中・東欧、ロシアのこと&大学教育のことを発信します


by chekosan

映画「12人の怒れる男」(2007年 ニキータ・ミハルコフ監督)

もう何年も前に購入していながら封も開けていなかったDVDを観ました。
2時間40分の長い映画ですが、一気に観てしまいました。
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「十二人の怒れる男」は、高校の演劇鑑賞で生の舞台を観ています。
実に面白くて、その後、シドニー・ルメット監督の映画でも観ました。

この作品は舞台を現代ロシアに置きかえ、
ロシア語がろくに話せないチェチェン人少年が、
ロシア人養父を殺して金を奪った嫌疑をかけられたという設定になっています。

少年は有罪か無罪か、12人の陪審員が審議するという話です。
有罪であれば終身刑が確定します。

大筋は元祖「十二人の怒れる男」とだいたい同じです。
陪審員たちが証言や証拠をもう一度確認して、ほころびを見つけていきます。

このロシア版の大きな特徴は、
少年と陪審員たちが背負ってきた人生の描き方にあると思います。

なぜチェチェン人の少年がロシア人に引き取られてモスクワで生活しているのか。
彼が犯行に使ったとされるナイフの意味は。

中年から初老の男性ばかりの陪審員たちに関しては、
名前も明確な人物紹介もありませんが、
話し合いを進めるなかで、
それぞれの出身地や職業や半生が明らかになっていきます。

そこに、現代ロシア版ならではの
複雑な社会情勢と人間群像が描き出されています。

DVDには特典としてミハルコフ監督のインタビューが入っていますが、
これも面白いです。

舞台劇の緊張感が出るように念入りに稽古や打ち合わせをして、
撮影は脚本通り前から順に行なわれたそうです。

そうした監督のこだわりが功を奏したのでしょう。
場面はほとんど審議の会場である学校の体育館だけ、
ときどきチェチェンでの映像が差し挟まれるだけで、
陪審員たちの語りだけで構成されていると言ってもいい映画なのですが、
俳優たちの演技がとてもいいので、160分、飽きることはありません。

なお、ミハルコフ監督自身も本作品の要となる役で登場しています。

ラスト近くに黒澤明監督作品へのオマージュであるワンシーンがあります。
この作品で描かれる現代ロシア的なものを象徴していると思います。


ロシア語に浸りたかったので、音声はそのまま、字幕を日本語にしました。

役の出身地や職業でしゃべり方が変えてあって、
聴き取れる単語やフレーズの割合がかなり違ったのが面白かったです。
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by chekosan | 2015-01-24 17:18 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)