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by chekosan

田村和子『生きのびる クラクフとユダヤ人』『ワルシャワの日本人形 戦争を記憶し、伝える』

ポーランド語翻訳者の田村和子さんによる、

『母と子でみる48 生きのびる クラクフのユダヤ人』(草の根出版会 2000年)、
『わワルシャワの日本人形 戦争を記憶し、伝える』(岩波ジュニア新書 2009年)

を読みました。

いずれも、ポーランドにおける戦争体験、ホロコースト体験を語り継ぐ本です。

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田村和子さんは、1979年に、家族の仕事の関係でポーランドのクラクフに1年滞在されました。帰国後ポーランド語を学ばれて、再びクラクフに留学されています。

ポーランドで出版されている青少年向けの本を翻訳されるとともに、戦時のホロコーストや抵抗運動についても聞き取り調査をされている方です。

『生きのびる クラクフとユダヤ人』は、草の根出版会の『母と子でみる』シリーズの一冊です。このシリーズからは、戦争を語り伝えるものがたくさん出版されています。いずれも写真が多く、記述もていねいでわかりやすくて頼りになります。

この本は、日本ではあまり紹介されていないクラクフのゲットーや強制収容所を生き延びた人たちの体験を聞き取ったり、体験記から要旨をまとめたりしたものです。

『シンドラーのリスト』に出てくる女性(当時は少女)や、クラクフで証言活動を行っている男性、イスラエルに渡り回想記や小説を著した女性たちの体験はたいへん過酷で、ショッキングです。

写真も、当時のものもあれば発行当時のものもあり、大判なので臨場感があります。

2000年発行の本なので、この本のために撮られた写真でも、先月(2018年2月)見てきたクラクフとかなり雰囲気が違うことに驚きました。この間に、クラクフはずいぶん変わったようです。

クラクフで見逃したところがいくつも出てくるので、あらためてもっと見ておきたかったと臍を噛みました。
これからクラクフやアウシュヴィッツに行かれる方は、ぜひ予習で読まれることをおすすめします。

最終章のワルシャワ・ゲットーの話は、もう一冊の本、『ワルシャワの日本人形』の一部と重複しています。

『ワルシャワの日本人形』の方は、ドイツ占領下のワルシャワで抵抗運動に携わった人々や、
彼らを記念する博物館などについて、わかりやすく語るように紹介しています。

パヴィヤク監獄に収容された地下運動家の女性が、少しずつ少しずつ仕入れた材料で作った日本人形にまつわる話や、そのエピソードを日本のアーティストがパフォーマンスにした話、

子どもの頃に、日本の援助でシベリアから救出され、のちに「孤児部隊」を率いてワルシャワ蜂起に参加した青年の話など、興味深い事実が続きます。

脱出のチャンスはあったのに子どもたちとトレブリンカ強制収容所に行くことを選択したコルチャック先生や、

アウシュヴィッツ強制収容所で処刑されそうになった若いポーランド軍曹の身代わりを申し出て亡くなったコルベ神父といった、ポーランドのホロコーストを語るうえで外せない著名人についても紹介されています。

ワルシャワに行くときには、ぜひここに出てきた場所を訪ねたいと思います。




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by chekosan | 2018-03-24 20:29 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)