中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

映画・小説「サラの鍵」

フランスで1942年にフランス警察によって行われたユダヤ人一斉検挙「ヴェル・ディヴ事件」を扱った「サラの鍵」。映画を観たあと、原作を読みました。


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映画は予想以上に衝撃的な場面が続き、途中で抜け出そうかと思いました。

1942年7月のある日の早朝、フランス警察がパリのユダヤ人を一斉にパリのど真ん中の屋内競輪場に強制的に集めます。

水や食料、トイレがまったく足りない状況で、一万数千人が、数日間、閉じ込められます。

10歳の少女サラは、弟だけでも検挙されずに済むようにと、彼を納戸に隠して鍵をかけていきます。

ところが拘禁状態はなかなか解けず、さらにユダヤの人々は収容所へと連れていかれてしまいます。

収容所では親子が引き離され、子供たちだけが取り残されてしまいます。

少女は弟を救い出すべく、収容所を脱出し、匿ってくれた農家の老夫婦とパリに向かうのですが…


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もう1人の主人公、現代のパリを生きるアメリカ出身のジャーナリストのジュリアは、夫の実家が所有するアパートに引っ越すことになります。

仕事でヴェル・ディヴ事件を調査するうちに、ジュリアはそのアパートが、検挙されたユダヤ人一家のものであったことを知ります。

ヴェル・ディヴ事件とサラの足取りを探るうち、夫や夫の家族とのズレが露わになっていきます。

サラとジュリアの話が交互に進み、2人の人生が交差する瞬間が訪れます。そこがクライマックスです。

そのあとはどちらかというと、ジュリアがサラの人生を知ったあと、どう生きていこうとするかという話になるので若干勢いが減じるかな。

はいえ面白くないわけではないです。

なんといっても、ヴェル・ディヴ事件自体の酷さ、そのあとのサラの負った傷があまりにも衝撃です。

それ以上に、ヴェル・ディヴ事件に象徴される、フランスの対独協力、ホロコーストへの積極的関与の事実、それが長くタブーになっていたこと、フランスの人たちにもあまり知られていないということにショックを受けます。

ユダヤの人々が連れていかれたドランシー収容所に至っては、いまも集合住宅として使われているということ。

フィクションですが、歴史的事実と現在を繋げてくれる作品です。









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# by chekosan | 2018-06-18 20:35 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
リトアニア映画を観たあと、同じ京都文化博物館で開催中の「オットー・ネーベル展」を鑑賞しました。


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チラシやポスターに使われているデザインがこちら。パウル・クレーとかカンディンスキーみたいだなと思ったら、やはり彼らと交友関係にあり、影響を与え合った人物でした。


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ネーベル自身はバウハウスで学んだり活動したりしたわけではないですが、影響は受けていたようです。
展覧会には、バウハウスで生まれたケトルや電気スタンド、ソファやラグなども展示されていました。

カッコイイですよね、バウハウスのデザイン。直線と丸とか球とかでビシッ、キリッしていて。

しかし彼らはナチスに退廃芸術として弾圧されます。ネーベルやカンディンスキーはスイスに逃れることになります。



そうそう、それより前、第一次世界大戦のあとにドイツで起こったハイパーインフレのときの緊急紙幣も展示されていました。100万、200万、1億、そして5億マルク紙幣!

ハイパーインフレの話は授業で毎年しているので、本物の紙幣が見れて嬉しいです(撮影は不可)。



クレー、カンディンスキー、シャガールといった同時代の芸術家の作品も展示されていました。
初期の作品はシャガールに、のちにはクレーやカンディンスキーに似ています。

おっ、これいい! 洗練されてる! と目を引いたのは見事にカンディンスキーでした。
もちろん好みもあるのだと思いますが。



ネーベルは、さまざまな技法やアイディアを生み出して、だんだん抽象度を増していきます。
ルーン文字シリーズなどは、ぐるっと回って壁画や地上絵のよう。

展示の途中には、撮影可のコーナーもありました。
かなり抽象度が進んだころの一連の作品でした。

そのうち気に入ったのを撮ってきましたが、細かさや輝き、絵の具の厚みは、写真では再現できないですね。やはり絵画は実物を生で見るのがいいですね。



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「赤く鳴り響く」



「輝く黄色の出来事」

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「黄色がひらひら」



「純潔と豊潤」

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オットー・ネーベルさん、こんな人です。一人で行ったのでツーショットは撮れませんでした。´・ε・`
会場内の説明パネルには、シャガール、カンディンスキー、クレーなどの似顔絵もありましたよ。


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さて、展覧会のお楽しみ、ミュージアムグッズ。
ネーベルのデザインはグッズ向けで、どれも素敵。あれこれ欲しくなりました。

一筆箋、マスキングテープはネーベルの作品からのデザインです。
この手の文具、使い切れないくらいあるからやめておこうと思うのに、うっかり増やしてしまいます。
でも、ネーベルのマスキングテープは、かなりカッコイイと思います!!

バッグはカンジンスキーのデザインです。持ち手の長さが良さそうで買ってしまいました。
トートバッグも買いすぎなのですが、ついつい…


記念講演会のタイトルも「知られざる画家 オットー・ネーベル」と、やはりメジャーではないと言っていいのでしょうが、得した感アリな展覧会です☆ 6月24日まで。




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# by chekosan | 2018-06-17 15:05 | 美術 | Trackback | Comments(0)
EU加盟国の作品を約1ヵ月に渡って上映するEUフィルムデーズ2018、日本では東京、京都、広島で開催中です。

京都文化博物館で、リトアニアの映画「エミリヤ、自由への闘い」を観てきました。



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1972年のリトアニア、カウナスが舞台です。
新人舞台女優エミリヤの過去と、現在(1972年)が交錯して進んでいきます。

話が進むにつれ、エミリヤの過去が次第にわかっていくミステリー仕立てになっています。

劇団の歓迎会の席でエミリヤは、父の遺品である革の手帖に書かれた詩をそらんじます。
それをもとに劇団の監督が戯曲を書き、上演を企てます。

戯曲はリトアニアの歴史物という設定ですが、現体制への批判ももたせています。
事前の検閲では上演禁止かと思われたのですが、なんだかんだで上演にこぎつけます。



細部に関しては、それ必要かなあというラブシーンや、ちょっとよくわからないところ、
なぜここが合成なのかと思うシーンなどもありました。

カウナスが舞台なのに、街並みがあまり出てこなかったのもちょっと残念。
原題 Emilija iš Laisvės alėjos のライスベス通りと、そのどんつきの教会は出てきましたが。

昨年夏に撮った教会。とても大きいんですよ。


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とまあ、あまり制作費用をかけられなかったのかなという感じがしなくもなかったですが、
そのちょっとチープな感じが1972年のリトアニアの雰囲気をうまく表している…のかも?

とはいえ、面白かったです。とくに、劇中劇の部分はとてもよかったです。
主役を務めたエミリヤの演技が真に迫っていました。
詩の力を感じました。



細かいところでは、拘束服の使い方(着方?)がわかったのも収穫でした。

リトアニアのヴィリニュスにある通称KGB博物館の牢屋に拘束服が展示してあったのですが、
袖があまりにも長くて、どのように使うのかと思っていたのです。

おどろおどろしいですね… 旅先では、こんなのばかり見て回っています…


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見学先は暗い怖い重いところばかりですが、しかし! 街はきれいだし、居心地はいいし!
すっかり気に入ったリトアニア、今年の夏も行く予定です。




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# by chekosan | 2018-06-16 23:50 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
関西ウーマンに月一回掲載中の書評、
今月は喜劇王チャップリンの名作「独裁者」の制作過程を丹念に追った本です。


関西ウーマンFacebookページの紹介文は、
編集さんの方で抜粋・引用していただいていますが、
「今回私が言いたかったにはまさにそこ!」という部分を引いていただいています。


 ↓ ↓ ↓


『「独裁者」制作前後のドイツによる妨害や、戦後のアメリカでのネガティブ・キャンペーンでは、虚偽・捏造の報道、当局からの圧力、さらには不当な裁判までが起こりました。体制に与しない人物の表現活動を封じるための攻撃を見抜き、それを許さない態度が、私たちに求められていると思います。』

本文はこちらから
https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201342





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# by chekosan | 2018-06-09 15:04 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
2015年から、同僚の桑原桃音先生とともに、一年生向け前期科目「文章表現Ⅱ」をベースに取り組んできた本や図書館に親しむ課外活動。

今年度は、テーマと対象学生を広げ、「書と人と社会をつなぐ文化活動を企画運営する学生リーダーの育成」プロジェクトを推進しています。

「文章表現Ⅱ」をベースとしつつ、一科目にとどまらない文化活動を展開し、こうしたことを自分たちで企画したい!と行動を起こす学生を育てたいと考えています。


その第一弾は「見せ方を学ぶ、展示の仕方を学ぶ」がテーマ。

兵庫県立美術館で開催中の「ジブリの大博覧会」鑑賞ツアーです。

参加者には、展覧会に参加した理由、展覧会の感想と特に面白かったコーナー、展示の仕方で気がついたこと、今後参加してみたい文化的な催し、学内で参加してみたいイベントについて文章で報告してもらいました。

参加学生たちは教員以上に展示内容や展示の方法を読み解き、それを言葉で再現できています。

企画第一弾、大好評、大成功でした!

◇◇
この展覧会、予想以上に楽しいです。撮影可のコーナー、ねこバスに乗れるコーナーもありましたよ! 少しだけご紹介しておきます。


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# by chekosan | 2018-06-04 16:58 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
あっというまの5月。

坂口尚『石の花』や清水潔『「南京事件」を調査せよ』が特に印象に残りました。『ガス室に消えた画家 ヌスバウムへの旅』で紹介されている画家ヌスバウムの作品を集めた美術館には、数年内にはぜひとも行きたいと思います。


5月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:3715
ナイス数:349

「南京事件」を調査せよ (文春文庫)「南京事件」を調査せよ (文春文庫)感想
一気に読了。テレビ局記者による「南京事件」の調査の発端から過程、結果、後日談まで。福島で元兵士から戦争体験の聞き取りを続けてきた人物から提供された兵士の手による生の日記やインタビュー記録と、軍の資料や外国紙の報道、船舶の輸送の記録等々を突き合わせ、現場を確認、確定していく。確実に立証できた揚子江河岸での捕虜の大量処刑に話を絞ることで、調査の信憑性を揺るぎないものにしている。最終章では、著者自身に潜む偏見を自覚し、父や祖父の戦争体験を明らかにし、人ごとではない、知ろうとしないことは罪であることを再確認する。
読了日:05月28日 著者:清水 潔


ホロコーストの跡を訪ねる (母と子でみる)ホロコーストの跡を訪ねる (母と子でみる)感想
読みやすいが密度が濃い。数字や出典もていねいに提示されている。ヒトラーが活動を始めたミュンヘンから始まり、ドイツ国内に初期に造られたダッハウ強制収容所、ポーランドにつくられたアウシュヴィッツ強制収容所、そこに近い都市クラクフを訪ね、ホロコーストの経緯、抵抗活動を紹介する。戦後、これらの場所にまつわるホロコーストの記憶がどのように残し伝えられているかも記述。そこが特に興味深かった。/1989年以降、戦中戦後にポーランド住民が起こしたユダヤ人迫害・虐殺の事実が掘り起こされたが、揺り戻しが起こらないか懸念する。
読了日:05月27日 著者:荒井 信一,山本 耕二


アウシュヴィッツと「アウシュヴィッツの嘘」アウシュヴィッツと「アウシュヴィッツの嘘」感想
3部構成。第1部はアウシュヴィッツ絶滅収容所の成り立ちや運用の経緯、第2部はナチスによるユダヤ人の組織的大量虐殺はなかったとする「修正主義」への反論をコンパクトに読みやすくまとめている。第3部は、日本人研究者による、日本における「ガス室はなかった説」(マルコポーロ事件)への反論や、ホロコーストを否定する言説を罰する法律制定の経緯や問題点、修正点などの解説。この第3部を付したのはとても良いと思う。
読了日:05月25日 著者:ティル バスティアン,星乃 治彦,石田 勇治,芝野 由和



母と子でみるアウシュビッツ (母と子でみるシリーズ)母と子でみるアウシュビッツ (母と子でみるシリーズ)感想
早乙女勝元氏の戦争を記録し伝える活動は小さい頃からうっすら知っていたが、最近あらためて、この「母と子で見る」シリーズを何冊か読んで、そのラインナップの幅広さや一冊一冊の内容の濃さに圧倒されている。本書など35年前のものなので画像が不鮮明だったりするのだが、「母」はともかく「子」が見て大丈夫だろうかと思うような強烈な写真が多数掲載されている。衝撃度はかなり高い。アウシュヴィッツ=ビルケナウでの死亡者数などは、その後、研究が進んで修正されているので、細かい数字の引用には注意が必要。
読了日:05月20日 著者:早乙女勝元


石の花(4)激戦編 (講談社漫画文庫)石の花(4)激戦編 (講談社漫画文庫)
読了日:05月20日 著者:坂口 尚
石の花(3)内乱編 (講談社漫画文庫)石の花(3)内乱編 (講談社漫画文庫)
読了日:05月20日 著者:坂口 尚
石の花(2)抵抗編 (講談社漫画文庫)石の花(2)抵抗編 (講談社漫画文庫)
読了日:05月20日 著者:坂口 尚
石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)
読了日:05月20日 著者:坂口 尚
石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)感想
うぉ~~っと一気に。何年も前にある先生に教えていただいて購入したものの、戦争戦争した話なので読み進められなかった作品。機が熟したのだろう、今回は一気に読めました。第二次世界大戦中のユーゴの話。ていねいに描かれていて面白かった。こういう緻密につくられた漫画を子らも読めるようになってほしいなぁ。まぁこの作品自体は関心を抱く人は少ないテーマと思うが。感想はまとめてブログに。
読了日:05月19日 著者:坂口 尚





旅するリトアニア旅するリトアニア感想
リトアニアの自然、食べもの、ハンドクラフトなど綺麗なものばかり集めた本。お店の紹介もあるが、ガイドブック的には作られていない。素朴系路線。ベリー系の飲み物がおいしそう。今度行ったら探してみよう。
読了日:05月16日 著者:口尾麻美





バルト三国 愛しきエストニア、ラトビア、リトアニアへ (KanKanTrip13)バルト三国 愛しきエストニア、ラトビア、リトアニアへ (KanKanTrip13)感想
オールカラーの写真がたくさん!オシャレなカフェや雑貨屋さん、市場の紹介はガイドブックとして、野外民俗博物館やお祭りルポはバルト三国を知るとっかかりとして◯🙆 布もの食べ物クラフト系が好きな人には情報量大。この前リトアニア🇱🇹行ったときはダークな史跡とスーパーといかにもなお土産屋さんしか行かなかったけど、今度は勇気を出してオシャレなお店や市場にも入ってみようっと!この本はフォークロアなもの中心だけど、リトアニアは現代的な夏のワンピースもすっごく可愛かった。今度は1着くらい欲しいかも。
読了日:05月16日 著者:Sanna



文房具と旅をしよう文房具と旅をしよう感想
小さな可愛らしい本。ざっと眺めて楽しんだ。ヨーロッパに文房具を訪ねる旅。スーパーや郵便局にある、その土地ならではの便箋や封筒やシールなどが写真で紹介される。著者お2人は業務用のような簡素なものがお好きな模様。私は著者たちほど事務事務した文具に執着はないが、A5ノートが大好きなので、書店や美術館をチェックしまくって探している。外国の郵便局から本を送るときに買った箱も愛おしくて捨てられなくて、本を入れたまま収納容器のように使っている。書店や美術館で買い物した時の袋もなかなか捨てられないなぁ!(๑˃̵ᴗ˂̵)
読了日:05月14日 著者:寺村 栄次,浅井 良子,スコスステーショナリーズカフェ



ガス室に消えた画家 ヌスバウムへの旅 母と子でみる A 40ガス室に消えた画家 ヌスバウムへの旅 母と子でみる A 40感想
同じ著者の『ホロコースト 女性6人の語り部』で、本書の表紙にもなっている自画像を見て強烈に惹かれた。ナチスのユダヤ人迫害で外国を転々とし、密告によって捕らえられて収容所で殺された画家。友人たちに預けた作品が戦後ずいぶん経って親戚の手に移り、故郷オスナブリュックで展覧会が開かれた。それをきっかけに残りの作品の所在も判明し、オスナブリュックに集結。市民が寄付を集めて常設の美術館もできた。ぜひ行って、作品を生で見たい。詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/28304919/
読了日:05月10日 著者:大内田 わこ


トラウマ映画館 (集英社文庫)トラウマ映画館 (集英社文庫)感想
町山さんのことは『映画と本の意外な関係!』を読んで、教養に裏打ちされた文章にすっかりファンになった。本書はタイトルどおりトラウマ必至の恐怖系残酷映画ばかりだが、やはり社会的背景や映画史を踏まえた濃い紹介。クスッと笑える表現も散りばめられていて、胸の悪くなるようなエロやらグロやらバイオレンスな映画なのに観たくなる。と読み進めていくと、著者自身のトラウマが少しずつ語られていく。そこが一番衝撃だったかも。どこからでも読めるが、前から順にあとがきまで逃さず読むことをおすすめ。各章の並びの意図を理解できるだろう。
読了日:05月07日 著者:町山 智浩


ダークツーリズム入門 日本と世界の「負の遺産」を巡礼する旅ダークツーリズム入門 日本と世界の「負の遺産」を巡礼する旅感想
沖縄、学会で行ったけど戦跡は見れていない。広島には一度も行っていない。上息子はどちらも修学旅行で行ったのに…広島行ってないの家族で私だけになりそう。近いうちに行こう。サラエボやチェルノブイリにも遠くないうちに行く。ルワンダ強烈すぎる…などと読み進めていて、執筆者に知ったお名前を発見。そうと知らずに手に取った本で、学生時代の友人と「再会」し、ご活躍を知ることができて嬉しく思ったのでした。詳しい感想はブログに。https://chekosan.exblog.jp/28296566/
読了日:05月05日 著者:


以下の2冊は、月一回の書評連載「信子先生のおすすめの一冊」@関西ウーマンで紹介。




続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)続・僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)
読了日:05月04日 著者:池田 理代子,平田 オリザ,彬子女王,大隅 良典,永田 和宏
僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)
読了日:05月03日 著者:山中 伸弥,羽生 善治,是枝 裕和,山極 壽一,永田 和宏

読書メーター

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# by chekosan | 2018-06-02 11:40 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
NHKスペシャル「映像の世紀 第4集 ヒトラーの野望 人々は民族の復興を掲げたナチス・ドイツに未来を託した」

第1次世界大戦のあと、賠償金支払い、領土の割譲、失業、経済恐慌に混乱するドイツで、ヒトラーはいかに人心をつかんでいったか。

同時代の欧州やアメリカの状況もほどよく交え、この時代をわかりやすく描き出しています。


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世界恐慌によって困窮するアメリカの第一次大戦の退役軍人のデモや、ワシントンに押し寄せてバラックや野営する彼らを軍を出動させて蹴散らかすところから始まります。

対して、ソ連は恐慌の影響を受けず、経済は活況の様子。バーナード・ショーが訪問して絶賛します。しかし一方では、反体制的な人々を強制労働に従事させていました。

ドイツは銀行の連鎖倒産で、600万人が失業します。そこへ現れたのがヒトラーでした。ヒトラーの演説の特徴や、宣伝の巧みさについて、記録映像を使って、ていねいに解説しています。

この巻は、第二次世界大戦がはじまるところまでです。続きは「第5集 世界は地獄を見た」、あるいは「新映像の世紀 時代は独裁者を求めた」。ロシアや東欧に関心がある人には、後者の方がよりおすすめです。





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# by chekosan | 2018-05-30 15:23 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
NHKスペシャル「映像の世紀 第5集 世界は地獄を見た」(1995年放送のデジタルリマスター版)と、「新・映像の世紀 第3集 時代は独裁者を求めた」(2015~16年放送)は、どちらも第二次世界大戦前後を取り上げています。

かなりの部分、同じ映像を使っていますが、「新・映像の世紀」の方が番組としてまとまっているように思いました。

そのなかで、中・東欧に関する印象的な個所を以下に。



「新・映像の世紀」で強調されていて印象に残るのは、アメリカの大企業(フォード社)や著名人(大西洋横断単独飛行を成功させたリンドバーグ)が、ヒトラーのドイツを支持していたことです。

フォードはドイツに支社をつくり利益を上げました。フォードの経営者は反ユダヤ主義者であり、自社の新聞に反ユダヤ主義の記事を掲載したり、親ナチ団体をつくったりします。

クーデターに失敗して刑務所にいたヒトラーに資金援助をしたといわれているという説明もあります。ヒトラーの方は、フォードにインスピレーションを受けたとも。



政権を握ったナチは、失業者対策でアウトバーン(高速道路)を建設し、国民車(フォルクスワーゲン)を生産し、週休二日、週40時間労働によるワークシェアリング、社員食堂や福利厚生施設などの導入に着手します。ドイツ経済は立ち直り、国民の圧倒的支持を得ます。

ユダヤ人迫害、再軍備を進め、オーストリア併合、チェコスロヴァキア支配、そしてポーランドへの侵攻によって第二次世界大戦開戦が勃発します。



チャップリンは、そのような状況を批判して映画「独裁者」を制作します。そういえば、チャップリンは、この映画の前にも、「モダンタイムス」(1936年)で、人間性を無視した流れ作業に従事する労働者を描いて、フォードが導入したような大量生産態勢を批判していますね。

その「独裁者」のメイキング映像も紹介されています。名場面といわれるラストシーンは、もっと明るいハッピーエンドだったものを撮り直し、憎み合うのをやめて、民主主義、自由を守るためにこそ闘うべきだという真正面からの演説に変えたそうです。

「独裁者」についてはまた別に…



最後に、連合軍がナチスのつくった強制収容所を解放した直後の映像が最後に流れます。「骨と皮だけになった」とはよく目にする表現ですが、まさしくそのような人々の死体の山が映されます。

将来、ありもしないでっちあげだという人が現れたときのために、見ておかなくてはいけない、というアイゼンハワーの言葉、連合軍がドイツ人に収容所内を見学させている様子も流れます。

「女性は気を失い、男性は目を背け、知らなかったんだと言った。それに対して収容者たちが、いや、あなたたちは知っていたと言った」という言葉、

そして、生き残っていた収容者が裸であるく後ろ姿の映像は、死体以上に、写真以上に衝撃的です。



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# by chekosan | 2018-05-27 00:26 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
先日、授業をさせていただいた滋賀大学教育学部「平和教育」ゲスト講義と連動して、授業の前後1週間、杉原千畝に関するパネル展示を開催していただきました。

これは、広島県福山市にあるホロコースト記念館と滋賀大学教育学部「平和教育」展示プロジェクトの主催によるものです。

私は昨年夏と、今年の春に、福山のホロコースト記念館にお邪魔しました。

二度目の訪問の際、今回お借りした杉原に関するパネルの現物を拝見して、ぜひゲスト講義のときにパネル展示会も開催したいと、記念館と滋賀大学の科目責任者の先生にお願いして実現しました。


会場は、滋賀大学教育学部の創造学習センターです。学生さんたちがグループ学習をしたり、自習をしたり、集ったりできるコミュニケーション空間です。




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チラシやポスターは、ホロコースト記念館から定型をお借りし、滋賀大の展示に合わせてアレンジしました。



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チラシは「平和教育」受講者、教職員のみなさんに配布していただきました。(写真は表面)


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建物の出入りは学内関係者に限定されているため、学外者の方に入っていただくことはできなかったのですが、学生さんたちが集うラウンジですので、気軽に見ていただけたのではないかと思います。



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杉原千畝の発給したビザの一覧の写しなどもお借りしました。


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杉原千畝に関する書籍も展示しました(これでもすべては揃っていません)。


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ホロコースト記念館の発行されている冊子。


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開催を快諾してくださったホロコースト記念館と滋賀大学教育学部の皆様に感謝いたします。




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# by chekosan | 2018-05-25 22:27 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
先日、滋賀大学教育学部のオムニバス講義科目「平和教育」で講義をさせていただきました。

私のテーマは、「戦争の記憶を伝える ~ホロコーストを中心に~」。


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教育学部の学生さんなので、小中高の社会、英語、道徳の教科書にも取り上げられている杉原千畝(1900~1986)の話から始めました。

杉原は、第二次大戦中にリトアニアのカウナスに日本領事館を開設し、主にポーランドから逃れてきたユダヤ難民に、日本を通過するビザを発給し、欧州脱出を可能にした外交官です(★)。

この講義と連動して、広島県福山市のホロコースト記念館からパネルなどをお借りし、特別展示会も開きました(別記事で投稿予定)。



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日本領事館を撤収した後、リトアニアはじめ東欧でのユダヤ人への迫害、連行、殺害は激化していきます。その舞台となった場所の保存、公開の様子も写真で見てもらいました。

ホロコースト(ユダヤ人の絶滅を目的とした虐殺行為)のもっとも過激で大規模な「装置」が、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所でした。次の画面は、アウシュヴィッツ第一収容所のガス室のなかの様子です。


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アウシュヴィッツだけでは人々を収容できなくなり、もっと大きな収容所がつくられました。
それが、ビルケナウ強制収容所(アウシュヴィッツ第2収容所)です。
次の写真は、ビルケナウの跡地と、人々を満載にしてきた家畜用貨車のひとつです。


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このような人類の犯した負の歴史をきちんと伝え、そこから学ぶ必要性についてお話しました。写真は、リトアニアのヴィリニュスのジェノサイド博物館に野外展示してあった子どもたちの絵画です(★)。


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直接、悲劇の舞台となったところでなくても学ぶことはできるし、意義のあることだというお話もしました。杉原のゆかりの土地、岐阜県八百津町での「人道教育」の取り組みや、福山市のホロコースト記念館での講演会で私が遭遇し感銘を受けた出来事(★)を紹介して終わりました。

★印の箇所(杉原千畝、リトアニアにおけるホロコースト)については、こちらにまとめています。
「リトアニアにおけるホロコーストの記憶」流通科学大学論集 第30巻2号 2018年1月発行



今回、感想をいただいたなかで印象的だったのは、福井出身の学生さんたちの熱い反応でした。

杉原が発給したビザで欧州を脱した人びとの多くは、シベリア鉄道で大陸を横断し、ウラジオストックから敦賀に上陸します。そこから神戸や横浜に移動し、第三国へ渡っていきました。敦賀の人々は、命からがら逃げてきた彼らをあたたかく迎え入れたといわれています。

敦賀には、それを記念する「人道の港 敦賀ムゼウム」があり、ホロコースト生存者やその子孫の方もよく訪れておられるようです。最近では、八百津町などと連携して「千畝ルート」をアピールし、さらに訪問者が増えているようです。

という話を盛り込んだところ、数人の学生さんが、福井ではそうした歴史を学ぶ機会があります、そのような役割を果たした地元に誇りをもてますといった主旨のコメントを書いてくれました。

以前、同志社の授業で杉原関連の話をしたときには、兵庫県出身者数人から、神戸がユダヤ難民を受け入れて厚くもてなしたという事実を知って嬉しいという反応がありました。

自分たちと関わりがあると感じられると関心がより高まるのですね。そのことをあらためて確認できたのは私にとっても収獲でした。

そうした歴史的事実と私たちとの関わりや、各地で行われている歴史教育、平和教育、「人道教育」、人権教育の取り組みをさらに収集し、紹介する機会を今後もつくろうと思います。


~特別展示企画編につづく~



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# by chekosan | 2018-05-22 17:54 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)