大好きな「コーリャ 愛のプラハ」のヤン・スヴェラーク監督(息子)と、ズデニェク・スヴェラーク脚本(父)コンビによる映画「ダーク・ブルー」を、ほぼ20年越しで観ました(笑)
2001年といえば、わたくし、長男を産んだ年。映画を観る余裕はまったくなかった頃です。それから20年近く経ったとは…おそろしい。十年一日とはよく言ったもんです。
その後、この映画を観る機会がずっとなかったのですが、今月試しているTSUTAYA Discas で配送レンタルできることが判明!
戦闘機とかパイロットとかには興味ないのですが、たしかバリバリの戦闘ものではなかったと記憶していたので、今度こそ逃さないように借りました。
いやいや、さすがにスヴェラーク親子の作品、チェコの映画です。
戦闘シーンもありますが、チェコらしいユーモアがあって、戦争ものなのに、全体的にゆったりしているというか。
ドイツに占領されたチェコスロヴァキアから脱出し、イギリスの空軍(Royal Air Force) に所属してドイツと戦った男性たちの友情が主題の映画です。
ポスターやDVDのジャケットは、少年(少尉)が前面に出ていますが、奥の男性(中尉)の方がメインの主人公だと思います。
この坊やも、思いっきり子どもっぽくて、血気盛んで、まだまだ単純で、とっても可愛らしいのですけどね。
この2人は上官と部下であり、親友であり、共に戦う仲間であり、同じ人を愛してしまう恋のライバルです。
彼ら2人を中心に、チェコスロヴァキアからイギリスにやってきたパイロットたちの友情を描いています。
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ただし、単純なヒーローものではありません。
なにしろ、映画のはじまりは、1950年のチェコスロヴァキアの労働キャンプ(収容所)です。どうやら教会か修道院を接収して収容所にしているようです。
かつての空の英雄たちは、1948年の共産党政権樹立後、西側帰りの「国家の敵」とみなされて、さまざまな迫害を受けました。
空軍のパイロットたちが死刑になった例はなかったようですが、降格されたり、勲章をはく奪されたり、有罪となって労働収容所に収監されたりしました。
主人公たちは、残してきた恋人や親しい人たちを想って戦い、次々と仲間を喪っていきました。
その代償がこれか…と非道さにショックを受けます。
収容所では、暴力が常態化しています。生きて出られないこともしばしばです。
1951年に彼らは釈放されますが、公式な名誉回復は1991年を待たなくてはなりませんでした。
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1960年代に、チェコスロヴァキアでは、一時期、自由化の動きがありました。このときに、外国で戦った人びとへの注目が高まります。著作が出版されたりもしますが、自由化はソ連を中心とするワルシャワ条約機構軍の侵攻で潰されてしまいます。
1980年代から再び取り上げられるようになり、1989年の「ビロード革命」以後は、続々と書籍が出たり、ドキュメンタリー番組が作られたり、講演が行われたりしているそうです。
昨年、「ビロード革命」30周年には、国民博物館 Narodni museum で、彼らの功績をたたえる展覧会 RYTIRI NEBES ( Knights of the Heaven )が開かれていました。
ところが、この日は私、デジカメのカードを忘れて、ほとんどオリジナルの写真が撮れていないのが悔しい!
こちらに、展覧会の紹介記事があります。↓
さらに詳しい紹介が、
イギリスのRAF博物館のHPにあります。写真もたっぷりです。上の記事は、こちらのページのダイジェストっぽい感じがしました。
英国空軍のチェコスロヴァキア部隊のパイロットを主人公にした映画が、もう一本、無料で鑑賞できるので、このシリーズ、続きます!