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中・東欧、ロシア、大学教育、美術展、映画鑑賞などなど


by chekosan
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2022年11月のまとめと読書記録

中旬に講演会と同窓会のお世話役という大きな行事を無事済ませ、インフルエンザの予防接種も打ち(笑)、大事な用件で人と会い、夜間の授業も充実感と手ごたえを得て終了(クォーター制で2コマずつ進んで2カ月で終わる)。



下旬は、各大学の祝日やら入試日やら創立記念日やらが重なって、偶然にもまるまる一週間授業がない「秋休み」という、夢のような月になるはずだった11月。

でもよく考えると、休みなのは私だけで、家族もお友達もみんな学校やお仕事。

一人で行こうかなと思っていた遠方の展覧会も、お友達が一緒に行ってくれることになって少し先に延ばしたこともあって、誰と何を約束するわけでもなく、ぽっかりと空白の状態で秋休みに突入してしまいました。

とたんに、張りつめていた気が緩んだのか、ひたすらゴロゴロゴロゴロ。何冊か本を読むだけで終わってしまいました。(^_^;)

でも、おかげで気力や体力が回復し、さあまた頑張るぞというメリハリができたような気がします。

12月は、難民映画祭(オンライン)を観たり、お友達や学生さんたちと美術展ツアーを企画していたり、家の修繕工事が始まったりと、活気のあるひと月になりそうです。

写真は、大学同窓会の懇親会場「鶴清」さんを橋から撮った図。千と千尋の神隠しのお宿のような、雰囲気のある料理旅館でした!

2022年11月のまとめと読書記録_b0066960_16002676.jpg


※前半のロシア、ウクライナ本は、日々が濃密すぎて記録を放置してしまい、あとで溜めて書いたために、それぞれとても勉強になったのに薄い記録となってしまいました… やっぱり読んだらすぐ書かなくちゃダメですね。(;^_^A

※※記録忘れを追記(2022/12/13)

読んだ本の数:11
読んだページ数:2888
ナイス数:328

現代ロシアの軍事戦略 (ちくま新書)現代ロシアの軍事戦略 (ちくま新書)感想
今年の共同研究のテーマが<戦争とジェンダー>だったので、参考に。タイトルどおり、ロシアの軍事戦略が中心で、ジェンダーに関わる話題はなかったが、ロシアの安全保障や軍事思想をわかりやすく解説していて勉強になった。
読了日:11月01日 著者:小泉 悠




名著の話 僕とカフカのひきこもり名著の話 僕とカフカのひきこもり感想
Eテレ「100分de名著」で取り上げた本のうち、出演者である伊集院光さんがもっと知りたい、語りたいと思った3冊について、専門家とさらに対談を重ねた記録を収めた対談集。収録は、カフカ『変身』、柳田国男『遠野物語』、神谷美恵子『生きがいについて』。いずれも元の本を読みたいと思わせる、熱量の高い対談です。一気読みしちゃいますよ。関西ウーマンの書評で取り上げました。
読了日:11月02日 著者:伊集院 光





ウクライナの夜:革命と侵攻の現代史ウクライナの夜:革命と侵攻の現代史感想
たいへん興味深く一気に読んだ。2014年の政変「マイダン革命」とロシアのクリミア併合、東部ウクライナでの親露派との紛争に関わった人たちの体験。口々に、マイダンで初めてウクライナに市民社会が生まれたと言っていることが印象的。
読了日:11月06日 著者:マーシ・ショア,Marci Shore




マクロプロスの処方箋 (岩波文庫 赤 774-4)マクロプロスの処方箋 (岩波文庫 赤 774-4)感想
記録忘れ。東欧の本を次々読む授業で取り上げた。そう長くない戯曲で、あっという間に読めてしまうが、生き続けること、老いないことをめぐって、哲学的に、または宗教的に、時代背景との関係性の有無、あるいはシンプルに人生に対する素直な感情等々の観点から考察し、思いを言葉にしてくれて、充実した時間となった。
読了日:11月07日 著者:カレル・チャペック



国境を超えたウクライナ人国境を超えたウクライナ人感想
ウクライナ出身で国外で活躍した10人を紹介する本。著者はウクライナ人だが日本語で書いている。薄い本だが内容は濃い。旅する自由思想家(スコヴォロダー)、免疫学と長寿の研究のさきがけ(メーチニコフ)、最後のロマン派作曲家(ボルトケーヴィチ)、色は命(ドローネー)、社会の利益のために(テレシチェンコ)、空を飛ぶ夢を現実に(シコールスキイ)、極東ウクライナの自立を目指した(スヴィット)、日本への熱い想い(レヴィンスキイ)、20世紀のマルコ・ポーロ(ウデン)、ハプスブルク家出身の「ウクライナ人」(ヴィシヴァニイ)
読了日:11月10日 著者:オリガ・ホメンコ


バービイ・ヤールバービイ・ヤール感想
記録忘れ。ソ連や東欧の本を次々読む演習で取り上げた一冊。バービイ・ヤールといえばウクライナの首都キエフ(キーウ)郊外の渓谷で、たった2日ほどで3万を超えるユダヤ人が殺された場所。その近くで育った著者が残しておいた記録をまとめたもの。この1973年版は、ソ連で発行された際に検閲で削除された部分が字体を変えて再録されていて、当局が何を書かれたくなかったのかがわかって面白い。2021年制作のセルゲイ・ロズニツァ監督のドキュメンタリー映画「バビ・ヤール」も近い時期に観たので理解が深まった。
読了日:11月19日 著者:A・アナトーリ (クズネツォフ)


マイホーム山谷マイホーム山谷感想
新聞の書評で。ドヤ街として知られる東京・山谷に、ホームレスのためのホスピス施設を創設した男性と、山谷で福祉、医療支援に携わる人たち(多くはキリスト教系NPO)を取材したノンフィクション。山谷という土地柄、支援団体が密に連携して、既存の制度ではカバーできないような援助も可能になっている。人を救いたい、役に立ちたいという愛と熱意と行動力に驚嘆する。「主人公」の男性は心身を病んで奇異な行動に走るようになり、創設した団体からは解任され、個人資産も手放してしまったが、山谷で活動する人々に支えられているということ。
読了日:11月21日 著者:末並 俊司


音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む 〜プリチュワからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで〜音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む 〜プリチュワからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで〜感想
音声学者(夫妻)が娘さんの発声や発語を観察、記録しながら、音声学の魅力を説く本。初学者や一般向けに堅苦しくなく書かれている。広瀬友紀『子どもに学ぶ言葉の認知科学』は学童期の言語の発達を扱っていて、併せて読むとよいかも。
読了日:11月22日 著者:川原 繁人



収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)感想
映画化されるというので先に原作を。綿密な取材をもとに書かれており、しかも読みやすい。過酷なシベリア抑留生活でも決して帰国を諦めず、勉強会や句会を催すなどして日本の文化を忘れまいとした山本幡男氏に力をもらった周囲の人々が、なんとしてでも彼の遺書を日本の家族に届けようとする。母親への遺書にはダダ泣きしてしまった。それにしても抑留生活の酷さ。臥せっているときに読んだので、どれだけ辛い日々だったことだろうとひしひしと感じた。富山で辺見じゅん氏の取材ノートなどが公開されているらしい。見に行きたいな。
読了日:11月23日 著者:辺見 じゅん




【増補改訂版】ポーランド孤児・「桜咲く国」がつないだ765人の命【増補改訂版】ポーランド孤児・「桜咲く国」がつないだ765人の命感想
ポーランド分割などでロシアによってシベリアに強制的に連れて行かれたポーランド人の孤児らを日本赤十字社が中心となって救い出した史実を丹念に追う。著者の関心なのか、軍人の経歴や戦闘の経緯が詳細に書かれている。日本の資料のみを基にしているためか、ポーランド語の訳語などで時々アレ?というところもある。また杉原千畝関連の最新の研究は(執筆時期の問題であろうが)反映されておらずデータが古いなど多少の注意が必要。
読了日:11月24日 著者:山田邦紀


優しい地獄優しい地獄感想
ルーマニア出身、青森在住の文化人類学者による日本語の著作。ルーマニアの祖父母の村での暮らしと、父母との地方の町の団地での暮らしが対照的で、社会主義崩壊前後のルーマニア社会の混沌とした状況を感じさせる。そうした記述をもっと読みたかったが、どちらかというと著者の鋭敏な感覚や死生観のようなものの方が書きたいことの中心らしく、日本語を母語としない人ならではの独特な言葉遣いも相まって、幻想的というか、妄想のような世界を生み出している。自らの病気の原因をチェルノブイリ原発事故に見出しているところが興味深い。
読了日:11月28日 著者:イリナ・グリゴレ


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by chekosan | 2022-12-01 16:10 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)