:00 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)

ロシア(ソ連)や東欧の文献を読む輪読ゼミ、最後の2回は、各自が読んだり観たりした作品を紹介する持ち寄り企画でした。


みんな力を入れて丁寧に紹介してくれたので、私もぜひ読ませてもらおうと少しずつ入手しています。

こちらもその一冊。ラジスラフ・フクス『火葬人』(松籟社 2014年)。


以下、ネタバレあります。


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ナチに支配されたプラハでドイツ系の主人公がそれまでの寛容な態度をあっさり翻して周囲の人々をクビにしたり消していったりする、ああ恐ろしい全体主義…という感想が多いようです。

もちろんそのように読めるのでしょうが、それ以上に、このおっちゃん、穏やかで、品性を保って、誰にでも丁寧な物腰の紳士としてふるまっていたけど、実はもともとすごくルサンチマン的な人で、それが高じていって、どんどん狂っていったんじゃあないの? 妻が元気がないという近所の医師の指摘も、夫の言動が常軌を逸している(いく)ことに対する恐怖感からだったんじゃ? というのが最大の感想です。


というのも、おっちゃんは金や名誉や地位に執着していないようで実はすごく欲してるのがせりふに表れているのです。

自宅のインテリアに悦に入ってるけど、買ってくる額縁の中の絵は複製で、しかもセレクトがちょっとおかしい。


妻だけを愛しているとか言いながら、実は二級の娼館に通ってて、階上の開業医にこっそり性病の検査をしてもらっている。


その医師(ユダヤ系)は自家用車を持っているし息子もよく出来ていると繰り返す。自分の息子はどうも頼りなくてフラフラしているのを気に病んでいる。


おっちゃん自身は「純血」ではなく、パッとしない仕事に就いている(だからこそ必要以上にその職の意義を強調する)。車も持っていない。

でも自分は美しい音楽を愛する教養ある人物だし、美しい妻や妻に似た娘もいて幸せこの上ない(と思おうとしている)。だから「不幸な」人のことを蔑んだりしないし、むしろ憐憫の情を過剰に示すのです。

ところがその最大の自慢の黒髪美人妻が実はユダヤ人だったとわかって、一気に拠りどころが自分が「ドイツ系」であることだけになってしまった。


娘の友達や、ドイツ人向けサロンの美女たちの見事なブロンドにうっとりするのも、おっちゃんの劣等感の表れかと思えるのです。

おっちゃん、何かと遺伝にこだわりを見せます。もらいもののハエの標本を壁に飾ります。

娘の誕生パーティの席で、新聞で見つけた二重結合児に関するニュースを家族に読み聞かせながら、一緒に焼けば灰は混ざってわからなくなるとか、頭が二つあったら異なる二つのことができて、異なる二つの感情を同時に抱くことができるとか語ったりもします。


そして、その席で、娘に「亡き子をしのぶ歌」をピアノ演奏させようとします。


いろいろお誕生日のパーティにそぐわなさすぎる。

そこここに、おっちゃんの偏執的なところや、その後の行動を暗示するエピソードが散りばめられているんですね。


ところで、最後に列車から見かけた「見たことのある女性」とは誰のことだろう。ロープと角砂糖は何の暗喩か。おっちゃんは、第一次世界大戦で馬が苦しんだことをやたら嘆いていた。馬は角砂糖が好きというから、それと繋がるのかな。(先日観た映画「ヒトラーと戦った22日間」でもそういうシーンがあった) 精神病院に連れて行かれた患者がロープを入手できるのか疑問だが… 

などと、読んでいる間は、おかしいんちゃうん、このおっちゃん、ひっきりなしにヘンなこと一人でしゃべって… あ、やっぱりおかしかったんだ、怖いよ… という感じですが、読後、細かいところを振り返るとなかなか面白い発見が次々出てくる小説です。


まあホラー系(?)小説で、しかも主人公は狂っているわけなので、どこからどこまでが本当かとか、アレはコレを示すのか、なんて、読者のご想像にお任せします、なのでしょうけどね。

映画にもなっているそうで、カバー写真はその映画からとっているそうです。









by chekosan | 2019-02-19 13:59 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
ロシア(ソ連)や東欧の文献を読む授業で、各自が読んだり観たりした作品を持ち寄る企画をしたときに、受講生が紹介してくれた本です。

佐藤優氏の著作は何冊か読んでいますし、この本も買っていて、積読本の山の中にありました。人に紹介してもらうと俄然、読みたくなりますね。で、読み始めると止まらず。ほかのことを置いて、一気に読んでしまいました。

佐藤氏が外務省の研修生として、イギリスの陸軍語学学校でロシア語研修を受けている一年余りの間の話です。

ロンドンで古書店を営む亡命チェコ人や、語学学校のクラスメイトとその恋人とのやりとりから、小国の人々や先住民族のアイデンティティ、思想、行動を浮かび上がらせる構成になっていて面白いです。

佐藤氏のライフワークであるチェコの現代神学者フロマートカの思想も引用、紹介されていて、こちらも長すぎず難しすぎずで興味深く読みました。

サブタイトルに「イギリス物語」とありますが、舞台はイギリスですが、内容的にはチェコの話が中心です。ドイツやロシア(ソ連)といった大国に挟まれた小国チェコのとった(とらざるを得なかった)道や、それを背負ってイギリスに亡命した(せざるを得なかった)知識人の悲哀と葛藤が迫ってきます。

佐藤氏が師と仰いだ亡命チェコ人古書店主は、イギリスにおいて、共産圏では残すことができないような書籍を西側に救出するという使命(キリスト教の言葉では召命)=ミッションを見出します。さらには佐藤氏という「弟子」に自分の知識や思考を伝えることで生きた証を残せたと佐藤氏に伝えています。

その影響を受けて、佐藤氏も、若者たちを育てることに尽力されているとのこと。他の著作で、ちょっと驚くくらい丁寧というか突っ込んで受験指導や学術面での指導をされているのは読んでいましたが、なるほどと思いました。

クラスメイトの恋人の話(アメリカの先住民族ナバホ族の苦難の歴史)は初めて知りましたが、その部分も面白かったので、チェコの歴史を知らない、興味がない人にもきっと面白く読めるのではないかと思います。






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by chekosan | 2019-01-16 18:37 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
輪読ゼミ@同志社で、それぞれのおすすめ本や映画などを紹介する「持ち寄り企画」をしたときに教えてもらった映画です。


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アメリカのある高校で独裁制を理解するための実習授業をした結果、おそろしい現象が生じたという実話に基づいたお話です。舞台をドイツに移し、結末は実際とはかなり変えてあります。

面白そうなのでDVDを入手して家で家族で観ました。衝撃の展開。これはいろいろなところで紹介したい! ということで、学生にも紹介しています。観た学生たちは絶句。。。「最高に興味深かった」という感想をもらいました。

集団行動による陶酔感、一体感、その裏返しの排除。。。







私はこの映画、受講生に教えてもらうまで作品は知らなかったのですが、同じようなことをしている先生の実践報告を見たぞと思い、確認しました。こちらです。






集団への過度の一体感は、責任感の欠如や集団の規範への無批判な依存を生じさせます。
こちらの先生も引用されていますが、それを再現したミルグラム実験や監獄実験を扱った映画も観ようと思います。

いやそれにしても、この映画、怖いわ… おすすめです。







by chekosan | 2018-12-16 10:35 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社で担当している「特殊講義」。今まで法学部の科目だとばかり思っていたら、どの学部でも履修できるのだと初めて知った3年目。そして実際、今年は文学部哲学科からも数名受講!学際科目だ!(?)

昨年度の講義科目受講生や春の講義科目受講生も数名受講しています。これって、とっても嬉しい☆(´∀`*) 

結果、初年度2人、2年目5人、そして今年は10人と、倍々ゲームで、とうとう二桁です(笑) 

今年は、科目のサブタイトルを「文学で学ぶ東欧・ドイツ・ロシア」と題しました。ずっとアシスタントをしてくれている院生君、科目名を見て、「どんどん範囲が広がっている! どこまでいくんだろう!」と思ったそうです。

形式上、科目の設置の条件としてサブタイトルを変える必要があったということもあるのですが、こうして範囲をゆるくしておくと読む本の選択肢が広がるからいいかなと思ったのです。( ̄▽ ̄) 

ということで、今年は過去2年、あまり読めていなかったロシアものからスタートしました。

しかし、あえて日本人作家の作品。米原万里さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』です。

いずれも米原さん自身の少女時代の経験をベースに書かれています。チェコやロシアを舞台としたノンフィクションとフィクションです。


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関連本なども読み直して予習するの図。右にあるお菓子は米原さんの『旅行者の朝食』に出てくるハルヴァ。昨年、リトアニアで見つけ、今年はエストニアで見つけました。エストニアで買ったノートにメモをとっていきました。このノート、ロシア語練習帳のようなページが入っていて、この本のノートにぴったりです。

※『旅行者の朝食』は関西ウーマンの書評コーナーで取り上げました。




『嘘つきアーニャ』は以前に読んでいたと思ったのですが、第1部を読み始めて、あれ??

もしかしたらNHKのドキュメンタリーで見ただけだったかも? 

おませな少女の下ネタ満載で、授業で使って大丈夫だったかと苦笑。でも、もちろんそれで終わりではなくて、社会主義期のプラハの学校に集った4人の少女たちの学校生活を通して、社会情勢、国際情勢を鮮やかに描き出しています。

米原さんと3人の友人たちは長く音信不通になっていたのですが、30数年ぶりにNHKの企画で再会を果たします。

番組の方では会えた良かったで終わるのですが、『嘘つきアーニャ』の方では、過去のエピソードに加え、再会に至るまでの調査の過程や、そこでわかってきた友人たちの人生、それに対する米原さんの思いが詳しく語られます。



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『オリガ・モリソヴナの反語法』はフィクションの小説です。少女時代にプラハのソビエト学校に通っていた日本人の主人公が、ソ連の崩壊、情報公開を機に、異彩を放っていた女性教師たちの謎を解いていくという話です。

フィクションですが、歴史的事実を巧みに織り込んだリアル感たっぷりの話になっています。

主人公が謎解きをする今の時点(1992年のモスクワ)、主人公たちがプラハのソビエト学校に通っていた1960年代、女性教師たちの過去(1930年代から50年代)と、3つの時代を行き来する構成で、主人公の回想もあれば証言者の話、手記による説明などを行ったり来たりするので、一読ではわかりづらいところもあります。

そこで、『オリガ・モリソヴナの反語法』年表を手分けして作りました! 

歴史的事実と、作品中の登場人物たちの動きとをピックアップしていくと、A3で2枚分になりました。
私も最後の3章をやってみましたが、これはなかなか面白い作業でした。

細部の修正や補足などをして、クラスのみんなの共有財産にしようと思います。

で、『オリガ』、文庫本で500ページほどあるのですが、みんな一気に読めたようです。

謎解きも面白いけど、歴史とからめたリアルな描写がとても面白かったという感想や、

日本人作家の目と体験を通して書かれた作品であることで、かえって理解や親しみを深められたように思うという感想、

ヨーロッパが舞台だけど宗教がからんでこないのは日本人でソビエト学校に通っていた米原さんだからこそではないかという感想(なるほど!)、

歴史を知るということは、政治家や戦争の名前を覚えるということではなく、個人の物語を見つめることが重要なのだということをあらためて感じたという感想、

何度も読むべき本だと思った、人間の一生ってすごい、人が生きるために必要なことってなんだろう、、、

などなど、それぞれいろいろと考えてくれたようです。

まだ緊張感がみなぎっていて、わーわーしゃべって盛り上がるというのではないのですが、全員が同じ作品をじっくり(しかし一気に)読んでくるというのがなにより貴重な経験だと思っています。

全員が同じ読み方、感じ方をする必要はないと思っています。誰かが取り上げた箇所に、そうそう、そこ面白いよねと思ったり、そんなとこあったっけと思ったり。

そういう時間をゆるゆる共有することで、じんわりとなにかが効いてくると思っています。


次の共通テキストは、『オリガ』における重要テーマからのつながりで、ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』です。

でもその前にインターバルで、次回は持ち寄り企画。旅行の報告や本や映画の紹介など、全員になにがしか発表してもらいます! とっても楽しみです!






by chekosan | 2018-10-18 21:05 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社大学法学部の特殊講義「文学作品で知るロシア・東欧」の授業がすべて終わりました。

昨年度は初開講のうえ、あまりにハードなシラバスにしすぎて、登録者が2名という事態に陥りましたが、今年は2.5倍(笑)。そしてアシスタント院生君と私で7名。いい感じでした。

過去に講義科目「ロシア・東欧地域研究」を受講した学生が2名。リピーターがいてくれるのはとても嬉しくて心強いです。

今年度は留学生も参加。シラバスに、昨年度読んだ本を記載しておいたのですが、それらはほぼ読んだことがあったので登録したとの言に一同びっくり。他の人同様に発表も担当してもらいました。

文学の授業のように緻密な批評や分析はしませんが、15週、毎回、暗くて重い作品を一冊丸ごと読み続けるというのはハードすぎます。

ときどき各自のおすすめを紹介してもらったり、映像や画像を見たりしてインターバルを設けました。これはかなり楽しかったです。

結果、今回全員で、テキストとして読んだのは以下の作品たち。

スヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチ(ベラルーシ) 『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争』『チェルノブイリの祈り

グードルン・パウゼヴァング(ドイツ)『みえない雲

アゴタ・クリストフ(ハンガリー出身で亡命して仏語圏で仏語で創作)『文盲』『悪童日記』『ふたりの証拠』(『第三の嘘』も多少解説)

アンドレイ・クルコフ(ウクライナ)『ペンギンの憂鬱

ミラン・クンデラ(チェコスロヴァキアのちにフランスへ亡命)『生は彼方に

ということで、今年も9作品でした。 
ハッ! ロシアがない! 看板に偽りあり!(^▽^;)

はじめのアレクシェーヴィッチ3冊は、戦争や原発事故の証言集で、内容も重くて暗くて痛くて怖いので、みんなかなり大変そうでした。

そのせいか、あとは比較的読みやすく感じたようです。

クリストフ『文盲』『悪童日記』あたりが好評だったのかなという感じでした。


昨年度も全員で和やかに仲良くランチに行ったりカフェでお茶したりしましたが、今回は受講生同士の交流が深まったのが大きな特徴でした。

授業外でも会ったり話したりしているようなので、てっきりもともと友達だったり先輩・後輩だったりしたのかと思ったら、この授業で知り合ったとのこと。

下回生が「先輩たちにとても知的な刺激を受けています! こんな場はなかなかないです!」と言ってくれたり。

進度は速いが空気はゆるゆるというのは正解かなと思いました。

来年度もこんな知的交流がはかれるといいなあ~♡

2018年度は、「特殊講義(文学で学ぶ東欧・ドイツ・ロシアの政治と社会)」。米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』からスタートします。今度こそロシア登場です!




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by chekosan | 2018-01-26 17:10 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社大学法学部の「特殊講義 文学作品で知るロシア・東欧」、
大学から徒歩圏内のホテルランチで新年会をしながら、各自の好きな作品紹介の第2弾をしました。

まず、A君からは、エッカーマン『ゲーテとの対話』。
ドイツに行くときに旅のお供で読んで、とても良かったとのこと。

ゲーテといえば、フランクフルトのゲーテの家は良かった! 
最後の授業で写真披露しようっと。

あ、ゲーテと言えば、昨年度みんなで読んだクンデラの『不滅』にも出てきましたね、そういえば。

Bさんからは、チェコの作家ボフミル・フラバルの『厳重に監視された列車』と、
ローラン・ビネ『HHhH プラハ、1942年』が登場。

前者は、イジー・メンツェル監督で映画になっているのですが見てない。
メンツェル監督の作品は好きなので見たいな。DVD買おうかな。

後者も映画化されたとのことで、
同じ題材を扱った映画「ハイドリヒを撃て!」よりも評判が良さげだそうな。

留学生Cさんは、タルコフスキー監督の映画『惑星ソラリス』について、
ていねいなパワポまで作って紹介してくれました。

Cさん、母語と英語と日本語でいろんな本を読み、映画を観ています。素晴らしい。。。

そのCさんが見たくて見れていない映画「神々のたそがれ」(ゲルマン監督)を、
なんとDさんが紹介しようとDVDを持ってきていました。
その場で貸してあげたりなんかして、なんて素敵♡

ところで、「神々のたそがれ」ってワーグナーの?と思ったら全然違うんですね。

で、「これというのが思い浮かばなかったので、本屋でいいのがないかと探して読みました」と、
E君が紹介してくれたのが、エミール・クストリッツァ『夫婦の中のよそもの』

こちらは関心を示した院生君に貸してあげていました。なんだかいい感じ~。

E君はクストリッツァが監督ということは知らずに選んだそうですが、
私は年末に彼の映画「オン・ザ・ミルキー・ロード」を見たところなので速攻で取り寄せました。


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これはクストリッツァの初の小説集なのだそうです。
先に彼の映画を観ていなければ、私はあまり好きなタイプの題材ではなかったかも。(^-^;

でも、「オン・ザ・ミルキー・ロード」が楽しかったので、
この短編集も読みながら映像が見えるようで、
通勤電車の行き帰りで楽しく読みふけることができました。

「オン・ザ・ミルキー・ロード」の原案となった短編も入っています。
映画は、かなり登場人物や登場動物を増やして複雑にしてあります。
また、映画では監督自身が主人公を演じたこともあってか、
小説とはキャラがだいぶ変えてありました。

独立した短編2編と、連作短編4編からなるのですが、
全体として少年が成長していく話という感じでしょうか。

社会主義期のボスニア・ヘルツェゴビナの普通の人々の
ごちゃごちゃした暮らしぶりに触れられて面白かったです。


ついでに、フランクフルトのゲーテの書斎と、
階段ホールで今も正確に時を刻む時計もアップしておきます。


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by chekosan | 2018-01-24 23:52 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社の特殊講義、今年度は戦争や原発事故ものなど、かなり暗くて重いのを読んでいます。
あまりに重いのが続いたので、途中でちょっと系統の違うものも挟みました。

ウクライナの作家アンドレイ・クルコフの『ペンギンの憂鬱』(新潮社 2004年)です。
表紙がかわいいですよと友人に教えてもらって、図書館で借りて読み始めたら面白い!

ソ連が崩壊し、秩序が乱れるウクライナのざわざわする空気をうっすら伝えてくれます。
存命中の人物の追悼文を書く仕事を始めたことでじわじわと危険が迫ってくるが、
決定的な何かが起こるわけではないような日々。

なりゆきで預かることになった幼女やそのベビーシッターの少女との
愛があるようなないような疑似家族生活。
主人公の2DKのアパートで飼われているペンギンが一番確かな存在感を放ちます。

するするすると読めて、哲学も衝撃もないのに、

続いてこの作家を読みたいと思わせる不思議な魅力があります。


深く語り合うというタイプの作品ではないので、小ネタ披露の回にしました。
それぞれが話の中に出てくる細かいことを突っ込んで調べてくるという趣向です。
さて、どんな小ネタが発掘されるか!


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これがなかなか予想以上に面白かったです。
報酬やものの値段から推定する主人公の給料の額、登場人物の名前の由来、ペンギンの生態、
果ては、ちょろっと登場する町のチンピラが着ているジャージのメーカー当て、などなど。
よくそんなところに目を付けたね~~と笑いながら、お互いの発見と探索を聞きました。

クルコフをもっと読みたいと思ったのですが、邦訳はあまりなく、絶版だったり。
残念ながら一作だけとなりました。

余談ですが、インターネットで検索していたら、
2年前の東浩紀さんといくチェルノブイリ原発見学ツアーの現地ゲストだったと判明! 
このツアー、どうもその年が最後だったようで、ますます残念!



by chekosan | 2018-01-17 15:40 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
文学作品を一冊まるごと読む特殊講義、年始めはミラン・クンデラ『生は彼方に』でした。クンデラは昨年度も4作品どしどし読みました。今年度は初めてです。

今年度は、こんなエログロシーン満載の作品を授業の課題図書にして大丈夫かしらというラインナップでもまったく平気なメンバーだったのですが、この作品は「1ページで、うわぁダメかもと思った」という感想が。特に女性陣から。😅

まあそれもわかります。若くして詩人として頭角を現しながらも、女性との関係をうまく築けないで、そのことばっか思い悩んでウジウジうじうじする、「自尊心は高いが自信がない」少年の生々しくて、痛々しい「恥辱にまみれた」話なのです。←「 」内は受講生たちの表現。

「わりと恵まれた環境にいられて、生活にも困っていないのに、、、、なんでこんなことばっか考えてんだろう」というつぶやきも。いやまったくその通り。もうそれに尽きるんです。人間として成熟する前の青年期までの話なので、より一層イタさだけが残る、、、

私は主人公のお母さんの立場に近いので、そちらのストーリーが面白かったです。妻として女性として母として悩み揺れる、そのリアルさに、クンデラすごいな、よくぞ女性の脳内をここまで、、、と感心しながら読みました。

とまあ、ざっくりまとめれば、坊やに執着する母親と、その母に愛憎を抱く成熟しきれない息子の話なのですが、クンデラの場合は、単に登場人物が動いてストーリーが流れていくだけのではなく、彼らの心中や思考を掘り下げて解説し、哲学的考察を加えるので、そういう系の小説が好きな人には面白いかと思います。

チェコスロヴァキアの歴史に関心のある人には、戦争から戦後、共産党体制へ移り変わる激動の時代の話なので、それと重ね合わせて読める分、さらに面白いかと思います。



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by chekosan | 2018-01-11 19:03 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)