中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

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広島県福山市にあるホロコースト記念館に行ってきました。杉原千畝コーナーが常設展示されることになり、外務省の外交史料館の白石仁章氏による杉原千畝に関する講演会が開かれるというので、その日に合わせて行きました。

建物の外観はホームページで見ていましたが、周辺の様子はわからなかったので、現地に行って軽く驚きました。普通の民家のある集落の中にいきなり建っているのです。なんとなく勝手に山の中にあるのかと思っていました。

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2時開始の講演会にちょうどいいくらいに着いたら、すでにたくさんの人が来られていました。便利とは言い難いところにあるにもかかわらず、駐車台数がかなり少ないこと、日傘を差して徒歩で来られた方をたくさん見かけたことなどから、近くにお住いの方が大半だったのではないかと推察しました。

受付を済ませたあと、記念館が発行している冊子を購入しました。この受付や会計や会場設営なども土地の方がボランティアでされているような雰囲気でした。地域の方に支えてられている施設と拝察しました。


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行った先のオリジナル資料は、その場で買っておくのが肝要。後ではなかなか手に入らなかったり手間だったりします。オリジナルでなくても、あまり出回ってなさそうなものはゲットすべし! ということで、帰りの荷物はずっしり重くなりました。


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◇◇◇

講演に先立って、3人の女性が紹介されました。杉原千畝の発給したビザで欧州を脱出できた女性のお子さんとお孫さん2人です。今は亡きおばあ様の足跡をたどる旅をされていて、おばあ様のことが紹介されているこの記念館をちょうど訪ねられていたのです。

ああ本当に杉原ビザで助かった人がいて、そのおかげで目の前のこの方たちは存在するのだなあ、一人の命を救うことはその人だけではなく何人何十人もの人を救うことになるというのは本当だなぁと実感しました。

◇◇◇

この記念館は学習施設という性格を前面に出しているので、講演会も小中高生にもわかるようにゆっくりゆっくり話されました。内容的には白石さんの著作のエッセンスを初学者にもわかるよう噛み砕いた感じでした。質疑応答も、館の方が子どもさんからと強調され、ホロコーストについて勉強してきたという中学生グループの生徒さんたちが指名され、がんばって感想や質問を言っていました。

最後に一人だけ一般の参加者からの質問を受け付られました。その質疑応答によって、白石さんの著作を読んでいて聞いてみたいと思った真意や本音が聞けたのは収穫でした。

◇◇◇

講演後、常設展示を見て回りました。ホロコーストの概要がわかる展示、アンネ・フランクのコーナー、杉原千畝のコーナーがあります。模型やジオラマでわかりやすく展示してありますし、当時の貴重な現物も見ることができました。規模は小さいですが、いい展示だと思いました。

特に、アンネのオランダの隠れ家の模型やアウシュヴィッツ強制収容所のジオラマは、こういう構造、こういう並びだったのか!と、たいへんよくわかりました。

撮影禁止だったのは残念ですが、公式HPやメディアの記事などで見ることができますし、館のオリジナルの冊子にも掲載されていますので、後日確認するときには、そちらを見ることにしましょう。

下の写真は千畝が発給したビザに押したカウナスの日本領事館の公印を模したスタンプです。こちらは自由に押すことができますよ!


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屋外には、「アンネのバラ園」がありました。普通のお家のお庭くらいの面積ですが、リトアニア共和国の外務大臣などの著名な方が植樹された(?)バラが植わっています。



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アンネが隠れ家から見ていたというマロニエの木も。


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規模としては少し大きめのお家くらいなのですが、明るく開放的なつくりで、展示もとても見やすいです。なにより地元の方々が気軽に足を運ばれている様子だったこと、みなさんで運営を支えておられる雰囲気だったのが良いなあと思いました。館内外とも、気を配り、手をかけている生きた施設だと思いました。遠方からはなかなか行きづらいかもしれませんが、広島と合わせて平和学習ツアーとして訪問されてはいかがでしょうか。入館無料です。







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by chekosan | 2017-07-30 23:59 | 博物館、資料館 | Trackback | Comments(0)
今年も、流通科学大学の初年次科目「文章表現Ⅱ」では、地域で八面六臂に活躍されている井戸書店の森忠延様に、桂文枝による新作落語「読書の時間」のご披露と、読書の効用についての特別講義をお願いしました。

今年は「文章表現Ⅱ」4クラスの開講曜限がすべて違うため、土曜日に4クラス合同で行いました。そのため昨年よりも大きな教室にしました。(昨年の様子はこちら→ 特別講義「読書のすすめ」~落語「読書の時間」とお話~

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教壇に会議机で高座をしつらえました。



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生の落語は初めてという学生が多く、面白かったとの感想が寄せられました。

落語のあとは、高座を脇に移し、論語のお話、読書についてのお話を聞かせていただきました。
みんなで論語の素読もしましたよ。

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大教室の設備を駆使し、2画面を投影してのお話。
普段と違う授業で新鮮だった、土曜日に来た甲斐があったと感想を書いてくれました。



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特別講義に先立って、森さんには学生へのおすすめ本も選定していただいていました。「文章表現Ⅱ」では、図書館主催の書評コンテストに全員が応募することを必須課題としていますが、その本を森さんおすすめの本から選ぶ学生も多数いました。さて、結果はどうなるかな。発表は秋です。



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さらに、毎年、書評で取り上げた本のPOPやしおりや帯などの販促グッズも課題として作っています。これまでも学生の作品は、井戸書店さんや本学図書館で活用していただいてきましたが、なんと今年は、神戸の11の書店さんが作品を見てくださり、それぞれ一点ずつ選んで秋のフェアで使ってくださるとのこと! 

もちろん、お眼鏡にかなう作品があればですが(笑) いえ、今年も良作揃いですので、それどころが一点に絞るのに悩まれるのではないかと思います!

フェアの様子は、有志の授業外活動希望者に取材に行ってもらい、ブログや「文章表現Ⅱ」Facebookページでもお伝えしようと思います。お楽しみに♪

その授業外活動ですが、今年は早くから名乗りを挙げてくれる学生がいて、この特別講義の回も早くから出てきて舞台設営その他に汗を流してくれました。おかげで非常にスムーズ。平郡さん、大浪君、授業アシスタントの加藤君、ありがとう! 


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そして、講義最終日に正式に授業外活動の希望者を募ったところ、なんと昨年の倍増の20人もの学生が手を挙げてくれました! どうしましょう、嬉しい悲鳴です(笑)

記名式アンケートでさえ、課題が多くて大変だった、ペースが速かった、という苦しげな感想が多数寄せられる「文章表現Ⅱ」ですが、単位に関係のない活動に参加したいという学生がたくさん現れたというのは、大変であってもやりがいがあったということかと教員二人、とても嬉しく思っています。

夏休み明けから、彼らとともに、フェアの取材、横浜での図書館総合展参加、学園祭展示、そして今年の目玉事業として、そうした活動をまとめた冊子づくりに取り組みたいと思っています。応援よろしくお願いします!!











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by chekosan | 2017-07-27 18:32 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
いやなかなか硬派で、密度の濃い作品です。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエヴォの「ホテル・ヨーロッパ」を舞台としたお話です。

第一次世界大戦勃発のきっかけとなった「サラエヴォ事件」から100年の記念式典が開かれるまさにその日、ホテル・ヨーロッパの従業員たちはストライキを計画します。冬季オリンピックのときにつくられ、多くの著名人をもてなしてきた格式高いホテルなのですが、実は2か月も従業員に給料を払えていないのです。

支配人は、EUからのVIPが多数揃う重要な催しを成功させ、その支払いで銀行への返済をはかりたい。2日待ってくれれば給料を払うからとストライキをやめさせようとします。従業員たちは、内外の注目が集まるその日にこそストライキに打って出て給料を支払わせたい。フロントの若き有能な女性スタッフは両者の板挟みになります。

屋上では、サラエヴォ事件100年特別番組の収録中。女性ジャーナリストが識者にインタビューをしています。3人目のインタビューの相手は、サラエヴォ事件の犯人とまったく同じ名前の男性です。何やら不穏な雰囲気。何者かよくわかりません。歴史認識をめぐって、ジャーナリストと激論になります。

ホテルのVIPルームにチェックインしたフランス人は、部屋にこもって、サラエヴォ事件やユーゴスラヴィア内戦を防げなかった欧州の責任を追及する演説の練習を続けます。

この大きく3つの話が同時進行していきます。フランス人VIPがホテルにチェックインしてから85分間の出来事を85分の映画にしたという形になっています。3つの話が一つになるときがクライマックスです。


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屋上でのインタビュー部分が長くてつまらないという感想も見ましたが、私はここが面白かったです。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの過去と、いまも続く民族間の対立の根の深さ、深刻さの一端を知ることができる面白い構造になっていると思いました。

またフランス人VIPの演説は、実際のサラエヴォ事件100年の日に上演された一人芝居「ホテル・ヨーロッパ」を再現したものであるとのこと。この戯曲を原案として本作は作られたそうですが、もともとのお芝居も見てみたいと思いました。

スリルとサスペンスな要素も盛り込みつつ、こういう社会派な作品を作れる監督がいるのだなあ~、と思ったら、気になっていた「鉄くず拾いの物語」や「汚れたミルク あるセールスマンの告発」を撮った監督さんでした。どっちも観れてないのですが。

フランス人VIP役のフランス人俳優以外は、地元ボスニア・ヘルツェゴヴィナの俳優たちで、国際的には著名というわけではないそうですが、とても良かったように思います。

フランス人の場面以外はセルビア・クロアチア語です。この言葉もスラブ語の仲間なので、ほかのスラブ語と語彙や構文(というのか)が似ています。字幕があるからですが、うっすらとわかって嬉しかったです。そして、やっぱりスラブ系の言葉って、なんか音がかわいいです♡


 


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by chekosan | 2017-07-15 23:16 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
ドイツで戦後すぐに書かれたハンス・ファラダの小説『ベルリンに一人死す』を映画化したものです。独・仏・英合作の映画です。

舞台は1940年のベルリン、棺桶を作る木工所の職工長の夫とその妻の一人息子が戦死するところから始まります。夫婦は、息子を奪われた悲しみと憤りから、絵葉書に体制批判、ヒトラー批判を書き、街角に置いて回ります。ささやかな、しかし見つかれば死刑は確実という危険な行為です。そうして2-3年もかけて、ゲリラ的に置いて回った葉書計285枚のほとんどは、見つけた市民によってすぐさま警察に届けられ、夫婦の命を賭した運動は広がりを見せることはありませんでした。


原作はかなり大部の著作で、主人公夫婦以外の人物もていねいに描き出しているそうですが、この映画では、周囲の人々については描き切れていません。主人公たちの夫婦愛とゆるがない意思の尊さに焦点が当てられています。全体的にさらっと話が進んでいって、若干盛り上がりや余韻には欠けます。ドイツが舞台なのに、英語なのもちょっと残念… が、主演俳優二人の演技がとても良いし、映像として全体的にきれいで雰囲気があるので、これはこれでいいかという感じです。

ただ、実話をもとにした話ということなので、体制賛美一色と思われがちなナチスドイツ時代にも、命がけで体制を批判する名もなき市民がいたということを語り継ぐという点で、意義深い映画であると思います。



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by chekosan | 2017-07-12 22:16 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
兵庫県立美術館で開催された短編ドキュメンタリー映画の上映会と、梶岡潤一監督による講演会に行ってきました。映画は25分。第二次世界大戦時、杉原千畝氏が発給した通過ビザでヨーロッパから逃れたユダヤの人々のその後を調査しているフリーライター北出明さんに密着したドキュメンタリーです。

監督はもともと俳優をされている方で、お話がとてもお上手。兵庫県出身ということで、テンポのいい関西弁で、和やかで楽しい講演会でした。

写真撮影、拡散歓迎とのことでしたので、遠慮なく撮らせていただきました。監督のパワーポイントのスライドがとてもわかりやすく勉強になるので、撮影可だったのはとてもありがたいです。

このあと、日本人とユダヤ人の交流を描く長編映画を作りたいとのことで、クラウドファンディングによる資金集めも計画されているそうです。そんなわけで、応援の意味も込めて、講演会の様子をアップさせていただきます☆



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by chekosan | 2017-07-09 21:23 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)

月イチ書評連載@関西ウーマン、アップされました。今月は劇作家の平田オリザさんの本です。講演を聴いて、すぐに手に入れ、一気に読みました。その魅力の十分の一も伝えられていないかも。ぜひぜひ本を手にとって読んでください。



本文はこちら↓
https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=201134


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by chekosan | 2017-07-09 20:08 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
本務校の初年次教育プログラムの中でも、多くの時間を費やすフィールドワークのポスター発表が終わりました。

7グループが一斉に3分間の発表を行います。ほかの10クラスを順に回り、全員が発表もし、聴く側にもまわります。180分を目一杯使って無事終了しました。


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3分というと短いようですが、結構なことが伝えられます。字数にすれば900字ほどですので、事前に話すことや分量を考えておく必要があります。そこは先週準備したので、どのグループも程よい発表ができていました。

大きなイベントが終わりました。残る時間もていねいに取り組んでいきたいと思います。




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by chekosan | 2017-07-03 22:41 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
2017年6月は、戦争、ジェノサイド、リトアニア、杉原千畝月間でした。夏休みにリトアニアに行って、そうした歴史の残る場所を見てきます。そういうわけで、7月、8月も引き続きリトアニア&千畝月間となります。


6月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:4043
ナイス数:371

娘と話すアウシュヴィッツってなに?娘と話すアウシュヴィッツってなに?感想
著者はフランスの歴史学者。第二次大戦とジェノサイドの専門家。自身も多くの親類縁者をアウシュヴィッツやドイツ人による殺害で亡くしている。タイトル通り、娘の疑問に答える形で、ユダヤ人大量虐殺についてわかりやすくまとめてくれている。薄い本だが知りたかったことが網羅されている。本書をベースに授業をした。これで地図があれば言うことなしなのだが! でもおすすめ。
読了日:06月01日 著者:アネット ヴィヴィオルカ


君の膵臓をたべたい (双葉文庫)君の膵臓をたべたい (双葉文庫)感想
学生のおすすめの一冊。今年はこの作家が人気。といっても4、5名だが。スレた大人には先が見通せてしまい驚きや感動は薄いのだが、ピュアな若者が惹かれるのはわからなくはない。それよりも、本を読まない設定の主人公の女の子が尊敬する人に杉原千畝の名を挙げていたのに驚き。千畝氏が学校教育や社会教育でどう取り上げられているかというのがこの夏の私のテーマなので、この女の子がどういう形で千畝氏を知ったのかが気になる。英語の教科書に載ってると聞いたが。あるいは映画の影響か。とマニアックなところに引っかかってみる。

読了日:06月04日 著者:住野 よる


ユダヤ人虐殺の森―リトアニアの少女マーシャの証言 (ユーラシア文庫)ユダヤ人虐殺の森―リトアニアの少女マーシャの証言 (ユーラシア文庫)感想
リトアニアにおける大戦中のユダヤ虐殺についてまとめた本。リトアニアといえば、日本の外交官杉原千畝氏がユダヤ難民約6000人にビザを発給した場所であるが、実は現地の反ユダヤ主義は大変苛烈で、ほとんどのユダヤ人が亡くなったという。本書は辛うじて生き残ったユダヤ人少女の証言を基にしたリトアニアの作家によるドキュメンタリー作品をベースにしているようなのだが、どこからどこまでが引用なのか、どの程度著者のオリジナルな著述なのかが判然としないのが残念。
読了日:06月05日 著者:清水 陽子


バルトの光と風バルトの光と風感想
リトアニアの部分しか読んでいないが、忘れないよう記録。著者は機械関係の営業をされてきた方。旅慣れているらしく、宿や現地で出会う人たちとの交流の記述の割合が多い。なお、本書は1999年夏の旅の記録なので、いまでは交通事情や物価その他は、かなり変化していると思われる。
読了日:06月07日 著者:河村 務



六千人の命を救え!外交官・杉原千畝 (PHP心のノンフィクション)六千人の命を救え!外交官・杉原千畝 (PHP心のノンフィクション)感想
児童向け。著者は27歳の頃から千畝氏を尊敬してきたということで、氏の功績を熱く讃えている。千畝夫人・故杉原幸子さんからも直接話を聞いているとのこと。千畝氏の生い立ち、当時の世界情勢、外交官としての仕事、千畝氏のビザで救われた人たちのその後など、バランスよく、わかりやすく、きちんとまとめられていると思う。なお、外交史料館勤務という職務柄であろう、誰をも批判しない、追及しない記述になっている。
読了日:06月07日 著者:白石 仁章


杉原千畝 (小学館文庫)杉原千畝 (小学館文庫)感想
唐沢寿明主演の映画のノベライズ。あっという間に読める。ヒューマニスト杉原千畝の面よりも、諜報活動の達人としての面をやや強調している。それはそれで面白いといえば面白いのだが、どこまで史実に忠実で、どこがフィクションなのか。映画のお約束、謎めいた美女は実在の人物なのか? 千畝氏のお子さんが存命なだけにひっかかる。既に、加藤剛、反町隆史主演の映画やドラマがあるので、差別化をはかったのか。3作品ともDVDも買ってあるので比較してみる。
読了日:06月07日 著者:大石 直紀


超<集客力>革命  人気美術館が知っているお客の呼び方 (oneテーマ21)超<集客力>革命 人気美術館が知っているお客の呼び方 (oneテーマ21)感想
月イチ書評連載@関西ウーマンで取り上げました。 先月も展覧会を楽しんできた兵庫県立美術館の実践がたっぷり。世界のおすすめ美術館紹介も。兵庫県立に限らず、最近の美術館博物館は、ずいぶん気軽に楽しく学べる場になっています。学芸員に対する残念発言がありましたが、いやいや逆、学芸員や司書やアーキビストといった職の専門性をもっと尊重すべき。存分に腕をふるって活躍していただかねば。
読了日:06月10日 著者:蓑 豊


水澤心吾の杉原千畝物語水澤心吾の杉原千畝物語感想
杉原千畝月間。どんどん読んでいます。こちらは滋賀県立図書館の滋賀県資料コーナーにありました。というのも、著者の水澤さん、写真家の寿福滋さんともが滋賀県出身だからです。水澤さんは一人芝居で杉原千畝を演じておられ、寿福さんは長年、千畝に関わる写真を撮っておられます。そんなわけで、本書は水澤さんの舞台の写真がたくさん載っています。その写真がとてもいいです。前半はお芝居の筋、後半は水澤さんがこの一人芝居をされるに至った半生が綴られています。
読了日:06月10日 著者:水澤 心吾


杉原千畝―六千人の命を救った外交官 (小学館版 学習まんが人物館)杉原千畝―六千人の命を救った外交官 (小学館版 学習まんが人物館)感想
杉原千畝月間。いつ頃から青少年向けの本や教材に千畝氏が取り上げられ、どのように描かれているかを検証すべく分析中。いかにも現代のマンガチックな表現に、うわぁと思ったが、これがなかなかバランスよくまとまっていた。巻末に資料や解説も載っているし、このコマのこの絵は、あの史料に基づいているなとわかるものもあった(日本人がユダヤ難民にリンゴを配っている絵。神戸で実際にそういうことがあった)。子ども向け伝記マンガおそるべし。ということは、他のコマのちょっとした表現も、出所が確かな史料がありそう。また精査してみよう。
読了日:06月10日 著者:稲垣 収,あべ さより


日常を生きる教育論日常を生きる教育論感想
数頁のみ参照。通読はしていない。我が県立図書館の蔵書検索では、書名のみならず目次に挙がっている言葉も拾ってくれる。杉原千畝に関する本を片っ端からチェックしていて見つけた。本書は著者が折にふれ書いた短文を集めたもので、リトアニアのカウナスに千畝を記念する植樹が行われた際、千畝が早稲田出身であることから早稲田関係者も出席したという話が収録されていた。また、このところの私のもう1つの関心事、シュテファン・ツヴァイクに触れたエッセーも収録されていた。なんという偶然と思ったが、著者はドイツの専門家。なるほど。
読了日:06月10日 著者:渡辺 重範


旅でみつめた戦争と平和 (母と子でみる)旅でみつめた戦争と平和 (母と子でみる)感想
杉原千畝氏のことが載っているので手に取ったのだが、ほかの項目があまりに衝撃的で、思わず一気読みしてしまった。著者は元高校教諭。10年余り作家・早乙女勝元氏らと戦争の傷痕が残る場所を訪ね、関係者に話を聞いてこられた。冒頭のフランスのオラドゥール村は、ナチスが村民を虐殺し、焼き払ったが、そのときの状態で丸ごと保全されている。ぜひとも行きたい。イタリアのパルチザンのこと、中国、韓国における日本軍、ベトナム戦争でのアメリカ軍による蛮行、虐殺の痕などについても収録。現場と証言と記録を残し、伝えることの重要性を確認。
読了日:06月11日 著者:重田 敞弘


新版 六千人の命のビザ新版 六千人の命のビザ感想
杉原千畝夫人・幸子氏による回想録。リトアニアでのユダヤ難民へのビザ発行のエピソードは冒頭の五分の一ほど。残りは、リトアニア赴任前のこと、リトアニアを引き上げた直後のプラハでもユダヤ人にビザを発行していたこと、ルーマニアで終戦を迎え、その後一年四カ月もソ連各地の収容所を転々とする日々を過ごしたこと、帰国後、外務省から辞職を勧告され、職を転々としたこと、杉原ビザで救われた人々との再会などが語られる。全編を通じて穏やかな記述が続くのだが、退職勧告の無念さや憤りについては率直に語られているのが印象的である。
読了日:06月11日 著者:杉原 幸子


子どもたちのアウシュヴィッツ子どもたちのアウシュヴィッツ感想
著者はテレジン強制収容所の子どもたちが残した絵を紹介する活動を続けている。アウシュヴィッツはじめナチスドイツの収容所から生還した人々への聞き取りも続けている。テレジンはアウシュヴィッツなどへの中継地として使われたチェコの町。文化人や芸術家、老人、子どもが集められ、一時期は教育・文化活動なども行われたが、結局ほとんどの人は生還できなかった。しかし絵を描くことで希望をもち、生きる気力を保ち続けた子どもたちもいた。本書では、そうした人たちの体験を伝えている。林幸子『テレジンの子どもたちから』と併せておすすめ。
読了日:06月12日 著者:野村 路子


アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)感想
短編集。神戸に来たユダヤ難民の話が出てくるというので手に取った。夫曰く「学生やったら赤入れて直したくなるけどな」という独特な文体。講談調というか。戦中戦後、少年たちは空腹のあまり盗みを働き、栄養失調で死んでいく。通勤電車で読んで朝っぱらから気が滅入るリアルさ。帰宅後思わず「どんなに飢えても母や弟の分まで独り占めせんように」と上息子(飢え息子)に言っておく。養母を慕う少年の話「プアボーイ」が後を引く。この後、2人はどうなっちゃうの⁉︎ 「アメリカひじき」はオッサン思考(嗜好)で、ちょっとヤダ。

読了日:06月13日 著者:野坂 昭如


命のビザ、遥かなる旅路―杉原千畝を陰で支えた日本人たち (交通新聞社新書)命のビザ、遥かなる旅路―杉原千畝を陰で支えた日本人たち (交通新聞社新書)感想
戦乱のヨーロッパから逃れてきたユダヤ難民の渡航の世話をした人々の功績を明らかにしたいという熱い思いで、ゆかりの土地(敦賀、神戸)や生き延びたユダヤ人の人々を訪ね歩き、証言や資料を集めたドキュメンタリー。最後に登場する客船の料理人の方の話が具体的で心打たれた。なお、本書刊行時には神戸におけるユダヤ難民に関する証言や資料はほとんどなかったようだが、神戸市の呼びかけで市民から情報が寄せられ、2017年春に神戸市史の紀要にまとめられた。こちらによれば、神戸の人々は同情的に受け入れていたように見受けられる。
読了日:06月16日 著者:北出 明


N女の研究N女の研究感想
NPOで有給職員として働く女性たちの経歴や働きぶりやその後を追ったもの。著者言うところの「スペックの高い」(難関大学出身、大手企業での実務経験ありなど)女性たち、かつNPOの代表ではない人を選んでいるからか、短期間で離職する人が多い。離職に至った背景は異なるし、「次のステージ」に進むという人もいるが、日本のNPOが自活できるだけの職業とするには厳しいということの表れでもある。であるからこそ、「~女」という表現は(販促のための戦略だろうが)、「一過性」「趣味的に熱中している女性」を連想させないかと危惧する。
読了日:06月20日 著者:中村安希


杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)感想
著者は長年、杉原千畝を研究。本書では、作家の手嶋龍一氏に勧められて、ユダヤ難民を救った人道主義者杉原の情報のプロとしての面を明らかにする。勤務先の外交史料館で発掘した一次史料を駆使した貴重な情報に満ちているが、研究書のスタイルを採った方が、そのオリジナリティと価値がより明確になったように思える。
読了日:06月30日 著者:白石 仁章


読書メーター

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by chekosan | 2017-07-01 21:31 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)