中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

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関西大学法学部の専門科目「外国書研究」(3-4年生対象)では、
英文記事を読んで要約と関連事項の調べものをしてきて、
授業では和訳と調べてきたことの発表をしてもらっています。

ときどき取り入れるグループワークが毎回とても好評で、
それがしたくて今期も履修したというリピーターも。

そんな嬉しいことを言ってもらったらやらないわけにはいきません。

ざっくりしたお題に沿った調べもの課題を前日に提出してもらっておき、
内容で2グループに分けました。

お互いに調べてきたことを発表しあって一枚の壁新聞にまとめます。
流れを考え、どう発表するかをみんなで相談します。

新聞紙名と編集後記を考えるのも重要なポイントです。
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とっても静かに作業しているのでどうなのかな~~と思いましたが、
今期初めて受講した学生も、リピーターも
「楽しかった」「またしたいです」と喜んでくれていました。良かった。^^;

今期は私の都合で休講が重なったのですが、
リピーターから代替レポートよりも授業がいいというリクエストがあるので、
補講は図書館に開設されたラーニングコモンズでのグループワークを予定しています♪
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by chekosan | 2015-11-29 16:49 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)

ただいま、FDに関する実践報告論文を同僚の先生と執筆しています。

そういえば…と検索したところ、
大阪商業大学着任1年目のFD関係の活動記が公開されていました。

「学会・フォーラム参加報告 ~ライティング指導のコツ 学生との直接対話の大切さを学ぶ~」(『大阪商業大学FDニューズレター』2012年9月)


この年は、初年次演習科目や学習支援講座をゼロから作り上げていった年で、
ライティング指導に重点を置いて集中的に勉強していました。
良い機会をいただいたと思います。

が、この短文の冒頭にも書いていますが、
大学で初めて担当した講義がチームティーチングだったこと、
そのときの先生方ととても濃い協働ができたことが決定的でした。

あの年の、あの科目が大学の先生デビューだったのは幸運でした。
同志社の政治学科の「アカデミックライティング」(のちの「政治学入門」)です。

見学や勉強会も参加すれば得るところ大なのですが、
やはり普段から他の先生の授業を見せていただいたり、
一緒に授業をつくっていったりすることの効果は絶大です。

そういう活動を支援する体制や雰囲気を醸成したいものです。

今度の論文はそのような問題意識を提起するものになる予定です。


*FD=ファカルティ・ディベロップメントとは、
「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」
とこのニューズレターでは定義しています。
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by chekosan | 2015-11-26 10:55 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)


だいぶ前に日本国際政治学会のニュースレターに書いた短文が
インターネットでも公開されているのを発見したのでアップ。
JAIR Newsletter 127号(2011年4月)「研究の最前線」コーナーです。

この研究はのちに論文にまとめました。
同志社大学の機関リポジトリで全文公開されています。
消された人々 スロヴェニアにおける永住権抹消と無国籍問題

昨年、この問題に関して欧州人権裁判所で進展がありました。
そろそろまとめなくては。
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by chekosan | 2015-11-23 16:46 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)


大ヒットした『朗読者』の著者の短編集。

7つの短編の主人公の年齢や経験や置かれている状況はそれぞれ違うのだが、
作者自身を反映しているのか、中流家庭で良い教育を受けて、
職業的にも活躍している/いきそうな現代の男性というところは共通している。

そんな彼らも、ナチス、アウシュビッツ、秘密警察といった
ドイツが抱える過去の問題に無関係ではいられない。

そうしたドイツの過去と、彼らの恋人や妻、子ども、友人との関係を絡み合わせ、
リアルに真摯に人の内面を描き出すのは、この著者の得意とするところである。

なかには、なんて身勝手な、、、と思う男性も登場するのだが、
彼らも悩んで迷って自問自答する。
その姿にはなんとなく情けないところもあって憎めない。

『朗読者』ほど重くなく、人生と社会と歴史とを考えさせる作品。

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by chekosan | 2015-11-19 16:26 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)
関西ウーマン「信子先生のおすすめの一冊」、
今月は『テルマエロマエ』のヤマザキマリさんの著作。

ああこうしてテルマエロマエは生み出されたんだなあと納得。
誰も思いつかないアイディアは、たくさんの読書や議論、経験から生まれるんですね。

画像は関西ウーマンよりお借りしました。
本文はこちらからご覧いただけます。

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by chekosan | 2015-11-14 23:19 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
J・オーウェルの『動物農場』は、寓話の形をとって、
ロシア革命からスターリン時代のソ連を批判した小説ですが、
それにとどまらず時代や国を超えて政治や社会を考えることのできる名作です。

予備知識なく読んでも面白いのですが、
オーウェルが作品に込めた批判や隠喩がわかるともっと面白くなります。
この本はそれを手助けしてくれます。

さらに、オーウェルは(時代的に)そう意図したわけではないけれど、
こんな事件、こんな歴史も想起できる、とか、
政治学ではこうした事象をこのように一般化している、というように、
古代から現代に至るまでのさまざまな政治的、歴史的現象を引き出して
わかりやすく解説しています。

ですます体で書かれていて、ユーモアがあって、
しかも批判すべき政策や風潮は明確に批判されています。
「政治学」とは付いていますが、気負うことなく読むことができます。

一つのテキスト(原典)をただ読むだけでなく、
そこに込められたものを読み解き、
そこから連想できる事象を発展的に考察するとはこういうことですよ、
とお手本にしたい本です。



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by chekosan | 2015-11-10 19:06 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)

先生も直されてます

授業の課題で文章作成の指導をするとき、私は必ず添削をします。

書く前にテーマ設定や資料収集(ネタ探し)、構成の組み立てについて指示し、
間違えやすい表記や言葉も注意し、過去の受講生や教員の文章を見本として解説し、
それから執筆という手順で進めますが、一発OKで名文を書ける人はそういません。

そもそもお題と内容が合っていなかったり、
字数が足りなかったりオーバーしていたり、日本語がおかしかったり。

第1稿は真っ赤になります。
でもみんなそうだからいちいち傷つかないようにと予告してから返却します。
箸にも棒にも掛からない文は触りようがなくて赤くもならなかったりしますから。

文章指導を受けて来た学生ほど、真っ赤でもショックを受けないようです。
人の文章を触るのは大変な作業だとわかっているからです。

添削は、愛情か使命感がなければできない作業です。
師弟愛とか同志愛とか友情とか。義務だけだったら、キッツイですよ。


先生だって、ここぞというときには人に見てもらいます。

写真の文章は1200字程度のものですが、第2稿(下の2枚)でもこんなに真っ赤。
最後の段落なんて丸ごと抹消されてます。

だから、学生さんは少々赤かろうがへこたれないでいいんですよ。

でも直せと言われたところは、一度は素直に受け入れてみてね。^^;
そこからまた自分らしさやこだわりを追求してください。
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by chekosan | 2015-11-08 15:05 | 大学教育 | Trackback | Comments(0)
「ロシア・東欧地域研究」第6回は、受講生の小レポートにヒントを得て、
J・オーウェルの『動物農場』『1984年』を題材にお話しました。

『動物農場』は1944年、『1984年』は1949年に書かれました。
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     バックのカラフルな本は中・東欧のプロパガンダポスターの写真集

前者は農場主の支配に耐えられなくなった家畜たちが決起して人間を追い出し、
自分たちの農場を自分たちで経営していくが…という「おとぎ話」仕立て。
後者は完全なる監視社会、思想統制が敷かれた近未来という設定です。

どちらもスターリン主義的な政治体制を批判する小説です。
(ただし小説の舞台はイギリスです。)

少数の独裁者たちによる支配と独占、書き換えられる過去や決まり、
監視による思想や行動の統制、画一化、表現の弾圧、搾取される民。

比較するための情報、言葉、思考がない民は、
自分たちが置かれている状況を不幸ともおかしいとも思わない。
施政者はそれをわかっていて考えさせないように誘導する。

実際に、東欧の反体制運動家たちは、
『1984年』で描かれた監視社会そのものを経験したと証言しています。
24時間秘密警察に監視され、身近な人に密告され、
何度も何度も逮捕、投獄、拷問を経験しているのです。
収容所に送られたり、死刑に処されたり、いなかったことにされたり。

『動物農場』も『1984年』もマンガチックに「はい、解決」とはいきません。
しかし、私たちはその後ソ連のたどった歴史を既に知っているし、
『1984年』も陰鬱な話ですが、最後までよく読めば、
まったく絶望ばかりというわけではないことがうっすらわかります。
お話としては。


が、恐ろしいのは、両作品とも、現実のさまざまな時代や地域、
体制になぞらえて読むことができることです。

『動物農場』文庫版解説で、開高健氏はナチスドイツになぞらえていますし、
アニメ『動物農場』(英制作 1954年公開)を日本で公開したジブリのHPでは
宮崎駿氏や堤未果氏が現代の資本主義社会にあてはめて論じています。

*同じHPで川端康雄氏は、アニメ版『動物農場』の制作にあたっては、
マッカーシズム(赤狩り=反共)のプレッシャーが
相当影響を及ぼしたことを論じています。

ほかにも思い浮かぶ国、体制はいくつも出てきます。

これが当時のソ連だけに特有の現象ではないということに気付き、
こんな社会嫌だ、怖い、という素朴な感覚を大切にし、
自分はこのなかで一体どの動物/人物だろう、
こんな状況になったらどうしたらいいだろうと考えたいものです。



それにしても『1984年』、怖い。
だって、あそこで描かれている近未来の監視装置(テレスクリーン)、
技術的には現実になっているし。

言語や表現をどんどん単純、短縮、減らすことで
思考や思想を狭める「ニュースピーク」も現実になってきているんじゃない…?
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by chekosan | 2015-11-05 17:11 | ロシア・東欧に関する授業@同志社 | Trackback | Comments(0)
10月はいろいろキツくって、新たに通読した本こそ少ないけど、
東欧関係の映画(DVD)も数本見たし、
アイデンティティが甦った感のある月になったので良しとします。

11月こそもうちょっと余裕ができるかな?
さらに幅広く読んだり観たりを楽しみたいです。



2015年10月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1252ページ
ナイス数:174ナイス

走れ、走って逃げろ (岩波少年文庫)走れ、走って逃げろ (岩波少年文庫)感想
ナチスドイツ占領下のポーランドで、ユダヤ人であることを隠して一人で生き抜いた少年の実話をもとにしたお話です。作家もやはりユダヤ人で、隠れ家生活やゲットー、強制収容所を経験しています。しかし、過酷な経験ではあるのですが、淡々と語られています。主人公の少年はいまもイスラエルでご健在です。映画「ふたつの名前を持つ少年」を先に観ましたが、情景や緊迫感、少年の強さと愛らしさがよく描かれているのでおすすめします。映画の感想はブログに。http://chekosan.exblog.jp/24898337/
読了日:10月7日 著者:ウーリー・オルレブ


「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)感想
アメリカ、旧東独、日本の「縮小都市」の実態や取り組みをいくつも紹介している。縮小都市とは、産業の衰退や少子高齢化、家族の形態の変化などによって、人口が減っていく都市のこと。人口減、人口流出が進むと、空き家の増加、商業の衰退が顕著となり、ますます都市の機能が低下していく。著者は人口減は避けえないこととして、賢い縮小のあり方を探るというスタンスをとる。同じ著者の岩波新書は理論の整理がていねいで、事例は絞って一都市の興亡と復活の模索の様子を詳しく紹介している。
読了日:10月22日 著者:矢作弘



朗読者 (新潮文庫)朗読者 (新潮文庫)感想
「ロシア・東欧地域研究」という授業で第二次世界大戦頃を理解するのにおすすめな映画や文学の話をしたところ、受講生が感想カードに、映画「愛を読む人」(本書が原作)を観たと書いてくれました。そのコメントでハタと思いだして本屋さんに走りました。数年前から気になっていた一冊、ようやく読みました。過去との対峙、過去の克服、過去の清算について考えさせられます。恋愛小説としても逸品だと思います。ブログに詳細な感想をアップ。 http://chekosan.exblog.jp/25034731/
読了日:10月27日 著者:ベルンハルトシュリンク



戦場のピアニスト (新潮文庫)戦場のピアニスト (新潮文庫)感想
映画のシナリオと監督のコメント、脚本家へのインタビュー、歴史年表、翻訳者の解説などから構成される。映画の原作であるシュピルマン氏の回想録とは別。映画の名場面がカラーで多数載っているのも良し。映画では見落としていたことを次々発見。映画本編には説明らしい説明はほとんどないので、理解を助ける資料として使える。
読了日:10月29日 著者:ロナルドハーウッド



「昔はよかった」病 (新潮新書)「昔はよかった」病 (新潮新書)感想
「今の若者は」「最近の日本は」「昔はこうではなかった」という言説を資料(史料)から面白おかしく論破する本。本書で検証されている中身については別で書くとしよう。それにしてもホントに多いです、こういう発言。それも年配の人だけでなく、まだ18,9の大学1年生までが、今の若者はこうだからもっと云々とか言う。それも否定的に。いやいや昔の若者はどうだったか、今の若者は実際のところどうなのか調べた? イメージだけで社会全般語ろうとしてない?と突っ込む日々。で、すきあらばマッツァリーノ氏の本を押し付けてます。
読了日:10月29日 著者:パオロ・マッツァリーノ



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by chekosan | 2015-11-01 17:30 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)