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by chekosan
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映画「ソハの地下水道」(2011年)

ずっと気になっていた映画「ソハの地下水道」を観ました。

第二次世界大戦時、ドイツ軍に占領されたポーランドのルヴフ(Lwow 現在のウクライナのリヴィウ)で、下水を管理する技術者であるソハが、ヤノフスカ強制収容所への連行から身を隠そうとしたユダヤ人を14か月に渡って、地下水道に匿ったという実話をもとにしています。



映画「ソハの地下水道」(2011年)_b0066960_17074512.jpg


なかなかリアリスティックというか、見ていてキツイ場面や、生々しい場面がちょくちょく出てきます。

ドイツのSSやユーゲントがユダヤ人女性を全裸にして追い立て、森で無残にも射殺するシーンや、街なかでユダヤ人をいたぶって、それを地元民が至近距離で見ているシーンでは、思わずギャーと声を上げてしまいます。

そんな光景が日常なのに、隙あらば睦合う男女。こんなとこで、こんなときに!?とギョッとしますが、それくらいしか恐怖やストレスを紛らわすすべがないのか…

主人公のソハも、決して初めから善人ではないです。空き巣をしたり、ユダヤ人からお金をむしり取ったり。

とはいえ、ドイツ占領下では、ポーランド人も食べるのが大変で、意味なく殺されることも日常茶飯事でしたし、ユダヤ人を匿ったりしたら、本人はおろか家族一同、処刑される状況なので、善意だけで10人も20人もの人を匿うのは不可能です。

実際、たくさんのユダヤ人が隠れて生き延びようとすれば、食料や燃料と、その資金が必要です。資金はユダヤ人が出すお金や貴金属でまかなったとしても、3人家族のソハが大量の食糧を買えば、なぜそんなに必要なのかと店の人に怪しまれます。おそらく、店を転々と変えるなどしなければいけなかったでしょう。差し入れするだけでも命がけなのです。

ソハの昔の友人で、ウクライナの将校である人物もルヴフでのユダヤ人狩りを指揮しているのですが、彼はドイツがウクライナの救世主だと信じていて、ポーランドにとってもそうなると疑っていません。この人物は、しかも、ソハを本心から恩義のある友人だと思っているのです。それに対して、ソハはあいまいな笑顔でやり過ごします。毎日が綱渡りです。

映画では、時間の経過がわかりづらかったですが、このような状況で、14か月も、子どもを含む11人を匿ったというのは、とんでもなく大変なことであったと思います。


助かったユダヤ人たちは、ソ連領となったルヴフから逃れ、欧州やアメリカ、イスラエルに渡ったそうです。生き延びた子どもの一人が2008年に回想録を出版しているそうです。

映画には原作もあるようなので、そちらも読んで、また比較してみたいと思います。


つづく(多分)

追記:原作はこちら










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by chekosan | 2019-09-23 17:50 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)