【ここにチェコあり】堀田善衛と「プラハの春」と池上さんと朝日新聞
2014年 12月 28日
そこにいた記者のほとんど全部がウオツカなどで酔っ払っていた。酔い泣きに泣いている者までいた。さほど酔っていない記者が説明してくれたという。「プラハの特派員がこの侵入と弾圧はよくない、と打電してきているのに、その正反対を書かねばならないからだ」
▼「酔ってでもなければ、そんなことは書けない」。1968年、チェコスロバキアの民主化の動き「プラハの春」をソ連が戦車で蹂躙(じゅうりん)したあと、モスクワでソ連共産党機関紙プラウダの編集局を深夜ひそかに訪ねたときの光景を、作家の堀田善衛が書き残している。党機関紙であっても記者の心根に変わりはないと知った。
このあとはジャーナリスト池上彰さんの朝日新聞掲載コラムをめぐる話へと続きます。
(※上記リンク先に全文が公開されています)
冒頭の段落の出典を確認しました。
『天上大風 全同時代評1986年-1998年』 所収「時空の端ッコ」の「回想(1)」です。
『天上大風』は筑摩書房の雑誌『ちくま』に連載した同時代評をまとめた本です。
件の箇所は、筑摩書房1998年刊の単行本では263頁です。
ちくま学芸文庫版も発行されています(2009年)。こちらは現物確認できていません。
堀田は1968年のワルシャワ条約機構軍によるチェコスロヴァキア侵攻について、
『小国の運命・大国の運命』(筑摩書房 1969年)で詳細に記しています。
こちらは『堀田善衛全集 9』(筑摩書房 1994年)に収められています。