中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan
月イチ書評連載@関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊、4月は、
新しい新書のレーベルから、映画評論家、町山智浩さんの『映画と本の意外な関係!』です。

以前は苦手だった映画、自分の専門に関係するものに限ってはよく見るようになってきました。
今期も授業で、映画もいっぱい紹介するよと宣言してきました!
こうした映画評の本はとても参考になります。

本文はこちら。 https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201086




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# by chekosan | 2017-04-08 20:24 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)

流通科学大学の一年生対象科目「文書表現Ⅱ」の授業内容と、
その受講生達との課外の活動についてまとめた教育実践論文が出ました。


「読書推進教育における図書館および書店との協働
      ー流通科学大学初年次科目「文章表現Ⅱ」の取り組みー」

 『流通科学大学高等教育推進センター紀要』第2号(2017年3月)


図書館を使った授業、須磨区の井戸書店の森忠延さんに来ていただいたゲスト講義、
有志学生による授業成果物の学園祭展示企画、図書館総合展での学生によるポスター&口頭発表等、
初年次生向けの基礎の基礎である、読んだり書いたりといった科目でも、
いろんな方からのまなざしと評価を受け、知的な刺激を受ける機会が作れました。

今回は、私の単著論文という形はとっていますが、
授業と活動の中身は、この科目を一緒に練り上げていただいている桑原桃音先生と、
図書館長はじめスタッフの方々、井戸書店の森さん、
受講生のみなさん、とりわけ授業終了後に有志で活動したみなさんとの協働の賜物です。

2017年度は少し受講者数が増える予定です。
2016年度に一緒に活動してくれた学生たちに、より一層授業運営に関わってもらい、
さらなる進化を遂げることができればと思います。

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# by chekosan | 2017-04-07 22:10 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
2017年度の初年次ゼミが始まりました。

4月1日に入学式、5-6日は兵庫県ハチ高原で合宿です!

今年は960人が入学し、その半分ずつが日をずらして合宿します。
つまり、500人近くが一斉にバスを連ねて移動しました。

宿泊先の目の前はゲレンデです。まだ雪が残っていました。
幸い私たち前半クラスのグループは、初日は暖かくてほどほどの曇り、
二日目も帰る前までは雨が降らずに済んだので、外でのアクティビティもできました。

雪を見るのが初めてという留学生もいたので、
なるほどこういう環境も悪くないなと思いました。

こうしたアクティビティの専門家のインストラクターさんたちが、
クラスに2人ずつファシリテーターとしてついてくださいます。

けっこう体と頭を使わないと達成できないアクティビティ続きで、
若者たちでも「疲れた~~」「筋肉痛になった~~」とワーワー言っていました。

帰りのバスはみんな熟睡。おつかれさまでした。

来週からは通常の授業が始まります。
キャンプで培ったコミュニケーション力やグループ力を発揮してほしいものです。


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# by chekosan | 2017-04-06 19:04 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)

クンデラの新しい作品を読みました。『無意味の祝祭』です。

初期の作品からするとボリュームからして違うのですが、
それだけではなく、いろいろな意味で、良く言えば削ぎ落とされ洗練された、
しかし、チェコ時代の作品に惹かれる読者としては物足りない作品でした。

クンデラといえば、ストーリーで読ませるというよりは、
歴史や国家や社会と個人の人生のからみあい、関わり方を深く考え抜いた哲学的考察、
作家が小説のなかに出てきて登場人物の内面をこれでもかというくらいしつこく分析するところ、
実験的な入り組んだ構成へのこだわりが面白かったのですが、
この作品では、そういう深さや悩み、実験的な性格は薄れています。

文学作品は、その作品に書かれた世界だけで評価するべきという考えもありますが、
クンデラの場合、彼自身が小説に顔を出してメタな視点で語り始めるという形をとっているので、
彼自身や彼を取り巻く状況の変化が作品に投影されていることを抜きにしては語れないと思います。

この作品は、壮年期の迷いや悩み、苦しみから脱した老年期のクンデラが投影されていると思います。
それは登場人物の年齢設定云々よりも、作品全体に漂う雰囲気に表れています。
もはや生々しい葛藤の渦中ではない人の書く小粋さを楽しむ小品と感じました。




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クンデラ作品の読書記録はこちら。








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# by chekosan | 2017-04-03 19:15 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
くたくたな3月。テキスト刊行準備と、卒業入学準備、職場の新年度準備で予想外に忙殺。
読書も論文執筆も停滞しました。4月、長時間の電車通勤が復活すると、かえって読めるかな?


3月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1847
ナイス数:429

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)感想
なんと6巻発行から2年! そうでしょうね、これだけ調査をするには2年でも短いくらいですね。このシリーズ、作品や作家、古書の流通のこと、実にていねいに書かれてましたね。5巻くらいからドロドロ度が増して、ちょっとうーん、、となりましたが。今後もスピンオフが出るとのことで、初期の面白さが戻ることを期待します。最終巻は途中で種明かしの予想がついてしまいました。残念。そして、去年、明星大学にいったときに、あの本を見てこなかったのも残念! そのときは現物を展示していたかわかりませんが。機会があったら今度こそ!
読了日:03月03日 著者:三上 延


シェア空間の設計手法シェア空間の設計手法感想
若い人向け共同住宅だけではなく、幅広い事例を取り上げている。図面には人や家具なども描き込まれているので、空間の使われ方が想像しやすい。写真は少なめなので、複雑な構造の建物は素人には若干わかりづらい。では、素人には参考にならないかというとそんなことはなくて、設計した人や施主(空間の運営者)の発言や活用事例からいくつか具体的なヒントや大きな示唆が得られた。日本人は無目的、多目的な場所は苦手」ということ、タイムシェアの事例、「ほのかなわれわれ性」という表現が面白い。詳しくはブログに記録
読了日:03月03日 著者:


アウシュヴィッツの図書係アウシュヴィッツの図書係感想
実話をもとにしたフィクション。舞台がアウシュヴィッツなので信じがたい残酷な情景も出てくる。耐えがたい苦しみや悲しみが主人公たちを襲う。それを和らげてくれたのが、家族収容所につくられた学校。主人公の少女ディタは、そこに極秘で持ち込まれた8冊の本を管理する「図書係」であった。禁止されている本を隠し持っていることがばれれば殺される。ディタは知恵を働かせ、命がけで本を守る。それだけ本は人々の心を救う大切なものであった。家族収容所での生活について詳細に書かれているという点でも興味深い。詳しくはブログに記録
読了日:03月07日 著者:アントニオ G イトゥルベ


ルポ 難民追跡――バルカンルートを行く (岩波新書)ルポ 難民追跡――バルカンルートを行く (岩波新書)感想
2015年、欧州に大挙して押し寄せた難民の大移動に新聞記者である著者が同行したルポ。ただし、記者は難民用の移動手段は使うことができず、取材対象者であるアフガンからの難民、アリさん一家とはぐれたり待ちぼうけを食わされたりする。その間の難民一家の移動や生活の様子がわかりづらく、記者の苦労談が印象に残ってしまった。ドイツの手厚い難民保護に対して極右政党が勢力を伸長するのもわからなくないという記述はひっかかる。弱者は徹底して貧しくあらねば、苦難を耐え忍ばなければいけないだろうか。ほか気になる点をブログに記録
読了日:03月09日 著者:坂口 裕彦


ヘンな論文ヘンな論文感想
あまりに面白くて、よそさまで書かせていただいている書評コーナーでも激しくおすすめ。トンデモ論文を集めた本ではありません。大まじめな論文をわかりやすく面白おかしく紹介しながら、学問、研究の楽しさとそれにかける研究者の情熱に敬意を払うものです。書評には盛込ませんでしたが、イラストがまた楽しいのです。タツオさんとこのイラストレーターさんで続編を激しく希望♫  ☆「関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊」でも取り上げました☆
読了日:03月12日 著者:サンキュータツオ



コルチャック先生 (岩波ジュニア新書 (256))コルチャック先生 (岩波ジュニア新書 (256))感想
コルチャック先生は、ポーランドの著名な作家、教育者、医者で、孤児院を創設し、1942年にユダヤ人の子らとともにトレブリンカ収容所に移送されて亡くなった。その生涯と、教育者としての思想や活動、ポーランド史、ポーランドにおけるユダヤ人について、よく理解できた。また彼らが運ばれた収容所の見取り図や、同収容所の数少ない生存者の証言、亡くなった人たちを追悼する石碑の写真や、亡くなった人たちの灰や骨の山の写真もある。コルチャック先生を知る数少ない生存者の貴重な体験談も紹介している。ワイダ監督の映画の感想はこちら。☆本書の詳しい感想はこちら
読了日:03月13日 著者:近藤 康子



映画と本の意外な関係! (インターナショナル新書)映画と本の意外な関係! (インターナショナル新書)感想
映画のなかに登場する本や意味深いセリフを紹介。幅広い教養や知識が惜しげなく開陳され、親しみやすい文体で面白かった。どちらかというとアメリカ映画中心、セリフ中心? ヨーロッパ関係の逸話に惹かれた。「グランド・ブダペスト・ホテル」ツヴァイク(第二次世界大戦前のウィーンの作家)がらみ。「ベルリン・天使の詩」ドイツの思想家ベンヤミンがらみ。「ソフィーの選択」タイトルだけは知っていたが未見。これは観なくては。でも全部わかってしまった…もちょっとネタバレ控えてほしかった… 詳細はブログにメモ
読了日:03月21日 著者:町山 智浩

読書メーター

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# by chekosan | 2017-04-02 16:21 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
第23回大学教育研究フォーラム(於京都大学)で、同僚の桑原桃音先生とポスター発表をしてきました。

昨年は桑原先生と口頭発表をしましたが、
秋の図書館総合展でのポスター発表で説明に立ってくれた学生たちが、
たくさんの方とじっくりお話できて得るものが多かったことから、今年はポスター発表にしました。

タイトルは、
「授業と図書館と地域書店の協働による読書推進教育の実践 -学生協働への展開に注目してー」。

流通科学大学の一年生の科目「文章表現Ⅱ」の授業実践と、そこから発展した読書推進活動の報告です。
すでに流通科学大学高等教育推進センター紀要に論文を書いているので(まもなく刊行)、
それに桑原先生の考察を加えていただき、二人でまとめました。

事前に提出した発表要旨はこちら
ポスターではさらに、担当教員以外からの多様な他者からの「まなざし」と「評価」が、
学生の意欲、主体性を高め、自分たちの学習や活動を相対化させることを報告しました。


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ポスター発表会場は、京都大学吉田キャンパスの百周年時計台記念館です。
天井が高く、赤じゅうたんの広い会議室。使えるスペースもゆったりしていてありがたかったです。

お隣の発表者の先生とはテーマが近かったので、熱心に聞いていただき、
また私たちも大変参考になるお話を聞かせていただきました。
なんとなくポスターの色合いもマッチしていたような? ^^


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図書館や地域との連携に関心がおありの教職員の方々、この春から高校の先生になられる方と
じっくりお話することができました。ありがとうございました。


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流通科学大学の紀要や、このフォーラムの発表要旨を書いたあと、さらに動きもありましたし、
フォーラムでいただいたご感想やご関心を反映して、また何かの形でまとめて発表したいと思います。

当日貼り出したポスターのもとになったデータを画像で載せておきます。



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※誤字がありました。最後のスライドの参考文献「読書推進教育における図書館および書店との協働」の掲載は、『高等教育推進センター紀要』第2号です。



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# by chekosan | 2017-03-28 21:15 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)

映画のなかに登場する本や、意味深いセリフを紹介。
幅広い教養や知識が惜しげなく開陳され、親しみやすい文体で面白かった。

どちらかというとアメリカ映画中心、セリフ中心?
まえがきと最終章でヨーロッパ関係の逸話が書かれていて、強い興味を覚えた。
心惹かれた映画や事実をメモしておく。


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「グランド・ブダペスト・ホテル」(2013年)
劇場公開時に観たいなと思いつつ逃している。
本作はツヴァイクの著作にインスパイアされたという。
ツヴァイクは第二次世界大戦前にウィーンで活躍した作家。
ナチスドイツがオーストリアを併合し、ツヴァイクの本は焚書に。
亡命先のブラジルで服毒自殺。

→ 観ました! 感想はこちらに。http://chekosan.exblog.jp/26810957/




「ベルリン・天使の詩」(1987)
これはビデオをいただいて持っているのだが未見。
ここに出てくる老人が図書館で本を読む姿は、パリ国立図書館で本を読む、
ドイツの思想家ベンヤミンの写真をもとにしているという。

ベンヤミンもユダヤ人で、やはり著書が焚書にされている。
パリがナチスドイツによって陥落したあと、スペインに逃げ込むが、入国を拒否され服毒自殺。


「ソフィーの選択」(1982)
タイトルだけは知っていたが未見。これは観なくてはと思っていたところ。
でも、全部わかってしまった… もう少しネタバレを控えてほしかった… orz
でも、観ます!







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# by chekosan | 2017-03-25 22:56 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)

ワイダ監督の映画「コルチャック先生」鑑賞に続き、岩波ジュニア新書の『コルチャック先生』です。
こちらは、コルチャック先生の本を何冊も訳されている方による紹介本です。

コルチャック先生の生涯と、ポーランド史、ポーランドにおけるユダヤ人について、
ジュニア向けに、とてもわかりやすく書かれています。

映画では詳しい説明がなくてわかりづらかった場面がどういう意味を持っていたのか、
何を出典として差しはさまれたのかが、この本を読んで、よくわかりました。



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コルチャック先生は、亡命するチャンスがあったのに、自分だけが助かることを拒み、
孤児院の子どもたちと共にトレブリンカ絶滅収容所に移送されて亡くなります。

その崇高な行動で語り継がれている人というようなイメージだったのですが、
もともとポーランドでは知らない人がいないくらい尊敬されていた文化人でした。

その作家としての業績や教育者としての思想や活動が、本書でよく理解できました。
特に、第3章「子どもの自治」第4章「コルチャックの人権思想」がとても興味深く、
もっと詳しく知りたいと思いました。


また、映画は、コルチャック先生や子どもたちが収容所へ運ばれるところで終わるのですが、
本書では、彼らが運ばれた収容所の見取り図や、生存者の証言、
亡くなった人たちを追悼する石碑の写真や、亡くなった人たちの灰や骨の山の写真もあります。

トレブリンカ収容所は、ナチスが徹底的に解体して隠滅をはかりました。
そのため記録もなく、さらには、そこに運ばれた人のほとんどはすぐに殺されたので、
コルチャック先生たちが果たして生きて収容所まで行きついたのか、
いつ、どのように亡くなったのかを知る人はまったくいないそうです。
そうした残酷な部分もきちんと書いてあります。

コルチャック先生を知る数少ない生存者の証言も紹介されています。
オリジナルの貴重な体験談です。



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# by chekosan | 2017-03-13 22:14 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)

コルチャック先生は、ポーランドの著名な医者、教育者、作家です(1878?-1942)。
「子どもの権利」を尊重するという当時では新しい思想、主張を展開した人です。

ポーランドで2つの孤児院を開き、運営していましたが、
ユダヤ人やポーランド人のナチスドイツのユダヤ人絶滅政策によって
子どもたちと共にトレブリンカ収容所に送られ、殺されました。

本名は、ヘンルィク・ゴールドシュミット、「コルチャック」はペンネームです。



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映画の制作は、1990年。
ポーランドが共産党体制から民主化へと移行してからの作品ですが、白黒です。
それによって、何度か挟まれる、ナチスドイツによる記録映像に違和感なくつながります。

ナチスは書類や映像での記録を丹念に撮っていて、この映画のなかでも、
兵士がワルシャワのユダヤ人特別区(ゲットー)の様子を撮影している場面が出てきます。

街に骨と皮だけになった人々がゴロゴロ転がって死んでいる様子、
そうした死体を運んでいく様子などが、映画のなかに挟まれます。

そのようにして、この映画で描かれていることは作り事ではないのだということ、
実際は映画以上に悲惨な状態だったのだと示しているのではないかと想像します。

同じくワルシャワのゲットーを舞台にした、
ポランスキ監督の「戦場のピアニスト」でもそうした場面が出てきます。

ナチスは、撮影している撮影隊の様子まで撮影しています。
目の前で飢えと病気と暴力に晒されている人々を撮影し、さらにそれを撮影するという、
「客観的」で冷淡な行為そのものが、戦争の狂気をよく表しています。

ただし、「戦場のピアニスト」の方が悲惨さではかなり上回っています。
「コルチャック先生」は、そうはいっても相対的には綺麗な映像です。

それは、コルチャック先生自身が著名な知識人で、
ポーランド人、ユダヤ人、さらにはドイツ人からも尊敬されていたため、
なんとか物資や支援金を駆けずり回って集められたこと、

コルチャック先生は医者であり教育者であったので、
たとえゲットーに押し込められようと
孤児院をできるかぎり清潔に健康に配慮して運営していたこともあるでしょうし、
子どもたちも重要な登場人物であるため、あまり悲惨な映像にしにくかったのかもしれません。

ですので、あまりにも悲惨な映像は見られないという人でも見ることができると思います。


ところで、DVDには付録として小冊子が入っていたのですが、その解説によると、
この映画は上映後、フランスの評論家に「反ユダヤ主義」であると批判されたそうです。
それはちょっと驚きでした。そのようには私には読みとれませんでした。

確かに、ユダヤ人のなかにもナチスと通じて甘い汁を吸っている人物がいて、
彼らは街角で次々人が死んでいる状況下でも遊興にふけっていて、
そんな人たちからコルチャック先生は支援を受けざるを得ない、
その行為を抵抗組織の若者からなじられるというシーンもあります。

また、危険を冒してユダヤ人を助けようとするポーランド人もいることも示されます。

これもポランスキ監督が「戦場のピアニスト」のメイキングで語っているのですが、
ある民族が全員悪人だったり善人だったりすることはないでしょう。
ワイダ監督のこの作品でも、そのことをバランスよく描いているように思えるのですが、、、


ラストシーンが幻想的なのも、コルチャック先生と子どもたちを待ち受ける運命から
目を背けるようなものだと受け取る人もいるようです。

このラストは、たしかに、うーん、そうくるのか?と思わなくもないです。
終わりの30分ほどを一緒に見ていた小4の子どもには解説をしないといけませんでした。

ただ、字幕でははっきりとトレブリンカのガス室で殺されたと出ていますし、
殺されるシーンまで映画に盛り込む必要があるとも思えません。

あえて、「移送」されるところで終わっていることで、
彼らがそのまま死へと直行したことを示しているように思います。

移送されるまでに、何度か逃げ出せるチャンスはありました。
せめてコルチャック先生だけでも、養子に出せる子だけでも、と思えなくもない。
みんな一緒にいるべきだと主張した先生は意固地だと言えなくもないかもしれません。

しかし、あらゆる権利を剥奪され、外界から遮断され、
情報も自由も食料も財産も体力も健康も一切奪われた人たちが、正確な状況を把握し、
後世から見た「善後策」を選ぶことは困難だったでしょう。


私自身は、この映画は比較的淡々と話が進んだせいか、
有名な実話なので結末を知っていたからか泣きませんでしたが、
コルチャック先生の子どもへの接し方、彼らにかける言葉、
孤児院の教育方針、運営方法などにはたいへん感銘を受けました。

悲劇で泣かせるとか、ドラマティックな展開で衝撃を与える映画ではなく、
コルチャック先生の思想の深さや広さ、意志の強さや実際にとった行動、
高潔さなどをじっくり受けとめる映画だと捉える方がよいのではないかと思います。

コルチャック先生のことをもっと知りたいと思い、買ってあった本を出してきたら、
一緒に映画後半を見ていた小4男児が、先に読み始めました。
へぇ~~すごいねんなあ、と感心しながら横で読んでいます。
子が読み終えたら、私も読もうと思います。^^

→2017/3/13追記:
子よりも先に読みました。感想はこちらに。http://chekosan.exblog.jp/26716756/








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# by chekosan | 2017-03-12 20:03 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
「関西ウーマン」に月一回連載させていただいている書評、
今月は、「学者芸人」サンキュータツオさんの『ヘンな論文』です。

いつも「関西ウーマン」では、おすすめできる本を厳選して紹介していますが、
これはもうホントにおすすめです!
タイトルだけだと、トンデモ論文を集めた本みたいですが、そうではありません。

大まじめな論文をわかりやすく面白おかしく紹介しながら、
学問、研究の楽しさとそれにかける研究者の情熱に敬意を払うものです。


書評には盛込ませんでしたが、イラストがまた楽しいのです。続編を激しく希望♫

本文はこちら。 https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201078




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# by chekosan | 2017-03-12 11:41 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)