中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

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なぜ知らなかったんだろう、なぜあまり知られていないんだろうと思う一冊。
一気に読んでしまいました。

チェルノブイリ原発事故の一年後に書かれた小説です。

私は「ゴアレーベン“ATOMKRAFT NEIN DANKE” ポスターに見る
核廃棄物処分場反対運動」展
で流れていたVTRで、この作品を知りました。

5月のある日、西ドイツ南部にある原子力発電所で事故が起こります。
主人公の14歳の女の子は急いで学校から帰宅します。

その日、両親と末の弟は、まさに事故を起こした原発の近くに出かけていました。
母からの電話で、北へ逃げろと言われた姉弟は、自転車でひたすら北へ向かいます。

しかし、道路は車で大渋滞、駅付近も列車で逃げようとする人たちで大混乱です。
我先にと逃げ惑う人々はパニックを起こします。

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なんとか命はとりとめた主人公は親戚の家に身を寄せます。
放射能に「汚染」された主人公たちに面と向かってひどい言葉を投げる人はいませんが、
腫物に触るような扱いに傷つき、怒り、身体の異変、不調に悩まされます。

主人公の両親は、チェルノブイリの惨状を繰り返してはいけないと活動していました。
しかし、そういった声を、大げさすぎる、わが国ではあんなことは起こらない、
愛国的でないと否定する人の方が多数でした。

しかし、実際に起こってしまったのです。
そして、「ヒバクシャ」は忌避の対象となってしまいました。


この小説はフィクションです。が、非常にリアリティを感じます。

特に主人公が幼い弟と必死で自転車で逃げる前半部分は映像が目に浮かぶようです。

避難民たちの苦悩や苦労、受け入れる土地の人たちの戸惑いや冷淡さには、
じりじり胸が灼けるようです。

もちろん親切な人や愛情深い人たちもたくさん出てきます。
主人公もたくさんの人に助けてもらいます。

そして、主人公は、自分が背負うことになったさまざまなことをしっかりと受け止め、
まるでなかったことのようにしてしまおうとする人たちに現実と向き合うよう迫るのです。


原発事故を取り上げたアレクシエービッチの『チェルノブイリの祈り』も衝撃的でしたが、
この作品もおすすめです。

本書の訳者、高田ゆみ子氏があとがきに書かれていることも大変共感できたので、抜粋します。

   「怖い」とか「死にたくない」という感覚を失ってしまってはいけないと思います。
   まず、この「感じる」ことがスタートです。
   つぎは「知ること」です。
   さらに必要になってくるのが「考える」ことです。


本書は映画化もされています。
原作よりもラブストーリー色が強められているようですが、こちらも観てみたいです。
また漫画版も出ているようです。
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by chekosan | 2016-07-29 23:43 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
流通科学大学の初年次教育科目「自己発見とキャリア開発」が今日で終了しました。
この科目、4-5月は月火の1-4限連続、6-7月は火の5限、8単位というハードスケジュール。

入学式から始まりオリエンテーション、学外研修、教室での授業、
フィールドワーク、先輩や卒業生、企業の方のお話を聞く回など盛りだくさん。

なのに、私は新年度早々インフルエンザで寝込んでしまいました。
その間、まわりの先生方、職員のみなさんが代わる代わるクラスの面倒を見てくださいました。

にもかかわらず、クラスの学生たちは穏やかにあたたかく迎えてくれて、
その後もとてもスムーズにすべてのプログラムを進めることができ、
今日の最終授業も和やかに終えることができました。

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このクラスは、科目は変わりますが、後期も続きます。
すでに、各自の調査テーマを設定し、夏休みには下調べをしたうえで
現地調査に行ってもらう計画が進んでいます。
その中間報告を10月末の学園祭で展示します。

学園祭は後期が始まると1ヶ月もないのですが、
彼らならいい中間報告をしてくれると期待しています。


ということで、2016年度の前期(春学期)の授業は、これにてすべて終了です!
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by chekosan | 2016-07-28 19:55 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
6-7月の8週、2コマ続きの科目、「文章表現Ⅱ」の授業が終わりました。
今年も私と桑原桃音先生とが担当し、
読み書きの基礎を学ぶ科目でもアクティブ・ラーニングします!できます!をモットーに、

おすすめの参考図書をみんなに紹介したり、

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おすすめの雑誌記事についてあれこれ話したり、

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おすすめの新聞記事をもとに、グループで壁新聞を編集したり、

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ゲスト講義では、地域で読書推進活動を展開されている、
書店主であり落語家でもある、井戸書店の森忠延さんに質問したり、
お礼のメッセージを書いてお渡ししたり。

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7月は、おすすめの新聞記事をもとに、新聞に意見文を投稿したり、
おすすめの一冊の書評を書いて、POPやしおりを作ったりしました。

場所も、普通教室、グループワーク教室、図書館、PC教室と、目的に合わせて。

8週間、キツキツでしたが、最後までがんばった受講生たちは、
「課題が多くて大変だったが、達成感があった」と感想に書いてくれました。

「力がついた」「本を読むようになった」「楽しかった」
「一番好きな授業でした」「友人ができた」「グループワークがよかった」
「新聞投稿やゲスト講義など、学内だけにとどまらっていないのがよかった」
「先生に質問しやすかった」「先生が優しかった」(そうか!?)という声も。

そして!

この科目の取り組みや成果物を、学園祭で展示し、
さらには秋に横浜で開催される図書館総合展でポスター発表するのですが、
その企画運営に関心がある人を募ったところ、
私のクラスだけで8人が名乗りを挙げてくれたのです。

学生の希望とは無関係に割り振られた科目なので、
授業が終わっても関わりたいと思ってくれる学生がそんなにいるとは思いませんでした。

大学に申請した助成に計上した学生の旅費は4名分。
それも埋まらないんじゃないかと思っていたのに。嬉しい悲鳴です。
できる限り希望者全員に、横浜に行ってもらえるよう、先生なんとかがんばります!

ということで、弾丸スケジュールの8週間でしたが、ひとまず授業は終了。
夏休み明けから活動再開です!

学園祭はどなたでも来ていただけます。
みなさま、ぜひお越しいただき、学生たちの力作をご覧ください♪
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by chekosan | 2016-07-27 19:34 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
同志社のロシア・東欧地域研究、第二期の授業が終わりました。

今年度は、もう一つ同志社でロシア東欧関係の科目を担当することになったので、
本科目は入門編的な位置づけにして、春学期に移しました。

多人数を避けようと土曜1限にしたところ、
前学期112名登録だったのが、今学期は16名! 
初回から一度も来なかった学生も数名いて、最終的には10名に落ち着きました。

極端に人数が違うので、しばらくは進度も反応も手探りでしたが、
さすがに土曜1限に来る学生たち、少数精鋭でした。
受講者が多かった前学期以上に、多様性に富んだレポートや発表が相次ぎました。

法学、政治学、経済学系に加え、歴史、文学や美術、民俗学、宗教など、
幅広い話題が提供されて、私も大変刺激をもらいました。

期末レポートは、3回の小レポートで取りあげたテーマをさらに充実させた人、
あえて小レポートとは別のテーマに挑戦した人がいましたが、
それぞれが確実にレベルアップを果たしているのがわかる濃い内容でした。

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実は、前学期の授業評価アンケートで、1,2名ではありますが、
授業中に受講生に発表してもらったり、毎回カードをやりとりしたり、
ていねいなレポート指導をしたりしたことに対して、
非常に強い否定の言葉を書いてきた学生がいて、今後どうしたものかとだいぶ悩みました。

が、大多数の受講生は一方通行でない授業スタイルを歓迎していましたし、
その声に沿わないのは、今学期の受講生の不利益になると思い直し、
前学期以上に発表の機会を増やす方向で進めました。

最終授業を終えて、記名ではありますが感想を読んで、やはりこの路線でいこうと思った次第です。

以下、抜粋です。

 「他の人のレポートを聴き、大変参考になった。… レポートの書き方も大変勉強になった」

 「レポートのお題の自由度が高かったので、みんなの興味関心から
  個性あふれるお話がたくさん聞けて勉強になりました」

 「発表を聞いて、自分が調べていない分野に強い興味を持ちました。…… 色々な面から
  ロシア・東欧について知れて、この授業に出てとても良かったと思いました」

 「みなさん非常に分析が深いレポートを作っていたので驚きました!」

 「レポートを書く機会が多くあり、自分で調べ物をして勉強することもでき良かったです」

 「講義の中で何人もの人が調べてきた発表を聞きましたが、この講義をとっている方は、
  自分がロシア・東欧の何に興味があるのかはっきりわかっていて、
  すごいと感心していました。… 」

 「レポートで好き勝手に好きなことを取り上げてしまってすいません … 」
 
  →全然OKですよ! 興味深い話題を提供してくれてよかったですよ!


秋学期は、迷いなく、完全にゼミ方式です。
ロシア・東欧に関する本を次々読んで、あれこれ語り合いたいと思います。
毎回、ざっくばらんな座談会のようになればいいなあ。
意欲的な学生さんのお越しをお待ちしております。^0^
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by chekosan | 2016-07-24 01:30 | ロシア・東欧地域研究@同志社 | Trackback | Comments(0)
今日で関大の外国書研究の春学期の授業が終わりました。

春学期はスケジュールがキツイので、今期は、非常勤の授業は土曜日に固めました。
てきめんに登録者が減り、関大の授業は登録5人、実際に授業に来たのは3人でした。

就職活動などで、ときには一人とか二人の日もありましたが、
その分、来たときはじっくりみっちりでがんばってくれました。
人数が少ない分、私と受講生、受講生同士が言葉を交わす機会もとれました。

最後の授業では、レポートの内容をテレビのフリップ風にまとめてもらい、
お互いに見せながら、調べてきたことを披露してもらいました。

だいたい2回に1回くらいは小レポートを作ってきて発表してもらっていますが、
口頭だけよりもポイントが絞れて、わかりやすかったです。
これからときどき取り入れようかな! ^^

最後に作品を持って記念撮影~☆

今期も楽しい時間でした♪ 秋学期は何を読もうかな。既に今から楽しみです。

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by chekosan | 2016-07-16 22:31 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
父親のアウシュビッツ体験を描いた漫画『マウス』(レビューはこちら)の作者
アート・スピーゲルマンのインタビューを収録した本があると知りました。

柴田元幸編・訳『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』(アルク 2004)

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柴田元幸氏によると、スピーゲルマンは饒舌な人らしいです。
このインタビューでは、アメリカのコミックス史、
現在取り組んでいるプロジェクトのこと、自作『マウス』に関して熱く語っています。

『マウス』に関しての柴田氏とのやりとりは大変興味深いです。

柴田氏は大学の授業で『マウス』をときどき読むのですが、
賢い学生ほど、こうした過酷な体験を、何不自由なく育った自分たちが
素直に感動していていいのかと疑問を抱くというのです。

それに対してスピーゲルマンは、学生には読む権利がある、
自分だって父親のように直接体験したわけではないと言います。

それよりももっと深い問題があると彼は言います。

彼が『マウス』を描きはじめたころ(1970年代初頭)は、
ホロコーストに関する文献はほとんどなく、
1ヵ月もあれば読みつくせるくらいだったと言います。

それが、その後、大量の資料や作品が発表されていきます。
そのなかに『ライフ・イズ・ビューティフル』という映画もあるのですが、
『ライフ~~』が『マウス』に刺激されて作られたと知り、スピーゲルマンはショックを受けます。

というのは、『マウス』はメタファーを使って歴史的な問題にたどり着こうとする試みだったのに、
『ライフ~~』の方は、歴史をメタファーに変えてしまおうとする試みだというのです。

そこでは、アウシュビッツが単に「嫌な体験」「悪い時代」の同義語になっていて、
そのような一般化は、「歴史を心底些細なものに変えてしまっている」というのです。

スピーゲルマンは、それは『マウス』を読み違えているとはっきり言っています。

◇◇◇

このインタビューの1年後、アメリカで9・11同時多発テロが起こります。

スピーゲルマン自身もこの事件に衝撃を受け、トラウマを抱えるのですが、
イラク攻撃へと向かうブッシュ政権に「弱腰」なアメリカのジャーナリズムに怒りを覚え、
自身の絵が表紙を飾ってきた雑誌『ニューヨーカー』を去り、
ドイツの新聞『Die Zeit』に "In the Shadow of No Towers" を連載します。

これは、9・11連作トラウマ漫画というべきものだそうで、
邦訳も出ているそうなので、また読んでみたいと思います。
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by chekosan | 2016-07-11 15:22 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)

「関西ウーマン」に掲載していただいている月一回の書評、
7月は、『情報は1冊のノートにまとめなさい』シリーズがベストセラーとなった
奥野宜之さんの『旅ノート・散歩ノートのつくりかた』です。

オールカラーで実例たっぷり。見るだけでも楽しい本です。

本文はこちらから → 信子先生のおすすめの一冊『旅ノート・散歩ノートのつくりかた』


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by chekosan | 2016-07-09 22:04 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)

映画「MILK」を観ました

LGBT関連の映画第2弾。「MILK」を観ました。
こちらは1970年代のアメリカ、サンフランシスコが舞台です。
ハーヴィー・ミルクという実在の人物の物語です。

ハーヴィーはゲイであることを公言してサンフランシスコの市政執行委員に立候補し、
4度目の挑戦で当選しました。
在任はわずか一年ですが、その間に高齢者福祉の充実や街の環境美化などに取り組み、
同性愛者の人権保護条例を成立させました。

性的マイノリティのシンボルであるレインボーフラッグも、
ミルクの支援者がパレードのためにデザインしたものだそうです。

ミルクが活動していた頃には、同性愛は精神疾患や犯罪として扱われていました。
同性愛者の教師を免職する動きも出ました。
ミルクと仲間たちは、この動きに徹底抗戦し、勝利します。

さあいよいよこれからという矢先、ミルクは、
同僚である保守派委員に、市長とともに銃撃されて亡くなりました。

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撃たれて亡くなった史実があるので、不吉な予感が漂う映画になっています。
が、大勢の人々に訴える言葉は非常にシンプルで力強く響きます。
ラスト、ミルクと市長を追悼するキャンドル行進は胸を打ちます。

ミルクは48歳で亡くなりましたが、彼らの起こしたムーブメントはその後も広がっていきます。
昨年(2015年)6月、アメリカ憲法裁判所は同性婚を認める決定を下しました。

◇◇◇

DVDには特典映像がついています。
史実を基にした映画の場合、存命の関係者のインタビューや、
当時の映像資料などをみることができると理解を深めてくれていいですね。

この作品の場合も、製作者、俳優たちが、膨大な資料をもとに作品を作ったことがわかります。
そのため、これドキュメンタリー?と思わせるほど、70年代の雰囲気が出ています。

関係者へのインタビューで一番印象に残った言葉をご紹介します。

   彼が残したのは、“希望”だ。
   
   選挙に限らず、政治的なプロセスにおいて
   よりよい世界を作るためにできることはある。

   彼は若い世代に向かってこう訴えていた。
   無気力で無関心ではなく行動する人であれと。
   そして、せめて投票をするようにとね。



なお、この映画の脚本家も、ミルクの活動を知って救われた一人だそうです。
ミルクのかつての仲間に映画化の話をしたところ、監督を紹介してもらい、
この作品ができたということです。
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by chekosan | 2016-07-07 15:25 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
昨年度の同志社の「ロシア・東欧地域研究」の授業で、
「1989年以降のロシア・東欧で表面化した新たな「壁」について調べなさい」
という小レポートを出したところ、大反響を読んだ発表がありました。

「ロシアにおけるLGBT差別」と題した発表だったのですが、
「壁」というお題から、このテーマを着想できたこと、
調べた内容、発表の仕方に、ほかの受講生がいたく感銘を受けて、
その日の感想カードは絶賛の嵐でした。

その後のレポートでも、この発表に感化され、別の観点から調べてみた、
という学生も複数現れるなど、たいへん良いスパイラルが生まれたのでした。

いまの学生にとっては、性的マイノリティの話題はタブーではなく、
社会的に注目・認知されていることで、調査研究対象にもなるのだ、
という認識があることがわかり、私自身もおおいに刺激を受けました。

◇◇◇

そんなわけで、ちょっと勉強してみようと、
LGBT関連の映画「パレードへようこそ」を観ました。

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こちらはサッチャー政権下のイギリスでの実話をもとにしています。
炭鉱閉鎖に抵抗して炭鉱ストを起こす労働者を警官がめった打ちにする映像を見て、
ロンドンのゲイ活動家たちが、労働者支援活動を始めます。
大きな力に虐げられる弱者どうし、連帯するのだと。

当時は同性愛というだけで逮捕、有罪になるような時代、
炭鉱組合に支援を申し出るのですが、同性愛者からの支援はいらないと次々断られ、
ウェールズの小さな町の組合だけが支援を受け入れます。

両者の出会いは最初はぎこちないのですが、パワフルな役員たちの尽力もあって、
町の人たちと活動家たちは仲間になっていきます。

炭鉱ストは一年を経て終結、活動は実を結ばなかったか、、、
と思われるのですが!!

途中からもうボロ泣き。感動のラストです。

(後の方に少しネタバレあり)


◇◇◇

LGBTのメンバーの葛藤や活躍や成長もみどころですが、
それ以上に、炭鉱町の女性たちが魅力的です。
明るくて、偏見がなくて、意思が強く、行動的。
中心メンバーの一人は、その後、大学で学び、地方議員になります。

コメディなので、笑いどころもたくさん。
80年代に流行った曲も使われていて、ちょっとミュージカル的なところも。

ロンドンでの資金集めコンサートの手伝いに来た女性軍のはっちゃけ具合、
羽伸ばし具合は大いに笑えます。

◇◇◇

炭鉱ストが敗北し、中心人物たちもいったん散り散りになるのですが、
1985年のロンドンでのLGBTパレード(=PRIDE)でまた結集します。

政治的スローガンは禁止だと後方へ押しやられそうになる活動家たちですが、
そこに大型バスが大量に乗りつけます。
今度は全国から炭鉱労働者たちが彼らの支援に駆けつけてくれたのです。

炭鉱労働者たちとLGBTの人たちが先頭に立ったパレードは
歴史的な出来事となりました。

このあと炭鉱労働組合の強力な後押しによって、
英労働党は、同性愛者の権利保護を認める方向へと転換します。

◇◇◇

DVDには、「プライドの真実」と題した特別映像が入っています。
ここでは、当時の映像を交えて、本人たち、俳優たちが語っています。
これを見ると、映画はかなりご本人たちに似せて作っていると思います。

ただ、活動家たちを迎えた町の人たちは、はじめから歓待したそう。
そこは現実の方がスムーズだったのですね。

◇◇◇

いや~、面白い映画でした。

偶然にも、今年の夏、プラハ訪問予定期間に、プラハ・プライドが開催されます。
チェコは旧社会主義圏としては同性愛者の権利保護に積極的なようです。
様子を見てきたいと思います。
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by chekosan | 2016-07-06 17:26 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)
昨年よりも授業のコマ数が減り(それでも決して少なくはない)、ちょこちょこは読めた今年の6月。
というか、ちょこちょこしか読めないと踏んで、すぐ読めそうなものを意識的に手に取った。

すぐ読めるから中身が薄いというわけではない。
読ませる文章、表現、内容に仕上げるのも著者・編集者の力量。

そして、限られた時間で有益な情報や体験をさせてくれそうな本を見極めるのも読む側の力量。
ということで、今月の本たちからもありがたい情報やヒントをもらった。
  ↓
しょってますね。


2016年6月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:2716ページ
ナイス数:498ナイス



ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)
ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)感想
以前に読んで、とても面白かったので、何冊か買って学生や先生方に配っていた本。今回読み直して、やっぱり面白かったので、よそ様に書かせていただいている書評で取り上げた。→ 関西ウーマン 信子先生のおすすめの一冊 2016年6月分 
読了日:6月1日 著者:松波晴人





誰も戦争を教えられない (講談社+α文庫)誰も戦争を教えられない (講談社+α文庫)感想
私が購入した最近の古市氏の著書は2冊続けてカバーが著者の写真。もはやタレント本のよう。が、彼の目の付け所や論点には共感するので、こうした売り方によって、このようなテーマに関心を向けさせる人が増えるのならありだなと思う。本書はアジア欧米日本の戦争博物館をめぐった見聞記のスタイルを取りつつ、多数の文献を使って戦争をどう伝えるかについて考察している。私の関心がそこにあるからか、欧州の章はのびのびと記述されているように感じた。アジアの章は、日本との関わりがあるからか、ややトーンが違うような印象を受けた。
読了日:6月1日 著者:古市憲寿


女子大生のゲンパツ勉強会女子大生のゲンパツ勉強会感想
神戸女学院のゼミが出した本ということで手に取ってみました。肝心の学生さんたちの学んだ内容をまとめた部分はパラパラ見ただけなのですが(ごめんなさい)、第6章「じっくり学んだら見えてきたもの」はしっかり読みました。毎週、文献を読んで、映像資料を見て、5時間くらい議論を重ね、「原発銀座」福井にゼミで調査に行って、学園祭ではイベントを企画し、でも参加者が少なくて、リベンジも兼ねて本にまとめたという2年間のゼミ活動の様子、学生さんたちがしっかりと自分の見解をもてるようになっていった過程を頼もしく羨ましく読みました。
読了日:6月2日 著者:神戸女学院大学石川康宏ゼミナール



マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語感想
1992年ピュリッツァー賞特別賞。作者の父はポーランドのユダヤ人で、捕虜、隠れ家生活、収容所を生きのびた。妻も共に生還したが、1968年に自殺する。そのことが父と子の心の傷となり、現在の親子関係にも影響している。日本のマンガを読みなれた目には、コマ割の単調さ、線の荒さが気になるかもしれない。ユダヤ人をネズミに、ドイツ人をネコに描くといった隠喩がされており、人物の見分けもつきにくい。しかし、そうした表現はまさに個人を個人として識別しない状況をよく表している。
読了日:6月4日 著者:アート・スピーゲルマン



マウスII アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語マウスII アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語感想
作者の父母がアウシュビッツに送られるまでを描いたⅠ巻は世界的な反響を呼ぶが、作者はアウシュビッツを生きのびた父への敬意と後ろめたさ、父の経験を作品にしたことに対する良心の呵責を感じ、続きを描けなくなる。そうした悩みを精神科医に聞いてもらい、続編を描き上げる。実は、この精神科医も収容所からの生還者である。彼との対話の部分は父子関係、世代間でどう歴史を共有、継承するかを考えさせられ、たいへん興味深い。父の体験だけでなく「現在」の父の様子を挟むことで人間臭さを描き出し、重層的な作品になっている。
読了日:6月5日 著者:アート・スピーゲルマン



教養は「事典」で磨け ネットではできない「知の技法」 (光文社新書)教養は「事典」で磨け ネットではできない「知の技法」 (光文社新書)感想
面白かった! もっと事典をビジネスに活かせ!的なノウハウ本かと思ったが(そうした記述もあるが)、むしろ純粋に「読んで」楽しもうというスタンス。事典の書評集という感じ。一冊一見開きで、表紙と中身の一部の写真あり。新書版とのサイズ比較も載っている。案内文にはクスッと笑える表現がたくさん。『城のつくり方図典』の冒頭、「これから城を建立する予定のない人にもおすすめ」なんて電車でニヤニヤしてしまった。普段興味のない分野の事典も含め一気に読み切ってしまった。思わず何冊か買いたくさせる文章力、すごいなあ。
読了日:6月8日 著者:成毛眞



高台家の人々 4 (マーガレットコミックス)高台家の人々 4 (マーガレットコミックス)感想
もー面白いったら! 勢い落ちないなあ、4巻になっても。絶対電車で読めない。妄想場面に噴き出し、けなげさにじんとくるから。4巻のお気に入り場面は、茂子ちゃんの慌てるところ、魚担いだ漁師の木絵。森の管理人の女性の話は感動の涙。
読了日:6月11日 著者:森本梢子



高台家の人々 5 (マーガレットコミックス)高台家の人々 5 (マーガレットコミックス)感想
いやぁ〜可笑し! ようやく木絵ちゃんが表紙飾った5巻、妄想場面が楽しくて声出して笑いました。泣き笑い的な。ウィーン少年、さぎ、もんどりうってる平六、ありがたう お姉さま、裸の王様、そしてよしのり! 感動の結末!かと思いきや、続く模様。
読了日:6月11日 著者:森本梢子




哲学な日々 考えさせない時代に抗して哲学な日々 考えさせない時代に抗して感想
新聞連載のエッセイなどを収めた短文集。堅苦しくなく、柔らかくて優しい文章。著者は哲学は「実技科目」だという。自ら、簡単に答えの出ない問題に答える実演をする。それを見て学生も一緒に考えるのである。私は哲学者ではないが頷ける。論理的な文章を読み書きすることを学ぶ必要性、学生からの質問に次の授業の前半を使って答えるサイクルを取り入れたことにも共感。そういうスタイルは学生から歓迎される一方で、少数から「教えてもらってない」というような不満が出ることもあり、悩んでいたところ。おおいに励まされた。
読了日:6月13日 著者:野矢茂樹



ベルリン 分断された都市ベルリン 分断された都市感想
実話を基にした5本の漫画。あっというまに読める。決死の覚悟で国境を越えた女性や、夜の闇にまぎれて空中ケーブルを伝って逃避行した家族の体験談は映画のよう。漫画の出来としてはまあアレだが、歴史や実態をわかりやすく伝えてくれる資料である。当時を知ることのできる博物館などの案内もあり、ベルリン旅行の下調べにも使える。
読了日:6月16日 著者:ズザンネ・ブッデンベルク,トーマス・ヘンゼラー



ローカルメディアのつくりかた:人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通ローカルメディアのつくりかた:人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通感想
地域に密着した紙媒体のメディアを紹介する本。執筆編集発行に携わる人数や母体などは様々だが、それぞれ興味深い。特に印象に残ったのは「みやぎシルバーネット」。たった一人で20年にわたり発行している月刊紙である。現在の部数は3万6千部。人気コーナーはシルバー川柳で、そこから読者同士の交流も発生しているという。滋賀の誇る老舗菓子屋であるたねやの事例も興味深く読んだ。自社製品の宣伝のためではない、ていねいな誌面作り。たねやが文化事業に力を入れているのは知っていたが、この冊子は見たことがなかった。店頭で見てみよう。
読了日:6月18日 著者:影山裕樹


うちの母ってヘンですか? (Akita Essay Collection)うちの母ってヘンですか? (Akita Essay Collection)感想
うううーん、これはキツイ。子どもは自分の親や家庭が普通だと思って育つから、他の家庭からしたら異常な親の行動や過干渉が異常だと気がつかないで大人になってしまう。そうして心身に変調をきたしたり、自分の子との関係がうまく築けなかったりしてしまう。どこかでこれはおかしいのだと気付いて、距離をとるようしないと大変。この本で紹介されている例では、友人知人、恋人が異常性を指摘し、支えてくれることで乗り越えられた人が多い。いやしかし、他人事だと思わず、私もこういう母親たちのような振る舞いをしていないか気をつけねば。
読了日:6月20日 著者:田房永子



共産主婦―東側諸国のレトロ家庭用品と女性たちの一日 (共産趣味インターナショナル)共産主婦―東側諸国のレトロ家庭用品と女性たちの一日 (共産趣味インターナショナル)感想
かわいい! 旧東側諸国のお人形とレトロな日用品で、社会主義期の生活を再現している。1990年代、プラハのパネラーク(集合住宅)の老婦人宅に何度かホームステイさせてもらったので、ああこんな感じ!わかるわかると楽しんだ。日用品や生活習慣、商品をつくっていた企業の説明もていねいで、へえ~~の連続。ホストマザーは亡くなられたので、こういう雰囲気の生活はもうできないなぁ。今度行ったら、そのときを思い出すような食器か何かを連れて帰ろうかな。
読了日:6月29日 著者:イスクラ




読書メーター

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by chekosan | 2016-07-01 10:44 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)