映画「ロープ 戦場の生命線」(2015年)観てきました
2018年 06月 30日
タイトルだけ見るといかにも戦争モノという感じですが、つくりとしてはコメディタッチの映画です。上映中、何度もくすくす笑いが起こっていました。
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バルカンのどこかの国、内戦が停戦合意に達したものの、まだまだ危険がいっぱいの山岳地帯が舞台。
ある日、住民の水源である貴重な井戸に死体が投げ込まれます。
国際援助活動団体が、24時間以内に死体を引き上げて水の汚染を食い止めようとするのですが、頼みのロープがちぎれてしまいます。
ロープ1本を求めて活動家たちは車を飛ばすのですが、途中、地雷や地元の武装集団による通行止めや、その他いろいろな困難が行く手を阻みます。
果たして井戸の汚染は食い止められるのか!
ごくごく普通のロープ1本が、なぜ手に入らないのか。
ロープが売っていないわけではない。存在しないわけでもない。目の前にあるんです。売ってくれれば、貸してくれれば、井戸は汚染を免れる。多くの人が安全な水を手に入れられるんですが、売ってくれない、貸してもらえません。それぞれに切羽詰まった理由や内戦が落とす影があるのです。
国連に要請しても動いてくれません。国連にも、国連のルールや理屈や、優先順位があるのです。
戦闘や流血や死体などは、ほぼ出てきませんが、戦争(内戦、紛争)の現実を伝えてくれる映画です。
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バルカンの山岳地帯を鳥瞰するショットも見どころです。ごつごつした緑のない岩山は、日本にはない風景です。こんなところで紛争が起きたら、確かにそう簡単に平定できないだろう、長期化もするだろうと思わせられました。
でも、そうしたなかでも人々は生きていくのですね。地雷原で牛を飼うお婆さんのたくましさと知恵に感嘆する場面が一番印象的でした。
キャラクターもそれぞれ個性が違い、とても味があると思いました。あまり知名度は高くないような気がしますが、おすすめの一作です。