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by chekosan

読書メーター 2015年11月のまとめ

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2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2982ページ
ナイス数:337ナイス

国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)感想
北海道の自然に親しんで育ち、17歳でイタリアに留学して、世界中を渡り歩いてこられたヤマザキさんですが、単に地理的に移動すれば彼女のように創造性に富むのかといえばそうではないんですよね。サブタイトル「私をつくった本と旅」が示すように、苦しいときにむさぼるように読んだ本や芸術家たちとの対話がヤマザキさんを作ったのですよね。好きなことへの情熱とそれに精進すること、教養を身につけることと批判的精神をもつこと、それを言葉にして出すこと、そこが大事なのだというところを読み落としたくない本です。
読了日:11月2日 著者:ヤマザキマリ


動物農場 (角川文庫)動物農場 (角川文庫)感想
家畜たちが農場主たち人間を追い出して、自分たちで農場を運営していくが、リーダとなった豚たちの支配はどんどんエスカレートしていく。豚たちに覚えこまされたスローガンを羊たちがメエメエ言い立ててまともな議論を中断させるとか、決まりごとがいつのまにか改変されていても豚ほど賢くない動物たちはよく理解できず、ますます過酷な状況に追いやられてしまうところなどはユーモラスに描かれている。スターリン期のソ連を批判した小説ではあるが、別の時代の別の地域にもあてはまるところがこの小説が傑作であるゆえん。おすすめ。
読了日:11月3日 著者:ジョージ・オーウェル,GeorgeOrwell


一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)感想
舞台は近未来のイギリスだが、同じオーウェルの『動物農場』同様、スターリンのソ連を彷彿とさせる設定。「党」による徹底的な監視、思想統制が敷かれた社会では、過去は常に党の方針に沿って改変され、人々は考えることも抗うこともしない。疑問を持った人物はある日どこかへ連れ去られ、思想の矯正を施された上に消されてしまう。そしてもともといなかったことにされる。実にぞっとする話なのだが、実際にこういうことをしている国はあった(ある)という現実の方がよほど怖い。後半は読むのがキツイが「附録」まで読むと少しは救われる。
読了日:11月6日 著者:ジョージ・オーウェル


オーウェル『動物農場』の政治学オーウェル『動物農場』の政治学感想
『動物農場』は予備知識なく読んでも面白いのですが、オーウェルが作品に込めた批判や隠喩がわかるともっと面白くなります。この本はそれを手助けしてくれます。さらに、こんな事件、こんな歴史も想起できるとか、政治学ではこうした事象をこのように一般化しているというように、古代から現代に至るまでのさまざまな政治的、歴史的現象を引き出してわかりやすく解説しています。「政治学」とは付いていますが気負うことなく読むことができます。一つのテキスト(原典)を読み解き、そこから連想できる事象を発展的に考察するお手本になる本です。
読了日:11月10日 著者:西川伸一


月光の夏 (講談社文庫)月光の夏 (講談社文庫)感想
神戸は板宿の井戸書店さんおすすめ。実話をもとにした小説。出陣を控えた特攻隊員が最後にピアノを弾きたいと小学校に訪ねて来る。そのとき対応した教師が45年後、処分されそうになったピアノの保存を願って逸話を子どもたちに語ったことが大きな反響を呼ぶ。メディアがピアノを弾いた特攻隊員を探そうと動き出すなかで様々なことが明らかになってくる。文庫版あとがきまで読むと、戦争が人々に与えた傷の深さ、戦争が生んだ闇の深さがわかる。なぜこの作品がフィクションになったのかも理解できるだろう。
読了日:11月13日 著者:毛利恒之


最相葉月 仕事の手帳最相葉月 仕事の手帳感想
『絶対音感』の著者が仕事について語った本。フィクション作品の書き方を綴った第3部が面白かった。科学や人物評伝を書く際、著者はどのように下調べをし、取材に臨み、削ぎ落として一つの作品にしてきたか。その姿勢や入念な調査に感嘆した。最相氏の著作は『絶対音感』しか読んでなかったが、星新一の評伝も読んでみたい。というか、星新一の作品を再読したくなった。第4部の書評集では『サンダカン八番娼館』に惹きつけられた。読みたいと思わせる書評だなあ。
読了日:11月14日 著者:最相葉月


逃げてゆく愛 (新潮クレスト・ブックス)逃げてゆく愛 (新潮クレスト・ブックス)感想
共通テーマは過去とどう向き合うか。特にアウシュビッツ、ナチス、ユダヤ人との関係、秘密警察といったドイツが抱える問題と現代の男女関係・家族関係とを絡めて描いた小説集。同じ作者の『朗読者』ほど重くないが、それだけに私たちに置き換えて読みやすいかもしれない。それにしても、なんだこの勝手な男!こんな夫/恋人イヤ!って主人公がちらほら出てくる。が、なんとなく情けないところがあって憎めない。そこは作者のうまいところかな。
読了日:11月19日 著者:ベルンハルトシュリンク


あたしンち 21あたしンち 21感想
最終巻。またゆるゆる描いてほしいなあ。みかん大学生編、ユズ高校生編なんかも読みたい。お母さんと水島さんたちお友達の会話、まだまだ楽しみた〜い。
読了日:11月21日 著者:けらえいこ


息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました。 (torch comics)息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました。 (torch comics)感想
本屋さんでお試しミニ冊子を読んで即買い。男児あるあるネタ。わかるわ〜。ウチの息子たちは、ここの坊ちゃんほど母を愛してくれてないけど(笑)、父親には理不尽なこと要求するもんなあ。私にはしないのに。あと寝転んで電車のオモチャで遊ぶ姿! やってたやってた! 男児のお父さんお母さん、共感できますよ〜。(^。^)
読了日:11月21日 著者:横山了一


「居場所」のない男、「時間」がない女「居場所」のない男、「時間」がない女感想
「就業第一主義」を強いられて職場以外につながりや拠りどころをもてなくなっている男性と、仕事に家事に育児にといくつもの責任を背負って圧倒的に時間が足りず疲弊する女性の姿をさまざまなデータから明らかにしている。夫は仕事にいそしみ、妻は家事育児を担ってというような高度成長期に「標準」とされた人生像と現在の状況は大きく異なっている。それなのに、いまだにそうした生き方を強いることを前提にした政策や社会設計を立てているようでは男女ともに無理を生じさせるばかりで立ち行かない。多様性への寛容が求められる。
読了日:11月24日 著者:水無田気流


華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)感想
オーウェルの『1984年』を授業で紹介したら、複数の学生が本書と『図書館戦争』を連想したと感想に書いた。いずれも表現の自由や思想の自由を極端に制限、抑圧する愚民化政策をテーマにしたフィクションだが、現実も近い状態になっているのが怖い。思考を巡らせる書物や芸術が廃されて、代わりに常に耳に受信機を突っ込んで何かを聞いたり、めまぐるしく変わる刺激が強いだけの音楽や映像を大音量で流しっぱなしにしたり、意味のないおしゃべりに興じたり、ひたすら繰り返される広告にさらされたり、暴力とスピードと性的享楽に耽ったり。やだ。
読了日:11月28日 著者:レイブラッドベリ



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by chekosan | 2015-12-01 00:15 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)