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by chekosan
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ポーランド旅行記2018 (10)ユダヤ人地区(カジミエシュ)の破壊された墓標の壁

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所という今回の旅の一番の目的地を見学した翌日。
なんだか顔が火照る… 身支度して朝食もとったものの、どうやら熱がありそう… 

で、中4日しかない旅の3日目は丸一日、葛根湯を飲んで、宿で休みました。

4日目は復活。帰国前日なので、ここだけでも!というところに優先的に行きました。

それは、関大の外国書研究で読んだ文章、The Holocaust and Public Memory in Poland に載っていたユダヤ人墓地です。
このなかの一枚の写真に衝撃を受けました。壊された墓標で壁が造られているのです。

でも、そのときはクラクフ行きが具体化しておらず、ピンときていませんでした。

クラクフに来てから、シンドラーの工場博物館のショップで買った本、Jewish Cracow (旅行記(3)に登場)をめくっていて「再会」し、またしてもビビビビビーっと電気が走ったのでした。


墓標の壁があるのは、ユダヤ人が住んでいたカジミエシュ地区にあるレム・シナゴーグの墓地です。

この墓地は、ナチスドイツに占領されているときに破壊されました。戦後、墓地を再建し、埋められていた墓標の破片で壁が造られました。クラクフの「嘆きの壁」と呼ばれているそうです。

墓石で壁… 

たしかにユダヤ教の墓標はデザイン性が高いのですが、なんともざわざわした気持ちになります。



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ほかに誰もいない墓地の雪に足跡を残しながら、じっくりと見せてもらってきました。



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これは裏側の通りから墓地を見た図。


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墓地のあるレム・シナゴーグは、小さいのですが由緒あるシナゴーグのようです。


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天井がきれい。

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宗教施設や墓地というのはもっとも神聖な場所。信仰にかかわらず尊重すべき場所であると思います。
それを破壊するのは、このうえない辱めで、たいへんな苦痛をもたらしたことでしょう。

人びとが大事に思うシンボルへの暴力の跡をこうした形で残すことは、非常に強いインパクトがあると思います。

ポーランドやリトアニアでは、ドイツの侵攻により90~95%のユダヤ人が殺されました。
継承者がなく、忘れられた墓地、朽ちていく墓地が多数あります。
建物が建てられたり、墓標が建築資材にされたりということもあるそうです。

それらの墓地を確認し、データベース化する活動もあります。



つづく。


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by chekosan | 2018-03-01 22:19 | ポーランド | Trackback | Comments(0)