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中・東欧、ロシア、大学教育、美術展、映画鑑賞などなど


by chekosan
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読書メーター 2018年2月のまとめ

2018年2月は、初旬にポーランド旅行。アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所跡や「シンドラーのリスト」の舞台を見てきました。

旅行と現地でひいた風邪で、前半はあまり読書が進まず。でも、このところのテーマである、“現地に行って学ぶ”系の本をいくつか読めて様々な示唆をもらえました。

中旬は年度末恒例の各種報告書や申請書その他で撃沈。

月末、間隙を縫ってチェコの代表的作家、ボフミル・フラバルを連続で3作読みました。文体は好みではなかったですが、好きな人は好きだろうなあと思える作品たちでした。

クンデラにしてもそうですが、歴史をからめて、人間の生々しく恥ずかしい面をユーモアを交えつつ鋭く洞察し、笑えるけれども痛々しく描き出す腕はすごい。小国の小さな存在、弱い人たちの描き方がすごくリアルなんですよねぇ。

さらっとした文体で一気にラストまで読ませる日本の現代作品とかラノベとかもそれはそれで価値はあると思うけど、こういう濃い、くどい、深い思索にもとづく作品を読むと、ちょっと同じジャンルにはくくれないなあと思う。


2月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:2935
ナイス数:485

スタディ・ツアーのすすめ (岩波ジュニア新書)スタディ・ツアーのすすめ (岩波ジュニア新書)感想
ひょいと見つけた一冊。最近の私の関心にぴったりなタイトルで即買い。情報源の探し方などは古くなっているが、参考になる事例や引用がたくさん紹介されていた。はじめの章で紹介されている大学生のベトナムツアーにはおおいに刺激を受けた。ベトナムには一度は行きたい。ルソーの『エミール』からの旅に関する考察の引用もたいへん示唆に富む。そのうち学生や一般の人(?)とのスタディ・ツアーもしたいな。その予行演習になるかもしれないポーランド行きもとうとう明日出発!
読了日:02月03日 著者:市原 芳夫


新訂増補版 アウシュヴィッツ博物館案内新訂増補版 アウシュヴィッツ博物館案内感想
2018年2月に現地へ行くにあたって予習。アウシュヴィッツの公式ガイドである著者とアウシュヴィッツとの出会い、ホロコースト生存者の話などたいへん興味深い内容。後半はアウシュヴィッツ=ビルケナウの展示の詳細で、見学後、確認するのに助けになる。現地の様子はブログの「ポーランド旅行記2018」にアップ。https://chekosan.exblog.jp/tags/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E6%97%85%E8%A1%8C2018/
読了日:02月05日 著者:中谷 剛


シンドラーズ・リスト―1200人のユダヤ人を救ったドイツ人 (新潮文庫)シンドラーズ・リスト―1200人のユダヤ人を救ったドイツ人 (新潮文庫)感想
アウシュヴィッツ&シンドラーの足跡を訪ねる旅の途中から読んで、ポーランド風邪に伏せっている間にちょっとずつ読んだ。原作には映画には盛り込めなかったエピソードがたっぷり書かれていて、とても面白い。例の「赤い服の少女」、実在の人物だったんだ! 映画の方がわかりやすいところもあり、原作を読んでああそういうことかとわかるところもあり。ということで、映画も原作もおすすめ。詳しくはブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28148158/

読了日:02月13日 著者:トマス・キニーリー


虚ろな十字架虚ろな十字架感想
東野圭吾は特に好きというほどでもないのだけど、読み始めると止まらなくなるうまさがあるなあ。これも家族が借りてきたもの。子を強盗に殺された母が、十数年後に道端で強盗に殺される。犯人はすぐに捕まるが、実は背景には、というお話。ラストに向けてやるせない過去の罪が明らかになる。こういう若気の至りによる悲しい過ち、けっこう起こっているんじゃないだろうか。一人の命を殺めた事実に重さも軽さもない…と言い切れるのか、人を殺めた償いはいかなるものであるべきなのか、といったことを考えさせる作品。
読了日:02月15日 著者:東野 圭吾


丸刈りにされた女たち――「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 (岩波現代全書)丸刈りにされた女たち――「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 (岩波現代全書)感想
第2次大戦時のドイツ占領下のフランスで「対独協力者」であったとみなされた女性たちが、ドイツ撤退後、裏切り者として公衆の前で丸刈りにされるという事態が各地で頻発した。その「被害者」たちの証言を求めて訪ねた記録。今後、ますます当事者の声を拾うことは難しくなるだろう。貴重な証言であると思う。フランスの占領時代~戦後について知識も関心も低かった私には、わかりやすくその時代を解説してくれていて理解の助けになった。詳しくはブログに記録。http://chekosan.exblog.jp/28150792/
読了日:02月20日 著者:藤森 晶子


図書館の主 15 (芳文社コミックス)図書館の主 15 (芳文社コミックス)
読了日:02月20日 著者:篠原 ウミハル
夜明けの図書館(5) (ジュールコミックス)夜明けの図書館(5) (ジュールコミックス)
読了日:02月20日 著者:埜納 タオ
高台家の人々 6 (マーガレットコミックス)高台家の人々 6 (マーガレットコミックス)
読了日:02月20日 著者:森本 梢子
図書館の主 14 (芳文社コミックス)図書館の主 14 (芳文社コミックス)
読了日:02月21日 著者:篠原ウミハル







もっとヘンな論文もっとヘンな論文感想
より素人さん向けに、一般にウケそうなテーマの論文を探して書いたのかな、論文の選び方もタツオさんの解説も若干物足りなくなったかなと思いながら読んでいった。が!最後の「「坊ちゃん」と瀬戸内航路」で本領発揮!後日談を含めて興奮の渦、感動の嵐! この最終章は読む価値あり。詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/28154025/
読了日:02月22日 著者:サンキュータツオ


厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション)厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション)感想
えええー、そんな終わり方なの!?とラストをお布団で読んでそのまま寝たら夢に出ました(笑) しかも出てきた人物がお昼の子どもの参観で出てきた藤田嗣治のヘアスタイルという倒錯した夢。まったく関係ないのに。短い作品ですが、ナチス占領下におけるチェコスロヴァキアの人々の素朴さと深刻な状況とを、コミカルかつシニカルに描くチェコらしい作品。青年が女性との初体験と命をかけたレジスタンスを同じ重さで決行するのがなんとも…クンデラ『生は彼方に』をちょっと思い出す。メンツェル監督による映画の評判がいいのでいつか観よう。
読了日:02月24日 著者:ボフミル・フラバル


わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)感想
うん、面白かった。でもメンツェル監督の映画の方が、よりコミカルで、主人公を魅力的に描いていたかな。俳優さん、小柄だけどハンサムだったし(笑)。原作でさらっと語られるグロなエピソードや、ドイツとチェコスロヴァキアとの間の悲劇は映画では抑えていたような? 映画の終わり方が好きだったので、終盤のだんだん萎んでいっちゃう感を残念に思っていたら、最後の最後で主人公が本当の愛(友情)を知ることになって、よい感じで読み終えられた。主人公を心底頼り、愛情を注ぐ存在として登場する動物たちも愛らしかった。映画また観ようっと。
読了日:02月26日 著者:ボフミル・フラバル


あまりにも騒がしい孤独 (東欧の想像力 2)あまりにも騒がしい孤独 (東欧の想像力 2)感想
フラバル祭り第3弾。主人公はプラハの一角の地下室で故紙処理に従事して35年。その時々の体制下の禁書や雑多な紙類をプレスしてブロックにしながら、自分や本を求める人のために貴重な本をこっそり持ち帰る。哲学や美術書を愛し、「こころならずも教養を身につけ」た主人公は、本を処分するという「非人道的」な所業に苦しみつつ、故紙ブロックを自分の「作品」に仕立てる。故紙ブロックに固められてしまうネズミやハエは国家に飲み込まれる人々でもあるのか。
読了日:02月28日 著者:ボフミル・フラバル

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by chekosan | 2018-03-01 11:47 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)