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by chekosan

カテゴリ:東欧全体( 4 )

旧東欧諸国の共産主義時代へのノスタルジーについて連続でご紹介しています。
第4回はかつての東ドイツに広がる旧東独時代へのノスタルジーです。
ドイツ語の「東(Ost)」とノスタルジー(Nostalgie)をかけて「オスタルジー」と呼ばれます。

日本でも取り上げられることが多いので、ここでは関連のサイトをいくつかご紹介します。

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まず、オスタルジーの背景、広がり、人々の受け止め方については次の2つの記事を読んでいただければわかりやすいでしょう。

船橋洋一の世界ブリーフィングNo.665  [ 週刊朝日2003年10月24日号 ]
旧東独ノスタルジー、オスタルジーに見るドイツの厄介な過去

毎日新聞社広告局ホームページ 海外支局発 各国メディア事情
波紋よぶ旧東独回顧番組 ベルリン支局/斎藤 義彦


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オスタルジーを象徴するものとして取り上げられることの多い映画『グッバイ、レーニン』公式HPはこちら
「東ドイツのトリビア」というコーナーもあります。

※なおDVDには本編以外にも、レーニン像のシーンの撮影秘話などが収録されています。

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テレビ番組や『グッバイ、レーニン』の人気をかついで、ベルリン郊外に共産主義時代の東ドイツを再現するテーマ・パーク建設計画も浮上しました。

関連記事
'Mini East Germany' planned BBC News, 28 February, 2003
Touring East Germany Without the Oppression Deutche Welle, 15.07.2003.

このテーマパーク建設を計画したのは、ベルリンの企業家 Peter Massine 氏。
東ベルリンの工業地区に135万ドルをかけて、1万㎡のアミューズメントパークを建てるというものです。当時の警備兵の制服を着た係員がIDカードを点検し、西独マルクを東独マルクに強制交換したり、あるいは典型的な東独の住居を再現した部屋を造るなどの構想があったそうです。ドイツ人はもちろん、アメリカ人や日本人の観光客を当て込んでいるとのこと。

※2004年夏にオープン予定とありましたが、どうなったのでしょうか。
寡聞にして知らないのですが、ご存じの方、ぜひコメントください。

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かつての国民車トラバントに乗って、東西ドイツが分断されいた名残の場所を回る「トラバント・ツアー」も人気だそうです。
先日(2005年6月20日)、朝のNHKニュースでも紹介していました。
慌てて録画したので定かではありませんが、NHKが取材したのは、おそらくこちらの会社ではないかと思います。 → Trabi Safari (画面にSまでが映っていました)

ほかにもトラバントでベルリンをめぐるツアーはあるようで、こちらの会社のHPにはメディアの取材風景を紹介しています。「日本のTV」も取材したようです。(NHK取材はこちらの可能性もあり?)

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旧東独の製品やかつての東西分断を偲ぶツアーが人気を博す一方で、共産党支配体制を賛美するような風潮につながることを危ぶむ声もあります。
ベルリンのクラウス・ヴォーヴェライト Klaus Wowereit 市長はオスタルジーの高まりに、「旧体制を賛美することには慎重にならなくてはいけない」と警告を発しています。彼によれば「旧東ドイツ側の若者は旧体制のイデオロギーを時代遅れだと捉えているので、そう心配することはない。しかし年配の人々は40年続いた共産党支配に対して、もっとデリケートな見方をしている。」というのです。

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東欧諸国の共産主義時代へのノスタルジーについて連続でご紹介しました。
今回でこの企画は終わりますが、このテーマは引き続きフォローしたいと思います。

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本日の記事の関連サイト
Berlin Bau さん …ドイツ、とりわけベルリンのデザインに関するお話が満載。
「五感でドイツ」→「工事中!」のコーナーに旧東独デザインについてのお話があります。画像もたくさんあります。ここではタイトルだけご紹介します。

 ☆旧東独の子どもはどんな玩具で遊んでた?
 ☆旧東独が流行?DDRのくだもの卵袋が今高騰?・・・DDRdesign.2
 ☆旧東独が流行?DDR記念切手セット新発売!・・・DDRdesign.1
 ☆人気の旧東デザイン?信号の人・・・Ampelmaenchen
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by chekosan | 2005-08-30 16:26 | 東欧全体 | Trackback | Comments(7)
Washington Times  2004年8月11日の記事 East Europe's communist nostalgia (by Gareth Harding)  をベースに、
東欧諸国の共産主義時代へのノスタルジーについて連続でご紹介しています。

3回目はリトアニア南部の Druskininkai にあるGruto parkas について。
(英語表記では Grutas Park  グルータス・パークと読むのでしょうか)

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1989年から91年にかけて、リトアニアではソ連時代の代表的な指導者たちの像が次々に撤去され、倉庫や裏庭などにうち捨てられていました。そのため多くの像が破損しました。

Viliumas Malinauskas 氏はマッシュルームとベリー栽培をしていた私有地に像を集め、公開する施設を自費で建設しました。
Gruto parkas の公式HPでは、リトアニア南部の地域発展のための新しい観光資源という側面も強調しています。
1999年から準備に入り、2001年4月にオープンしました。

園内には、レーニン、スターリン、マルクス、エンゲルスといった人物の像75体が並びます。
監視塔からは監視兵が目を光らせ、鉄条網が張り巡らされています。
レストランのウェイトレスはピオニールの格好をし、
「ノスタルジー」という名のボルシチ(キャベツのスープ)や
「グッバイ青春」という名のポークチョップを運びます。
売店ではマルクスとレーニンの顔を入れたウォッカグラスが売られています。

設立者の Malinauskas氏は、この人気の観光地を
「テーマパークではなく、共産主義の犠牲者のためのまじめな記念館だ」と言います。

しかし誰もがこの施設に良い感情をもつわけではありません。
「スターリンワールド」と揶揄する声もあります。

リトアニア女性連盟代表のOna Voveriene 氏は、共産主義体制下で殺されたり、拷問を受けたり、シベリアの収容所に送られた罪もない人々をあざけるものであると批判しています。

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by chekosan | 2005-08-26 16:57 | 東欧全体 | Trackback | Comments(0)
セルビアの北部の小さな町にユーゴスラヴィアが再現されました。
「ユーゴランド」。
創設者はセルビア北部出身のビジネスマン、Blasko Gabric 氏です。

BBCの2004年5月10日の記事Nostalgic Yugoslav re-creates land of Titoを再構成。

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門には「ユーゴランドへようこそ」。
旧ユーゴスラヴィアの旗が揺れます。
1980年に亡くなったチトー元大統領のポスター、Tシャツ、バッジがそこここに溢れます。

民謡や共産主義時代の歌、ユーゴスラヴィアの賛歌といった古い音楽が
バンド演奏、LPレコードから流れてきます。

ある日の特別ゲストは、チトー元大統領の孫で、同じ名前を持つJosip Broz氏。
氏はユーゴランドを賞賛します。

「ユーゴスラヴィア」という国は、2003年にユーゴスラヴィア連邦共和国がセルビア・モンテネグロと改称したことで消滅しました。
かつてユーゴスラヴィアを構成したほかの共和国はそれぞれ独立した国となっています。

多くの人にとって、ユーゴスラヴィアはすでに歴史のなかの話です。

しかし、生計を立てるため大変な苦労を強いられている人々もたくさんいるのも事実です。

チトー大統領時代には無料で医療や教育が受けられました。
仕事も保障されていました。
平和に暮らせていたのです。

ユーゴランドを訪れる人々は、かつてのユーゴスラヴィアに強い郷愁を抱いています。
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「ユーゴランド」、行かれた方、ぜひコメント・感想をお寄せください。
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by chekosan | 2005-07-29 16:36 | 東欧全体 | Trackback | Comments(0)
1989年にいわゆる東欧諸国で次々に共産党一党独裁体制が崩壊して15年あまり。
この間、旧東欧諸国はぞくぞくとNATOやEUへの加盟を果たすなど、急激に変化しました。
一方で共産主義時代を懐かしむ声も高まっています。
そして観光資源としての共産主義時代への注目も高まっています。

数回に分けて、Washington Times  2004年8月11日の記事 East Europe's communist nostalgia (by Gareth Harding)  をベースに、
東欧のノスタルジーについてご紹介します。

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チェコ共和国の首都プラハの中心街、ナ・プシーコピェという目抜き通りに2001年、
「共産主義博物館(Muzeum komunismu, Museum of Communism)」 
がオープンしました。
マクドナルドの真上、カジノのお隣。
資本主義を象徴する最たるもののご近所という、これ以上ない皮肉な立地です。

このミュージアムは3つの展示室からなり、
当時のポスターや社会主義レアリズムの絵画、
レーニン・マルクスの彫像や軍服など様々なものが展示してあったり、
商店や学校を再現したコーナーがあったり、
当時のフィルムを映写する部屋が設けられています。
館内の様子はVisual Tourのページから見ることができます。

ミュージアムのサイトの中にはE-cardsのページがあります。
これは共産主義時代の典型的なポスターの絵柄に、
皮肉たっぷりな英語の文句をのせたもので、
メッセージをつけてカードのようにメールで送れるというものです。

この博物館を開いたのはアメリカ人ビジネスマン。
オープン時、ラジオ・プラハが設立者にインタビューしていますが、
それによると学生やチェコの年金生活者には割引があり、
「元政治囚や旧体制で苦難を強いられた人は入場無料」だそうです。

とはいえ、開設当初の入場料は130コルナ。映画の料金に相当する額です。
決して安くない値段です。

現在の入場料は、博物館のHPではわかりませんでしたが、
プラハの観光案内サイトによると180コルナのようです。

筆者(橋本)はこの博物館に行ったことがないので内容について評価はできませんが、
どうやら外国人観光客を対象にした「観光名所」の性格が強いと思われます。
  
  
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by chekosan | 2005-07-20 16:30 | 東欧全体 | Trackback | Comments(2)