中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

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パウゼヴァングの作品を読むのは、
ドイツで原発事故が起こったという想定の『みえない雲』、
第二次世界大戦末期のドイツの村々を舞台にした『片手の郵便配達人』に続いて3作目。

本書『そこに僕らは居合わせた』は、サブタイトルが示すとおり、
「語り伝える、ナチスドイツ下の記憶」をテーマにした短編小説集です。
多くはパウゼヴァング自身が見聞きしたことを基にしているということです。

共通するのは、若者から見たナチスドイツ時代という視点です。
当時の若者が経験したことを後に振り返るものもあれば、
現代の若者が祖父母世代の体験を聞くという話もあります。
子どもにも読める文体で、一編はごく短くまとめられています。

ユダヤ人への迫害についても、もちろん描かれているのですが、
ごく普通の村や町の子どもの視点なので、
あからさまな暴力や激しい憎悪、悲しみが生々しく描写されるのではなく、
今にして思えば、という記述になっています。

それがかえって、無名の人々が背負ってきた重い過去が無数にあり、
何十年経っても人々の人生に影を落としていることを実感させます。


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戦争や少数者への迫害は国の指導者ひとりに責任があるのではなく、
それを受け入れた普通の人々にもある、
なのにそうした過去をなかったことにしてきた人々がいることを
現代の若者が疑問に思い、祖父母世代に問い直す、というスタイルは、
長く教師をしてきたパウゼヴァングならではだと思います。

数は少ないのですが、身の危険を冒してユダヤ人の隣人を助けた人々や、
数十年を経て過去への執着を乗り越えた夫婦の話など、
後味の良い、感動的な話もあります。

どの話もさらさらと読めて、それでいて胸や脳裏に残る作品集です。

彼女は非常に多作とのこと、他の作品ももっともっと翻訳されることを期待します。
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by chekosan | 2016-09-23 09:45 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
ベルリンに行ったら、絶対見たかったのが、
東ドイツ生まれの信号機の中の人、「アンペルマン」の実物でした。

もうだいぶ前に、東ドイツデザインの信号機が取り払われていって、
それを阻止する運動が実って、いまや人気者になっているという報道を見ました。

その後、日本でもグッズが販売されるようになったのは知っていましたが、
近場では目にすることもありませんでした。

3月にフランクフルトでグッズを買うことができて、ますます好きに。
あのシンプルでかわいらしくてレトロ感ある造形がたまらないのです。

通信博物館のショップで。ユーロメモ帳、ユーロ消しゴムもありました。

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今年8月にベルリンに到着した日、さっそく信号機を発見して大興奮!
ですが、実は旧東ドイツだけでなく、今や西側だった地区でも使われているんですね。
ベルリンにいる間、たくさんのアンペルマンが働いているのを見ることができて幸せでした。

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そして、いざショップへ!
店ごと買い占めたい衝動に駆られましたが、
そんな財力も腕力もないので、がまんしてたくさん買うだけにとどめました。
まだまだ欲しいグッズがたくさんあって別れがつらかったのですが、次のお楽しみに。

ハッケシャー・ヘーフェのショップは建物自体も面白いです。
お隣のブティックもおしゃれで、うっかり買い物しそうになりました!
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子らのTシャツや靴下、タオルやらナプキンやらキーホルダーやら封筒やら付箋やら。
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グミやらコースターやら消しゴムやら折りたたみ傘やら。
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あれ? 他にも買ってたぞ… そうそう、子らにパーカーとお財布も。
男児、男性にも合うデザインですよね。

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フリードリヒ通り(だったか)の旗艦店には、こんな記念撮影ポイントも。
ベルリンの壁を模しているんですね。
このお店には、世界の信号機なんかも展示されています。

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帰国してから手に入れたアンペルマンの本によれば、
旧東ドイツの古都エアフルトには、傘を持ったアンペルマンや、
サッカー選手、パン職人等、いろんなアンペルマンが活躍中とか。
これはいかねばなりません、エアフルト。どんなところでしょう♪♪

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オマケ… 自分用に買ったポロシャツは肌触りも色合いも大のお気に入り♡
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by chekosan | 2016-09-17 23:30 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
アウシュヴィッツ強制収容所の記録として名高い、
プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』を読みました。

フランクル『夜と霧』と同様、収容所の劣悪な居住環境、慢性的な飢え、
過酷な労働、暴力、怪我や病気、迫る死の恐怖を記録しています。

ですが、フランクルもレーヴィも、怒りや憎しみをぶつけるというのではなく、
自身で見たこと、体験したことをできる限りそのまま伝えようとしています。

収容所に連れてこられた人々の多くはガス室で殺されるのですが、
労働者として収容された人たちは、名前を奪われ、囚人番号で管理され、
「ぼろきれ」扱い、「奴隷」扱いされます。

それでも、それぞれ知恵を絞ってなんとか生きのびようとします。
危険を冒して配給物を盗んだり、
物々交換が行われたり、なんとか手に入れたものから何かを作ったり。

その様子をレーヴィは、「組織化」「市」「交易」「新石器時代」というように、
ちょっとユーモラスに表現しています。

そのように生に執着しなければ、飢えや衰弱で死んでしまったり、
ガス室へと「選別」されてしまったりするからです。

そのため、フランクルもレーヴィも、
「最良の人は生き残れなかった」というようなことを書きのこしています。


本書の巻末に、「若い読者にこたえる」という質疑応答があります。
ここも必読です。

「ドイツ人への憎しみ、恨み、復讐心の表現がないのは許したからか」
「ドイツ人は何百万もの殺戮を知らなかったのか」
「脱走した囚人はいなかったのか、なぜ大衆的な反乱がおきなかったのか」
「解放後アウシュヴィッツを訪れたか」
「なぜソビエトのラーゲル(収容所)について沈黙しているのか」
「登場人物と解放後、再会を果たしたか」
「ナチのユダヤ人に対する狂信的憎悪をどう説明するか」
「もしラーゲルで囚人生活を送っていなかったら今ごろどうなっていたか、
 あの時代を思い出して何を感じるか、生き残れたのはなぜだと思うか」

これらの問いに、レーヴィがどう答えているか、ぜひ読んでいただきたい部分です。

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by chekosan | 2016-09-17 12:44 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
わたくし、この夏まで、カフカの『変身』の虫は、芋虫系だと思っていました。
でなければダンゴムシとかダイオウグソクムシとかナウシカの王蟲とかみたいな。
というか、高校生くらいのときに読んだきりで、細部はすっかり忘れていました。

ところが、プラハのユダヤ人街に行って、カフカの像とお土産のバッグを見て仰天。
甲虫系だったの!?

像の足元に虫のモザイクが。カメムシっぽい感じ?

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*この像も謎めいていますが、元になった作品があると判明。
 別途書きたいなと思います。

カフカ書店で買ったバッグは、赤いカミキリムシあるいはゴキっぽい?

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そこで、『変身』を読み直しました。

マックス・ブロート編集 川村二郎・円子修平訳
『決定版 カフカ全集1』(新潮社 1980)です。

この版を選んだのは特に意味はないです。
訳文がなんとなく読みやすくて好きな感じだったからです。
以下はこの訳に寄ります。

グレーゴル・ザムザはある朝、突然虫になってるわけですが、
背中は鎧のように固くて、細いたくさんの脚がちらついているんですね。

この足、「ありとあらゆる動きを絶え間なしに見せている」というのですから、
やはりせめてダンゴムシくらいの本数は欲しい気がします。

のちにお父さんが投げた林檎が背中にめり込んで落ちもせず腐っていくので、
背中も、実のところはそう固くもないんじゃない?と思ったりします。

この林檎の一件、再読するまで、まったく覚えてなかったのですが、
林檎ごときがめり込むというところに、柔らかめな虫を想像したのかもしれません。

這いまわると茶色い汁がしみ出して壁に跡を残すというし、
やっぱりカミキリムシとかカメムシはなんか違う~というのが再読後の感想です。

ですが、カフカ自身、虫のイメージを特定することを拒否したらしいし、
どんな虫であるかはあまり重要ではないようにも思います。

◇◇◇

それよりも、この話、“ある朝突然虫に変身”という一点を除けば、
非常に現実性と普遍性のある話だったのだなと再認識しました。


グレーゴルの家には、「その挙措と制服に尊敬を要求」するような
彼の少尉時代の写真が飾ってあります。

ところが、お父さんの事業が失敗して借金を背負って、
まだ17歳の妹を音楽学校に入れてやろうと
毎日毎日、旅から旅へのセールスマンとして働いていたんですね。

予定していた汽車に乗らなかっただけで
専務が家に飛んでくるような厳しい会社で。

家族4人、そこそこ賃料のかかるアパートメントに住み、
女中さんを雇って、月々蓄えもして。

その重責で体を悪くした?とも推測できるのですが、
虫になったいきさつや原因は特に触れられないままです。

◇◇◇

虫になって邪険にされるようになっても、彼はほとんど家族を恨みません。
いつまでも主人公の心中は、出来た長男のままなんです。

だんだんと心身ともに人間の感覚を失っていくのですが、
居間で集う家族の様子を少しだけ見せてもらえるようになると、
人間らしい感情や理性をなくしてはいけない、と思ったり。

そのうち、稼ぎ手を失った家族はそれぞれ勤めに出て、
お父さんなんか、かえってシャキッとするんですね。
それをグレーゴルは好ましく見るんです。

でも、その胸中は家族にまったく伝わらないんですね。

そして、世話をしてくれていた愛する妹に、
もう十分やることはやった、あれは兄さんなんかじゃない、
本当に兄さんなら出ていくはずだ、と言われて、
その言葉も安らかに受け入れて、息絶えちゃうわけです。。。

フランクル『夜と霧』のなかで、極限状態で人を生にとどめるのは希望で、
希望を失うと死んでしまうとありましたが、まさにそれだと思いました。

◇◇◇

インターネットで検索してみると、たくさんの人が、
このお話を、他人事ではない現実味のある話と受け止めていることがわかります。

グレーゴルの様子はALS(筋萎縮性側索硬化症)そのものだという方、
精神障害者になぞらえる方、
仕事のストレスで動けなくなった経験のあるタレントの方、
ひきこもりや認知症の方とその家族の話だと受け止めている方々など。

家族のふるまいに対しても理解できるという記述が目につきました。

◇◇◇

最後、痩せこけた虫が息絶えたことを知った家族は悲しみます。
が、虫と部屋の片付けは手伝いのおばあさんがすべてしてしまいます。

3人は勤めを休んで、何カ月かぶりに郊外へ出かけます。
そして、今後の生活はそう悪くはならないと話し合うのです。
明るく穏やかな希望を語るラストなのが、これまたリアルな気がしました。

◇◇◇

本筋にはあまり関係ないけど、一つ疑問。

家計の足しにと、ザムザ家は間借り人に一部屋を貸すのですが、
この間借り人、家族ではない大人の男性3人なのです。

部屋を貸すというのは、この時代の小説でよく出てきますが、3人一部屋というのは、、、
家賃が負担という記述もあるので、よっぽど一部屋が大きい?

しかも部屋を貸している間、年頃の妹は居間で寝ていたというのです。
ということは、妹の部屋を貸していた??

そして、ザムザ家、各部屋がドアでつながっているんです。
ドアは鍵がかかるようにはなっていますが、水回りが各部屋にあるわけではなさそう。

ああどんなフラットだったのか、
当時はそんな風に間借りするのが普通だったのか、気になります。


虫、こうゆうんかとおもてました。 ↓
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by chekosan | 2016-09-12 12:00 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
この夏、初めてベルリンに行きました。
きれいに再開発された、歩きやすい都会という印象をもちました。

90年代の様子を知っている友人たちは、ずいぶん変わったと言います。

残念ながら、私にはかつての様子と今の様子とを生で比較することはできないので、
現地ではどのように「東」の時代を伝えているのかという観点で見てこようと思いました。


DDRの日常」という展示がベルリンにあります。
大聖堂そばにあるDDR博物館とは別です。

Haus der Geschichte der Bundesrepublik Deutschland
という財団の一つで、入場無料、撮影可です。

この財団は「涙の宮殿」という展示も運営していて、
こちらも無料で良い展示でした。また別途記述できればと思います。


さて、「DDRの日常」展が入っているのは、
昔のレンガ造りの工場をリノベーションした雰囲気のある建物です。

あまり知られていないのか、中心部からは離れているからか、
空いていて、ゆったり見ることができました。

東ドイツ時代のお店、オフィス、学校、家の様子などの展示なのですが、
一番印象に残ったのが、これでした。

東ドイツの車、トラバントの上に設置されたテント!

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後述の『私は東ドイツに生まれた』でもたっぷり出てくるトラバントは、
予約してから平均12年ほど待たなくては手に入らないので、
みな大事に大事に修理して使っていたといいます。
そうして、なんと20数年は走らせたそうです。

壁が開くと、トラバントは性能の良い西側の車に負けてしまうのですが、
今でもファンは多く、現役で走っているものもあります。
東ドイツの象徴の一つです。

◇◇◇

東独に対しては、監視、統制、物不足といったような
ステレオタイプな像ばかりが流されがちです。

でも、みんなが「毎日泣き暮らしていたわけでは」ないわけで、
そこで幸せに暮らしていた人々もいたのだというスタンスで書かれたのが、
リースナー『私は東ドイツに生まれた 壁の向こうの日常生活』(東洋書店 2012)です。

先述のトラバントやキャンプの話もあり、
教育、進路、仕事、兵役、政治の話もあります。

案外おおらかな面もあり、横のつながりが密だったり。

東ドイツに生まれて青年期まで幸せに暮らし、
東ドイツを愛する故郷として肯定する立場からの記述は面白く、
もっと詳しく知りたいと思いました。

特に、労働力不足を補うため、また男女平等の原則から、
子どもを持つ女性が働き続けられるよう整備された子育て支援策は
とても興味深いです。


ただ、1953年の東ドイツ、1968年のチェコスロヴァキアへの
ソ連軍(ワルシャワ条約機構軍)侵攻を、
単なる「暴動」のように記述しているくだりは違和感がありました。

著者の表現を尊重されたのかと思いますが、
訳者か監修者の注があっても良かったのではないかと思いました。

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by chekosan | 2016-09-10 22:00 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
月一回の書評連載@関西ウーマン、今月は成毛眞さんの事典愛あふれる新書です。


成毛さんは事典を、「文字通り読む」ことを推奨します。
それも疲れたときに読むのに最適だと言います。
ひとつの項目が短く完結しているので、さらさらと読めるからです。
また小刻みな知のインプットが刺激となって、元気が出てくることもあるそうです。

事典や辞典、図鑑、さらには白書、統計、データブックは、
ひらいてみると案外とっつきやすかったりします。
面白いですよ♪♪


本文はこちらです ↓

教養は「事典」で磨け(成毛眞)
信子先生のおすすめの一冊(関西ウーマン)



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by chekosan | 2016-09-10 12:22 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
8月は前半にベルリン&プラハへ。後半はその見聞も盛り込んだ文章を書き書き。
一日たりともボーっとしてなかった。と思う。

そんなわけで読書メーター記録もドイツものに集中。
まだしばらく(東)ドイツものは読む予定。

2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1748ページ
ナイス数:199ナイス

片手の郵便配達人片手の郵便配達人感想
ドイツへの旅のお供に。出発前に同じ作家の『みえない雲』を読み、衝撃と感銘を受けて。戦地で片腕をなくし、故郷で郵便配達にいそしむ青年ヨハンが主人公。戦闘場面を描かずして、戦争が辺鄙な田舎の人々にもたらした様々な悲劇を静かにじわじわと伝える。戦争はごくごく普通に暮らしていた人々を加害者にも被害者にもさせる。この人たちがなぜこんな目に、こんなことにという出来事が起こり、人の優しさと残酷さを同時に味わうことになる小説である。本作も読みやすく、かつ衝撃的だった。他の作品も読みたい。
読了日:8月11日 著者:グードルン・パウゼヴァング


ファイル―秘密警察(シュタージ)とぼくの同時代史ファイル―秘密警察(シュタージ)とぼくの同時代史感想
再読。イギリスの歴史学者でジャーナリストでもある著者が、旧東独秘密警察が作成した自分に関する資料を読み、情報提供者たちに話を聞く。自分の過去をたどりながら歴史、国家について思考するスタイルで書かれていて、歴史もの、スパイものの読み物のように読める。この夏、ベルリンの秘密警察博物館と、文書保管庫を見学してきた。現地に行ったことで臨場感が増した。
読了日:8月14日 著者:T.ガートンアッシュ


ベルリン―東ドイツをたどる旅 (私のとっておき)ベルリン―東ドイツをたどる旅 (私のとっておき)感想
東西ドイツ統一1ヵ月前から東ベルリンに留学され、ベルリンが変化していくさまをリアルタイムで見てきた人ならではの小さいが東ベルリンへの愛と郷愁に満ちた本。オールカラーで写真が大きく、説明もていねいで読みやすい。帰国後に入手して一気読みし、またベルリンに行きたくなった。ベルリン、レンタル自転車が普及しているので、道路に埋め込まれているベルリンの壁の跡を自転車で辿るのは面白そう。ブログに私が見つけた壁の跡の写真を少しアップしました。http://chekosan.exblog.jp/26110103/
読了日:8月15日 著者:見市知


ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~ (5) (MFコミックス ジーンシリーズ)ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~ (5) (MFコミックス ジーンシリーズ)感想
気分転換にいいですね。でもちょっと絵が乱れてきたように思えます。コンビニにまつわる面白いエピソードよりも、登場人物の変態ぶりの方が印象に残るようになってきたような。
読了日:8月15日 著者:ハシモト


監視国家―東ドイツ秘密警察(シュタージ)に引き裂かれた絆監視国家―東ドイツ秘密警察(シュタージ)に引き裂かれた絆感想
著者はオーストラリア出身、シュタージの被害者や、元職員、協力者に直接話を聞いて本書にまとめた。当事者の証言は非常に生々しく臨場感に富む。執筆の96年当時はベルリンの街も人の生活もまだ混乱し、荒れている様子。私はこの夏初めてベルリンに行ったが、すっきりと開発された明るく整った街としか思えなかった。が、当事者にとっては、その後も人生は連続している。とりわけ被害にあった人にとっては何も終わっていないのである。本書執筆からさらに10年が経った。ここに登場した人たちの人生はその後どうなったのだろうと思う。
読了日:8月16日 著者:アナファンダー


よりみちチェコ (P-Vine BOOks)よりみちチェコ (P-Vine BOOks)感想
ともに編集者の母と娘の大人な旅。デザインは父という親子共作。写真やデザインがよく、読みやすい。よくある観光案内、かわいいもの紹介ではないのがいい。アーティストのアトリエ探訪やインタビュー、チェコの人気絵本、アニメ「もぐらくん」の作者へのインタビューもある。靴メーカーのバチャ社見学も面白い。宿もお城ホテルや修道院ホテルなど。一般家庭での食事の様子などもあり。今度はこんなこだわりの旅をしたいなと思わせる。ただし10年前の本なので値段はかなり上がっている。久しぶりに行ったプラハ、なんでもかんでも高くなっていた。
読了日:8月16日 著者:鈴木海花中山珊瑚


伝説となった国・東ドイツ伝説となった国・東ドイツ感想
冒頭の没収財産(土地や家屋)の返還や買取に関するレポートが興味深い。戦後、国境の変更や体制の転換などで土地を移動した・させられた人たちに手放した財産を返す動きが(ドイツだけでなく)各地である。国家の体制と個人の権利、所有などについて考えさせられる格好のテーマなので、ここをもっと深めてほしかった。後半はドイツにおける何層もの差別意識について。統一前後の執筆当時の東西ドイツ人やドイツに住む外国出身者の率直な声は貴重だが、著者自身がドイツで受けた差別への恨みがわいてきて、言葉や叙述が乱れていったのが残念。
読了日:8月18日 著者:平野洋


ドイツ人の現実―五十年のドイツ生活からドイツ人の現実―五十年のドイツ生活から感想
日本人ながらドイツの大学でドイツ語の専門家として教鞭をとってきた自信と、50年以上にわたる生活でドイツ人以上にドイツ人らしくなったとの強烈な自負をもって語る、ドイツとドイツ人論。ドイツ語のこと、言葉にまつわること、家や暮らし、東西ドイツの違い、さらには自身の出自など話題は広い。東ドイツに好意的なのが意外というか興味深い。女性や職業に関する表現には世代の違いを感じた。
読了日:8月30日 著者:江沢建之助




読書メーター

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by chekosan | 2016-09-01 12:33 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)