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by chekosan
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矢作弘『縮小都市の挑戦』(岩波新書 2014)

産業の衰退、人口減少によって「縮小」する都市(shrinking city)の実態と、
そこからの再生を扱った本。

縮小都市研究は、新たな企業を誘致して再生を図ったり、
人口増加を狙ってハコモノを造り人を呼び込むという発想を転換し、
縮小は縮小と受け止め、
その都市が持つ歴史や文化、自然との交わり、風土に立ち返り、
都市のブランディングをすることを重視する。

第1章、第2章では、
自動車産業と栄枯盛衰を共にし、新たな都市像を創りつつある
アメリカのデトロイトとイタリアのトリノの取り組みを主として紹介している。

両都市が再生していく経緯や方法には相違も見られるのだが、いずれも
大学や文化施設、医療関係の施設が大きな役割を果たしているのが興味深い。

第3章では日本を取り上げている。
ここでは郊外のショッピングセンター進出による、
中心部の商店街の衰退を検証した部分で、
「ストア」と「ショップ」の違い、
「ショップ」を集積することの効果を述べた箇所が面白い。

ストアは商品を仕入れて並べて売る小売業、
ショップは、手仕事による加工が施された品を売る商売という違いがある。

職人仕事を活かした「工房」的なショップを集めることに
商店街の復活の活路を見出すという提案である。

非常に多くの示唆と情報を提供してくれる一冊である。

縮小都市が多いのは中・東欧ということだが、
これは別の著作に詳しいようなので、さらに読んでみたい。

矢作弘『縮小都市の挑戦』(岩波新書 2014)_b0066960_2251670.jpg

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by chekosan | 2015-07-24 22:40 | 読書記録 | Trackback | Comments(0)