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by chekosan
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映画「幸せのありか」(ポーランド 2013年)

ポーランド映画「幸せのありか」を観てきました。

脳性マヒの障害をもつ主人公マテウシュは
思うように体を動かすことができません。

彼は幼い頃、医師に「植物と同じだ」と診断されますが、
知能には問題はなく、豊かな感情も持っています。
しかし、それを伝えるすべがないのです。

単に生命を維持しているだけではない、
意思や感情をもち、思考することができることを伝えたい、
そのマテウシュの心の叫びが、
CHCE SIĘ ŻYĆ 「僕は生きたい」という原題に表されています。

でも、重苦しい映画ではありません。
むしろ明るくユーモアを交えて障害者の生と性を描いています。

悲劇的な状況になっても、マテウシュは
早くに亡くなった、優しくて頼もしかったお父さんの口癖、
「大丈夫」で乗り切ります。

えっ、この状況で!?という場面も、
「大丈夫」で、コミカルにサラッと進んでいきます。

ラストも決して万々歳のハッピーエンドではありません。
考えるべきことはたくさん残ります。
それでも温かさや希望が勝る映画になっています。

誰が見ても得るもののある、心打たれる作品だと思いますが、
医療関係者、介護や福祉などに携わる人には特におすすめです。
 

ところで、
この映画は実話に基づいているのですが、
モデルとなった青年と主演男優がエンディングでツーショットで映ります。

そのときに、わかってはいたけど今までのは本当に演技だったのだ、
とあらためて衝撃を受けます。

それくらい、マテウシュ役の男優の演技力、役作りはすごい。
マテウシュの少年時代を演じた子役もです。すばらしい。
俳優はやはり演技。見た目だけではダメなのです。

映画評の紹介を1月6日に載せています
映画「幸せのありか」(ポーランド 2013年)_b0066960_23582174.jpg


以下は個人的趣味に走りますが…

主人公家族が住むアパートのインテリアや外観、
お母さんの作る洋服のデザインや薄いプリント生地、
お父さんのいかにも当時の労働者的なつなぎやヒゲなどなど、
89年以前の場面が、ああ東欧という感じでたまらない。

映画のテーマは違うのですが、
「スイート・スイート・ビレッジ」(チェコスロバキア 1985年)や
「グッバイ、レーニン!」(独 2003年)を連想しました。

ポーランド語の発声や響きも心地よかったです。
チェコ語やポーランド語って、
私にはちょっとほわん、と甘く聞こえるのです。

特に人を呼ぶときの感じがなんとなくかわいらしいというか。
もっと聞いていたいと思いました。

やっぱりスラブ系の言語や文化や風景、風物、好きだなあ…
と再認識しました。*^ー^*
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by chekosan | 2015-01-20 00:07 | 本、書評、映画 | Trackback | Comments(0)