本や映画を通して、東欧やソ連・ロシア、ドイツの社会、歴史、文化を知る特殊講義、今年度もたくさんの作品について語り合いました。
チェコものも、いくつか取り上げました。
全員が通読してきて話し合ったのは、カレル・チャペック『白い病』。コロナ禍の状況にピッタリだということで、新訳が緊急出版されました。
45歳~50歳くらいで罹患する感染病の特効薬を「人質」に、永久平和を迫る医師。平和なんてとんでもないと抵抗する武器製造業者と元帥。
年寄りが減れば、若者に生きるチャンスが出てくると冷静に受け止める子世代(病気がなくならなければ彼らもそのうち同じ目に遭うのですが)。
おぞましい経過をたどって死に至る感染病が蔓延しているにもかかわらず(だからこそ?)、開戦の高揚感に熱狂する大衆。
あっというまに読めてしまうけど、コロナ禍の今読むと、とてもリアルで、まるで予言のような戯曲です。
みんな、あれこれと語ってくれました。
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学生自身に選んで紹介してもらった作品にもチェコものがありました。
映画「ヤン・パラフ」は、残念ながら、EUフィルムデーズかなにかで上映されただけで、日本での劇場公開やDVDの発売はされていないようです。私も未見です。また見る機会があると良いのですが。
1968年のワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻で、「プラハの春」と呼ばれた、自由化、民主化の動きが潰されたあと、あきらめの境地に陥ったチェコスロヴァキア国民に発奮を促す焼身自殺を遂げた青年の話です。
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ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』を取り上げてくれた人もいました。これもまた「プラハの春」によって人生が大きく変わった男女らの生き方、生や性に対する思考を扱った小説です。
クンデラは、若い学生たちにとっては、ちょっとピンとこないところも多いようです。ぜひ、中年になってから、再読してみて!と勧めておきました(笑)
ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』に挑戦してくれた人もいました。
理論や思想に関心のある学生さんだったので、Eテレの「100分de名著」を見て、原典に挑戦しようと思ってくれたようです。
でも、ハヴェルって読みにくいんですよね… 濃密というか。
先に解説番組を見てしまったため、それに影響されてしまったようで、どうまとめようかとだいぶ悩んで事前に構想を提出してくれたので、解説はいったん忘れて、愚直に、原典に忠実に読んでいきましょう、とアドバイスしました。
そうすると、ほんの2日ほどで、見事に変化を遂げ、きちんと理解し、咀嚼して、自分の言葉で表現しているということがわかる発表になりました。たいへん感激しました。本人も手ごたえがあったようで、目がキラキラしていました。
この本、実は、私も、かなり読むのに苦しみました。(^_^;)
でも、やっぱり、まずは自分で頭を抱えながら、読み解こうとすることが大事だなと、あらためて思いました。
と言いながら、「100分de名著」の他の回のテキストも買いそうになっているのですけど!(笑)
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本をたくさん読む特殊講義、その他にもいろいろチャレンジしてくれました。それについてはまた別途。