読書メーター 2020年4月の記録
2020年 05月 01日
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フィンランド公共図書館: 躍進の秘密の感想
「住民の居間」と呼ばれるフィンランドの図書館。ものづくり、地域住民の交流、生涯学習にと、「勢いよく」活用されている。おしゃべりも飲食も、節度を保てばOK。本を読むことを中心とする伝統的なリテラシーだけではなく、言語、視覚、聴覚、運動感覚などマルチリテラシーを身につけるための場へ。フィンランド社会の目標である平等の達成を支える役割を担っているという意識が浸透していることが大きい。月イチ書評で取り上げました。
ロシアに造詣の深い作家2人による対談。タイトルの「異端」は、ロシアや日本の異端派とされる宗教の話や、政治的な理由から異端とされた文化人の話などが出てくることからつけられたと思われるが、本書で語られることはそれだけではない。対話によって相互に引き出される話題の豊かさにはたくさんのヒントがあって刺激的。お二人のちょうど一世代分の年齢差による背景の違いも、良い感じで反映されている。印象的だったところをブログにピックアップ。
ベルリンの壁崩壊直前の東独に音楽留学した男子大学生が主人公。自分の音を追求しに来たはずがスランプに陥る。「銀の音」を奏でるオルガニスト、圧倒的な天才ヴァイオリニスト、ライバルであり仲間であるピアニストたちと衝突しながら、自分の道を見つけていく主人公、的なお話。秘密警察(シュタージ)が絡んでくるのはお約束。舞台設定は好物だったが、あまり深みを感じられずに終わる。いや、面白くないというわけではないが。お布団読書で何日もかけたからかもしれない。すみません。
セルビアの作家というので。ショートショート風で、さらっと読めた。さほど出来は良くないが、適当にYouTubeでドビュッシーとか流しておいて(気が散らなくてBGMによいので最近のお気に入り)、ダイニングのいすを並べて寝っ転がって、途中うとうとしながら読むにはよかった。このところPCに向かいっぱなしで本を読む余裕がなかったので、久々にダラダラできて気分転換になったかな。そういう時間も大事だよなあ。
叱咤激励を受けているような気分になる一冊。「はい!」と姿勢を正したくなる。54番目の項目「活発な意見の応酬をせよ」のような場をつくれるようにしよう。「リラックスして何の損得も考えず率直に自分の意見を述べあうべき」「ちょっと頭にわいた疑問でも、変な考えでも、すぐにその場でしゃべってこそおもしろくなるのだ」「そうして知が生まれてくる。知はおもしろいものであり、人間の脳にとって最高の遊びなのである。だから、何も恥じることなくおしゃべりして、互いの意見を楽しむべきなのである。そこから必ず新鮮な考えが生まれてくる」
チェルノブイリ原発事故から34年。事故の起こった4月26日あたりには、関連するものを読んだり授業で取り上げたりしている。本書は、被害の大きかったベラルーシで医療支援を続けている鎌田医師による、実話をもとにした「大人のための絵本」。タイトルは、涙なしには読めない逸話を象徴している。日本やドイツのボランティアが白血病の子どもの病棟にもたらした明るさの逸話も尊い。「希望を組織することが大切なんだと思った。希望はあるものではなく、つくるものなのかもしれない」「希望があれば絶望のなかを人は生きていけると思った」
読了日:04月30日 著者:鎌田 實,唐仁原 教久