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by chekosan

岡田憲治『ええ、政治ですが、それが何か? 自分のアタマで考える政治学入門』(明石書房 2014)

大変面白く読みました。興味深い、という意味でもありますし、ブフッと吹き出すような例えや表現満載という意味でもです。

感覚が薄れないうちに書き留めておきます。きちんとまとめていません。とりあえず推敲せずに書き連ねておきます。

◇◇◇

サブタイトルが示すとおり、自分のアタマで考え、あくまで「言葉」で人にそれを伝えることがなにより大事なのだということを繰り返し説く、政治学の入門書です。

「政治学って難しそう」「堅苦しそう」「政治って何かよくわからない」「政治は政治家がするもの」「私たちには関係ない」「関わりがない」というような、漠然としたイメージや、忌避感、拒否感、嫌悪感、他人事的な感覚を本書は覆し、払拭してくれます。

著者は「政治」を次のように定義しています。

「こう決めた」と心の中ではなく、他者に向かって言う、表現することを「政治」と呼ぶ。

もうすこし固めに言うと、

「この世の解釈をめぐる選択を、あくまで言葉を通じて不特定複数の他者に示すこと」

もちろん、その濃淡や方法は多様であり得ます。

行動に移す人(移せる人)、支援する人、寄り添う人など、それぞれの状況に応じて可能な範囲でできることをすれば良いのです。

「何もしないこと」「選択をしない」ことも実は「しないという選択をしている」=最悪を避けるための行動を選択できたのにしていないことになるのだという指摘はそのとおりだと思います。

「現実」は実体があるものではなく、解釈である、という説明には強くうなずきました。

「現実的でない」「現実を見なくちゃ」という説得や諦念は、実は、たくさんある事実や、ほかの解釈を見ずに、あるいは無視しているだけかもしれないのです。

誰かが「現実はこうなのだ」ということにしたいイメージが「現実」とされてしまうことに大きな危惧を抱きます。


本書では、わかりやすい事例をたくさん挙げていますが、なかでも福島の原発事故に関する説明が多いです。これに関しては、はじめのうちの、ちょっとおふざけっぽい例示とは違い、切実で、真に迫っていて迫力があります。

中間部には、ソクラテス、プラトンから始まる政治学史もあります。この部分もとてもわかりやすい記述で、かつ、本書全体の意図に沿った切り口で書かれています。

◇◇◇

今年度、「政治学」の授業を久々に担当しました。特にテキストは指定せずに、具体的事例を題材として、自分で考えたあとに他者と対話をする形の授業をしてきました。

そのような形態をとることで学生に伝えたかったことと本書の主張や説明は相当重なっていました。

今年度の受講生にはもう授業の場では直接紹介できませんが、政治とはなにか、私たちには何ができるかを考えるうえでのおすすめの一冊です。





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by chekosan | 2018-01-27 23:21 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)