中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

カテゴリ:ロシア・東欧に関する授業@同志社( 30 )

同志社大学法学部の特殊講義「文学作品で知るロシア・東欧」の授業がすべて終わりました。

昨年度は初開講のうえ、あまりにハードなシラバスにしすぎて、登録者が2名という事態に陥りましたが、今年は2.5倍(笑)。そしてアシスタント院生君と私で7名。いい感じでした。

過去に講義科目「ロシア・東欧地域研究」を受講した学生が2名。リピーターがいてくれるのはとても嬉しくて心強いです。

今年度は留学生も参加。シラバスに、昨年度読んだ本を記載しておいたのですが、それらはほぼ読んだことがあったので登録したとの言に一同びっくり。他の人同様に発表も担当してもらいました。

文学の授業のように緻密な批評や分析はしませんが、15週、毎回、暗くて重い作品を一冊丸ごと読み続けるというのはハードすぎます。

ときどき各自のおすすめを紹介してもらったり、映像や画像を見たりしてインターバルを設けました。これはかなり楽しかったです。

結果、今回全員で、テキストとして読んだのは以下の作品たち。

スヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチ(ベラルーシ) 『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争』『チェルノブイリの祈り

グードルン・パウゼヴァング(ドイツ)『みえない雲

アゴタ・クリストフ(ハンガリー出身で亡命して仏語圏で仏語で創作)『文盲』『悪童日記』『ふたりの証拠』(『第三の嘘』も多少解説)

アンドレイ・クルコフ(ウクライナ)『ペンギンの憂鬱

ミラン・クンデラ(チェコスロヴァキアのちにフランスへ亡命)『生は彼方に

ということで、今年も9作品でした。 
ハッ! ロシアがない! 看板に偽りあり!(^▽^;)

はじめのアレクシェーヴィッチ3冊は、戦争や原発事故の証言集で、内容も重くて暗くて痛くて怖いので、みんなかなり大変そうでした。

そのせいか、あとは比較的読みやすく感じたようです。

クリストフ『文盲』『悪童日記』あたりが好評だったのかなという感じでした。


昨年度も全員で和やかに仲良くランチに行ったりカフェでお茶したりしましたが、今回は受講生同士の交流が深まったのが大きな特徴でした。

授業外でも会ったり話したりしているようなので、てっきりもともと友達だったり先輩・後輩だったりしたのかと思ったら、この授業で知り合ったとのこと。

下回生が「先輩たちにとても知的な刺激を受けています! こんな場はなかなかないです!」と言ってくれたり。

進度は速いが空気はゆるゆるというのは正解かなと思いました。

来年度もこんな知的交流がはかれるといいなあ~♡

2018年度は、「特殊講義(文学で学ぶ東欧・ドイツ・ロシアの政治と社会)」。米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』からスタートします。今度こそロシア登場です!




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by chekosan | 2018-01-26 17:10 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社大学法学部の「特殊講義 文学作品で知るロシア・東欧」、
大学から徒歩圏内のホテルランチで新年会をしながら、各自の好きな作品紹介の第2弾をしました。

まず、A君からは、エッカーマン『ゲーテとの対話』。
ドイツに行くときに旅のお供で読んで、とても良かったとのこと。

ゲーテといえば、フランクフルトのゲーテの家は良かった! 
最後の授業で写真披露しようっと。

あ、ゲーテと言えば、昨年度みんなで読んだクンデラの『不滅』にも出てきましたね、そういえば。

Bさんからは、チェコの作家ボフミル・フラバルの『厳重に監視された列車』と、
ローラン・ビネ『HHhH プラハ、1942年』が登場。

前者は、イジー・メンツェル監督で映画になっているのですが見てない。
メンツェル監督の作品は好きなので見たいな。DVD買おうかな。

後者も映画化されたとのことで、
同じ題材を扱った映画「ハイドリヒを撃て!」よりも評判が良さげだそうな。

留学生Cさんは、タルコフスキー監督の映画『惑星ソラリス』について、
ていねいなパワポまで作って紹介してくれました。

Cさん、母語と英語と日本語でいろんな本を読み、映画を観ています。素晴らしい。。。

そのCさんが見たくて見れていない映画「神々のたそがれ」(ゲルマン監督)を、
なんとDさんが紹介しようとDVDを持ってきていました。
その場で貸してあげたりなんかして、なんて素敵♡

ところで、「神々のたそがれ」ってワーグナーの?と思ったら全然違うんですね。

で、「これというのが思い浮かばなかったので、本屋でいいのがないかと探して読みました」と、
E君が紹介してくれたのが、エミール・クストリッツァ『夫婦の中のよそもの』

こちらは関心を示した院生君に貸してあげていました。なんだかいい感じ~。

E君はクストリッツァが監督ということは知らずに選んだそうですが、
私は年末に彼の映画「オン・ザ・ミルキー・ロード」を見たところなので速攻で取り寄せました。


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これはクストリッツァの初の小説集なのだそうです。
先に彼の映画を観ていなければ、私はあまり好きなタイプの題材ではなかったかも。(^-^;

でも、「オン・ザ・ミルキー・ロード」が楽しかったので、
この短編集も読みながら映像が見えるようで、
通勤電車の行き帰りで楽しく読みふけることができました。

「オン・ザ・ミルキー・ロード」の原案となった短編も入っています。
映画は、かなり登場人物や登場動物を増やして複雑にしてあります。
また、映画では監督自身が主人公を演じたこともあってか、
小説とはキャラがだいぶ変えてありました。

独立した短編2編と、連作短編4編からなるのですが、
全体として少年が成長していく話という感じでしょうか。

社会主義期のボスニア・ヘルツェゴビナの普通の人々の
ごちゃごちゃした暮らしぶりに触れられて面白かったです。


ついでに、フランクフルトのゲーテの書斎と、
階段ホールで今も正確に時を刻む時計もアップしておきます。


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by chekosan | 2018-01-24 23:52 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社の特殊講義、今年度は戦争や原発事故ものなど、かなり暗くて重いのを読んでいます。
あまりに重いのが続いたので、途中でちょっと系統の違うものも挟みました。

ウクライナの作家アンドレイ・クルコフの『ペンギンの憂鬱』(新潮社 2004年)です。
表紙がかわいいですよと友人に教えてもらって、図書館で借りて読み始めたら面白い!

ソ連が崩壊し、秩序が乱れるウクライナのざわざわする空気をうっすら伝えてくれます。
存命中の人物の追悼文を書く仕事を始めたことでじわじわと危険が迫ってくるが、
決定的な何かが起こるわけではないような日々。

なりゆきで預かることになった幼女やそのベビーシッターの少女との
愛があるようなないような疑似家族生活。
主人公の2DKのアパートで飼われているペンギンが一番確かな存在感を放ちます。

するするすると読めて、哲学も衝撃もないのに、

続いてこの作家を読みたいと思わせる不思議な魅力があります。


深く語り合うというタイプの作品ではないので、小ネタ披露の回にしました。
それぞれが話の中に出てくる細かいことを突っ込んで調べてくるという趣向です。
さて、どんな小ネタが発掘されるか!


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これがなかなか予想以上に面白かったです。
報酬やものの値段から推定する主人公の給料の額、登場人物の名前の由来、ペンギンの生態、
果ては、ちょろっと登場する町のチンピラが着ているジャージのメーカー当て、などなど。
よくそんなところに目を付けたね~~と笑いながら、お互いの発見と探索を聞きました。

クルコフをもっと読みたいと思ったのですが、邦訳はあまりなく、絶版だったり。
残念ながら一作だけとなりました。

余談ですが、インターネットで検索していたら、
2年前の東浩紀さんといくチェルノブイリ原発見学ツアーの現地ゲストだったと判明! 
このツアー、どうもその年が最後だったようで、ますます残念!



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by chekosan | 2018-01-17 15:40 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
文学作品を一冊まるごと読む特殊講義、年始めはミラン・クンデラ『生は彼方に』でした。クンデラは昨年度も4作品どしどし読みました。今年度は初めてです。

今年度は、こんなエログロシーン満載の作品を授業の課題図書にして大丈夫かしらというラインナップでもまったく平気なメンバーだったのですが、この作品は「1ページで、うわぁダメかもと思った」という感想が。特に女性陣から。😅

まあそれもわかります。若くして詩人として頭角を現しながらも、女性との関係をうまく築けないで、そのことばっか思い悩んでウジウジうじうじする、「自尊心は高いが自信がない」少年の生々しくて、痛々しい「恥辱にまみれた」話なのです。←「 」内は受講生たちの表現。

「わりと恵まれた環境にいられて、生活にも困っていないのに、、、、なんでこんなことばっか考えてんだろう」というつぶやきも。いやまったくその通り。もうそれに尽きるんです。人間として成熟する前の青年期までの話なので、より一層イタさだけが残る、、、

私は主人公のお母さんの立場に近いので、そちらのストーリーが面白かったです。妻として女性として母として悩み揺れる、そのリアルさに、クンデラすごいな、よくぞ女性の脳内をここまで、、、と感心しながら読みました。

とまあ、ざっくりまとめれば、坊やに執着する母親と、その母に愛憎を抱く成熟しきれない息子の話なのですが、クンデラの場合は、単に登場人物が動いてストーリーが流れていくだけのではなく、彼らの心中や思考を掘り下げて解説し、哲学的考察を加えるので、そういう系の小説が好きな人には面白いかと思います。

チェコスロヴァキアの歴史に関心のある人には、戦争から戦後、共産党体制へ移り変わる激動の時代の話なので、それと重ね合わせて読める分、さらに面白いかと思います。



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by chekosan | 2018-01-11 19:03 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社大学法学部の「特殊講義 文学作品で知るロシア・東欧」は、
一回の授業で一作品を読むというスタイルを採っています。

毎週一作品を15週、読み続けるのはかなり大変なので、
先日は、各自が好きな作品を紹介する回を設けました。

トルストイ『イワン・イリイチの死』、ゴーゴリの『』、
アルセーニイ・タルコフスキーの詩集『白い、白い日』(映画監督のタルコフスキーの父)

など、科目名には載せながら読めていなかったロシアものや、

キェシェロフスキ監督の「デカローグ」のノベライズ版、
そして、コシンスキ『ペインティッド・バード

といったポーランド出身者による作品が紹介されました。

『ペインティッド・バード』は紹介してくれた学生によると、
『走れ、走って逃げろ』(映画「ふたつの名前を持つ少年」)と主人公の境遇が似ているが、
もっと酷い話で、でもとても好きな作品だというので、さっそく入手して読んでみました。



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なるほど、これは酷い。

思わず息をのむ、あるいはひいいいぃと声を上げたくなるようなシーンのオンパレードです。

第二次世界大戦中、田舎に疎開した主人公は、混乱のなかで親と連絡が取れなくなります。
浅黒い肌、黒髪、黒い目のため、災いをもたらすユダヤ人か「ジプシー」のみなしごと思われ、
行く先々で虐待を受け、農村を転々とします。

彼自身が被ったり目撃したりする農民や兵士たちの残忍な行為は、
殴る蹴る撃つ焼く系の暴力も、性的な暴力も、あまりに過激すぎて嘘っぽく思えてきますが、
他の作品、例えばアレクシェーヴィッチの一連の作品や、クリストフの『悪童日記』、
あるいは戦争体験者の手記や自伝などにも、似たような場面がたくさん出てきます。

あとがきで作者自身が書いているように、この作品自体はフィクションですが、
決して創造の産物ではなく、当時こうした行為が頻繁に起こっていたのは事実のようです。

この作品は、賞賛とともに激しい批判も巻き起こし、
作者は故郷をことさらに悪く描いたと脅迫も受けたそうですが、

それでもかつての友人は、
「自分たちや家族の多くが戦争中にくぐりぬけた経験に比べれば、牧歌的な小説である」
という手紙を送ってきたとか。

厳しい自然環境、蔓延する伝染病、戦争による人心の荒廃という背景が
残虐性や性的な倒錯を強め、頻発させたのは違いないでしょう。

しかし、時代は変わった、今はもうこんな野蛮なことは起こっていない、
と言えないのが恐ろしいところです。

いやそれにしてもこわい。強烈でした。
悪夢を見るかもしれないので、繊細な人にはおすすめしません。

そうそう、一つ興味をひかれた箇所がありました。
赤軍の部隊に図書館があって、主人公がそこで読み書きを教えてもらうところです。
本を運んで勉強したり読書したりできるようにしていたのですね。

同じ頃、アメリカ軍も本国から大量の本を受け取っていたとか。
戦地でも、いや戦地だからこそ本が求められたのですね。
他の国はどうなんでしょう。気になるところです。



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by chekosan | 2017-12-27 23:18 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社での輪読ゼミ、アレクシェーヴィチ祭り第3弾は、『チェルノブイリの祈り』でした。
1986年に起こったソ連のチェルノブイリ原発事故を経験した、ベラルーシの人々の証言集です。

チェルノブイリの大惨事の被害をもっとも被ったのは、原発のあるウクライナではなく、その北西に位置するベラルーシでした。

ベラルーシは、第二次世界大戦でも、ドイツによって628の村が焼かれ、国民の25%が亡くなりました。その凄惨な体験は、前2作に詳しいです。






なぜベラルーシにここまで災難が降りかかるのか…

アレクシェーヴィチは何百人からの生の声を編むという形の作品を発表しています。

本書もスタイルはこれまでに読んだ2作と同じく、ベラルーシの老若男女から集めた生の証言集なのですが、より詩的で文学的で哲学的なものになっています。

悲惨な原発事故の話にも関わらず、「なんか…美しいよね」という感想が思わず口をついて出るものとなっています。

この「美しさ」はどこからくるものなのだろうというような話もしました。

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本書の冒頭に、初期消火に出動し、亡くなってしまう消防士の妻の証言が出てきます。

この証言を読むだけでも、もう十分、と思うくらい衝撃的で、そして、妻の夫への深い、強い愛に心打たれるのですが、報告担当の学生くんが見つけて持ってきていた関連本のなかに、亡くなった消防士たちの写真が載っていて、一気に現実感が高まりました。


人の死を描き出すという点では、前2作の方が直接的なのですが、この『チェルノブイリの祈り』が一番「怖さ」を感じたというのも、皆一致していました。

目に見えない「敵」、これまで経験したことがないこと、想像ができないこと、理解できないこと、どうなっていくのかもわからないということの恐怖。


事故から30年経ちましたが、ベラルーシでは今でもチェルノブイリは終わっていません。原発の処理もまったく終わっていません。これから先、いったい何年かかるのかわかりません。

チェルノブイリから25年後に同レベルの事故を起こした日本は、チェルノブイリの経験から学ぶことがあると思います。


初読の際の感想にも引用した言葉、

「これもやはり一種の無知なんです、
 自分の身に危険を感じないということは。」

この言葉を真摯に深刻に受け止めなくてはいけないとあらためて思いました。











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by chekosan | 2017-11-02 15:46 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
輪読ゼミ2冊目は、スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチの2作目『ボタン穴から見た戦争』です。

こちらは第二次世界大戦―ソ連ではドイツとの「大祖国戦争」と言いますが―当時、白ロシア(ベラルーシ)で幼児から子どもの年齢だった人たちの戦争体験です。

101人の(当時の)子どもたちの証言は、女性兵士たちの証言を集めた前作『戦争は女の顔をしていない』よりも淡々としているように思ったと受講生たち。なるほどそうかもしれません。

しかし、語られる内容はとんでもなく残虐で残酷な体験です。初読のときはたいへんショックを受けました。

報告をしてくれた受講生も、同じように白ロシアの子どもから見た戦争を題材にした映画「炎628」を思い出して辛くなったそうです。

ちなみに、アレクシェーヴィチは、その「炎628」の原作に感銘を受け、人々の体験を生の形で残すことを後押しされたと言っています。

それにしても、戦争は子どもを子どもでなくしてしまう。子どもらしい子ども時代を過ごせなくさせてしまう、、私たちがいま、こういう状況に置かれたら、果たして生き延びられるだろうか、、、そんな生命力、生活力はないのではないか、、、とみんなで考えこんでしまいました。


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細かいところで私が気になったのは、頻出するペチカのこと。ペチカとは、内部で薪を燃やすレンガ造りの暖房装置ということは知っていましたが、この本には、「ペチカの上で寝た」「ペチカのなかで寝た」「ペチカの裏にいた」というような証言がたくさん出てくるのです。

上? 中?? 裏???

気になるのでちょっと調べてみたら、ペチカは私たちが家で使うストーブのようなサイズではなく、上部をベッドにできるくらいの大きさなのですね。放射熱で家全体を温めるので、上に寝てもヤケドしたりはしないのですね。

でも中とか裏とかってどういうことなのでしょう。この点はよくわからないままです。


ほかにも、食料がないのでスカンポを食べたという話。スカンポって??と調べると、その辺でよく見る植物です。あれがスープになるとは! 

油糟がおいしかったという話も出てきます。ものによっては、「ハルワ」のようだったという証言も。「ハルワ」と言えば、この夏のリトアニアでの思い出の一つなので、思わずその話をうきうきと受講生に披露しました(笑) 

どんな話かというのは、関西ウーマンの書評をご覧ください。「ハルワ」の写真はこちらにあります。


白ロシアはこの戦争で628の村が焼かれます。焼かれたあとには、ペチカと煙突しか残らなかったという証言があります。白ロシアではないですが、タルコフスキー監督の映画「僕の村は戦場だった」にも、まさにそういう光景が出てきます。

「僕の村は戦場だった」には、前作『戦争は女の顔をしていない』でよく出てきた女性軍医も登場するので、その二つの場面を少しみんなで観たりもしました。70年も昔のことはいくら字で読んでもわからないところがたくさんあります。そうしたときに画像や映像があると助かりますね。

と、そんな感じで、ゆるゆると語り合ったり、関連資料を見たりして、一冊をみんなで味わうように読みました。

次は関連する映像資料を観ます。そして、その次はアレクシェーヴィチまつり第3弾『チェルノブイリの祈り』です。







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by chekosan | 2017-10-21 00:09 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社大学法学部の「特殊講義」、2年目は「文学作品で知るロシア・東欧」と題して、ロシア・東欧の歴史や社会を扱った文学作品(ルポルタージュ文学を含む)を精読します。

15週で10冊程度は読むものと思っておいてください、とシラバスに書いたので、またまた極小サイズのクラスになるかなあと思っていたら、昨年の3倍になりました。そのなかには昨年度の講義科目受講生や春の講義科目受講生も。わ~☆(´∀`*) 

と言っても一桁ですが(笑)

今年はまず、2015年のノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家、スヴェトラーナ・アレクシェーヴィッチの作品のうち、文庫で手に入る3冊を読みます。

1冊目は『戦争は女の顔をしていない』(1984年)です。

これは、第二次世界大戦においてソ連軍に従軍した、あるいはパルチザンとして対独闘争に加わった、もしくはそうした人たちを支援した女性たちの証言集です。



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アレクシェーヴィッチの作品の特徴は、膨大な市井の人々の証言を集め、それらを加工せずに、しかし意図をもって編みなおすという手法です。

何日も通ったり、何時間もかけたりして、徐々に心と口を開いてもらって出てきた体験や思いを集めて、生の歴史を編んでいくのです。この作品では、500を超える人々から証言を得たといいます。

ほとんど解説なしに証言が続くので、受講生たちははじめはかなり戸惑ったようです。読んでいても、しらばく、いつの、どこの、なんの戦争の話かもわからなかったとのこと。

また、当時のソ連やヨーロッパの状況を知る人には自明の団体の名称や地名も、いまの学生はなかなか見聞きする機会がないので、1冊目としてはけっこう大変だったようです。(^^;

そこで、発表者は時代背景や用語を調べてレジュメにしてくれました。アシスタント院生君も地図や年表を用意して補ってくれました。いい感じ~♡

厳密なテキスト解釈をするのが目的ではないので、基調報告のあとは、感想を訊いたり、話したり、こんな本にはこんなことも書いてあったよ、こんな映画にこういうシーンがあったわ、そういえば、くらいでゆるゆるやっています。

16やそこらで女性たちはなぜ従軍したのか。前線で生死の境目を見た女性は何を語るのか。戦争において女性にしか見えない語れないことはあるのかないのか。それはどういうことか。そして、彼女たちは戦争のあと、どう生きてきたのか。

人それぞれさまざまな戦争との関わりや思いがあって、“男たちの正史”のようにひとくくりにはできないのだ、ということが明らかになります。統合することや整合性、共通点を見いだすことが目的ではありません。一人ひとりの経験を残すための作品です。そのため「まとめる」ことができない作品です。

それにしても生の証言の重さ、ドラマ以上の劇的な経験、衝撃の事実にめまいを覚え、胃が痛くなりました。
ショッキングな場面も多く、万人におすすめとは言えませんが、たいへんな労作です。耐えられる方にはおすすめします。

授業では、さすがにこの内容で500ページを一週ではきつかろうと今回は2週かけました。それでもどうやらけっこうしんどかったみたい!?

でもなかには、授業では取り上げないアレクシェーヴィッチの別の作品を読み始めた受講生も。素晴らしい!

あと2作、引き続きアレクシェーヴィッチ、読んでいきます。がんばろうね、みんな(笑)






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by chekosan | 2017-10-12 17:21 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
同志社大学の「ロシア・東欧地域研究」では、学期の始めの方に「図書館でこの授業と関連しそうな本をみつける」という小さな課題(任意)を出しています。ジャンル不問。通読しなくてもいいけれど、パラパラでいいので必ず中を見て、どこか面白そうなところを書いてもらいます。なかにはきっちり読んで書いていそうな学生さんもいて感心します。

そして、これも任意ですが、授業内で紹介してもらいます。同輩の発表って、刺激になるんです。さらに私だけが見ていてももったいないので、今年はリストにして受講生全体で共有することにしました。

手書きのワークシートで出してもらったので、打ち込むとちょっと大変なため、あらためてLMS(授業支援システム)で出してもらおうとしたのですがうまくいかず… さらにメールで出してもらったりと右往左往しました。ごめんね、受講生のみなさん、二度手間、三度手間になりました。<〇>

そして集まったデータをアシスタントの院生O君にリスト化してもらいました。書影や、図書館の請求記号も入っているので、気になる本はすぐに探して見ることができます! A4で13ページにもなったため、縮小して両面印刷して配布します。(^-^;  

ちなみに、今年はロシアに関心が集中する傾向が見られました。


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by chekosan | 2017-06-22 00:34 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
今年も同志社大学法学部の「ロシア・東欧地域研究」では、
この科目に関連がありそうで、関心がもてそうな本を探す課題に取り組んでもらいました。

先日の授業では、何人かの人に口頭でクラス全体に紹介してもらいました。
授業後のカードには、紹介してもらった本を読んでみたい、というコメントがたくさん出ました。
それがまた分散するのが面白いところです。
やはりみんながみんなに情報を提供し、共有する機会を設けるのはいいですね。

ということで、そのうちからいくつかを紹介していきます。

今年の第一弾は、少し視点をずらしてみつけてくれた本です。
「先生がオーストリアも授業で取り上げておられたのでいいかなと思って」と学生君。
もちろんです。オーストリアやドイツは「東欧」には分類しませんが、切っても切れない仲です。

◇◇◇

野口祐子ほか『「サウンド・オブ・ミュージック」で学ぶ欧米文化』(世界思想社 2010)

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◇どんな本ですか?

 1920~30年代のオーストリアについて書かれた本。
 アメリカから見たヨーロッパと、実際のヨーロッパとの差がわかる。

◇なぜこの本を選びましたか?

 「サウンド・オブ・ミュージック」は好きな映画の一つなので、
 舞台裏ともいえる諸事情を解説した本というのはたいへん興味深い。
 映画はアメリカの制作ということで、当時の世相を反映した面もあるようだ。

◇特に紹介したいところ、興味をもったことがらは?

 オーストリアについてあまり知らなかったのだが、その歴史や、ナチスとの関係について知ることで、
 この映画が単なるハッピーエンドの家庭ドラマ的なものではないとわかった。
 祖国愛や歴史的事実も盛り込みつつ、アメリカ的思想を植え付けようという意図も含んだ
 多面的な作品だということがわかる。(以上、抜粋)

◇◇◇

「サウンド・オブ・ミュージック」、私も好きな映画です。
といっても、一度目は小さいころだったので背景がよくわからず、
まさに「家庭ドラマ」として見たような気がします。
二回目は多少歴史がわかってきていた頃だったので、そちらに関わるシーンの方が印象に残りました。

最近は、映画や文学作品から時代を知る、あるいは歴史を知って作品をよりよく理解する
という授業の比重を増やしているので、私もぜひ読んで参考にしたいと思います。





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by chekosan | 2017-05-24 16:09 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)