クルコフ『ペンギンの憂鬱』をみんなで読んだ@同志社特殊講義「文学作品で知るロシア・東欧」
2018年 01月 17日
あまりに重いのが続いたので、途中でちょっと系統の違うものも挟みました。
ウクライナの作家アンドレイ・クルコフの『ペンギンの憂鬱』(新潮社 2004年)です。
表紙がかわいいですよと友人に教えてもらって、図書館で借りて読み始めたら面白い!
ソ連が崩壊し、秩序が乱れるウクライナのざわざわする空気をうっすら伝えてくれます。
存命中の人物の追悼文を書く仕事を始めたことでじわじわと危険が迫ってくるが、
決定的な何かが起こるわけではないような日々。
なりゆきで預かることになった幼女やそのベビーシッターの少女との
愛があるようなないような疑似家族生活。
主人公の2DKのアパートで飼われているペンギンが一番確かな存在感を放ちます。
するするすると読めて、哲学も衝撃もないのに、
続いてこの作家を読みたいと思わせる不思議な魅力があります。
深く語り合うというタイプの作品ではないので、小ネタ披露の回にしました。
それぞれが話の中に出てくる細かいことを突っ込んで調べてくるという趣向です。
さて、どんな小ネタが発掘されるか!
これがなかなか予想以上に面白かったです。
報酬やものの値段から推定する主人公の給料の額、登場人物の名前の由来、ペンギンの生態、
果ては、ちょろっと登場する町のチンピラが着ているジャージのメーカー当て、などなど。
よくそんなところに目を付けたね~~と笑いながら、お互いの発見と探索を聞きました。
クルコフをもっと読みたいと思ったのですが、邦訳はあまりなく、絶版だったり。
残念ながら一作だけとなりました。
余談ですが、インターネットで検索していたら、
2年前の東浩紀さんといくチェルノブイリ原発見学ツアーの現地ゲストだったと判明!
このツアー、どうもその年が最後だったようで、ますます残念!