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by chekosan
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「平和教育」ゲスト講義@滋賀大学教育学部

先日、滋賀大学教育学部のオムニバス講義科目「平和教育」で講義をさせていただきました。

私のテーマは、「戦争の記憶を伝える ~ホロコーストを中心に~」。


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教育学部の学生さんなので、小中高の社会、英語、道徳の教科書にも取り上げられている杉原千畝(1900~1986)の話から始めました。

杉原は、第二次大戦中にリトアニアのカウナスに日本領事館を開設し、主にポーランドから逃れてきたユダヤ難民に、日本を通過するビザを発給し、欧州脱出を可能にした外交官です(★)。

この講義と連動して、広島県福山市のホロコースト記念館からパネルなどをお借りし、特別展示会も開きました(別記事で投稿予定)。



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日本領事館を撤収した後、リトアニアはじめ東欧でのユダヤ人への迫害、連行、殺害は激化していきます。その舞台となった場所の保存、公開の様子も写真で見てもらいました。

ホロコースト(ユダヤ人の絶滅を目的とした虐殺行為)のもっとも過激で大規模な「装置」が、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所でした。次の画面は、アウシュヴィッツ第一収容所のガス室のなかの様子です。


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アウシュヴィッツだけでは人々を収容できなくなり、もっと大きな収容所がつくられました。
それが、ビルケナウ強制収容所(アウシュヴィッツ第2収容所)です。
次の写真は、ビルケナウの跡地と、人々を満載にしてきた家畜用貨車のひとつです。


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このような人類の犯した負の歴史をきちんと伝え、そこから学ぶ必要性についてお話しました。写真は、リトアニアのヴィリニュスのジェノサイド博物館に野外展示してあった子どもたちの絵画です(★)。


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直接、悲劇の舞台となったところでなくても学ぶことはできるし、意義のあることだというお話もしました。杉原のゆかりの土地、岐阜県八百津町での「人道教育」の取り組みや、福山市のホロコースト記念館での講演会で私が遭遇し感銘を受けた出来事(★)を紹介して終わりました。

★印の箇所(杉原千畝、リトアニアにおけるホロコースト)については、こちらにまとめています。
「リトアニアにおけるホロコーストの記憶」流通科学大学論集 第30巻2号 2018年1月発行



今回、感想をいただいたなかで印象的だったのは、福井出身の学生さんたちの熱い反応でした。

杉原が発給したビザで欧州を脱した人びとの多くは、シベリア鉄道で大陸を横断し、ウラジオストックから敦賀に上陸します。そこから神戸や横浜に移動し、第三国へ渡っていきました。敦賀の人々は、命からがら逃げてきた彼らをあたたかく迎え入れたといわれています。

敦賀には、それを記念する「人道の港 敦賀ムゼウム」があり、ホロコースト生存者やその子孫の方もよく訪れておられるようです。最近では、八百津町などと連携して「千畝ルート」をアピールし、さらに訪問者が増えているようです。

という話を盛り込んだところ、数人の学生さんが、福井ではそうした歴史を学ぶ機会があります、そのような役割を果たした地元に誇りをもてますといった主旨のコメントを書いてくれました。

以前、同志社の授業で杉原関連の話をしたときには、兵庫県出身者数人から、神戸がユダヤ難民を受け入れて厚くもてなしたという事実を知って嬉しいという反応がありました。

自分たちと関わりがあると感じられると関心がより高まるのですね。そのことをあらためて確認できたのは私にとっても収獲でした。

そうした歴史的事実と私たちとの関わりや、各地で行われている歴史教育、平和教育、「人道教育」、人権教育の取り組みをさらに収集し、紹介する機会を今後もつくろうと思います。


~特別展示企画編につづく~



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by chekosan | 2018-05-22 17:54 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)