東欧に関する授業で、毎年、数人が強い関心を示す事項のひとつが、ポーランドの「カティンの森」事件です。
第二次世界大戦中、ソ連によって2万前後ともいわれるポーランド将校らが銃殺されました。しかし、長くドイツの仕業であるとされ、ゴルバチョフ時代になってようやくソ連の行ったことであると認められました。
今年もこの事件に関心をもって展覧会を見に行ったり、本を読んだり映画を観たり、レポートのテーマにした学生が数名いました。
ということで、ワルシャワに行くなら、ここは外せないと思っていたのが、カティン博物館です。
ツィタデラという、昔の要塞の跡に比較的最近できたものです。ツィタデラは今もぐるりがちゃんと残っていて、内部は国の施設として現役で使われています。
一部が、第10監獄博物館と、カティン博物館として整備されて、一般公開されています。私たちが行ったときは、第10監獄博物館の方は改装中なのか入れませんでした。(´;ω;`)
カティン博物館の入口はこんな感じです。要塞って、やはりどこも似るのか、リトアニアのカウナスの第9要塞を思い出しました。
たいへん充実した博物館ですが、無料です。無料ですが、総合案内でチケットを受け取ります。
案内の近くにトイレ(無料)があります。
展示の説明書きはポーランド語だけなので、事前に情報を入れていない人は、オーディオガイド(有料)を使った方がいいかもしれません。
オーディオガイドは英語その他、3か国語だったか5か国語だったかあります。日本語のものはありませんでした。
また、博物館のカタログはありませんでした。A4三つ折りくらいのパンフレットはあります。
受付の方は、日本から関心を持ってきてもらえてうれしいとおっしゃっていました。
小さな森を抜けていきます。
一緒に連行されていく感じで廊下を進みます。
ここまでは、演出してる感がありましたが(そのあとも少し怖い感じの音はしていましたが)、基本的に、ここは「モノ」の訴える力を感じさせる展示でした。
銃殺現場から発掘された薬莢。
発掘された遺品が、一マスに一つずつ。持ち主ひとり一人の人生を想像させます。
手作りのチェスの駒(?)。何組もありました。それぞれ大きさや形が違って、彫っている姿まで見えてくる気がしました。
数字と文字の板も。これもゲームなのでしょうね。
ボタンをつないで数珠のようにしたものもいくつもありました。
発掘のていねいさにも圧倒されました。
かけらも。
出ると、細い道を通るようになっています。ここには石が並んでいます。
犠牲者の職業が記されています。詩人や哲学者、建築家、医師、法学者、役者、、、、ポーランドの知識人、文化人たちがごっそりと殺されてしまいました。
そして、犠牲者ひとりひとりの名を記した追悼の場。宗教(宗派)別になっているようです。
2万という数の多さももちろん問題ですが、それよりも一人ひとり生きていた人たちだったのだということを、静かに、強く語りかけてくる施設でした。
ここは、これらの人びとの銃殺現場ではありませんが、追悼の場であり、お墓のような場になっていると感じました。
ツィタデラは外周を回れます。緑の多い公園になっていて、ところどころベンチもあります。草原でピクニックをしている人たちもいました。
回っていくと、壁に落書きのある団地ゾーンもあれば、高級そうなお洒落な住宅ゾーンもあって、ちょっと不思議な感覚でした。
ややわかりづらいところにありますが、しっかりした地図を持っていくか、ナビ機能などがあれば、行ってしまえばなんということはないところでした。来てよかったと思いました。