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by chekosan

近藤康子『コルチャック先生』(岩波ジュニア新書 1995年)


ワイダ監督の映画「コルチャック先生」鑑賞に続き、岩波ジュニア新書の『コルチャック先生』です。
こちらは、コルチャック先生の本を何冊も訳されている方による紹介本です。

コルチャック先生の生涯と、ポーランド史、ポーランドにおけるユダヤ人について、
ジュニア向けに、とてもわかりやすく書かれています。

映画では詳しい説明がなくてわかりづらかった場面がどういう意味を持っていたのか、
何を出典として差しはさまれたのかが、この本を読んで、よくわかりました。



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コルチャック先生は、亡命するチャンスがあったのに、自分だけが助かることを拒み、
孤児院の子どもたちと共にトレブリンカ絶滅収容所に移送されて亡くなります。

その崇高な行動で語り継がれている人というようなイメージだったのですが、
もともとポーランドでは知らない人がいないくらい尊敬されていた文化人でした。

その作家としての業績や教育者としての思想や活動が、本書でよく理解できました。
特に、第3章「子どもの自治」第4章「コルチャックの人権思想」がとても興味深く、
もっと詳しく知りたいと思いました。


また、映画は、コルチャック先生や子どもたちが収容所へ運ばれるところで終わるのですが、
本書では、彼らが運ばれた収容所の見取り図や、生存者の証言、
亡くなった人たちを追悼する石碑の写真や、亡くなった人たちの灰や骨の山の写真もあります。

トレブリンカ収容所は、ナチスが徹底的に解体して隠滅をはかりました。
そのため記録もなく、さらには、そこに運ばれた人のほとんどはすぐに殺されたので、
コルチャック先生たちが果たして生きて収容所まで行きついたのか、
いつ、どのように亡くなったのかを知る人はまったくいないそうです。
そうした残酷な部分もきちんと書いてあります。

コルチャック先生を知る数少ない生存者の証言も紹介されています。
オリジナルの貴重な体験談です。



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by chekosan | 2017-03-13 22:14 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)