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by chekosan
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資源争奪の手段としての性暴力を批判する コンゴのムクウェゲ医師 ~映画「女を修理する男」(2015年)

国連UNHCRの映画祭、とうとう6本目です。2か月と少しという長い期間、オンライン配信で見放題という企画だったおかげで、6本すべてを鑑賞することができました!

ラストに残しておいたのは、昨日の「ナディアの誓い」のナディア・ムラドさんと、2018年のノーベル平和賞を同時受賞したコンゴの婦人科外科医で、人権活動家であるデニ・ムクウェゲさんを追ったドキュメンタリー映画「女を修理する男」です。


資源争奪の手段としての性暴力を批判する コンゴのムクウェゲ医師 ~映画「女を修理する男」(2015年)_b0066960_13131146.jpg


ラストにしてよかったという感じです。非常に深刻で、複雑です。

ムクウェゲ医師は、コンゴ東部で性暴力を受けた女性たちの治療に当たりながら、その背後にある政治的意図を告発し、国際社会にも責任があることを訴え続けています。

コンゴでの広範で残虐な性暴力は、民兵らの性的欲求によるものではなく、また旧ユーゴやルワンダでの「民族浄化」を狙ったものとも違う、別の狙いによる組織的な犯罪で、「戦争の最悪の武器」「性的テロリズム」であるといいます。

コンゴには、希少な鉱物資源が豊富に埋まっており、その奪い合いが紛争を生んでいます。そうした資源がある地域の住民を一気に全滅させるというのは、さすがに目立ってしまい、証拠も残ってしまいます。

そこで、証拠が残りづらく告発がされにくい女性への性的暴力という手段をとることによって、女性たちの家族にも恐怖や恥辱と無力感を与え、住民を退去させたりコミュニティの結束を弱体化させたりし、男性を重労働である採鉱の仕事に追いやったりしているというのです。

そうして掘り出された鉱物は、電子機器などに使われています。つまり携帯電話などを便利に使っている私たちは、コンゴ東部の住民の犠牲の責任の一端を負っているのです…

本来、コンゴは鉱物だけでなく、自然にも恵まれた豊かな土地だそうです。ムクウェゲ医師いわく、「扉や窓のない宝石店」から自由に強奪しているような状態であるというのです。

破壊的な暴力や収奪を収束させて処罰しようとしないコンゴ政府や周辺諸国、国際社会の無策と無責任さに愕然とします。


さらに複雑なのは、犯罪に関与しているのは、コンゴの内部の人だけではないというところです。隣国ルワンダにおける紛争や内戦で、ブルンジ、ウガンダ、コンゴなどの近隣諸国に逃れた武装勢力は、これらの隣国でも力をそがれるどころか、むしろより増強していきました。彼らは、コンゴの現地住民も襲いました。すると、現地の民兵などまでが、一般住民を襲うという事態が広がっていったのです。

ルワンダ本国は、大虐殺から20年あまり経って情勢も安定し、女性の躍進やIT化で注目されていますが、いまも続くコンゴの大混乱を引き起こした責任があったのです。(文末に関連記事リンク)

こちらの記事に詳しく解説されています。






政府も司法も警察も、罪を犯した当人たちも、真剣に向かい合っていなさそうな場面もありますが、ムクウェゲ医師の訴えや女性たちへの励まし、彼に感謝し、尊敬し、自ら立ち上がる女性たちの姿には希望を見出せます。

ショッキングな映像や事実も多いので、すべての人にぜひ、とは勧めがたい面もありますが、それでも見てほしい映画です。

昨日に続いて、本日も少々疲れたので、若干、説明不足ですが、これにて…

関連記事:
ルワンダ大虐殺に関する映画


ジェノサイド後のルワンダに関する書籍:
新聞の特集記事で知って速攻で読了。1994年の大虐殺が今も記憶に残るルワンダで、パートナーとともに義足をつくる活動を続けている日本人女性がいるとは。虐殺の背景と結果、その後の国と社会の建て直しについても噛み砕いて書かれていて、たいへん面白い。汐文社はいい児童書を次々出すなあ! ところが最近、彼らの活動拠点が突然取り上げられ、施設が解体されたという。コロナで講演会なども開催しづらい状況とのこと。https://mainichi.jp/articles/20200612/dde/012/040/005000c


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by chekosan | 2020-08-25 14:25 | 映画、映像 | Trackback | Comments(0)