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by chekosan
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ヤン・シュヴァンクマイエルの「アリス」(1988)

奇才?というイメージのチェコの著名なアニメーション作家、ヤン・シュヴァイクマイエルの代表作「アリス」を観ました。

実写と人形アニメを融合させた作品で、1988年の制作ということを感じさせない時代を超越した感覚。

「不思議の国のアリス」のストーリーを踏まえつつ、独自の解釈というか演出というか、チェコらしい不思議さ、奇妙さ、不気味さ、グロさ、うっすらとしたエロティシズムがぎゅううううっと混ざっていて、これは見れてラッキーでした。

気持ち悪い、耐えられない、合わないという人も多いかも?



ヤン・シュヴァンクマイエルの「アリス」(1988)_b0066960_13484567.jpg


主人公のアレンカ(=アリス)は本物の少女です。めちゃくちゃかわいくて、演技達者です。私が観たのはチェコ語版でした。

少女の語りのところでは、口元だけがドアップになるのですが、これがまたロリコンの人にはたまらないんじゃないかと思わせる、少し倒錯したエロティシズムを感じさせるんです。

アレンカ以外のキャラクターは、人形アニメです。剥製や標本が動き出すのですが、すごく不気味で、ちっともかわいくないけど、ちょっと愛嬌があるので、完全に気持ち悪くはないという絶妙な造形。かわいいだけよりも好きかも…

引き出しを開けようと思うと取っ手が取れてすってんころりんを何度も繰り返すとか、どう見ても怪しいクッキーやインクを口にしてしまうとか、妙に汚いところを進んでいかなくちゃいけないとか、なかなか抜け出せなくて、よくわからないけどなんとなく知っているような場面が展開していく。

隠喩まみれに見せかけて、実はそうでもなくて夢の混沌を表現しているだけなのかも。

あとから、ああ、あれはこれが影響していたのかとわかるような、すっきり眠れないときの夢の世界を1時間半見ている感じです。

かわいいだけのアニメや映画は面白くない、大人の脳を刺激する凝ったものを堪能したい、という人にはおすすめです。^^



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by chekosan | 2020-07-18 14:11 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)