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by chekosan

映画「ソフィーの選択」(1982)を観ました

メリル・ストリープ主演の「ソフィーの選択」を観ました。
1982年ということは、35年前の映画なんですね! 

名前は知っていても中身を知らない名画のひとつでしたが、
町山智浩さんの『映画と本の意外な関係!』で、
ホロコーストを題材にしたものと知り、ディスクを入手していました。

町山さんの同書で思いっきり設定やストーリーがネタバレってたので、
ソフィーが何を選択したのかという核心部分や結末に対する衝撃はなかったのですが(笑)、
それでも151分、作品の世界に入り込みながら観ました。

なにしろ主演メリル・ストリープの演技が素晴らしいし、
端々に出てくる、重要なメタファーとなっている詩の一節や音楽が効いていて、
とてもていねいに、密度濃くつくられた映画だと思いました。




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ソフィーが初めて登場するのは、恋人と「別れる」「行かないで」なケンカを繰り広げるシーンで、
言葉もたどたどしく、DVな恋人に依存する、あまり賢くない女性なのかと思わせます。

ところが、実際は、ポーランドの名門大学教授の娘で、
5か国語を話す教養のあるインテリ女性だということがわかっていきます。

ソフィーの恋人のユダヤ人男性ネイサンも教養がありピアノを弾く才人に見えます。
ただし、かなりいっちゃってるところのある、危ない人物でもあります。

この2人は、南部の農場出身で作家を志して都会に出てきた青年スティンゴを魅了します。

ネイサンは陽気で才気あふれるところを見せるかと思えば、
異常な嫉妬でソフィーやスティンゴを責めたて、差別的な発言をぶつけます。

ソフィーに対しては、なぜお前だけ助かったのか、淫売め的な言葉を吐きますし、
スティンゴには、黒人をリンチする南部野郎といった暴言を吐きます。

参考資料を探して読んでいたところ、
2人への暴言には原作者の問題意識がからんでいることがわかりました。

原作者スタイロンは、『ソフィーの選択』以前に奴隷制を扱った作品も書いていて、
そうした「閉ざされた社会」の問題をえぐり出すことを大きなテーマにしていたのですね。

(参考:河合寿雄「アウシュヴィッツ理解の試み-ウィリアム・スタイロンの『ソフィの選択』論
 『アメリカ研究』 1982(16)) 

◇◇◇

とはいえ、ご機嫌なときのネイサンは、スティンゴの可能性を買い、
大きな期待を寄せる、庇護者のような役割を果たします。

ところが、インターネット上の感想をいくつか見ていると、
ある印象的なシーンを取り上げて、まったく違う解釈をされているサイトがありました。

それはちょっと穿ち過ぎ、思い込みなのではと思う文章なのですが、
学生が見つけたら、うっかり「深い見方をしている!」と参考にしてしまいそう。

◇◇◇

さて、ソフィーの過去が少しずつわかっていくところで、
ソフィーの出身地クラクフの大学では、ナチス侵攻以前にユダヤ人差別があり、
ユダヤ人とポーランド人の座席を分けたという話が出てきます。

このことは、つい先日に読んだ
『イレーナ・センドラー』(平井美帆 汐文社 2008年)にも出てきました。

ただし、イレーナ・センドラーは、そうした差別に反発して、
ポーランド人にもかかわらず、わざとユダヤ人席に座って、停学処分を受けるのですが。
(なおセンドラーはその後も抵抗地下組織の一員として多くのユダヤの子どもたちを救出します。)

「ソフィーの選択」はフィクションではありますが、
こうしたエピソードが盛り込まれていることで現実味を感じられました。

◇◇◇

それにしても、メリル・ストリープの言葉の操り方はすごいですね。
まだ流暢でない移民ポーランド人としての英語、
ポーランド語、ドイツ語を話すシーンが出てくるのですが、とても自然に聞こえました。

◇◇◇

いろいろと気になる(興味を惹かれる)ところの多い映画でしたので、
ちょっと他にも参考資料を読んでみようと思います!

続く(かも)。







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by chekosan | 2017-12-28 18:53 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)