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中・東欧、ロシア、大学教育、美術展、映画鑑賞などなど


by chekosan
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3月2-3日、自主映画上映会を開催しました。伊東英朗監督の「放射線を浴びたX年後」シリーズ3本です。note版では広告なしで読んでいただけます。

ビキニ環礁の核実験による被害を追った1、2本目、アメリカでの核実験の被害を取り上げた3本目「サイレント・フォールアウト」を2日に分けて鑑賞しました。

映画「放射線を浴びたX年後」シリーズ上映会を開催しました_b0066960_22134405.jpg


ビキニ環礁の核実験については、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が被曝して、お一人が亡くなられたこと、それをきっかけに原水爆禁止運動が盛んになったという、歴史の教科書に載っているくらい事実は知っていました。

が、事件後、第五福竜丸が別の用途に使われたあと放置されて崩壊寸前だったのを、市民が声を上げて保存し、公開されていることを知ったのは、ほんの数年前だったか、、、

なぜ東京にあるのかも不思議で、行ってみようと息子と見学したのが、2022年の春。


現物の放つパワーと展示内容に圧倒され、何冊か書籍を買って帰りました。その一冊が、『放射線を浴びたX年後』の漫画でした。

核実験で被曝したのは、第五福竜丸だけではなく、のべ900隻以上であること、乗組員の多くが早くに亡くなられていること、癌を発症された人の比率が異常に高いこと、でも何の補償も受けていないことなどを知り、激しくショックを受けました。すぐさま伊東英朗監督の原作も読みました。

少し前には、関西ウーマンのブックレビューでも紹介させていただきました。↓

原作も、漫画も、たいへん読み応えがあるのですが、伊東監督は愛媛のテレビ局のディレクターをされているときにこの問題を取り上げ、ずっと映像で訴えてこられた方。ぜひ映像も観たいと思っていました。

でもどうやらディスクでは販売されていなさそう…? 自主上映会はあるようだけど、関西ではあまり開かれていない感じ…?

なんとか観れないかなあと、さらに調べていたところ、最新作も含めて、無償で自主上映会ができるということがわかりました。(※郵送費等の実費負担、寄付制、DVD・ブルーレイ・オンラインから選択)

なら、数年前から関わらせてもらっている滋賀大学教育学部の「平和教育」の授業で、先生の卵たちに観てもらうのはどうだろう!

でもまずは自分が観てみないと。それならせっかくだし、「平和教育」を担当されている他の先生方や、私がそうだったように観たいけど機会がないという方にも一緒に観てもらったらいいんじゃない?

ということで、ミニ上映会&授業の検討会を開催することにしたのです。

「平和教育」の責任者B先生と相談して、会場は、JR大津駅前すぐの滋賀大学のサテライトキャンパスに。ここならみんな来やすいし、機器も揃っている!

授業検討会の目的もあったので、あまり大々的には宣伝しなかったのですが、1日目には、「平和教育」の関係者の先生方がうまく揃って来てくださって、2本を鑑賞後、いろいろとお話することができました。

映画「放射線を浴びたX年後」シリーズ上映会を開催しました_b0066960_22132138.jpg


2日目には、事務局からのお知らせや、私のSNSでのサラッとした告知に気づいてくださった方たちが、ずいぶん遠方から来てくださいました。<〇>

映画「放射線を浴びたX年後」シリーズ上映会を開催しました_b0066960_22130250.jpg


おかげで、両日とも、大変濃密で、充実した上映会になりました。お越しくださった皆様、ありがとうございました!

今回の上映会、誰も来てくれなかったら寂しいなあと言っていたら、上息子(大3)が2日とも来てくれました。上息子は、書籍や漫画を読んでいなかったので、ものすごく衝撃を受けて、自分の大学でも上映できないかなと言っています。ぜひ実現してほしいものです。

下息子(高2)は、期末試験期間中のため上映会には来れなかったのですが、翌日に試験が終わったので自宅で鑑賞会をしました。下息子の方は、原作も漫画も私と一緒に読んでいたので、新作のアメリカでの核実験の被害を取り上げた3本目に特に感銘を受けていました。


上映会に来てくださった皆様からお預かりしたご寄付と、我が家からの寄付を振り込み、ディスク等を返送して、今回の企画は無事終了!

次は、授業本番に向けて、B先生と授業の組立てなどの詳細を検討していきます。授業は4月下旬~5月初旬に、シリーズ1本目を鑑賞し、補足説明をしたり、こうした問題に詳しい先生のお一人と対談等をすることになると思います。

私としては、日本の被害ももちろんですが、核実験といえばソ連もやっていますので、そちらの被害や救済、補償についても勉強して臨みたいと思います。

映画の内容については、また別途まとめようと思いますが、上映会2日目に参加してくださった方がたいへん詳しくブログにまとめてくださったので、まずはそちらをご案内しておきます。(私が書くよりずっと丁寧)


伊東監督は、第3作をアメリカ各地で上映すべく、クラウドファンディングをされています。




# by chekosan | 2024-03-18 00:05 | 負の遺産/記憶と継承 | Trackback | Comments(0)
早や3月も半ばですが、ようやく2月のまとめです。note版では広告なしで読んでいただけます。

2月初旬、まずは作曲専攻で学んでいる上息子の新作発表会からスタート。夏休み頃からレクイエムの歴史を本と音源から勉強して自作の曲を作りました。合唱付きで、この日一番大きな編成。なかなか良い出来だったのではと思うのは親バカゆえか? でもコロナの制限がなくなったからか、大学として動画公開をしてくれなくなったのは残念。

その頃から、息子たちが風邪を引きはじめ、採点の祭典でヒーヒーな私や夫氏にもうつっていきました。

これまでなら、秋学期は少人数クラスばかりだったので成績をつけるのもあっという間だったのですが、今学期は200人ほどの大人数の講義科目を新たに開講したため、数日がかり。

出してもらった課題は、採点基準を定めて、すべて一つ一つ見ていきました。さらに、システムの問題で別ルートで出された課題を見落としていないかなどのチェックもして。最後の入力は、いまどきエクセルファイルからのインポートで一気にできるのですが、登録を取りやめたなどでズレが無いかなどなど、非常に神経を使います。クタクタになりました。(^_^;)

その200人講義の成績〆切日あたりから、風邪っぽい症状が出始めて、あんのじょう翌日に微熱。わかりやすく燃え尽きました。熱も上がらない、ゆるい風邪だったので、お布団で寝て、寝れなくなったら本を読んで、という感じで過ごしました。

初旬の連休は回復に努め、連休最終日に親子美術展巡り。大山崎山荘で藤田嗣治展を観て、

大阪中之島美術館でモネ展。どちらも面白かったです。


モネ展での収穫。

そして中旬からは、同僚の先生と、教育実践系の論考や報告を紀要に出すため、相談を重ねながら原稿を執筆しました。さらに、滋賀県平和祈念館に行ったり、背中の痛みにうぐぐぅ~となったり、カレル・チャペックの戯曲『ロボット』のお芝居を観に行ったりもしました。

と、なかなかよく働いたひと月でした。

3月は初~中旬に、自分が主催の映画上映会、原稿提出、上息子との旅行と予定満載です。そのあとは、研究や授業ネタになるような重い本たちを着々と読んで、たまっている旅行記やその他のアレコレをブログに更新していきたいです。あ、書類整理もしなくちゃ。今年度のことは今年度のうちに!(のつもり)

読んだ本の数:9
読んだページ数:2178
ナイス数:324

ヒトラーの馬を奪還せよ ――美術探偵、ナチ地下世界を往く (単行本 )ヒトラーの馬を奪還せよ ――美術探偵、ナチ地下世界を往く (単行本 )感想
これ、ほんと面白かった!一気読み!まるでスパイ映画のようなノンフィクション。爆撃で消滅したと思われていた巨大な馬の像が、実は70年もの間、秘密裏に保存されていて売りに出ているという情報を得た「美術界のインディ・ジョーンズ」の異名をとる著者が、その行方を追跡する。あまりに面白かったので関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊で取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=202412
読了日:02月03日 著者:アルテュール・ブラント



わたしの外国語漂流記: 未知なる言葉と格闘した25人の物語 (14歳の世渡り術)わたしの外国語漂流記: 未知なる言葉と格闘した25人の物語 (14歳の世渡り術)感想
英語をどう習得したかという経験も参考になるが、聞いたことのないような言語に出会って習得した人の話が面白い。そもそもそんな言葉があるなんてとか、現地の言葉の知識がほぼ0でも、そこの人が友好的に受け入れてくれればなんとか一緒に生活できるんだなあとか。こういうのを読むと、やっぱりがむしゃらにその言語の世界に没頭すること、それもある程度の期間をもつことが肝のよう。今その時間を持つのは厳しいから、コツコツやるとしよう。
読了日:02月09日 著者:松村圭一郎,佐久間裕美子,丸山ゴンザレス


ウィキペディアでまちおこし――みんなでつくろう地域の百科事典ウィキペディアでまちおこし――みんなでつくろう地域の百科事典感想
ウィキペディアは検索でトップに出ることが多いので、地域の情報を項目立てすることで(出典をきちんと載せていれば)知られていないが貴重な情報を載せている埋もれた文献に行き着く可能性が高まる、消えゆく伝統や慣習が残せる可能性が高まる、地域おこしになる可能性がある、というのは、なるほどだった。そのためにウィキペディアに執筆する人を増やす活動を展開されている著者の熱意には感服する。実際、著者が書いた項目は質が高いと評価されているそう。とはいえ、
読了日:02月09日 著者:伊達深雪


一線の湖一線の湖感想
水墨画の世界の魅力をたっぷりと教えてくれた『線は、僕を描く』の続編。水墨画とその師匠に出会うことで心を開き、外界と関わるようになった主人公だったが、家族の死で負った深い心の傷は未だ癒えていなかった。続編は心痛むプロローグから始まり、泣かせる名場面を迎え、辛すぎる一つ目の山場を迎える。我慢を強いる中盤のあとの二つ目の山場の緊迫感ある描写がすばらしい。真摯で丁寧な表現、現実味を増した筋書きで、前作よりもさらに優れた小説になっているように思う。読後思わず、お正月から出しっ放しのお習字セットで絵を描いた(笑)
読了日:02月10日 著者:砥上 裕將


ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行感想
『ラデツキー行進曲』が面白かったロートによる見聞記。1920~28年頃に新聞に連載していたものを抜粋したもの。ソ連の最初期の雰囲気が伝わる。新しい国ソ連の可能性に期待し、評価しているような文章もあれば、早くも蔓延する検閲と表現の自由の制限に失望している文章もあって興味はつきない。が、文章によってはなかなか難しい。この時期の様子を知るのに学生と読もうかと思ったが、この本だけでは厳しいかな。それはともかく、ロートはユダヤ人でツヴァイクとも友人だったとのこと。ほかもまた読もうっと。
読了日:02月14日 著者:ヨーゼフ・ロート


平和を考える 戦争遺産図鑑 (ヘイワヲカンガエルセンソウイサンズカン)平和を考える 戦争遺産図鑑 (ヘイワヲカンガエルセンソウイサンズカン)感想
図書館の児童書室で発見した大きくて立派な写真集。たしかに子どもでも理解できる、わかりやすい言葉づかいで説明されている。国内外の戦争の遺構がたくさん掲載されている。激戦地であった太平洋の島や、日本軍が住民を虐殺した中国などで今でも出てくる人骨の写真もある。
読了日:02月17日 著者:安島 太佳由



ロシア・ノート:アンナ・ポリトコフスカヤを追ってロシア・ノート:アンナ・ポリトコフスカヤを追って感想
ソ連時代の大飢饉を取り上げた『ウクライナ・ノート』の著者による。本書ではチェチェン問題の実態を明らかにしようとして暗殺されたロシアのジャーナリストについて。前著よりも絵やデザインが洗練されている。が、内容は前著にもまして衝撃的。チェチェン紛争時に起こっていた民間人への暴力、略奪、拷問。そうした行為を拒否した兵士へのむごたらしい懲罰。取材を続けるポリトコフスカヤ自身への脅迫、拘禁…あまりに酷くて何度か本を閉じてしまう。残虐行為に染まって暴力が止まらなくなることをチェチェン・シンドロームというそう。
読了日:02月17日 著者:イゴルト(Igort)


アウシュヴィッツの画家の部屋アウシュヴィッツの画家の部屋感想
アウシュヴィッツにあった「収容所美術館」と画家たちについて。小さくて薄くて字の大きな本だが、ほおおという事実や情報がいろいろ書かれている。ブログに記録。https://chekosan.exblog.jp/33692124/ 八ヶ岳山麓にあるフィリア美術館にケーテ・コルヴィッツやミェチスラフ・コシチェルニアクらの作品があるとのこと。行きたいなあ。昨夏、知っていれば、甲府に行くときに寄れたのになあ~~何かと合わせて、またいつか行こうっと。
読了日:02月19日 著者:大内田 わこ




女性が科学の扉を開くとき: 偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る女性が科学の扉を開くとき: 偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る感想
著書は、女子が自然科学の分野に進むことすら拒まれることが多かった時代から最前線で道を拓いてきた。「人類の100%の最良の結果は50%のそれより優れている」という信念のもと、女性科学者やマイノリティのキャリア形成のためにも奔走。先入観や「常識」を打ち破ったコレラ菌の研究や、炭疽菌テロ事件の解明に携わった日々などを綴った章もエキサイティング! 関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊で取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=202420
読了日:02月27日 著者:リタ・コルウェル,シャロン・バーチュ・マグレイン




# by chekosan | 2024-03-16 12:48 | Trackback | Comments(0)
もうだいぶ経ってしまいましたが、2月下旬に、兵庫県立芸術文化センターで、お芝居「ロボットーRUR-」を観てきました。note版では広告なしで読んでいただけます。ぜひどうぞ~

チェコスロヴァキアの作家カレル・チャペックが1920年に発表した戯曲で、「ロボット」という言葉はこの作品で生まれました。

チェコ文化を代表する人といえば5本の指に入るであろうチャペックの代表作で、文字(岩波文庫、千野栄一訳)で読んでもいましたが、これまでお芝居で観る機会はありませんでした。ピッコロ劇団さん、関西で上演してくださってありがとう!!( ;∀;)

以下、自分のための備忘録です。がっつりの分析や考察ではないです。あらすじや丁寧な説明も省いています。ネタバレご注意ください。(チャペックの他の戯曲『マクロブロス事件』『白い病』との比較もあるので、そちらを未読の方もご注意を)


カレル・チャペックの戯曲『ロボット』のお芝居を観てきました&バレエ・リュスの衣裳展_b0066960_11083586.jpg

まず、内容的なこと。

カレル・チャペックの1922年の戯曲で、最近新訳も出た『マクロブロス事件』(新訳の邦題は『マクロブロスの処方箋』)との類似性と相違について。

どちらも、「すごーく」(※後述)端折ってしまうと、ある「すごーく」重要な書類をめぐる欲や理想や主張のぶつかり合い→若い女性が書類を破棄してしまう、という筋書き。

(そういえば、チャペックの『白い病』でも、人類の将来がかかる重要なものがアレしちゃいますね。若い女性が破棄するわけではないけど。チャペック、そういうのが好きなんですね)

でも、女性の主体性というか、自立性みたいなのは、2作品では違ってきているようにも思います。

『ロボット』では、大統領の娘でロボットの人権(?)活動家でもある美貌の女性が一目惚れされて、夫と科学者らのマドンナとしてちやほやされて、自分たちの最後の切り札を破棄しても許されてしまう。彼女は、行動する女性ではあったけど、偉いさんの娘→冷静に判断できない奥様というキャラどまりとも言える?

『マクロブロス』でも、若い女性が人類の未来を左右するような役割を果たす点では同じだけど、破棄の仕方や意味合いが違っている。『ロボット』では「パニクって焼いちゃったどうしよう許して~」みたいなアクシデント的なものだったのが、『マクロブロス』では、若い女性が不老不死の処方箋をあっさり焼いてしまって、不老不死をめぐる苦悩や欲望の衝突に決着をつける。

『マクロブロス』では、不老不死の魅惑のオペラ歌手の女性と、彼女に憧れる若い女性が対比されるが、どちらもそれぞれ自分の職業とか特技を持っていて、自立した人間という面が強まっている?

以前、関西チェコ/スロバキア協会の催しで、新訳の翻訳者である阿部賢一先生の講演会があって、質疑応答のときに、チャペックは女性を書くのがうまくないというような話も出ました。(このときの報告を協会誌『ブルタバ』128号 2022年3月発行に書いています)

その話になったのは、私の授業を受けていた学生さんの質問からの流れだったと記憶しているのですが、たしかに、女性の機微はあまり描けていないなと思います。が、もしかしたら、この2作品だけ比較すれば、少しは女性像を複雑化させたのかな?と今回ちょっと思いました。

あ、でも、1937年の『白い病』でもやっぱり大統領の娘が出てくるけど、あんまりたいしたキャラ付けはされてなかったかな…? あれはまた設定が違うから仕方ないか?

で、『ロボット』では、危機的状況に対して、登場人物たちがあれこれ主張をぶつけあうのですが、戯曲を文字で読んでいるときより、お芝居で観た時の方が、ふむ、なるほど、それもそうだな、でもしかし、というように思わせるなと思いました。文字だとさーっと読み飛ばしてしまうんですよね。でも、お芝居だと、当然、演じる人が違うからキャラももっと明確になるし、セリフが終わるのを聞いて待たないといけないし。戯曲は芝居で観るのが正しいなと確認しました。

その主張のぶつけあいに関しても、先述の阿部賢一先生の講演でも、チャペックの作品は、唯一絶対の正義や結論を強いるものではなく、多声的であり、観客(読者)に思考を促すものである旨のお話があったのですが、たしかにそうだなと再確認できました。

お芝居の演出に関しては、1920年代の作品であるということはまったく感じさせない、近未来的な、シンプルな(あまりお金もかけずに済んでそうな)舞台になっていました。離れた島で人造人間を製造する会社という設定だし、普遍性のある作品だし、セリフが大事なお芝居なので、なるほどと思いました。建国期のチェコスロヴァキア好きとしては、当時の雰囲気を色濃く反映させた再現的な舞台も観てみたいですが。

上述の「すごーく」は、マドンナである女性の登場人物が頻繁に口にするセリフで、これが終盤にも意味を持ってくるのですが、でも、、、ちょっと異質だったかな。。。他のセリフが上流階級のお嬢様(奥様)風な話し方なのに合ってないし、20年くらい前の日本のはすっぱな女性みたいだったかな~

全体の感想としては、緊迫感もあったし、知っている話だけど退屈することなく鑑賞できて、遠くまで行った甲斐がありました。セリフをきちんと聞いていくことで、ここまで書いてきたようなことが浮かんできましたし、やっぱり戯曲は芝居で味わうもんやと再認識できたし、得るものが多かったです。

一緒に行った上の息子は、あらすじすら知らずに観たので、それこそ「すごーく」面白がっていました。良かった良かった。

会場のそばでは、ミニ展示もやっていました。20世紀初頭、ロシアのセルゲイ・ディアギレフが創設したバレエ団「バレエ・リュス」の衣裳展です。

カレル・チャペックの戯曲『ロボット』のお芝居を観てきました&バレエ・リュスの衣裳展_b0066960_13303090.jpg

撮影は良くないかなと思って珍しく写真はないのですが、リーフレットが公開されていました。

兵庫県立芸術文化センターのHPを見ると、どうやらずっとちょっとずつテーマを変えて、コレクションを展示しているようですね。


☆おまけ☆

☆おまけ2☆この日は、行き帰りに、ちいかわ電車を見ることができました!(∩´∀`)∩ 


# by chekosan | 2024-03-10 14:45 | 演劇 | Trackback | Comments(0)
今月のブックレビュー@関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊は、アメリカの生物学者リタ・コルウェル博士の著書『女性が科学の扉を開くとき ー偏見と差別に対峙した六十年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語るー』です。

女子が自然科学の分野に進むことすら拒まれることが多かった時代から最前線で道を拓いてこられた方です。

「人類の100%の最良の結果は50%のそれより優れている」という信念で女性科学者やマイノリティのキャリア形成のためにも奔走されてきました。

先入観や「常識」を打ち破ったコレラ菌の研究や、炭疽菌テロ事件の解明に携わった日々などを綴った章もとてもエキサイティングです!


# by chekosan | 2024-03-09 15:29 | 書いたもの | Trackback | Comments(0)
2月下旬、滋賀県平和祈念館に行ってきました。note版では広告なしで読んでいただけます。ぜひどうぞ~

祈念館としての企画展(6月23日まで)ももちろん見たかったのですが、今回は、巡回展示も見たくて、終了間際に滑り込み!


「暮らしの中の戦争-日々の生業(なりわい)と食事-」と「破られた約束-太平洋戦争下の日系カナダ人」@滋賀県平和祈念館_b0066960_22534904.jpg


まずは、企画展示「暮らしの中の戦争-日々の生業(なりわい)と食事-」。

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企画名どおり、戦争中の暮らしの様子がわかるものがいろいろと展示されています。少しだけご紹介。

配給物資の購入券を保存しておく袋

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「貴重な資源をお役にたてませう」

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東京日日新聞発行「支那戦線双六」
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手前の開いてある本は『食べられる野草』(陸軍獣医学校研究部編)

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滋賀県平和祈念館の特徴の方言そのままの証言パネルは、今回ももちろんたくさん掲示されていました。

お話されたそのままの言葉は、実に生き生きとしていて、当時の様子がよくわかっていいなあといつも思います。

企画展は、6月23日まで。まだまだやってます! ぜひ!


さて、今回のもう一つのお目当ては、巡回展示「破られた約束ー太平洋戦争下の日系カナダ人」。(こちらは終了しています)

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この展示は、第二次世界大戦期の日系カナダ人の強制立ち退き、強制収容、強制分散、国外追放の一連の政策のなかで執行された、カナダ政府による日系人財産の没収についてです。→ 公式サイト

秋に、和歌山からアメリカに渡った日系移民に関する展示を見てきて、戦時中に入れられた強制収容所の様子なども知ることができたのですが(文末にリンク)、今度は、カナダ。

少し前には、ブラジルへの移民を追ったドキュメンタリー映画「オキナワサントス」も見ていて、このところ、移民関連のものが続いています。

で、カナダへの移民ですが、なんと滋賀県からが一番多かったのだそうです。全然知らなかった! 何十年も滋賀県に住んでいるのに!

新興住宅地に小さい頃に引っ越してきた住民で、移民を輩出した地域に親戚や知人がいるわけではないので、そうした歴史に触れる機会がなかったのです。けっこう衝撃の事実です。

学生がよく「~~ということを知らなかったので驚いた」と感想を書くのって、こういう感じなんかな、と一緒に行った夫氏と感想を共有(笑)

戦時中は、カナダも日系移民に対して酷い扱いをしていたということも意外でした。今のカナダは多様性を尊ぶ国というイメージなので。

世の中知らんことだらけやなあと、今回もつくづく思いました。

この展示は、このあと和歌山、京都、横浜にも巡回するようです。

京都は同志社で! ときたら、私の授業受ける人には必ず見に行ってもらいましょう!

2024年4月1日(月)~2024年6月30日(日) カナダ・ミュージアム(和歌山県美浜町)
2024年11月下旬から12月下旬 同志社大学今出川キャンパス ハリス理化学館同志社ギャラリー
2025年時期未定 JICA横浜海外移住資料館


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# by chekosan | 2024-02-29 23:36 | 負の遺産/記憶と継承 | Trackback | Comments(0)