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by chekosan
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駒崎弘樹・秋山訓子『社会をちょっと変えてみた ふつうの人が政治を動かした七つの物語』(岩波書店 2016)

帯の文句は、

「身近に転がる不都合(バグ)を自分で解決していく、それが草の根ロビイング。
 選挙でもデモでもない、社会の変え方おしえます!」

著者名は駒崎弘樹さんが先に来ていますが、執筆の量からすれば秋山訓子さん(朝日新聞編集委員)が、7人の「ふつうの人」への取材をまとめたⅠ部が大半を占めます。

最終章では、駒崎さんがロビイングのノウハウを書いています。

サブタイトルの「ふつうの人」が「政治を動かす」という文句には、そもそも政治とは政治家が行うものという前提が見えて、その点は引っかかりますが、議員や官僚や大金持ちなどではない、市井の人、当事者が地道な活動を続けて、制度改革、法律改正を達成した事例の紹介です。

保育園の待機児童問題に取りくむ曽山恵理子さん、性的マイノリティをめぐる問題を政策課題に押し上げた明智カイトさん、災害時の外国人支援や小児がんの患者とその家族のための病院をつくり、東日本の震災後に復興庁参与となった田村太郎さん、障害者の介助支援やバリアフリーの活動を展開する中西正司さん、風営法改正を実現した和田礼さん、病児保育・小規模認可保育所を公的な施策で実現した駒崎弘樹さん、NPO法をつくった松原明さん。

どの人も「ふつう」という範疇は遥かに超えた能力、実行力、行動力、熱意を持つ人びとに思えます。
情報収集、コミュニケーション、行動、発信、粘り強さ、緻密さを併せ持つ人びとです。

そんなに難しいことではないでしょう? これでみなさんもできるでしょう! …というには、ここに出ている事例はハードルが高いと思いますが、明確に解決したい切実な課題がある人ならば、実際に「テキスト」のように使えるかもしれません。

国会対策委員会に出入りして法律制定までもってくなんて無理!という人でも、ここくらいなら私にもできるかもというヒントを得られるでしょう。

あるいは議員や自治体や官僚組織はどのように政策を決めて、法律をつくって、予算を決めるのかということを知ることができます。

政局とかスキャンダルばかりが報道されて、議員や役人が何をしているのか、実際のところはなかなか伝わってきません。そうした代表者の本来の仕事ぶりを垣間見ることのできる本でもあります。


ただ、親しみやすくするためか文章が妙に軽く、一文ごとに改行する個人ブログ的な体裁だったり、女性と性的マイノリティの活動家に関して見た目の雰囲気について言及していたりするのはちょっと違和感がありました。

駒崎弘樹・秋山訓子『社会をちょっと変えてみた ふつうの人が政治を動かした七つの物語』(岩波書店 2016)_b0066960_17315640.jpg

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by chekosan | 2018-01-28 17:38 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)