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by chekosan

日本建築学会編『まちの居場所 まちの居場所をみつける/つくる』(東洋書店 2010)

日本建築学会編とありますが、かたくて難しい論文集ではありません。
むしろとても読みやすい本です。写真や図も豊富です。

第一章は全国の「まちの居場所」19か所の紹介で、これが本書のメインです。

本書でいう、まちの居場所とは何か。
レイ・オルデンバーグの提唱する「サードプレイス」とかなり重なっています。

自宅や職場・学校以外で、
行かなくてはいけない場所ではなく、
明確な目的をもっていくというよりもなんとなく足を運ぶところ、
行けばいろんな人と出会い、いろんな活動に触れられるところ、
くつろげて、刺激も得られるところ、
そこから新しい出会いや活動が生まれるところ、

といった感じでしょうか。

そんな居場所を、いずれも数ページずつで紹介しています。
海外の事例もコラムという扱いで出てきます。

後半三分の一ほどは、居場所のキーバーソンや専門家へのインタビューと、
まとめ的な論稿です。こちらも難しいものではありません。
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本書で取り上げられている居場所は多様です。

既存の建物を改修、転用するなどして地域に開いている事例が多いですが、
新築の建物や、公園、川べり、共同洗い場なども出てきます。

用途もさまざまです。
高齢者のグループホーム、子どものための公園や読書室やフリースクール、
コワーキングスペース、団地や周辺住民のためのフリースペースなどなど。

創設者や運営の主体もいろいろです。
自治体が関わっているものもありますが、多くは個人や地域の団体などです。

そのような多様な形態の場所の共通点がまとめの論稿に挙げられています。

・訪れやすいこと
・多様な過ごし方ができること
・多機能であること
・多様な人、多様な活動に触れられること 
・自分らしく居られること
・社会的関係が作り出されること  
・参加できる場であること
・キーパーソンがいること  
・柔軟であること
・地域との接点がもたらされること 
・物語が蓄積されていること


私が強く興味をひかれた居場所は、
千里ニュータウンの空き店舗を使った住民手作りのフリースペース、
親と子の談話室とぽす(東京江戸川区)=図書コーナー付きの喫茶店、
大阪東淀川の府営住宅のフリースペースです。

小さい頃に大阪の団地に住んでいて郷愁を誘われたこともありますが、
いま現在、ベッドタウンの住宅地に住み、
住民の高齢化に伴う問題を我々世代がどう克服するかが
身近なこととして迫っているからだと思います。

そうした住宅地には案外、集うところがありません。
特に子どもが屋内で集えるところがないので、
どうしてもわざわざ約束をして遊ぶということになります。

集会所や公民館は日本中にたくさんありますが、
申込制であったり団体でないと借りられないことが多く、
いまひとつ有効に活用されていないようです。

わが町も、小さなスーパーが撤退したあと人通りが激減しました。
近所の人に会うことがなくなり、活気がなくなりました。

そうなると行事やイベントに出ていくのも億劫になります。
普段の交流があってこそ特別な行事にも関わろうと思うものです。
たとえ行事に参加しても、その場限りになります。

家があって人が住んでいるだけでは交流は生まれないし、持続しない。
なんとなく行けるところが近くにない弊害をひしひしと感じています。


それは、まち自体が不自然につくられた場合、より深刻なようです。

新潟の中越地震の仮設住宅地では、
集落単位で入居した地区とそうでないところで人的交流に差があり、
仮設住宅の住みこなし(改造や寒さ対策の工夫)にも違いが現れたそうです。
人のつながりがあるかないかで個々の生活のハードの面も変わってくるのです。

そこで、複数の大学が仮設カフェを開いて、
仮設住宅地の住みこなしについて情報を共有できる場を開きました。

この事例の場合は、恒常的なものではなく単発のイベントですが、
他者が介在して情報交換の場を設けることで、
かえって閉塞していた状況を破る効果もあったとのことです。

住民が主体となって普段から交流できる場をつくるのが理想ですが、
まずはこのような機会をもって、
問題を顕在化させるところから始めるのもありかもしれないと思いました。


ほかにも参考になる事例がたくさんあります。
まちづくりや居場所づくり、市民活動などに関心のある方におすすめです。
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by chekosan | 2016-02-11 16:33 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)