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by chekosan

米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』をみんなで読んだ@同志社特殊講義「文学で学ぶ東欧・ドイツ・ロシアの政治と社会」

同志社で担当している「特殊講義」。今まで法学部の科目だとばかり思っていたら、どの学部でも履修できるのだと初めて知った3年目。そして実際、今年は文学部哲学科からも数名受講!学際科目だ!(?)

昨年度の講義科目受講生や春の講義科目受講生も数名受講しています。これって、とっても嬉しい☆(´∀`*) 

結果、初年度2人、2年目5人、そして今年は10人と、倍々ゲームで、とうとう二桁です(笑) 

今年は、科目のサブタイトルを「文学で学ぶ東欧・ドイツ・ロシア」と題しました。ずっとアシスタントをしてくれている院生君、科目名を見て、「どんどん範囲が広がっている! どこまでいくんだろう!」と思ったそうです。

形式上、科目の設置の条件としてサブタイトルを変える必要があったということもあるのですが、こうして範囲をゆるくしておくと読む本の選択肢が広がるからいいかなと思ったのです。( ̄▽ ̄) 

ということで、今年は過去2年、あまり読めていなかったロシアものからスタートしました。

しかし、あえて日本人作家の作品。米原万里さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』です。

いずれも米原さん自身の少女時代の経験をベースに書かれています。チェコやロシアを舞台としたノンフィクションとフィクションです。


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関連本なども読み直して予習するの図。右にあるお菓子は米原さんの『旅行者の朝食』に出てくるハルヴァ。昨年、リトアニアで見つけ、今年はエストニアで見つけました。エストニアで買ったノートにメモをとっていきました。このノート、ロシア語練習帳のようなページが入っていて、この本のノートにぴったりです。

※『旅行者の朝食』は関西ウーマンの書評コーナーで取り上げました。




『嘘つきアーニャ』は以前に読んでいたと思ったのですが、第1部を読み始めて、あれ??

もしかしたらNHKのドキュメンタリーで見ただけだったかも? 

おませな少女の下ネタ満載で、授業で使って大丈夫だったかと苦笑。でも、もちろんそれで終わりではなくて、社会主義期のプラハの学校に集った4人の少女たちの学校生活を通して、社会情勢、国際情勢を鮮やかに描き出しています。

米原さんと3人の友人たちは長く音信不通になっていたのですが、30数年ぶりにNHKの企画で再会を果たします。

番組の方では会えた良かったで終わるのですが、『嘘つきアーニャ』の方では、過去のエピソードに加え、再会に至るまでの調査の過程や、そこでわかってきた友人たちの人生、それに対する米原さんの思いが詳しく語られます。



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『オリガ・モリソヴナの反語法』はフィクションの小説です。少女時代にプラハのソビエト学校に通っていた日本人の主人公が、ソ連の崩壊、情報公開を機に、異彩を放っていた女性教師たちの謎を解いていくという話です。

フィクションですが、歴史的事実を巧みに織り込んだリアル感たっぷりの話になっています。

主人公が謎解きをする今の時点(1992年のモスクワ)、主人公たちがプラハのソビエト学校に通っていた1960年代、女性教師たちの過去(1930年代から50年代)と、3つの時代を行き来する構成で、主人公の回想もあれば証言者の話、手記による説明などを行ったり来たりするので、一読ではわかりづらいところもあります。

そこで、『オリガ・モリソヴナの反語法』年表を手分けして作りました! 

歴史的事実と、作品中の登場人物たちの動きとをピックアップしていくと、A3で2枚分になりました。
私も最後の3章をやってみましたが、これはなかなか面白い作業でした。

細部の修正や補足などをして、クラスのみんなの共有財産にしようと思います。

で、『オリガ』、文庫本で500ページほどあるのですが、みんな一気に読めたようです。

謎解きも面白いけど、歴史とからめたリアルな描写がとても面白かったという感想や、

日本人作家の目と体験を通して書かれた作品であることで、かえって理解や親しみを深められたように思うという感想、

ヨーロッパが舞台だけど宗教がからんでこないのは日本人でソビエト学校に通っていた米原さんだからこそではないかという感想(なるほど!)、

歴史を知るということは、政治家や戦争の名前を覚えるということではなく、個人の物語を見つめることが重要なのだということをあらためて感じたという感想、

何度も読むべき本だと思った、人間の一生ってすごい、人が生きるために必要なことってなんだろう、、、

などなど、それぞれいろいろと考えてくれたようです。

まだ緊張感がみなぎっていて、わーわーしゃべって盛り上がるというのではないのですが、全員が同じ作品をじっくり(しかし一気に)読んでくるというのがなにより貴重な経験だと思っています。

全員が同じ読み方、感じ方をする必要はないと思っています。誰かが取り上げた箇所に、そうそう、そこ面白いよねと思ったり、そんなとこあったっけと思ったり。

そういう時間をゆるゆる共有することで、じんわりとなにかが効いてくると思っています。


次の共通テキストは、『オリガ』における重要テーマからのつながりで、ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』です。

でもその前にインターバルで、次回は持ち寄り企画。旅行の報告や本や映画の紹介など、全員になにがしか発表してもらいます! とっても楽しみです!






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by chekosan | 2018-10-18 21:05 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)